Subject:平成15年7月13日
From:西尾幹二(B)
Date:2003/07/13 13:32
 友人の粕谷君に「整体」に連れて行ってもらって、二度行って、それきりになっている。夜寝入りが悪く、眠りが浅いのも相変わらずである。3−4月には首筋がこって苦しんだ。そして今度の「ギックリ腰」である。粕谷君にそれ見たことかと言われそうで、合わせる顔がない。

 11日夜、這々の体で羽田空港に辿り着いた。帰ると「つくる会」の宮崎事務局長から12日の総会出席の懇請の電話が入った。友人の医師に間を置いて相談した。痛みのある限り、しばし安静が大切である。今ここでもう一度肉を裂くあの痛みに陥ると、取り返しのつかないことになるといわれ、朝の様子を見ることにした。

 12日朝再度宮崎氏から電話があり、私はまだ痛みがあるので断念を通告した。代わりに、総会の予想される最大の議事テーマ「教科書リライト問題」に関する私のメッセージを書いて、会場の銀座ガスホールにファクスした。事務局長が朗読してくれたはずである。

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 前略

 総会を楽しみにしていたのですが、不運にもギックリ腰になって、動けなくなりました。皆さまにお目にかかれず申し訳ありません。

 歴史教科書のリライトの今までの成果について私の感想を述べます。6月30日にみせていただいたのは律令国家までで、そのうち神話は扱いがまだ決まっていないといわれて、神話のリライトはまだみせていただいていません。

 書き修された新しい文章は、現行版とは印象は違いますが、より簡潔になり、物語性も残して、苦心の跡がうかがえ、教科書らしい一つの新しいヴァージョンの誕生といってよいように思います。律令国家までは合格点がつけられます。

 事務局長によると、新しい律令国家までの文字数は現行版の10パーセント程度の減量にとどまったそうです。最初私の知る限り、30から35パーセントに及ぶ過激な減量が企てられていて、しかも一単元を見開き2ページに収める原則は動かない、と定められていて、私は危機感を覚え、強い反対意志を表明しました。文章というものは、分量が先に決まっていて内容をそれに合わせるものではなく、内容の必要に合わせて分量をきめていくものです。

 文章の平易化には賛成ですが、平易化すれば文章はとかく長くなります。そこで私は強く要望し、現行版の10パーセント程度の減量幅におさえること、コラムを短くし本文テキストはあまり大幅に削らないこと、見開き2ページというような無理な原則を捨てること、というようなことを要請しました。

 その結果、律令国家までがおおむね右の私の要請に応じたかたちで新たに作り出され、私としてはまあ良いのではないかと思っています。どうかこのあとも、同じペースでやっていただきたい。ペースを変えて再び無理な、良くない方向に傾くようでしたら、私もまた再び強い警告の声を発したいと思っています。

 ところで、現行歴史教科書には、「歴史を学ぶとは」というまえがきと「歴史を学んで」というあとがきがあることはご承知のとおりです。最初に出されたリライトの計画表からこの二つの文章が消えています。誰が消したのかは知りません。そしていまなお消えたままです。

 最初に出されたリライトの計画表は不可解で、私たちの知らないところで思想内容を薄める企てがあり、30パーセントも分量を減らすという乱暴なアイデアもわれわれの運動の思想内容を薄めるという動機に発しているのでなければよいがと私は一時ひじょうに心配しました。現行版より分量を著しく減らせば、思想内容はどうしても薄くなります。

 われわれの「新しい歴史教科書運動」は教科書運動であるとともに思想運動です。そこで本総会で、教科書の例の「まえがき」と「あとがき」の思想は削った方がよいとお考えか、どこまでも残した方がよいとお考えか、総会でご討議いただけるとありがたいです。われわれはこの件に関し、総会の意志に従うべきと思います。

 尚いま読み上げていただきました以上の公開の文章は私のインターネットのホームページに掲げさせていただく所存です。

 平成15年7月12日

 つくる会総会出席者各位
                       西尾幹二

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 じつはこう書いた「教科書リライト問題」への私の対応には、すでに昨年からの長い前史がある。今まで会の分裂や争いを招くおそれのある同問題への私の積極的介入、内部発言は、公表を控えていた。

 12日の総会が無事終了し、雨降って地固まるの見通しが立てば、「前史」のいくつかの文書も公開した方がよいのではないかと考えている。


                       誤記訂正.7/14pm0:20



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Subject:お知らせ
From:西尾幹二(B)
Date:2003/07/16 21:25
 平成14年7月14日付で始まった当日録は、本日
 平成15年7月16日午後9時2分にアクセス数50万に達しました。

 読者の皆様に感謝申しあげます。

              
              西尾幹二
              管理人一同

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Subject:平成15年7月21日             
From:西尾幹二(B)
Date:2003/07/21 15:35
 私が「重要発言」(一)〜(五)を敢えて行ったのは、それなりの危うさを伴っていたことはお分りいただけたであろう。その危うさはまだ終ってはいない。

 しかし私は秘密や隠蔽が嫌いであり、言論は自由で、公明正大でなければならないと考えている。ということは、日録の「感想」掲示板もまた同様な意味において、私と私の表現や思想に対し、自由で、公明正大でなければならないと信じている。

 反論や批判を歓迎する。同調意見だけを望んではいない。リライト問題に関していえば、既成7社の教科書に似たものにしなければ採択はとうてい覚束ない、という教育現場からの主張もあっていい。教科書協会に反抗するのは蟷螂の斧で、そんな生やさしい世界ではない、と事情を知る人からの忠告もあっていい。私は何があっても驚かない。私の大胆な文書行動を見栄っぱりのパフォーマンスと切り捨ててもいい。

 日録「感想」掲示板はなにびとをも拒まない。ただし、下品で危険なことばを並べた、誰がみても悪質でふざけた文章や、私の掲示の思想内容に直に関わりのない、私の裁量の及ばない、第三者を中傷したテーマは、その掲載を拒むことがある。

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Subject:コーヒーブレイク   13
From:西尾幹二(B)
Date:2003/07/22 21:50
 7月22日
 次のことを報告します。

(1) 当日録の最初の単行本化『私は毎日こんな事を考えている——西尾幹二の公開日誌』
   (徳間書店、381ページ、¥1800)が今日、一部の東京大手書店の店頭に出ました。
   一斉に全国の店頭に出るのは早くて明日以降のようです。

(2) 8月1日(金)深夜1:20〜4:19すなわち日付は2日の早朝、朝まで生TV
  「激論!日本の不安——理性をなくした社会はどこへ向かうのか?」(仮題)に出演
   予定です。

(3) 9月号(8月初旬発売)の月刊誌では、
   1、〈癒し〉の戦後進歩主義
    ——憐れな、余りに憐れな懐かしのメロディー——
      小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉』をめぐって(仮題)
    約60枚『諸君!』
   2、中西輝政氏との対談
     戦後五大戦犯内閣を問う(仮題)
     ——幣原、池田、田中、宮沢、細川に加えて竹下、海部、村山の各内閣を弾劾する。
    『Voice』

 なお当「日録」重要発言(一)〜(五)への感想や提言を待っていますので、次の「日録」は
すでに用意されているのですが、「感想掲示板」への書き込みを期待して、一時的に停止し
ています。よろしく各方面からのご参加をお願いします。ことに(五)について藤岡信勝氏や
つくる会東京支部や扶桑社編集部からの応答を切望します。


(管理人注意書き). 藤岡先生からご投稿(メール)をいただいた場合は、他の一般の投稿等に埋もれさせるには忍びないので、[うぇっぶだいありぃ]とリライト板の方に転載します。予めご了承ください。



Subject:コーヒーブレイク   14
From:西尾幹二(B)
Date:2003/08/01 08:05
 8月1日 25:40〜
 
 朝まで生テレビ「激論!日本の不安」——若者たちの暴走と教育——に出演します。

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討論1.一体なぜ?少年・若者たちの異常犯罪急増問題
* 頻発する兇悪異常“少年・若者犯罪”をどう考えるか?
* 大人たちも、ノンブレーキ状態?
* 欧米先進国はもっとひどい?

討論2.では、どうすればいいのか!解決の道とは何か?
* これでいいのか日本の教育!
* どうする少子化問題!日本は滅びてしまうのか?

討論3.“成熟社会”を目指すのか?それとも・・・・
* あえて問う!国や国家はどうなってもいいのか?
* 保守VS革新理想の違い
* 100年後の日本の姿は?

    パネリスト表

司会:田原 総一朗
進行:渡辺 宣嗣、長野 智子

パネリスト:
  池内 ひろ美(家族問題コンサルタント)
  井尻 千男(拓殖大学日本文化研究所所長)
  大谷 昭宏(ジャーナリスト)
  長田 百合子(塾教育学院・メンタルケア部門代表)
  勝谷 誠彦(コラムニスト)
  喜入 克(都立高校教員・「プロ教師の会」)
  能代 昭彦(自民党・衆議院議員)
  西尾 幹二(ドイツ文学者・電気通信大学名誉教授)
  藤井 誠二(ルポライター)
  福島 瑞穂(社民党・衆議院議員)
  宮崎 哲弥(評論家)
  宮台 真司(東京都立大学助教授)
  和田 秀樹(精神科医)

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 なお今回私はあまり多くを語るつもりはない。思想的対立の少ないテーマであり、かりに対立が生じても、激論にはならず、私は反論するよりも自分の人生観を淡々と語るという方向を心がけるつもりである。