石原慎太郎氏の発言に寄せて /H15年11月01日09時17分
石原慎太郎東京都知事が日韓併合をめぐる発言で、最近、物議をかもした。私には普通の認識が語られているように思えて、特別の感想をもたなかった。10月31日の今日、毎日新聞から私の感想を求められたので、400字詰一枚の制限内で見解を記した。
最初に石原氏の発言の関係部分を再録する。「アメリカの大学の教授」以下は、今までどの新聞にも出ていなかった部分だそうである。
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石原慎太郎知事発言全文 ◎
10月28日午後7時半、池袋の東京芸術劇場
(私の父はインド人に似ている。母は中国人に似ている。日本人のルーツは、混血民族であり・・・・と「ルーツ論」を展開したのに続いて)
私たちはけっして武力で侵犯したんじゃない。むしろ朝鮮半島が分裂してまとまらないから、結局、彼らの総意で、ロシアを選ぶか、シナを選ぶか、日本にするかということで、近代化の著しい、同じ顔色をした日本人の手助けを得ようということで、世界中の国が合意した中で、合併が行われた。アメリカがフィリピンや、スペインがフィリピンを獲得しました。オランダがインドネシアや、フランスもドイツもそれぞれアジアに植民地を構えた。全然違う形で日韓の合併が行われたんだ。私は日韓合併を100%正当化するつもりはない。彼らの感情からすれば、そりゃ、やっぱり忌々しいし、屈辱でもありましょう。しかし、どちらかといえば彼らの先祖の責任であってね。しかも、このごろ、日本人を評価するべきであるとの日本の植民地政策についての正当な評価を書いた本も、向こうでは発禁ですけど、日本では発行されました。しかも、アメリカの大学の教授は、植民地主義を考えるなら、君らのうけた植民地主義は最も秩序があり、最も人間的だったということを相対的に悟るべきだと言っている。
(今の話は今日の拉致問題と関係ないが・・・・と本題に戻る)
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私の感想は次の通りである。
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20世紀の初頭までの朝鮮半島は、法の公正も富の合理配分もない今の金正日体制のような極貧劣悪な非人間的状態であった。予算の編成能力もなく、1906年の歳入は700万円余、予算を組むには3000万円以上を要し、日本からの持ち出しだった。韓国人はこのまま保護されて生きるより、併合し世界の一等国民として日本人と同じ待遇を受けた方がよいと100万人を超す一進会が合邦を要請し、政治的運動を展開した。これは巨大運動だった。
日本は1910年から終戦までに、今のお金で約63兆円を空しく注いだ。単に対露防衛のためなら、保護国のままにして、この金を南満州に用いるべきであった。
いかに韓国人が併合を歓迎したかは、帝国軍人になりたい韓国人志願兵の競争率が1938年で7.3倍、戦争たけなわの43年に30万人余が応募し、倍率47.6倍であったことに表れている。
もちろん、1910年の時点で韓国内には併合に対する抵抗者もいた。だから「彼らの総意で」とは言えないかもしれないが、それ以外の石原氏の指摘していることは、すべて正しい。韓国の歴史に弱みがあったことは、現在の韓国人の罪でもなければ、悪でもない。彼らが自己の弱みを見ようとしないことが罪であり、悪である。 (11月1日付)
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なお、私と並べてソウル市立大学鄭在貞氏の文章が寄せられているらしい。地方によって毎日紙に掲載されていない場合もあると伝えられた。
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