Subject:平成14年12月25日         

From:西尾幹二(B)

Date:2002/12/25 14:45

 

 韓国の大統領選挙の結果にはびっくりし、日本の外交の未来にとっては厄介な荷重

で憂鬱だが、北の核施設封印撤去など、その後につづく対米瀬戸際外交は韓国民が盧武鉉を

選んだことの直接的反応であり、当然予想され得る範囲内で、もはや驚きはない。

 

 韓国は大陸国家を望むのか、海洋国家を望むのかの二者択一だと前に私は書いたが

(『正論』12月号)、結局中露になびく大陸国家の道を選んだ。南北鉄道連結やシベリア

天然ガス開発などに未来があるとの論調だが、韓国の繁栄は大陸から北朝鮮にさえぎられた

地理的隔離、一種の島国化、海洋国家化に由来していたのではなかったか。長い目でみて韓

国は繁栄の条件を失うことになろう。

 

 アメリカは盧を信用せず、次第に韓国の立場に配慮しなくなるだろう。韓国でも

分っている人は憂慮している。申志鎬氏(韓国開発研究院)が「盧氏自身が在韓米軍撤収論を

唱えるようなら、米国の方でも現実に撤収を検討する事態が起こりうる。米国としてはむし

ろ、在韓米軍がいない方が北朝鮮からの反撃を恐れずに、北朝鮮の核施設への空爆に踏み切

ることができる。」(『読売』12月20日、ソウル発談話)

 

 ソウルは「火の海」になるかもしれない。韓国国民がそういう道を選択したのであ

る。北朝鮮のあの状況が分っていて、世界中が「イラクより危険」と言っている最中に、一

時の反米感情から盧武鉉を大統領にえらんだあの国民はやっぱり理解を絶している。前にも

言ったが、今の大抵の日本人の目には南北両朝鮮はまったく同じ体質であると見えるのでは

ないだろうか。

 

 当然の話だが、韓国が北に寄っていけば、日米対韓国という図式になり、韓国の反

日感情も噴出し、自由貿易協定にまでひびいてくるだろう。申志鎬氏もそう言って心配して

いる。しかしもしもそうなったらなったで、日本人はむしろ肝を据えて、韓国を冷ややかに

突き離して見ていかなければならない。さもないと日本が危うい。

 

 一月にも想定されるイラク攻撃を前に、北朝鮮は米国の「二正面作戦」を不可能と

見て、賭けに出ていると各紙はしきりに伝えているが、果たしてそうだろうか。ラムズフェ

ルト米国防長官は23日、米国はイラクと北朝鮮の二カ国に対する軍事行動に同時に対応で

きると述べた。「海外での二つの大きな戦争を遂行することは可能だ。一方を決定的に打ち

破り、その後すぐに他をも破ることができる。」(『産経』12月24日)

 

 北朝鮮は金正日体制の保証をアメリカに求め、「不可侵条約」締結などと生意気な

ことを言っているのも、要するに身の保全、今の独裁体制を維持したいというただそれだけ

の動機だといわれているが、果たしてそうだろうか。少なくとも核開発は体制維持の手段に

すぎないのだろうか。「実は北朝鮮は、米国との話し合いより核保有を優先しているのでは

ないか」(防衛研究所・武貞秀士主任研究官『産経』12月24日)。この同じ問題指摘は、

森本敏氏によって「朝まで生TV」(『日録』11月10日)の発言の中でなされていた。

 

 体制維持か核保有か——どちらが北の最終目的か。私の考えでは、多分後者であろ

うと思う。後者によってのみ前者を可能にできると金正日は思いこんでいる。両手に花であ

る。前者のために後者を捨てるという考えではない。というより、すでに核爆弾は最低5発

保有し、日本全土はそのネットの中に入っていて、やがてアメリカ本土に届く弾道ミサイルの

成功ももう間もない、といわれる。(西岡力「北朝鮮の核恫喝と日米同盟崩壊」)

 

 ブッシュ政権がこれを黙過するとは思えない。アメリカ本土が「悪の枢軸」の核ミ

サイルの射程内に入るのを、韓国と日本への被害を恐れる余り、指をくわえて見ているだろ

うか。2003年、日本もまた然るべき試練の局面を迎えそうである。

.

 

 

Subject:平成14年12月29日      

From:西尾幹二(B)

Date:2002/12/29 16:30

 

 12月31日(大晦日)の明けて元旦午前1:30〜6:40の、テレビ朝日系

「朝まで」生テレビに出演することになりました。いつもより時間が長いようで

す。

構成案、パネリストをご紹介します。

 

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        構成案

 

《イントロ》 2003年、日本の最大のテーマはこれだ!

●2003年、日本の最大のテーマ(パネリスト各自ボードに記入)

 

《討論①》 アメリカの世界戦略

●「イラク攻撃」と「テロとの戦い」

●イージス艦派遣の是非

●アメリカの世界戦略の変化をどうみるか?

●アメリカから自立は可能なのか?すべきなのか?

                          など

 

《討論②》 北朝鮮問題をどうするのか?

●家族か?国交正常化か?拉致問題をどう解決する?

●核問題と日、米、韓の対応について       

                          など

 

《討論③》 2003年、経済政策をどうするか?

●迷走する?経済政策、2003年はどうするべきか?どうなるのか?

●反「竹中・木村」の流れは、経済ナショナリズムか?

                          など

 

《討論④》 「戦後民主主義」論

●損得政治の反省

●「へりくだり外交」は、戦後民主主義が原因?

●日本は、どんな「国家」になるべきか?

                          など

 

        パネリスト表

 

司 会:田原 総一朗

進 行:渡辺宣嗣、丸山珠代

 

パネリスト

 山本 一太(自民党・参議院議員)

 穀田 憲二(日本共産党・衆議院議員)

 

 天野 礼子(アウトドアライター、「市民版憲法調査会」メンバー)

 片岡 都美(ホテル経営者)

 金子 勝 (慶応大学教授)

 姜 尚 中(東京大学教授)

 西尾 幹二(電気通信大学名誉教授)

 野坂 昭如(作家)

 宮崎 哲弥(評論家)

 森本 敏 (拓殖大学教授)

 八木 秀次(高崎経済大学助教授)

 山田 厚史(朝日新聞アジア総局)

 吉田 康彦(「北朝鮮人道支援の会」代表)

.

 

 

=朝生話題=

 

Subject:平成15年 元旦   From:西尾幹二(Date:2003/01/01 23:58

 

 

 テレビ朝日の新春番組「朝まで生テレビ!恒例激論元旦スペシャル・戦後民主主義

とナショナリズムの台頭」というのに出て、8時半ごろ帰宅した。午後2時ごろ目覚めて、

ざっと年賀状だけ拝見して、今これを書き出している。

 

 番組には私と八木秀次さんだけが「拉致被害者を救う会」に協賛の意を表して、ブ

ルーリボンをつけて出た。始まる前に野坂昭如氏が「これをつけたまま出るのか」とやや意

外、というか不満、批判めいた面持ちで私の胸を指さした。番組の中で司会の田原総一朗氏

がやはりブルーリボンをみて「あなたたちのやっているのは運動だ」「最近はあなたたちが

共産党みたいにみえる」などと言った。

 

 私たちは「救う会」でも「拉致議連」でもないが、そういう方面に彼らが相当に偏

見を抱いているのが分った。彼らの中の誰かが、「被害者のご家族は勿論お気の毒だが、彼ら

5人を北朝鮮に約束どおり一度戻すという方法はあった。」「誰かがうしろで抑えて、5人の

自由意志をしばっている。」などと言った。少なくとも二人以上がそういうことを言った。私

は「そんなことをしたら彼らは日本にもう戻れなくなる。最初のうち5人がおどおどしてい

て、北へ戻されても安全な発言に気を配っていた。日本政府が永住を決めてからすっかり安心し

て本心を語りだしたではないか」などと抗弁したつもりだが、司会がさっと話題を変えた記憶

がある。 いつもこの番組に出演するたびに感じる後味の悪さは今度も例外ではなかった。八

木秀次氏のほかには私のほんとうの同盟者はいない。とても話がしにくい。野坂昭如氏と宮

崎哲也氏とはまあまあ常識のある方といっていい。森本敏氏は私や八木氏と同じ立場にいる

ようでいて、微妙に違う。安全保障の専門家だが、客観的に語るだけで、責任をとるものの

言い方はしない。

 

 片岡都美(さとみ)さんという方にははじめて会った。ペルーのフジモリ元大統領が

恋をして、求婚したという方らしい。番組でその紹介はもちろんなく、靖国護持など民族運

動をしている方だと報告された。しかし番組に馴れてなく、余り発言されない。

 

 司会が「西尾さんは左翼ということばを使ったが、今は左翼なんかいない」と言っ

たら、八木さんが私の隣席で、「目の前にいる人たちはみんな左翼じゃないか」と野次っ

た。目の前にいる人たちとは、穀田恵二(日本共産党・衆議院議員)、吉田康彦(元IAEA広報

部長・北朝鮮人道支援の会・代表)、姜尚中(東大教授)、天野礼子(アウトドアライター)、金

子勝(慶大教授)、山田厚史(朝日新聞アジア総局)、宮崎学(作家)の面々である。

 

 これらの人々とは殆どことばが通じないと思った。完全に反米であり、左翼であ

り、拉致解決よりも国交正常化を先行させるべきだという前提をまったく動かさない。韓国

大統領選の結果を歓迎し、よかったと言っている。金大中の太陽政策はすばらしいと言

う。次の盧武鉉大統領と小泉純一郎首相とは気が合う可能性が大きい。日韓が協力してアメ

リカを説得し、北朝鮮とアメリカとの間の仲立ちをすべきだという。

 

 私は今こそ日米同盟の絆の重要性、日本の安全保障のきわどさを意識すべきとき、

と何回かチャンスをつかんで語ったが、途中で司会から話を切られて、テレビの前の聴視

者にどれくらい伝わったか分らない。私が何か言うと、「対米従属」と前の席の誰かがさ

わぐ。私が怒って「お前達こそ対中韓従属」と言ったこともある。

 

 田原氏が人の話の腰を折る司会者であることは何度も経験しているが、今回は彼自

身が今まで考えていないことをいわれると感情的拒否反応を示す場面に出会った。私が北

朝鮮は日米同盟の分断をめざしていること、中国・ロシア・韓国・北朝鮮と日本・アメリ

カが対立している構図になっているのに、日本を前者にくり入れ、5ヶ国でアメリカと対

決させようという狙いが金正日にはある。この5対1の構図に乗って、日本がほんの少し

でも大陸に傾けば、日米同盟は意味を失い、崩壊すると私が言ったら、田原氏が手でさえ

ぎり、前の席の左のメンバーも一勢にブーイングで拒否反応を示した。

 

 私はまたこうも言った。北朝鮮が拉致を認めたのは経済協力への期待からでは必ず

しもない。核武装して体制維持を図るための時間かせぎだ。北はアメリカ本土に届く核ミ

サイルをつくるために、イラク攻撃の直前というタイミングを見計らい、小泉訪朝を利用

して核開発に走った、という意味のことを言ったら、田原氏は「西尾さんの言っているの

は何のことか分らない」と話を強引に断ち切ろうとした。私は「アメリカと北朝鮮がチキ

ンレースをしてあわやぶつかる寸前だとはあなた自身が言ったことではないか」とまぜっ返

したが、どこまで通じたか。

 

 アメリカのイラク攻撃については、ほぼ全員が反対だった。私はこういう場面では

あえて賛成の意思表示をした。ほんとうは微妙な表現で語るべきテーマだが、テレビ討論

で微妙な表現は通らない。YESかNOかと問われて即答しなくてはならない。

 

 しかしイラク攻撃自体に私は賛成も反対もない。問題はアメリカの対イラク戦の結

果いかんが、北朝鮮問題の帰趨と密接に関係していることである。私はくりかえし何度も

この点を強調し、ヨーロッパはイラク攻撃に消極的(もしくは否定的)だが、ヨーロッパ

にもはや核脅威はなく、日本だけが中国と北朝鮮からの直接的核脅威の影響下にある、と

これも何度も語ったが、テレビ出演の面々はイラク問題を日本の安全保障から切り離して

語りたがる。八木さんは勿論私に同調し、日本にはアメリカに協力する以外のいかなる選

択肢もないと語っていた。

 

 私は日本政府が政治的・外交的なアメリカ支持の声を上げるべきだ、と言ったとこ

ろ、左隣の山本一太参議院議員(自民党)が大いに賛成し、なにかしきりにしゃべってい

た。日本は軍事的に何も出来ないのである。やれるのは支持の声、ステートメントにすぎな

い。けれども、それでいいのである。北朝鮮という大きな問題を日本はかかえていること

を忘れてはならない。

 

 日本のアメリカからの解放(自立)は、アメリカへの協力と同調、アメリカの助力と

援助の中からしか出てこないという、きわめて微妙な逆説がある。テレビではなかなか伝

えられない。軍事技術ひとつとってもアメリカ抜きでは考えられない。

 

 私はこうも言った。「日本人は国家を考えると矛盾にぶつかる。国家の源泉はパ

ワーである。パワーはアメリカにある。国家を尊重する人ほどパワーを意識する。そうする

と国家を尊重する人は、国家を考えられなくなる。これが敗戦国日本の悲劇だ。いくら問う

ても、必ずそこへ行き着く」

 

 「昭和20年8月15日まで日本は自己責任をもつ国家だったのです。自分で考

え、自分で判断し、自分で戦争し、そして自分で敗れた国でした。このように自分自身をも

つということ、こういう国にもう一度立ち還らなくてはなりません。」

 

 さいごの台詞は、青年の一人の質問に答えての、朝6:00をすぎてからの私の回

答だった。前席の例の勢力は、私のことばにまた「イェ—」というような不満と嘲りのこと

ばを浴びせた。

 

 朝生TVは要するに愉快な体験ではない。ただ田原総一朗氏が番組が始まってすぐ

の最初に言ったことばは印象的だった。「2002年はあらゆる問題、安全保障も経済

も、瀬戸際に立たされた一年であった。2003年はどうやらすべてが<決着>する一年に

なりそうだ。」まさにそうかもしれない。

 

 だから私は、番組の冒頭で出した、今年一年で最も問題になることというテーマを

掲げるボードに「マスコミの嘘があばかれる年」と書いた。自分の書いたテーマについ

て、全員が順次説明することになった。そのとき私はこう説明した。

 

 W杯で日本が敗退してから日本のマスコミは韓国を応援せよと一斉にいいだした。

韓国チームの不正や違反が目立っても日本のマスコミはそれを取り上げない。外国で韓国

のアンフェアが問題になっても伝えない。ただ、日韓共催だから韓国応援でいけという。イ

ンターネットがものすごく反発し、かえって嫌韓感情を高めた。

 

 

 マスコミが嘘でぬりかためた<大本営発表>をする。インターネットがそれをあば

くという時代が来た。

 

 

 11月11日田原さんの主催するサンデープロジェクトで石原都知事が、拉致家族

の子供たちが危害を加えられたら日本は北朝鮮と戦争してもいい、と発言した。TBSラ

ジオがアンケートでこの発言は行き過ぎだと思いますか?と問うたら、思う(11%)、思

わない(84%)という最終結果がネット上に出た(11月12日20:00の最終結果)。

しかし翌朝ラジオで結果が出たことだけを言って、84%を言わなかった。それどころか数

字を改竄して、行き過ぎだと思う(58%)、思わない(36%)と、ラジオはインターネッ

トと逆の発表をした。

 

 日本のマスコミには進歩的左翼平和主義イデオロギーの薄いベールがかけられてい

て、真実が表に出ないように仕組まれている。マスコミによる<大本営発表>は今年はも

う通じまい。現実がどんどん動いて、嘘をついてごまかしていられなくなる。そういう年

になると思う、と私は語った。

 

 

(初稿1月1日午後、語句等修正1月2日午前)

 

 

Subject:平成15年1月2日(一)   From:西尾幹二(Date:2003/01/02 23:52

 

 

 元旦早朝の「朝まで生テレビ」を元旦の夜、もう一度ビデオで見た。私は自分の発

言を聞いていて言い足りなさにも勿論不満をもったが、全体として発言回数も穏当で、ポイ

ントごとにきちんと言うべきことを言っているので、ひとまず合格と自己採点した。

 

 しかし韓国大統領選挙のもたらす深刻な事態の予想は、もっと正確に言うべきで

あった。左っぽいあの討論参加者たちは例外なく、韓国国民の平和への愛、戦争を避けようと

する気持ち、アメリカの攻撃から北朝鮮を守りたい心理が盧武鉉の選択であり、韓国人の

賢明さの現れであったと口々に言い立てていたが、森本敏氏が言う通り、米韓関係はこの

ままいけば悪化する。米軍の撤収もあり得る。そうなればアメリカは北への空爆もし易く

なる。何十本と掘られている北から南への地下道を通って北の機動部隊が侵入してくるのを

阻止するには、部分的には南をも空爆しなければならないであろう。米軍は遠慮会釈なく

やれるようになる。盧武鉉政権の成立は、韓国国民の期待の逆になるだろう。私はそう言

おうと思って、機会を逸した。

 

 それに、序でにこうも言っておくべきだった。朝鮮半島の人々は昔から自己管理能

力に欠けている。だからかつて日本に管理される必要が生じたのだ。今度の選挙も、彼ら

が自分の無力を知らない証拠で、ナショナリズムで強がりを言っているのは結局、自己管

理能力をもっていないことの再証明である、と。

 

 「朝まで生テレビ」でこれくらいのことをずばっと言っておいた方がよかった。

アフガン戦争の前のパキスタン大統領ムシャラフ氏のす早い決定を思い起こしてみる

がいい。韓国だって、日本だって、軍事的にはパキスタンと似たような弱体国である。自

分の弱さを正確に知ることから真の強さが始まる。

 

 日本の核武装の是非を何度も八木秀次さんが問われ、彼が答えあぐねて困っていた

が、むしろ私がきちんと答えるべきだった。これも私の反省点である。私はアメリカに

とってイラクが北朝鮮よりも優先順位が高く、アメリカがイラクを片付けた後に本気で北朝

鮮に対応する気があるのかどうか、最終的なことがどうもよく分からない、と不安を語っ

た。不安はたしか二度ほど言っている。じつは日本の国会が核武装論議を開始すべきはそ

のときではないか、と私は今のうちに予告したいのである。

 

 アメリカが日本を核から守らない。核の傘は無効になる。ならば日米安保も意味が

ない。そのとき初めて日本の超高度技術による核開発、アメリカ大陸に届く、命中度も高い

弾道ミサイル開発について遠慮なく論議されるべきである。北朝鮮の核を意識しての話だ

けではない。アメリカに対する牽制である。アメリカを本気にさせるためである。日本は

このときには自分の弱さを否定して、本気で自分の強さに賭けなくてはならない。アメリ

カに届くミサイルの生産に日本が本気にならなければ、アメリカを本気にさせることもで

きない。見掛けのおどしを演技するていの話では、決してなにごとも成功しない。

 

 じつを言うと、北朝鮮問題で日本は戦後ついぞ例のない危機に直面すると思うもの

の、私はこれはこの国民を鍛える絶好のチャンスと考えている。何から何までアメリカに

任せ、今度もアメリカに守られそれで終わり、めでたしめでたし、になってしまったら、日

本という国が起ち上がるチャンスを再び失う。

 

 しかしこういうことは微妙な言い回しを要するので、「朝まで生テレビ」のあの場

面ではどうしても発言するに至らない。国際問題の真剣勝負の問われる極限的なシーンを

想像するきわどい分析は、深夜テレビ討論の場では不可能である。討論の内容がそこまで

のレベルに達していないし、原理的に達しようがないのではないか。

.

 

Subject:平成15年1月2日(二)   From:西尾幹二(Date:2003/01/03 12:11

 

 

 今朝「日録」の管理人Bさんからメールが入った。「おつかれ様でした。人数の不

公平がありながら、西尾側が圧倒的でしたネ。山本一太という自民党の人はなかなかよ

かったですよ。姜尚中は、あがいていましたネ。」他にももう一人、姜尚中氏は今回さえな

かったと言っていた人がいるが、そうだったかなぁー、と思う。私には分からない。

 

 ほかにも何人かのかたのテレビ観察記(i勝手支部掲示板より)、ありがたい声援の

おことばを引用しておこう。

 

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題:「朝生」見ました /名:アロハ・オエ /2003年01月02日 10時53分

 

「朝生」ビデオに撮って見ました。「国を潰してなるものか」という迫力を感じまし

た。

私たちの「国」、「山河」を守るため奮闘いただき、ただただ申し訳なく思うばかり

です。北朝鮮に対する経済制裁に対して、「東京に核を打ち込むぞという恫喝を受けた

とき、日本はそれに耐えられるのか。日米安保の試練の時がくるのではないか。」とい

う必死の「言葉」に対しても、責任不在の空しい「言葉」が飛び交っていただけ、ただ

それだけの数時間という印象です。

 片岡都美(ホテル経営)という方、どういう方か全く知りませんし、何故出席してい

るのかも最後まで分からなかったのですが、しきりに「腹のすわった人でなければだ

め」と繰り返していたのが印象的でした。そのとき、ふと西郷隆盛の名を思いうかべまし

た。あんな「必死の人」は望むべくもないのですが、せめて「自分で考え、自分で判断

し、自分で戦争し、自分で敗れ」そして「自分で責任をもつ」、そうゆうものに私はなり

たい、と思うのです。

 

 

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 仰有るとおり「空しい言葉が飛び交っていた、ただそれだけの数時間」であった

が、それでも私が出演するのは、私や八木さんや何人かのわれわれ側の言葉が電波に乗っ

て、『正論』も『諸君』も読んだことのない人たちの耳に入る——それでオヤと思い、考

えさせる、それは必要で大切なことではないかと思うからである。

 

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題:明けまして おめでとうございます /名:蘭 /2003年01月01日 13時29分

 

「朝生」 すいません。最後の二時間はダウンしてしまったのですが、簡単な感想

記します。ビデオには録画したので、後で見ます。

西尾先生、お疲れ様でした。

西尾先生は、まだまだ語り足りなさそうでしたが、かなり発言は通っていました。

今回、準備万端のようで、全ての発言をつなぎ合わせると、一大論文になるかの

ようでした。故に、みなさんが、先生の発言の後に、沈黙がするのが面白かった。

田原氏が、「西尾さんの、今までの現実を見据えた論旨は買うが、最近の発言は

観念的だ」とか言っていましたが、・・・そんな事は、ない。他のパネリストに

政治的想像力が無いだけの事・・・。

米中対決を語った時、反論が多かったですが、それは、後(十五年後?)になって

分かる事です。

<今現在>に、<西尾幹二先生>が、後にくるだろう<二大帝国主義の激突>を、

<テレビ>と言う巨大メディアで<言及>している<事実>は重要かな、と。

カン尚中氏が、「金正日は、中国よりはロシア寄り」うんぬんかんぬんと、その

訳を語っていましたが、「そんな瑣末な理由を根拠に反論してくるのかあ!?」

と、私は、笑ってしまった。

 

・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・・

 

後、番組全体が、アメリカを、あまりにも「唯一無二の巨大帝国」と見すぎてい

るように感じました。にもかかわらず、アメリカを北朝鮮と同列に見ていたり(

チキンレース?)もして、都合の良いダブルスタンダードの横行がありました。

アメリカにとっては、北朝鮮は「鼻くそ」みたいなものに感じます。とは言え、

アメリカの立場に立つと、アメリカ自体も、アメリカの身内とも言える内外に、

「鼻くそ」よりも多少高尚かもしれない「目くそ」みたいなものを抱えていて、

「唯一無二」には成り得ない。

その、「目くそ」を許している一点を持ってしても、今現在、アメリカを容認出

来る理由になると考えます。

また、西尾先生の論敵側が、この後に及んで、北朝鮮を「普通の国家」と見なし

ているのが、やるせなかった。はがゆかった。切なかった。

・・・では、つたない文章すいませんでした。

本年の、西尾先生はじめ、皆さんの、より一層の発展を祈ります。

 

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 たしかに仰せのとおり、宮崎学氏(作家)や山田厚史氏(朝日新聞アジア総局)が、拉

致被害者5人の日朝自由往来の道をつくれ、などと言っていましたね。いまだにテロ国

家謀略国家を「普通の国家」と思っている証拠である。

 

 アメリカからみて北朝鮮もイラクもマイナーな問題にすぎない。いかに犠牲も負担

も少なく片つけるかの問題にすぎない。北朝鮮が「相互不可侵条約」なんていっぱしの

国家の口をきくのは滑稽である。アメリカが相手にするばずがない。私の記憶が間違っ

ていなければ、たしか山形県の県予算の規模の国である。八木さんの解説によれば、国

家予算の四分の三は日本からの流入金だという。日本による経済制裁は戦争以上に有効

的だといえる。

 

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題:西尾先生、お疲れ様でした /名:芋太郎 /2003年01月02日 11時00分

 

 1月1日の『朝まで生テレビ』を、前の方だけ少し見ました。

 「朝生TVは要するに愉快な体験ではない」と日録に書いておられましたが、お

疲れ様でした。わけのわからないような左側の人たちが、数ばかり多くて、本当に

たいへんだと思います。

 

 こういう場ではあっても、左と右の人が討論するという番組は、他にはありませ

ん。その点については、私は朝日テレビを評価しています。偏っていても、面白い。

 

 できれば、フジテレビあたりも、もう少し軌道修正して、討論番組を放送してい

ただきたいものです。田原以外のまともな司会者で、田原氏はパネリストとして呼

び、少数精鋭で徹底した討論になれば面白くなります。

 

 

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 私もフジテレビに期待したことがあった。私が「朝まで生テレビ」に最初に出たの

が1989年12月の、外国人労働者問題で、90年代の前半には年に2.3回は顔を

出していた。94年に病気をして、夜中に激論を交すのは健康に良くないと医者に止め

られて、久しく出ていなかった。教科書問題で、立場上仕方なく再出演し、それからま

た2−3回出るようになった。

 

 テレビが「朝まで生テレビ」より実のある、充実した討論番組を作ればいいとかね

てから私も思いフジテレビに期待したが、実現の見込みはなさそうだ。やはり朝日新聞

系はこの面では強い。経営的に新聞がテレビをリードしている処と、テレビが新聞を

リードしている処とでは、どうしても違った結果になるのではないか。

 

 1989年〜95年ごろ私はNHKにもしばしば出ていて、かなり大胆なオピニオ

ンを述べることが可能だった。今はまったく誘いがない。ディレクターの世代交替か、

局全体の官僚化か、分らないが、NHKの放送内容が「大本営発表」になって久しいの

も事実で、私は半ば諦めている。けれどもひょっとして、今年の「大乱」で硬直化した

システムはこわれるかもしれない。

.

 

Subject:平成15年1月8日   From:西尾幹二(Date:2003/01/08 21:15

 

 

 元旦のテレビ討論(1月2日付け日録(一)(二)参照)を話題にした日本の諸問題につ

いて、もう少しだけ書いておく。スイスのバーゼルで外資系企業に勤務している私の昔の教

え子が正月休みで帰国して、番組を見て書いてきた。

 

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 「少なからず驚きましたのは、論客の質の低下でした。おしなべて議論のもてあそ

び、真剣味が感じられない無責任な発言が多く、昔の番組はもう少しましだったのではな

いでしょうか。中には言葉遣いを知らない物言いをする、これで本当に言論人かと目を

見張る者までいる中、使命として参加されたとはいえ、先生の胸中いかばかりかとお察

しいたしました。 (中略) 論客たちの態度でよく見受けられたのはデータの論拠が乏

しく、現実に立脚していないがゆえに甘い期待、空想、危機感の欠如、他人事、遠いと

ころから石を投げているだけに終始している点でした。 (中略) 先生が論争する相手

はあの中にはおらず、先生のご発言、問い掛けは、論争相手を通り越え、その先のブラ

ウン管の向こうにいるオーディエンスに向いているのだろうと解釈しておりました。

 

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 最後の「解釈」はまさにその通りである。私は今回は左の論客たちの言葉にいちい

ち反応しないことに決めていた。何を彼らが言っても気にしないで、自分の言うべきテー

マ、自分の考え方だけを、わずかなチャンスを掴んで明瞭に言っておく。そうすることでテレ

ビの視聴者に訴えるという方針に終始した。それでよいのではないだろうか。理性的な討論

のできる「場」ではないのである。

 

 しかし、それにしても、アメリカの対イラク戦争には「正当性がない」とほとんど

すべての人が声を大にして語っていたのはとても印象的だった。正月の新聞は『産経』だけ

でなく『読売』も今度の戦争の正当性をきちんと認めている(例えば1月3日社説)。それで

も、テレビ討論では、保守派陣営の中心の森本氏でさえも「なぜほかでもない、イラクが標的

なのかが分らない」と言い、八木氏も「父親の失敗に対するブッシュのリベンジだ」と個人

事情に還元している。

 

 現代日本では戦争の正当性を認め、賛意を表するのはよほど困難なことなのであろ

う。湾岸戦争にも、アフガン空爆にも正当性を認めるという人が多かったのに、近づく対イ

ラク戦争だけはそういう姿勢がない。ブッシュの個人的復讐心理とか、石油支配の欲望と

か、戦争による景気回復策とか、そういう風に言い立てる人が圧倒的に多い。

 

 ことに国連は今やアメリカに支配されて機能不全に陥っているという。安保理の15

票はことごとくイラク戦に賛成だった。これはアメリカによる安保理支配の完成である、

いうようなことを言う。しかし中国、ロシア、フランスなどの常任理事国が全部アメリカ

の傀儡だなんてことはあり得るだろうか。しかも安保理のアメリカ支配を非難する人々

が、これまでにも、そして今もなお、国連尊重主義者なのである。国連が認めたことならP

KOを出してもよい。国連軍に協力するかたちの参戦は認められてよい(例えば自由党小

沢一郎氏の憲法解釈)。それでいて、ほとんど吹き出したくなるのだが、国連尊重主義のこ

の甘い国際主義者たちは、今度国連合意でアメリカのイラク攻撃が行われようとしている一

件に関してだけは、絶対に認められない、と口々に言いつのる。論理矛盾である。

 

 しかし私にいわせれば、国連はフィクションにすぎない。仮面である。実体ではな

い。国連に力はない。国連が機能しているのは、今はアメリカによって支えられているか

らである。アメリカと国連の利害が将来においてぶつかることがあり得る。例えば、中国

が安保理拒否権をもつ以上、東アジアでは国連がアメリカを無視し、日本の安全を脅かす

可能性がないわけではない。

 

 現に北朝鮮問題で、中国、ロシアはアメリカの行動を押さえようとしている。韓国

がそれに同調している。予想した通りの展開になっている。同問題が国連安保理に提出さ

れることが解決の近道とは限らない。安保理はいつまでも問題をたらい回しにするかもし

れない。アメリカが本気になって、中国とロシアの力を押さえてくれない限り、問題はお

そらく決して解決しない。国連が問題を解決するのではない。

 

 というようなところにまで私の政治的想像力はふくらんでいくのだが、元旦のテレ

ビ討論はそこまで話題にできるレベルではとうていない。討論者達の前提は、アメリカは

国連に忠誠を尽くさなくてはいけない、国連の自由意志を奪ってアメリカ専制になっては

いけない、とみんな思い込んで、そのラインから一歩も出られない。

.

 

 

 

Subject:平成15年1月9日   From:西尾幹二(Date:2003/01/09 19:47

 

 

 正月以後たくさんの方から、テレビ討論への感想をインターネットの掲示板に書き

込んでいただいた。

 

 

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 題:朝まで生テレビを見て /名:吉之助 /2003年01月05日 04時19分

 

  初めて書き込みいたします。1日の「朝まで生テレビ」を見た感想を、ひと

こと述べさせていただきます。

 

この番組に出演されていた姜尚中という人は「東北アジア共同の家」構想をもっ

た、中国寄りの左翼思想家です。姜氏ほど極端でないにせよ、(創価学会を含めて)

一般に左翼に分類される人には中国びいきが多いのは事実です。これはここに集

まっておられる方々には、常識とでもいえる事実だと思いますが。

 

そこで私は思ったのですが、西尾さんがいくら口を酸っぱくして「中国・ロシア

は、アメリカがイラク攻撃に失敗して力を失うのを、虎視眈々と期待している」

(正確にそう言っていたか自信がありませんが、たしかそういう意味のことを語っ

ていましたね)と言っても、中国に期待するところの多い人たちには、なんの説得

力もないと思うのです。

 

日本がこれからアメリカとの関係を弱めて、大陸との結びつきを深めれば、どの

ような事態が起きうるのか。どのようなデメリットがあるのかということを、もっ

と「具体的に」「豊富な例をもって」語っていただけなければ、何も知らず想像

力にも欠ける若い人たち(実は私自身も含めて)には説得力はないと思いました。

(後略)

 

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 たしかにそうかもしれないが、やっと発言のチャンスをつかんで大急ぎで議論しな

ければならないあの「場」で、説得力のある具体的で、豊富な例をもって語るなんて芸当は

とうていできないことである。しかし、今の若い人がここで述べられているとおりに、中国

にいかなる不安も脅威も覚えていないというのが本当だとしたら、それはそれで由々しき事

柄である。

 

 4日付「丹沢」さんの「サヨクを追放する年」は大変に面白く、ありがたい内容

だったがここに引例するにはいささか気がひける内容だったので、ひとつ別途自由にご覧に

なっていただきたい。

 

 それとは別に、次の一文をおよみください。

 

 

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 題:朝生を見て・・・ /名:無頼教師 /2003年01月03日 12時08分

 

 全体として思ったのですが、この種の番組はそろそろその歴史的役割が尽きつつ

あるのではないでしょうか。右と左の論争が面白いと思える時代は、北朝鮮が核軍

拡を宣言した段階で終わっていると思います。歯がゆいのは、そのことにパネリス

トのほとんどの方々が気がついていないことでした。本当に議論すべき内容は、安

全保障の問題でしかあり得なかったはずです。金子勝氏や特に天野礼子氏は、ほとん

ど出席する意味がなかったですね。天野氏は「市民版憲法調査会」メンバーというこ

とになっていますが、安全保障の問題に無知でありながら、どんなに憲法を議論して

も無意味でしょうに。その愚かしさにご本人がとんと無頓着なのは、テレビで見てい

て、呆れもし、また哀れだなとも思いました。

 

 議論の流れとしては、森本氏が客観的な情勢を話し、それに対して西尾先生が意見

を述べ、あと左の人たちが意見を述べるという場面が多かったと思います。でも、西

尾先生に対する反論は、説得力のあるものがなく、反論に移ると議論がもたついてし

まい、こちらもあくびをしてしまうといった場面が数多く見られました。(中略)そ

れはさておき、八木先生の最後の「未熟な韓国の民主主義」というコメントは良かっ

たと思います。これには私も母も大笑いしました。(後略)

 

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 右と左の論戦形式はもう終った、という最初のご意見に私は同感である。この番組

も朝日系だから、相変わらず「ナショナリズム」と「戦後民主主義」の対立とかいっ

て、後者に共産党まで入れてくる古いスタイルで臨んできたが、たしかにこれはもう成り

立たない対立構図だ。私はもっと根本的に別の対立軸がヴィヴィッドに浮かび上がって

いると観察している。『諸君!』1月号で、私が次のように書いたのは、新しい対立と

論争の形式の必要を意識してのことであった。

 

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 今日本は、いわゆる生ぬるい保守と、「共産主義と一体化していた左翼進歩平和主

義」とが対立しているのではもはやない。後者は例の『週刊金曜日』に屯するていどの矮

小グループに転落した。代わりに保守が二つに割れて、日本改造の構想力を持つ行動的

保守と、リベラル左翼にほぼ重なっている生ぬるい現状維持の保守、外交的に言えば中

国不信派と中国媚態派、威嚇や恫喝に屈しない派と威嚇されれば無限に謝罪する派とに

分裂し始めているといってもいいであろう。政界において安倍晋三官房副長官と福田官

房長官との行動パターンがつねづね対立しがちなのは、すでに自民党の内部にも新しい

「三十八度線」が引かれていることを物語る。(『諸君!』一月号より)

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 新しい「三十八度線」はいまの朝鮮半島問題と重ねて考えられると誤解され易い表

現なので、新しい「ベルリン壁」といった方がよいと注意されたこともついでに付け加

えておく。

 

 いずれにせよ従来の左と右の対立思考はもうやめた方がよい。ひょっとすると「朝

まで生テレビ」が陥っているこの惰性は朝日、毎日、共同、日経、東京などを含めて包

み込んでいるマスコミの知性の停止状態そのものの表徴かもしれない。日本の今の沈滞

の根本原因かもしれない。

 

 われわれは今、何をすべきかまた何をしたらよいかみんな分っている。分ってい

て、あと一歩で動けない。憲法改正賛成が80%に達している。それでいて、手足が麻痺

したように動けない。あらゆる問題がそうである。動いていても非常にテンポが遅い。

 原因はもうすでに終ってしまった昔の「左」、さっきの比喩でいえば「共産主義と

一体化していた左翼進歩平和主義」を、さながら実体あるかのごとくに扱って、それに

よって自分を守ろうとする保守のある種の勢力が根づよいからではないだろうか。歩みの

テンポを遅らせようとして、存在しない「左」をいまだに意味あるかのごとくに「敵」と

してもち出し、保守のある勢力がそれと戦って見せることで、時間をかせいでいるのでは

ないだろうか。例えば朝日新聞もじつはその生ぬるい保守の一つである。

 

 日本をダメにしている障害は生ぬるい保守にある。もはや共産主義は敵ではない。

「左翼進歩平和主義」も敵ではない。それなのに、それらをまだあたかもリアリティあ

る存在のごとくにもち出し、それらに共感を示したり、それらを否定したりしてみせ

て、生ぬるい保守が自分の存在理由を大きくしてみせている。生ぬるい保守の例を文化界

で例えば、梅原猛、瀬戸内寂聴、河合隼雄、養老孟、山崎正和、五百旗頭真etc.・・・

 

 われわれは本当に克服すべき相手が誰であるかに深く思いを致さねばならない。日

本を霧のように蔽っている鬱陶しいヴェールの正体が何であるかを突き止めねばならな

い。不決断の構造をしかと見定ねばならない。

 

 さて、最後にまとまった内容の感想文を紹介して元日以来のこの問題の終わりとし

たい。

 

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 題:西尾先生がんばってください /名:クッキ- /2003年01月05日 23時59分

 

 初めて書き込みさせていただきます。

 年明けの朝生を見て、西尾先生の論に感動しました。保守側の人数が少なく、

さらに保守のようでも現実的な視点が欠けていたり、明確な主張がない人がいた

中でまさに孤軍奮闘しておられたと思います。

 西尾先生が最初にボードに書かれた、マスコミのうそが暴かれる年というのは

インパクトと説得力がありました。まさにそのような年になってほしいと思いま

す。

 ロシア、シナとアメリカの対立を(将来を見据えて)明確に捉えられているのは、

西尾先生しかおらず、議論がかみ合わなかったことが残念に思います。私も、さ

る旧社会主義国でボランティア活動で2年ほど働いたことがありますが、彼ら(そ

の国の人々)にはシナの勢力の伸張やロシアの復活などが当然の意識としてありま

した。

 西尾先生と森本先生以外は、あまり現実を知らないで、もしくは世界を知らな

いで思索をしているのではないでしょうか? これからも力強い言葉で日本を覚醒

させてください。応援させていただきます。

.