平成15年9月22日〔焚書事件の判決文〕(一) 2003年/09月22日15時05分 |
|
平成15年9月22日〔焚書事件の判決文〕(二) 2003年/09月23日12時24分 |
==== (BBS.systemの制限で段落分けが出来ません、ご理解願います) ===== (二) 主文 事実及び理由 第1 請求 第2 事案の概要 1 前提事実(1)〜(7) 2 争点及び当事者の主張 (1)争点1(本件除籍等を行ったのは被告土橋か否か) (原告らの主張)ア〜ウ (被告船橋市の主張) (被告土橋の主張)ア〜ウ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 主 文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事 実 及 び 理 由 第1 請求 被告らは、各原告らに対し、各自金300万円及びこれに対する平成13年8月26日から支払済みまで 年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は、平成13年8月10日から同月26日にかけて、船橋市西図書館に勤務していた被告土橋悦子司書(以下「被告土橋」という。)が、船橋市図書館資料除籍基準に該当しないにもかかわらず、同図書館に所蔵されていた原告新しい歴史教科書をつくる会(以下「原告つくる会」という。)及びその会員の著書を中心として合計107冊の著書(原告らの著書は30冊)を除籍し廃棄したため、原告らが、被告土橋に対しては不法行為に基づき、被告船橋市に対しては国家賠償法に基づき、原告らそれぞれに対して慰謝料等300万円の損害賠償を請求している事案である。 1 前提事実 以下の事実は、当事者間に争いがないか、後掲の証拠によって容易に認定することができる事実である。 (1)原告井沢元彦、原告岡崎久彦、亡坂本多加雄(なお、同人は、平成14年10月29日に死亡し、その妻である原告坂本順子が本件訴訟手続きを受継した。)、原告高橋史朗、原告谷沢永一、原告西尾幹二、原告長谷川慶太郎、及び原告藤岡信勝は、それぞれ、別紙1「除籍図書目録」1〜10、13〜30記載の各書籍を執筆ないしは編集した。 (2)原告つくる会は、平成9年1月30日の設立総会を経て設立された権利能力なき社団であり、「新しい歴史・公民教科書およびその他の教科書の作成を企画・提案し、それらを児童・生徒の手に渡すこと」を目的としており(弁論の全趣旨)、別紙1「除籍図書目録」11及び12記載の書籍を編集した。 (3)被告船橋市は、船橋市中央図書館、船橋市東図書館、船橋市西図書館(以下「西図書館」という。)及び船橋市北図書館を設置しており、被告土橋は、平成13年8月当時(以下「本件当時」という。)、西図書館に司書として勤務していた(甲9号証)。 (4)別紙2「関連図書蔵書・除籍数一覧表」記載のとおり、平成13年8月10日から同月26日にかけて、西図書館において、別紙1「除籍図書目録」記載の書籍を含む107冊の書籍(一般図書)が、コンピュータ上の蔵書リストから除籍する処理がなされた上で、廃棄処分された(以下、これらの処分を「本件除籍等」という。)。 (5)平成14年4月12日付けの産経新聞(全国版)において、平成13年8月ころ、西図書館に所蔵されていた西部邁氏の著書44冊のうち43冊、渡辺昇一氏の著書58冊のうち25冊の合計68冊が廃棄処分されていたなどと報道され、これをきっかけとして本件除籍等が発覚した。 (6)被告船橋市の教育委員会(以下「市教育委員会」という。)は、同月13日から23日にかけて、臨時職員や退職者を含め合計22名の職員から事情聴取するなどして本件除籍等について調査したところ、最終的には被告土橋が本件除籍等を行ったものと判断した。市教育委員会は、調査結果をもとに、同年5月10日、司書職員1人が除籍したことを認めている、本件除籍等で廃棄された合計107冊について除籍すべき理由を見い出すことはできなかったなどと発表した(甲1、3、13号証)。市教育委員会は、平成14年5月29日付けで本件除籍等に関する処分を行い、被告土橋を、減給10分の1(6か月)の懲戒処分とした(甲7号証、弁論の全趣旨)。 (7)本件除籍等の対象となった書籍のうち、合計103冊については、平成14年7月4日までに、被告土橋を含む市教育委員会生涯学習部の職員5名からの寄付という形で再び西図書館に配架された。また、残り4冊については入手困難であったため、上記5名が、同一著者の執筆した書籍を代替図書として寄付し、配架された(なお、上記4冊のうち1冊については、同年8月30日に、除籍された図書と同一の書籍が寄付され、配架された)。 2 争点及び当事者の主張 (1)争点1(本件除籍を行ったのは被告土橋か否か) (原告らの主張) ア 本件除籍がなされた平成13年8月当時は、原告らの多くが執筆に関わった『新しい歴史教科書』が日本各地の教育委員会において採択されるかどうかが、国内外から注目されており、原告つくる会の事務局に対する放火テロ攻撃事件があった時期であった。 イ 被告土橋は、このような状況に刺激されるなどして、原告つくる会に思想的な関係があると自ら調べた著者の著作物を、その思想内容や表現内容を理由として、公的に保障された「表現の自由」市場(著者と読者とを媒介する場)たる公立図書館の書棚から一方的に排除・追放し、自らの思想・信条と異なる意見の書かれた著書が図書館利用者の目に触れることのないようにするため、船橋市図書館資料除籍基準に該当せず、本来であるならば除籍することができないにもかかわらず、主にパート職員に指示して、本件除籍等の対象となった書籍合計107冊を西図書館に集めた上、密かにこれらの書籍を除籍して廃棄した。 ウ 被告船橋市の図書館では、全館で1冊しかない本については、管理端末機のコンピュータ画面上に「最終本」というメッセージが表示されて誤って廃棄されないよう注意を促すシステムとなっているが、被告土橋は、その管理上の自動システムを全て無視して、確信的な意図をもって上記107冊の書籍を除籍し、その一部分を実際に燃やすなどした上、故意に廃棄したものである。 (被告船橋市の主張) 被告土橋が本件除籍等を行ったことは認めるが、同人は書籍を燃やしたことはなく、その余の事実については否認する。また、本件除籍等が意図的もしくは故意によるものであるかは不明である。 (被告土橋の主張) ア 本件除籍があった事実は認めるが、その余の事実については否認する。被告土橋は、被告船橋市が行った調査に対して、自らが除籍を行った旨述べたが、四囲の状況から自分以外に除籍を行った者はいないだろうと考えて、そのように述べたもので、除籍を行ったとの明確な記憶はない。 また、本件除籍等の対象となった107册の中には、除籍基準に該当するものがあったと考えられる。 イ 仮に、被告土橋が本件除籍等を行ったとしても、被告土橋には思想的な背景は全くない。 ウ 甲13号証(船橋市による土橋悦子事件事情聴取記録)は、原告らが情報公開請求権の行使など適法な手続きを経て入手したものではなく、違法に入手された可能性も否定できない。また、事情聴取を受けた者の発言は公開されないことを前提とするものであるから、その者の同意なくして発言内容を知り、証拠として用いることを認めると、これらの者のプライヴァシー権を侵害する。さらに、一部を除き、作成者の署名捺印さえなく、記載されている氏名の者が真実記載されているとおりに述べたのか否か全く不明である。よって、甲13号証は、事実認定に供せられるべきではない。 |
平成15年9月22日〔焚書事件の判決文〕(三) 2003年/09月24日09時19分 |
|
|
平成15年9月22日〔焚書事件の判決文〕(四) 2003年/09月25日09時36分 |
|
|
Re: 平成15年9月22日〔焚書事件の判決文〕(五) 2003年/09月26日10時58分 |
|
Re: 平成15年9月22日〔焚書事件の判決文〕(六) 2003年/09月27日10時17分 |
|