大学入試センター試験の世界史に虚偽問題が、日本史、現代社会に不適格問題が発見されて、19日以来23日まで、私の周辺はにわかに騒がしくなった。私自らは動くことはなかったが、電話とファクスが終日鳴りっぱなしで、2年前の机上の賑やかさを思い出させた。 産経新聞の水戸支局の渡辺記者が世界史の虚偽問題に気がついて、私をはじめ関係者にファクスを送ってきたのは1月19日(月)午後3時頃だった。もっと早く気がついた人もいたかもしれないが、私は新聞の入試問題なんか見ないから、自分では発見することができない。 今月私は研究不足が理由で『諸君!』連載を断念している。さもなければ19、20日は〆切りの限界日である。幸か不幸か、私は今月だけは20日という日を終日自由に使うことができた。 めまぐるしい一日だった。「つくる会」の関係者も、もの凄く素早く、精力的に動いた。 23日(金)の週末を迎え、みんながやるべきことを全部やったと思っている。しかし、壁は厚い。=============世界史B問題 p35http://www2.asahi.com/edu/2004c-exam/a/sekaishib.htmlB アジアやアフリカでは、ナショナリズムはしばしば④外部からの侵略・支配に対する抵抗の中で形成されていった。次の文章は、⑤日本統治下の朝鮮で起こったある運動について、参加者の一人が回想したものである。(ニム=ウェールズ・キム=サン『アリランの歌』松平いを子訳による。引用文は、一部書改め、省略したところがある。) 私たちは先生に率いられて街に出、何千という他の学校の生徒や街の人々と隊伍を組み、歌ったりスローガンを叫んだりしながら町中を行進した。私は夢中になって終日食べることを忘れた。何百という朝鮮人が、この三月一日には食を忘れたと思う。私たちが通ったとき、一人の白髪の老人がしゃがれた声で叫んだ、「見ろ、わたしは死ぬ前に朝鮮の独立に会えるのだぞ!」。 ⑥この運動に象徴される近代朝鮮のナショナリズムは、日本支配への抵抗を軸としていたが、⑦第二次世界大戦の集結以後には、南北分断という新たな難題に直面することになった。問5 下線部⑤について述べた文として正しいものを、次の①〜④のうちから一つ選べ ①.朝鮮総督府が置かれ、初代総督として伊藤博文が赴任した。②.朝鮮は、日本が明治維新以降初めて獲得した海外領土であった。③.日本による併合と同時に、創氏改名が実施された。④.第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた。http://www2.asahi.com/edu/2004c-exam/a/sekaishib.html★世界史B解答第1問 B 設問 5 解答番号 5 正解 ④ 配点2============ 答をみていただきたい。①は伊藤博文が初代ではないので×。②は台湾が先なので×。③は創始改名が1940年なので×。そうなると消去法で④が正解ということになるらしい。 テキストの文章は3・1事件(1919年)をめぐるものなので、④もとうてい正答とはいえない。けれども3・1事件からは切り離して下線部分「日本統治下の朝鮮」の字句だけ限定した設問と考えるものらしい。(こういうまぎらわしい出題そのものも疑問である) かりに「日本統治下の朝鮮」に限定して考えても、果して④は正答と言い得るだろうか。この点での私たちの論点と主張は、藤岡信勝氏が1月22日(木)のコラム「正論」に書いた分析に代表される。これをぜひお読みいただきたい。 この文は新聞に21日(水)にのせてもらいたかった。入試センター本部に「正解ナシ」を求めるには一日も早い必要があったからである。新聞側の担当者が出張で不在、論説の大切なひとが葬儀でやはり不在と、運の悪いことが相次いで、途方にくれたが、しかし、じつに鋭い的確な藤岡氏の分析と主張が新聞に出て、ひとまずホッとした。 (付録1)参照 しかしこの前日、すなわち1月21日に、皇學館大学の新田均、松浦光修両氏が大学入試センターに、大学の事務局長の正式名を介して質問状を提出した。両氏は試験の監督中に早くも三問を疑わしいと考え、ただちに対応した。考えられる限り最高に素早い対応である。 (付録2)参照 21日に産経新聞に安藤記者が第一記事を書いて下さったのもありがたい。同じ21日、早くも文部科学省は答を出していた。事務次官が安倍晋三幹事長を訪れて、「『強制連行』はすべての高校歴史教科書に書かれているので、〈正答ナシ〉の措置をすることは難しい」。 翌22日、つまり上記「正論」コラムが出た日に、「つくる会」の藤岡副会長と宮崎事務局長は抗議文をもって文部科学省を訪れ、同時に文部科学省記者クラブで記者会見をした。 文部科学省側は、予想された通り、事務次官と同じ答、すべての教科書に書かれているから変更できない、にほかならない。「つくる会」側は手持ちの教科書を調査して、「強制連行」の記述のない教科書が少なくない事実をつきとめていて、文部科学省側に再考を求めた。文部科学省側は大学入試センター本部に責任がある、と逃げたので、週が明けて「つくる会」は大学入試センター側に抗議文をもって行くので、よろしく指導してほしいといって別れた。 1月23日(金)に「つくる会」事務局は、いま刊行されているすべての高校歴史教科書を急いで集めて、精力的に調査し、夕方までに次の結論を得た。・・・・・・・・・・・・・・・・・世界史A 「強制連行」の記述がないもの10冊中5冊世界史B 「強制連行」の記述がないもの19冊中5冊 「強制連行」の記述はあるが、第二次世界大戦中であると 特定できないもの19冊中2冊・・・・・・・・・・・・・・・・・ 以上のとおり、「④第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた」に該当しない教科書は「世界史A」で10分の5、「世界史B」で19分の7、合計すると29分の12で、41パーセントにものぼる。この事実が判明したのは、宮崎事務局長以下のスタッフの奮闘の賜で、23日(金)の夕方だった。 すべては可及的すみやかに行なわれた。これで事務次官以下、文部科学省の関係者が言っていた「すべての教科書に書かれている」がマッカなウソであることが判明した。こちらはこの点を来週どう攻めるか、向うはどう弁解するか。 しかし、文部科学省はみえすいた弁解でシラを切るにきまっている。 25日には「救う会」幹事会が開かれる。この週のうちに、会長の中川昭一氏が入閣したため休会としていた教科書議員連盟が再興される見通しだとも聞いている。 なにもかもがいい方向へ動けばよいが、と祈って週末を迎えたが、壁は厚い。 多方面の関係各位の集中力、やるぞという意気ごみの高まりに心から感謝する。==============(付録1) 拉致解決妨げるセンター入試問題——「強制連行」設問は採点から外せ—— 藤岡信勝 《《《不公正かつ不適切な設問》》》 日本人拉致事件についての川口外相の演説に対し、昨年9月24日の国連総会で北朝鮮代表は、「日本は朝鮮半島占領時代に840万人を強制連行し、筆舌に尽くしがたい被害を与えた。たった数人の拉致被害者の死とは比べものにならない」と反論した。拉致という犯罪を、ありもしない「強制連行」で帳消しにしようというたくらみである。 ところが、最近になって、この北朝鮮の宣伝に呼応するかのような動きが日本国内に現れた。驚くなかれ、大学入試センター試験の問題としてである。1月17日に行なわれた世界史の試験で、「日本統治下の朝鮮」に関連して次の中から正しいものを一つだけ選ばせる問題(第一問の問5)が出題された。〈①朝鮮総督府が置かれ、初代総督として伊藤博文が就任した ②朝鮮は、日本が明治維新以降初めて獲得した海外領土であった ③日本による併合と同時に、創始改名が実施された④第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた〉 正解は④とされる。しかし、これは極めて不公正で不適切な問題である。まず、①から④までの文中に登場する用語のうち、「朝鮮総督府」や「創始改名」は、当時もその言葉が使われており歴史的事実に属するが、「強制連行」は次元が異なる。「強制連行」は政治的な糾弾の機能を担う造語であり、その語の使用者による歴史の解釈を示す用語であって、歴史の事実を指し示す言葉ではない。それは、対象指示機能よりは情動喚起機能の優越する、政治的色合いをもった「唸り言葉」(S・I・ハヤカワ)なのである。それ故、使う者の政治的目的に応じて、対象指示に関しては伸縮自在、融通無碍となる。 日本政府は徴兵による戦時中の労働力不足を補うため、「国民徴用令」によって工場などに労働力を動員したが、朝鮮半島についても、1944年9月から徴用が実施された。当時は朝鮮半島の人々も日本人であり、徴用は日本人に平等に課せられた、国家による合法的な行為であった。だから、④を「第二次世界大戦中、日本本土へ徴用された」とすれば、それは歴史的事実を述べたものであり、設問として何の問題もない。 《《《受験生には踏み絵効果も》》》 では、「強制連行」という言葉はいつから使われたのか。鄭大均氏によれば、1965年に出版された朴慶植著『朝鮮人強制連行の記録』の影響である(『中央公論』2002年12月号)。しかし、「徴用」を「強制連行」とするのは不当な言い換えであり、虚構である。「従軍慰安婦の強制連行」説はこの虚構の上に建て増しされたものである。 こういう系列の言葉を入試問題に含めるとどんな問題が生じるか。「強制連行」が間違いであると正しく知っている受験生にとっては、一種の踏み絵効果をもつ。難点は、「強制連行」を信じ込んでいる受験生にとっても少しも解消されない。問題は端的に定義の困難さと、不確定さにあらわれる。金英達氏は「『強制連行』とは何かということは、人それぞれの定義によって異なってくる」とし、その概念規定にかかわる要素として、①時期②移動地域③渡航形態④連行方式⑤連行目的⑥適用法令⑦離職・転職の自由⑧民族的な差別・虐待、の八つの次元を列挙している(『金英達著作集Ⅱ・朝鮮人強制連行の研究』)。 《《《設問ミスを直ちに認めよ》》》 例えば、時期についてみただけでも、センター試験の問題が前提としているような、「第二次世界大戦中」だけの出来事を指すとはかぎらない。日韓併合後の朝鮮半島からの日本への移動をすべて「強制連行」としてとらえ、「在日=強制連行の犠牲者」とするイメージも盛んに吹聴されてきた。 こういう言説を信じていた受験生が、設問の④を引っ掛け設問であると判断することも大いにありうる。つまり、どちらの立場からも、この問題は「正解なし」と判断されうるのである。入試問題は立場の如何を問わず万人が認める知識の範囲に限定されるべきである。 誤った不確実な知識を、若い人の頭に、政治宣伝的にたたき込む害毒が、将来に及ぼす影響は計り知れない。こういう虚偽の概念の横行を放置してきたことが、日本人を知的に拘束し、不要な贖罪意識を生み、拉致問題の解決を四半世紀にわたって放置してきた根本原因である。 大学入試センターは、この設問が欠陥問題であることを認め、「正解なし」として採点から除外する措置を速やかにとるべきである。 産経新聞コラム「正論」1月22日・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(付録2) 平成16年1月21日大学入試センター殿 皇學館大学 事務局長 大竹辰也拝啓 時下ますますご清祥の段、お喜び申し上げます。日頃は何かとご指導賜り厚くお礼申し上げます。 さて、平成16年1月17、18日の2日間、大学入試センター試験が実施され、本学に於いても全学体制にて遺漏なきことに努めました。同試験監督教員からセンター試験の問題について、別添の質問状が事務局に寄せられています。つきましては、質問状にある内容等についてご検討ないし、ご回答が頂ければ幸甚に存じます。 敬具・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 質 問 状 平成16年1月21日大学入試センター殿 皇學館大学助教授 新田 均 同 松浦光修 我が大学が参加し、私ども自身も校務として関係させられました大学入試センター試験の問題につきまして疑問がありますので、我が大学の事務局を通じでお伺いいたします。責任ある回答をよろしくお願い申し上げます。 1、「世界史B」の「第一問」「B」の「問5」、「日米統治下の朝鮮」について正しいものを選べという問題で、「第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた。」が正解とされております。 しかし、この「強制連行」につきましては、用語の的確さと実態の認識とについて、議論が分かれております。例えば、当時行なわれたのは「徴用」であって、それを「強制連行」と言うようになったのは1966年以降のことである(鄭大均氏)、「実態が『強制連行』などというものではなかった」(西岡力氏)などの異論が存在します。このように、歴史用語として、あるいは実態として、知識人や専門家の間で意見が異なっているような問題について、ある一方の主張だけを「正解」として、受験生に「強制する」ことは、教育の中立性を損ない、引いては、憲法が保障する思想信条の自由をも侵害するものではないかと考えますがいかがでしょうか。 2、「日本史B」の「第6問」の「A」に「既存の体制が生み出す矛盾に対して、マルクス主義の思想や学問は、根源的な批判を投げかけた。1920年代後半から1930年代初頭にかけてプロレタリア文学は興隆期を迎え、マルクス主義による社会分析の成果が数多く生み出された。」との文章があります。 まず、「マルクス主義の思想や学問」についての評価は、今日ではかなり意見が分かれる問題でしょう。それを「根源的な批判」であったとするのは、かなり「主観的」で、入試問題の文章としてはふさわしくないのではないかと考えますがいかがでしょうか。 また、「マルクス主義による社会分析の成果」として、『日本資本主義発達史講座』を正解としておりますが、特定の「主義の成果」、それも「講座派」と「労農派」とに分かれていた内の一方のセクトの「成果」のみを答えとして受験生に「強制する」のはいかがなものでしょうか。 3、「現代社会」の「第1問」では、スウェーデンの紹介として、「外国人の地方参政権」について次のように書かれています。「こちらでは外国人でも一定期間以上住んでいれば地方参政権が認められていて、うちのママのように日本国籍のままでも、地方自治体の議会選挙には参加できるの。外国人であっても、住民として自分が住んでいる地域の問題には直接関係することが多いので、参政権は重要な権利と考えられているからよ。」 これは、国情の違いによって議論が分かれ、日本では反対の多い「外国人地方参政権の賦与」について、外国人の口を借りながら一方的に賛成派の主張を展開した文章です。その証拠に、下線部についての問いは、外国人地方参政権とは直接関係のない「住民の直接請求権」について問われています。このように、問題の形を借りて、特定の主義主張を展開することが、果たして、入試問題としてふさわしいとお思いでしょうか。 また、同じく、「第1問」の「問1」の中に、「適当なもの」として、「夫婦同姓を定める現行の民法については、一方の配偶者が不利益を被ることもあるとして、選択的夫婦別姓を求める動きがある」という選択肢が挿入されています。もし、適当だとすれば、「教科書批判の動き」も、「憲法改正の動き」も、「集団的自衛権容認の動き」も、同様に入試に盛り込んで構わないということになりますが、どうお考えでしょうか。============= 大学入試センター試験疑惑 緊急報告 (二) 投稿者:西尾 幹二 投稿日:2004/02/04(Wed) 01:19 <HOME> 下記のとおり、2月3日、大学入試センター試験の仮処分申立書に関する、きわめて重要な記者会見が行われた。テレビ会社3社(NHKほか民放2社)、新聞15社が参加したと聞く。 しかし3日から4日にかけて夜の段階で、私の見た限りにおいてあらゆるテレビには一切報道されなかった。私は記者会見には行かなかったが、行なわれたことは事実である。大変重要だと思われるので、以下に報道関係者を通じて入手した資料を、全文掲載する。============ 平成16年2月2日(月) 報道各位 センター試験不適切問題事件原告弁護団 団長 高池 勝彦 記者会見のご案内 先般行われました大学入試センター試験「世界史」において、特定の歴史観を押しつける思想チェックともいうべき不適切な出題があった問題につき、2月3日、センター試験受験生が債権者となり、当該設問を採点から除外する裁判を求める仮処分命令の申立を、東京地方裁判所にいたします。つきましては、弁護団が下記のような次第で記者会見を開きますので、よろしくお願い申し上げます。 日 時 平成16年2月3日(火) 午後2時〜 会 場 司法記者クラブ(東京地裁2階) 東京都千代田区霞ヶ関1−1−4 TEL 03−3581−5411 出 席 債権者代理人弁護士 高池 勝彦 同 内田 智************ 仮処分命令申立書 平成16年2月3日東京地方裁判所民事第9部 御中 債権者代理人弁護士 高池 勝彦 同 内田 智 当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり 仮処分により保全すべき権利 思想及び良心の自由、ならびに 適正な入試採点を取得する権利 申立ての趣旨債務者は、別紙物件目録記載の設問(問5)を採点から除外せよ。申立費用は債務者の負担とする。との裁判を求める。 申立ての理由第1 被保全権利1 債権者は、現在大学入学のための受験勉強中の受験生(浪人中)であり、平成16年1月17日全国いっせいに行われた債務者独立行政法人大学入試センターが大学入試センター試験利用大学と共同で実施された大学入試センター試験(センター試験)を受験した。2 センター試験の仕組は、別紙「センター試験の仕組み」記載のとおりである。センター試験は、すべての国公立大学と約7割の私立大学が利用する試験で(甲第1号証)、それらの大学に入学しようとする者は、事実上必ず受験しなければならないものである。したがって、試験の内容は適正かつ公正なものでなければ受験生は正しい解答をすることができず、その結果志望大学に入学できないなどの重大な不利益をこうむることになる。3 センター試験の運営は、別紙「センター試験の運営」記載のとおりであり、試験問題や採点はすべて債務者が行っている。4 債権者は、前述のとおり、平成16年1月17日全国いっせいに行なわれたセンター試験(本件センター試験)を受験したのであるが、別紙世界史Bの第1問の問5に誤った設問が出されたために、動揺し、他の設問についても冷静に回答できない事態に直面した。5 それは、日本統治下の朝鮮について述べた文として正しいものを、四つの選択肢から選ばせるという形式の問題で、正解とされたのは、「第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた」(本件設問)というものである。これは、以下のとおり、選択肢中に正解がない設問である。1) ここで使われている「強制連行」という悪質な違法行為を意味する用語は、最近になってから日本を糾弾するための政治的な意味合いをもって造語された言葉であって、事実をあらわすものではない。2) 日本統治下の朝鮮においては、「国民徴用令」にもとづく徴用が昭和19年9月から実施されたので、設問は、対応する歴史事実としては、この徴用を想定していると推定される。しかし、当時は朝鮮半島の人々も日本国民だったのであり、徴用は国家による合法的行為であった。この設問は、日本政府が第二次大戦中、朝鮮人に対して違法行為を行ったという虚構の歴史を、大学受験という制度を利用して日本国民に押しつけようとするものである。3) 徴用を「強制連行」とは異なるものであると正しく理解している受験生にとって、この設問の選択肢に正解はない。このような問題は、特定の思想を受け入れるかどうかによって解答の正否が決まり、大学入学を認められるという思想チェックの問題であり、憲法の保障する思想良心の自由に違反している。4) 「朝鮮人強制連行」は歴史的事実でないばかりか、政府見解とも異なる。周知のように、北朝鮮は、日本人を多数拉致しており、拉致された日本人を返還せよとの日本政府の要求に対して、北朝鮮政府は日本が朝鮮統治時代に朝鮮人を強制連行したと主張している。これに対して、日本政府は、そのようなことは事実ではないと、国会でも国連でも主張している(甲第2号証)。5) 多数の世界史教科書に「朝鮮人強制連行」の記載がないだけでなく、受験生の間で、世界史Bについて定評のある全国歴史教育研究協議会編『改訂新版世界史B用語集』(山川出版発行、第一版平成12年発行、同版7刷平成15年3月)にも「強制連行」の用語は収録されていない。出題は公平でなければならないセンター試験にこのような設問は極めて不適切である。6) さらに、朝鮮半島において強制連行があったと信じている受験生にとっても、正解がない設問である。なぜなら、どの時期のできごとを強制連行とよぶか、その定義は人によってまちまちである。すなわち、この問題はどういう立場に立っても、正解のない、いびつな欠陥問題である。6 本件設問が極めて不適切であるとの指摘は各方面から寄せられている(甲3号証)7 なんとかしてよい点をとって大学に入学したいと考えている受験生にとって、本件設問を正解に選択させることによって、その受験生の思想及び良心の自由を踏みにじるものである。8 受験生が公正な内容のセンター試験を受ける権利は、憲法第13条および第26条に由来し、その結果、受験生は、債務者に対して適正な入試採点を取得する権利を有する。第2 保全の必要性1 債権者は、本件センター試験の結果をふまえて、2次試験に臨まなければならない。2次試験は前期日程が2月25日から、後記日程が3月12日から、公立大学の中期日程は3月8日から始まることになっている(甲第4号証)。2 債権者は、本件設問で受けた動揺について債務者に対し損害賠償を請求する本訴を予定しているが、その結果を待っていては債権者の不利益が解消されないまま、2次試験となってしまうので、本申立に及ぶ。============= 原告はどういう人(男女の別も不明)か知らないが、自覚もあり勇気もある立派な方なのだと思う。弁護団は受験生の保護を絶対の条件としているので、記者会見で男女の別を問われても答えなかったという。傍聴者からの話である。 Re: 大学入試センター試験疑惑 緊急報告 (三) 西尾幹二 /02/06(Fri) 18:57 No.56 自民党有志議員でつくる「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が人事を一新し、再出発したことは1月29日にすでに報じられた。2月13日に同会は藤岡信勝氏を喚んで、第一回目の審議を「大学入試センター試験の朝鮮人の『強制連行』問題」についてとり行うことに決したと聞く。 伝え聞く処では、早速関係する文部官僚が同会幹部の自民党議員のところへ事前弁解ないし釈明に赴いた由である。官僚側は事態を大きくしないで、何とか逃げ切ろうと必死の面持と読む。 「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」は、代表であった中川昭一経産相の大臣就任に伴い、次のように役員人事を新たに決めた。 代 表 古屋圭司 自民党副幹事長 座 長 中山成彬 党副幹事長 幹事長 衛藤晟一 衆院厚労委員長 事務局長 下村博文 党副幹事長 顧 問 中川昭一 経産相 顧 問 安倍晋三 党幹事長 以上役員人事は産経1月29日付に拠る。 Re: 大学入試センター試験疑惑 緊急報告(四) 西尾 幹二 H16/02/28(Sat)09:13No68 2月26日の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の席上、喚問された入試センターと文部科学省の代表は、今後出題者の氏名を公表していく方針を明らかにした。この件は27日付で産経だけでなく、読売、朝日、東京、共同通信にも報道された。 私の手許に議事録が届いた。役人側と議員側との応酬になっているが、逐語的な内容の公開はできない約束なので、双方の言い分をそれぞれブロックにまとめて、できるだけ議事録どおりに再録する。ただし発言者の固有名詞は明かさない。============入試センター:・ 従来、委員名は公表してこなかったが、可能な限りオープンにして透明性を高める時代でもあり、どのような仕方で公表すべきか検討中である。 ・問題作成には2年かけており、委員の任期も2年。1年毎にメンバーを半数ずつ交替するという仕組みでやっており、今年任期を終えた委員も翌年の問題作成にも関わっているので、いつの時期に公表するのがいいのか、慎重に考えている。 ・委員は国公私立大学の大学教授に依頼し、大学の協力で成り立っている関係上、公表する場合は関係者の理解が必要となる。 ・委員は問題作成に延べ50日位かかわる関係上、円滑に関わってもらうためには委員の苦労に報いることも必要であり、委員の評価という側面からの見極めも必要である。文科省:公表することを前提に公表の仕方を検討している。ただし、すでに退任した委員については、公表の同意を得ていないので、公表については検討が必要。入試センター:文科省と同じ考えだ。公表する方向で考えている。公表対象者については後者(全員一括式)で考えている。公表時期は試験作成の流れもあるので、検討したい。入試センター:(議員側から退任した委員名の公表をも求めたのに対し)公表する。その仕方を検討している。今後は公表が前提となる。文科省:公表する。(任期が終わった委員の即刻公開に対しては)例えば16年1月に任期が終わった委員も、17年1月の試験作成にも関わっているので、漏洩などの問題の恐れがある。============ さて、当然ここで問題になるのは試験問題作成のチェック機能がきちんと働いているか否かであり、「強制連行」問題の作成者は一人なのか複数なのか、そして誰がチェックしたのかという点である。============入試センター:・幾つかの委員会で行っているが、チェックする委員も問題を見ているので、その氏名は公表できない。 ・第一委員会の部会(20名)が作成し、第二委員会の部会(10名前後)が点検する。 ・教科書をベースにしながらチェックしている。文科省:問題のチェックを担当する第二委員会、第三委員会は経年的な問題のレベル変化がないかを点検するので、再任しているケースが多い。だから公表は問題がある。============ 以上のような入試センターと文科省の答弁を受けて、議員側から相次いで次のような意見が出された。主だった意見のみ拾う。順不同============議員A:公表は任期が終わった委員から一年毎に公表するべきだ。また、配布資料の教科書の中には「強制連行したりして従軍慰安婦とした」という記述があるが、そんな事実はなかったことが明らかとなっており、問題だ。文科省の検定がおかしい。 また入試センターは「強制連行」の設問をチェックできなかった件につき、今後チェックをどうするのか、方針を出すべきだ。議員B:出題者が確信犯であれば公表されても痛くも痒くもない。公表とともにチェックが大事だが、そのためのガイドラインを設定すべきだ。例えば「歴史的評価の定まっていないもの、政治的に問題があるものは、出題をさける」という規準を提案したい。議員A:作成委員は任期が終り次第公表すべきである。また、チェックの仕組みを説明した図式と、チェックの規準について文書で提出して欲しい。議員C:以前、教科書審議委員の元インド大使が問題となったことがあるが、文科省は同じ問題を繰り返している。議員D:文科省と入試センターの見解は堂々めぐりしてよく分からない。次回は問題の作成者と、「強制連行」を載せていない教科書会社の関係者を呼んで意見を聞くべきだ。議員B:「強制連行」設問が問題だとう感覚がない人が委員に選ばれていること自体が問題だ。また配布資料の教科書記述を見ると、とんでもない検定をしていることが分かる。議員E:文科省の検定は左翼学者の意見を尊重しているのであって、文科省は確信犯である。議員F:今後は入試センター問題だけではなく、教科書記述の体質など全体的な問題を考えていきたい。議員A:今回の問題に対する入試センター所長の見解、及び入試問題のチェックの仕組みと規準について各々文書で提出して欲しい。その上で議論を行うと共に、別途に教科書記述の問題について検討していきたい。また、これまでのセンター試験の「歴史」に関する設問を全てまとめて提出して欲しい。どういう流れになっているかを調べたい。資料説明者:第一の資料は昨年の検定をパスした高校の歴史教科書記述である。従来よりも内容が更に一段とひどくなっている事実を知っていただくために用意した。また前回の会合で、文科省は検定について「学説状況」を踏まえて行っていると説明し、辞典や概説書を示したが、その「学説状況」とは何なのかを調査したものが第二の資料である。全ての概説書は一人の在日朝鮮人の本を典拠としたもので、しかも、彼の主張は矛盾とウソに満ちている。そんなものが学説状況などとどうして言えるのか。議員F:次回から、教科書記述の中身について時間をかけて検討していきたい。議員B:今後、文部科学大臣を含む文科省幹部を呼んで、文科省の姿勢をとことん是正すべく議論していくべきだ。議員G:教科書問題の本質は「近隣諸国条項」にあり、政治家にも責任がある。文科省ばかりを叱っても解決しない。さらに言えば、河野談話、村山談話など一連の流れもあって、文科省の検定は骨抜きにされてきた。これは総理大臣も含めた大きな政治課題である。近隣諸国条項撤廃の運動をすべきである。議員A:その通りだ。しかし他方、文科省が近隣諸国条項を拡大解釈して自縄自縛しているという側面もある。「強制連行」がなかったことは韓国が一番よく知っている。その事実をかつて石原官房副長官が証言している。 ともかく、中学校の歴史教科書から強制連行説に立つ「従軍慰安婦」がなくなったのに、高校教科書に復活しているのは大きな問題だ。そうなった検定プロセスを明らかにすべきである。これに関する資料も出して欲しい。 (以下略) 大学入試センター試験疑惑 緊急報告(五) 西尾 幹二 H16/03/01(Mon)21:56No69 受験生への呼びかけ 次のような呼びかけをお伝え致します。============ 大学入試センター試験の世界史、日本史、現代社会において史実未確定の虚偽問題、時代錯誤の不適格問題、政治的底意を秘めた露骨な偏向問題が出された件について、すでに二人の受験生が、受けた苦痛に対し損害請求の訴訟を企てていると下記の弁護士事務所より報告を受けました。 〒102−0093 千代田区平河町2−16−5クレール平河町302 高池法律事務所 弁護士 高池 勝彦氏 TEL 03−3263−6041 FAX 03−3263−6042 一人でも多くの受験生が原告団に加わることが望ましく、お志のある方は高池法律事務所に直接ご連絡いただければ幸いだとのことです。原告になっても、弁護団がすべての責任を負いますので、受験生個人に迷惑を及ぼすことはありません。しかし公開の場に出ることも構わないという方は、本訴提出の当日行われる記者会見に同席していただくことも可能です。以上、高池法律事務所からの伝言をお取り次ぎいたします。============ 以上は単なる伝言で、志願者は当掲示板を経由せず、高池法律事務所に直接申し出て下さい。高池先生から直かに説明していただけるものと思います。 しかし、なかには問題の核心が何であるかが十分に理解できないで、気持ちはあっても、納得のいく情報が不足しているとお思いの方もおられるかもしれません。そういう方は「つくる会」HP http://www.tsukurukai.com/ をクリックして、青色の「大学入試センター試験問題」を検索して下さい。どうか心ゆくまで研究し、検討して下さい。自らがとことん得心のいくこと、それが行動への第一歩です。 また年輩者でこの掲示板を見た方で、身近に若い当該関係者(問題意識をもつ受験生)を知っている方は、どうか彼の注意を喚起して下さい。行動を起こすか否かは二の次で、若い人にはまづ気がついてもらいたい。考えてもらいたい。通念を疑ってもらいたい。今回の件がその切掛けになればありがたいと思います。そのように若い人にお伝え下さい。 Re: 大学入試センター試験疑惑 緊急報告 (六) 西尾 幹二 H16/05/16(Sun)15:23 No.93 去る4月29日、当日録の「お知らせ」で、訴訟用意のある世界史の受験生がいなくなって困った、どうか探してほしいと訴えたことはご記憶のかたもあろうかと思う。 あれからほどなく、高池法律事務所に連絡が入り、一流大学に合格した世界史の受験生から訴訟に同意する旨の回答があった。このこと、高池氏が大変によろこんで私に報告された。 時間的つながりからいって、当日録が役に立った一例ではないかと考えている。詳しい事情はいづれ分るだろう。 一人でも多い告訴賛成者がほしいので、ひきつづき受験生の発掘をおねがいする。高池法律事務所の電話は、 TEL 03−3263−6041です。 尚 6月14日、次の関連の催しものが行われる。ここに告知する。 =========== 国会議員・地方議員合同シンポジウム ≫≫≫正しい歴史教育を子供たちに!≪≪≪ 歴史教科書はこれで良いのか!!平成9年、歴史教科書の現状を憂え立ち上がった「若手議員の会」。この行動の輪が今、自民党青年局、女性局の組織も相協力し、全国の地方議員へと広がろうとしている。新たな教科書改善運動への出発を!! 日 時 : 6月14日(月)15時〜17時30分 会 場 : 憲政記念会館大ホール(TEL03-3581-1651) 東京・永田町 基調講演: 渡部昇一 上智大学名誉教授 「教科書問題とは何か—歴史・制度・現状」 来賓挨拶: 安倍晋三 自由民主党幹事長 活動報告: 古屋圭司 日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会会長 自由民主党副幹事長 「若手議員の会はいかに行動してきたか」 パネルディスカッション:「教科書改善への展望と課題—検定と採択」 パネラー: 若手議員の会から数名、地方議員、横山洋吉(東京都教育長) 石川水穂(産経新聞論説委員)、 藤岡信勝(新しい歴史教科書をつくる会副会長) コーディネーター:下村博文(若手議員の会事務局長、自由民主党副幹事長) 主 催 : 日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会 協 力 : 自由民主党青年局・女性局 後 援 : 教科書改善協議会 交 通 : 地下鉄丸ノ内線・千代田線⇒国会議事堂前駅下車 2番出口より徒歩7分 有楽町線・半蔵門線・南北線⇒永田町駅下車 2番出口より徒歩5分