坂本先生を偲ぶ会

 

 坂本先生のご生前のご活躍とお人柄を偲び、彩也子夫人をお招きして、下記により

「坂本多加雄先生を偲ぶ会」を開催いたします。

 

 なお、会場となる星陵会館は、坂本先生最後のご講演となった「『つくる会』歴史

・文化塾」の第Ⅰ期第3回(6月8日)の会場であり、この日のご講演「日本の知識人」を

約20分ほど録画上映いたします。

 

                 記

 

日 時  平成14年12月21日(土) 14:00〜16:00

 

場 所  星陵会館(都立日比谷高校となり)

     千代田線・国会議事堂前徒歩5分、

     有楽町線又は半蔵門線・永田町駅徒歩3分、

     丸の内線・赤坂見附徒歩7分。

     駐車場なし。

     〒100ー0014 東京都千代田区永田町2−16−2

     ℡03−3581−5650

 

参加費  1,000円(当日会場受付にて申し受けます)

 

共 催  新しい歴史教科書をつくる会・民間憲法臨調

 

 

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        第22回「つくる会」緊急シンポジウム

 

        拉致被害者家族から話を聞く対話集会

 

 

*日 時  平成14年12月26日(木)      

      午後6時30分開会(6時会場)〜9時30分閉会

 

*会 場  大田区民ホール・アプリコ 大ホール(1400名収容)

      交通  JR京浜東北線『蒲田』駅下車・東口徒歩3分(駐車場有り)

      住所  東京都大田区蒲田5丁目37番3号 ℡03−5744−16

00

 

*登壇者〈予定〉

 

    (お話いただく方々)

    「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)」

      ・代表横田滋・早紀江ご夫妻・事務局長蓮池透氏

    「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」

      ・会長佐藤勝巳氏(現代コリア研究所所長)

    「拉致議連」

      ・会長中川昭一氏(衆議院議員)・事務局長平沢勝栄氏(衆議院議員)

 

    (「つくる会」側)

      ・西尾幹二(兼・司会)・田中英道・藤岡信勝・田久保忠衛・八木秀次

 

 

*入場料 2000円

    ※前売り券販売

     お近くのローソン(Lコード:35716)、「チケットぴあ・ファミ

リー

     マート・東京都内のセブン・イレブン」(Pコード:803−613)に

     購入できます。

 

*署名等 当日、参加者に「ブルーリボン」を配布、署名運動への協力を求めると

     ともに、会終了後、支援金をつのり、「家族会」「救う会」にお渡ししま

す。

 

*主 催 新しい歴史教科書をつくる会

 

 

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 この拉致問題の対話集会の開催を決定するまでに、当「日録」の記述と小池広行さ

んのご協力が大変に与って力がありました。御礼申し上げます。

 

 「つくる会」はどこまでも「話を聞く」という聞き役であります。ご覧の通り集会

はそういうスタンスになっていますので、通例のシンポジウムとは形式が違います。「つ

くる会」側は質問役であります。

 

 それにしても「つくる会」の集会ですから、第一声から遠慮のない、思い切った発

言が展開されるものと思います。そのように参加方にも指示してあります。ご期待くださ

.

 

Subject:平成14年12月5日         

From:西尾幹二(B)

Date:2002/12/05 20:35

 

 『出版ニュース』誌の恒例のアンケート「特集・今年の執筆予定」に応じた。毎年

くるアンケートだが、このところ返事しなかったのは、年間出版計画を予告しておいてそ

の通りにならない年が多く、みっともないと思ったからである。しかし来年に限っては、

まず大丈夫と思ったので、次のように予告回答した。

 

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         回 答

 

 2003年度の私の出版は次の通りです。全部仮題です。

 

  『日本の根本問題』  新潮社

  『江戸のダイナミズム』  文藝春秋

  『あなたは自由か』  ちくま新書

   題未定 金完燮氏との対談  扶桑社

  『男子一生の問題』  三笠書房

   中公クラシックス『ニーチェ 悲劇の誕生・ギリシャ人の悲劇時代の哲学ほか』

                              中央公論社

 

 2002年に準備をすすめていたので、全部実現できそうです。

 

         (『出版ニュース』1月上中旬合併号・掲載予定)

 

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 実はほかにも2冊進行中の仕事があるが、あまり書くと大ぼらを吹いているように

思われかねないので、止めた。

 

 なお『日本の根本問題』は、全原稿を12月2日に出版社に引き渡したので、年内

に初校ゲラが出てきて、1月中旬に校正をもどし、2月刊行となるだろう。目次がほぼ固

まったので、これもついでだから、報告しておきたい。全原稿枚数は570枚くらいで、

かなり部厚い本になりそうである。

 

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 『日本の根本問題』

 

  目 次(案)

 

 日本国憲法 前文私案

 東アジアの安全保障と北朝鮮問題

 アメリカへの複眼

 

 サッカーW杯・靖国神社問題とナショナリズム

 愛国者の死

 観念の見取り図

 

 漢字と日本語——わたしの小林秀雄

 明治初期の日本語と現代における「言文不一致」

 天皇制度と日本人の教養

 危機に立つ神話

 

 石原慎太郎論

 三島由紀夫の死 再論

 

 日韓歴史共同研究は可能か

 歴史教科書問題は終っていない

 

  あとがき

 

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 私の最近の雑誌論文は大体入っている。そこに古いものが付け加わっている。私の

愛読者ならどれがどの論文であるかみんなわかってしまうであろう。けれども、ものによっ

ては加筆したり、修正したりしているので、様相がすっかり変わってみえるものもあるかも

しれない。

 

 経済を除く日本のすべての根本問題が論じられている。本のタイトルは少し大袈裟

かと思ったが、担当編集者の強い意向も反映して、今のところこういう予定でいる。

 

 『江戸のダイナミズム』に関しては『諸君!』連載が14回で完結を予定してい

る。これが終ったところから、言語に関する新しい次のテーマが起ち上る気配をみせている。

『あなたは自由か』はすでに第一章を書き上げている。『男子一生の問題』は私の仕事の中

では例外のユニークな一冊になる予想で、すでに草稿ができあがっている。ニーチェの翻訳

は20歳台と40歳台のときの遠い日の思い出の復活である。解説30枚を約束している

が、解説の内部から、古代史に関する新しいテーマが浮かび上る可能性もある。自然にそうな

るのを自分も期待している。

.

 

 

Subject:平成14年12月12日   (一)         

From:西尾幹二(B)

Date:2002/12/11 22:03

 

     「五人を北へ戻せ」の謬説

 

 拉致問題については今や情報が広がりすぎて、私が「日録」になにかをまとめて書く

というようなわけにいかない。余りに書くことが多いと、書くことがなくなる、その典型で

ある。ただテレビが、ことに午前中のワイドショーで、金正日と北の生活実態、スパイの虚

実についてかなり詳しく放映しているので、大変に大きな国民教育になっていると思う。テ

レビがここまで北朝鮮の情報を伝えたのは初めてであろう。

 

 5人の拉致被害者の帰国は、ともあれ拉致の動かぬ証拠となった。もしこれがなけ

れば、——田中均の怪我の功名だが——すべては永遠に闇に隠れたままで、5人も歴史の背

後に消えてしまったであろう。「拉致の解決なくして国交正常化はない」と小泉首相は言っ

たが、金正日体制の解消なくして拉致の「解決」はないという意味でもあることが、ようや

く皆に分ってきた。このこともテレビのワイドショーで、国民大衆の間に浸透してきている

と私は思う。

 

 ところが、予想したことではあるが、左翼は少しづつ体制を立て直して、北の工作

員の立場を守ろうとし始めている。テレビもまた最初の北への怒りが鎮まると、「親子はな

ればなれの運命やいかに」のお涙頂戴の調子に再びなりかかっている。そこへ一知半解の小

説家や評論家が怪しげな火種を投げ込んで、国内分断の政治の炎をめらめらと燃えあがらせ

ようとし始めている。そこで、『産経』のコラム「正論」欄(12月12日)に、敢えて私

は次の一文を発表した。

 

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     五人の被害者を戻せば「北」の思うつぼ

   ——謀略国家に対する甘い認識を捨てる時——

 

《《《待ち受ける過酷な運命》》》

 

 国家犯罪とか全体主義体制の悪とかについての認識が日本ではあまりに低く、小説

家や評論家のような立場の人がナイーヴすぎると思うことが少なくない。

 

 旧東ドイツでは、約十万人といわれる秘密警察協力の専従者には、結婚の自由も、好

きな友人との交際の自由もなく、自分の子供の職業の選択も制限され、誕生日のパーティーも

週末の小旅行も届け出制だった。従って普通の住民との正常な接触は難しく、仲間だけで交

際するゲットー風の生活だった。

 

 北朝鮮の日本人工作員の住む居住区は鉄条網で囲まれ、その中に幼稚園も病院もあ

る特別区だという。蓮池さんや地村さんは子供に危険が及ぶから口を閉ざしているが、東独

同様に隔離された監視下の、親と子が切り離された生活で工作員教育を施され、子供に自由な

判断力は育っていまい。

 

 それなのに、五人の被害者をいったん北に戻し、子供と相談させて、永住帰国かど

うかを家族全体の自由意志で決めさせるべきだ、なんてまだ分らないことをいっている人が

いる。日本を知り、北朝鮮を外から見てしまった五人はもはや元の北朝鮮公民ではない。北

に戻れば、二度と日本へ帰れないだろう。強制収容所へ入れられるかもしれない。過酷な運

命が待っていよう。そのことを一番知って恐怖しているのは、ほかならぬ彼ら五人だという明

白な証拠がある。彼らは帰国後、北にすぐ戻る素振りをみせていた。政治的に用心深い安全

な発言を繰り返していた。日本政府は自分たちを助けないかもしれない、北へ送還するかも

しれないとの不安に怯えていたからなのだ。

 

《《《西側の国と同一視する愚》》》

 

 日本政府が永住帰国を決定して以後、五人は「もう北へ戻りたくない」「日本で家

族と会いたい」と言い出すようになった。安心したからである。日本政府が無理に言わせて

いるからではない。政府決定でようやく不安が消えたからなのだ。

 

 この心細い彼らの弱い立場が分らないで、「どこでどのように生きるかを選ぶのは

本人であって、それを自由に選べ、また変更できる状況を作りだすことこそ大事なのでは」

(『毎日』12月1日)と書いているのは作家の高樹のぶ子氏である。彼女は「被害者を

二ヶ月に一度日本に帰国させる約束をとりつけよ」などと相手をまるでフランスかイギリスの

ような国と思っている能天気な発言をぶちあげている。

 

 彼女は「北朝鮮から『約束を破った』と言われる一連のやり方には納得がいかな

い」と、拉致という犯罪国の言い分に理を認め、五人を戻さないことで「外から見た日本はま

ことに情緒的で傲慢、信用ならない子供に見えるに違いない」とまでのたまう。

 

《《《子供を外交カードにする策》》》

 

 この最後の一文に毎日新聞編集委員の岸井成格氏が感動し(『毎日』12月3

日)、同日朝TBS系テレビで「被害者五人をいったん北朝鮮に戻すべきです」と持論を主張し

てきたと報告し、同席の大宅映子さんが「私もそう思う」と同調したそうだ。同じ発言は評

論家の木元教子さん(『読売』10月31日)にもあり、民主党の石井一副代表も「日本政

府のやり方は間違っている。私なら『一度帰り、一ヵ月後に家族全部を連れて帰ってこい』

と言う」(『産経』11月21日)とまるであの国が何でも許してくれる自由の国であるかの

ように言う。

 

 五人と子供たちを切り離したのは日本の政府決定だという誤解が彼らにある。五人

の親だけ帰国させた北の謀略なのである。子供を外交カードに使う謀略であって、一時帰国

に沸いた十月十五日に日本は罠にはまったのである。

五人を北に戻せば、寺越武志さんの例があるように、五人は家族の意志による北での

永住を誓わされ、日本の老父母が北を再三訪問するようになるだろう。幸せに暮らしている

と称する五人の誓いの言葉を楯に、拉致問題は消滅し、金正日の責任は解除され、補償の必

要はなくなるだろう。

 

 日本が五人を北へ戻さなければ、子供を帰さないことで、日本の世論を今のように

困らせ、悪いのは約束を破った日本政府だと北は宣伝しつづけるだろう。五人の日本滞在中に

子供を帰せば、北の全秘密工作が五人の口から暴露される。北はそれはできない。そう考え

ると気の毒だが、北が近い将来に子供を帰す可能性は小さい。

 

 スパイ養成を国家目的としている国の心理のウラも読めないでよく小説家や評論家

の看板をはっていられるものと思う。

 

             産経新聞2002、12、12「正論」欄

 

(参照)

12月1日毎日新聞 コラム「時代の風」(13面)

高樹のぶ子 「『個』の意志はどこに・・・・拉致問題への対応を問う」

http://www.mainichi.co.jp/eye/kaze/200212/01-1.html

 

12月3日毎日新聞 岸井成格のTVメール

岸井成格 「強硬だけの外交は危険」

http://www.mainichi.co.jp/visual/kishii/tv/1203.html

.

 

 

Subject:平成14年12月12日   (二)         

From:西尾幹二(B)

Date:2002/12/12 09:10

 

 この程度の文章を書くのにも随分と時間がかかっている。最初の3段を二度書き直

した。

旧東ドイツの例をつかうことにして、その内容の選択に悩み、「秘密警察協力の専従

者」offizielle Mitarbeiterの生活形態をとりあげた。約10万人といわれる旧東ドイツ

社会の奴隷である。

 

 この他に、旧東ドイツ社会には秘密警察に非公式に協力していたinoffizielle

Mitarbeiterが無数にいた。頭文字をとってIMとよばれる彼らは何百万、何千万人いたか分らな

い。国民の3分の1は秘密警察の非公式協力者だったといわれる。学長が教授を、妻が夫

を、スポーツ監督が選手を警察に密告し、自らの身を保全していた。

 

 ヨーロッパではすべてが終るとこのように公開され、書物になるので分り易いが、

北朝鮮の秘密の暗部は、やがて白日の下に曝され、細部まで活字化される日がくるのだろう

か。

 チェコスロヴァキア、ポーランド、東ドイツについては、詳しくは拙著『全体主義

の呪い』(新潮選書)を見てもらいたい。北朝鮮問題を解く鍵があると、信じている。

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Subject:平成14年12月18日      

From:西尾幹二(B)

Date:2002/12/18 18:04

 

 今日発売の『週刊新潮』掲示板に、私からの告知広告として、次の記事が掲げられ

ています。すでに別の場所で報道ずみですが、シンポは近づいていますので、もう一度しる

します。

この欄をつかわせてくださった『週刊新潮』編集部に感謝します。

 

 今回はシンポの決定から開催まで間隔がなく、文字通り緊急シンポだったので、雑

誌の広告告知媒体が間に合わず、それゆえこれはありがたかったのです。

 

 

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つくる会緊急シンポ:拉致被害者家族から話を聞く対話集会

 

 許すことの出来ない北朝鮮による日本人拉致。

     今こそ国民が立ち上がる時、

 被害者の家族を迎えての緊急シンポジウム!

 

 

*前売り券は下記にてお求めください。

  ・ローソン(Lコード:35716)

  ・「チケットぴあ・ファミリーマート・東京都内のセブン・イレブン」

   (Pコード:803−613)

   また、「チケットぴあ電話予約」(03—5237—9999・電話応答、

   03−5237−9966・自動応答)もご利用いただけます。

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西尾幹二

 豪華シンポジウムを開きます。横田滋・早紀江夫妻、蓮池透、佐藤勝巳、中川昭

一、平沢勝栄の各氏をお招きし、「新しい歴史教科書をつくる会」緊急シンポ「拉致被害者家

族から話を聞く対話集会」を12月26日(木)18:30、蒲田・大田区民ホール「アプリ

コ」で行います。

 

 聞き手は私と藤岡信勝、田久保忠衛、八木秀次。日本の自由を知った五人の拉致被

害者は下の北朝鮮公民ではなく、北へ帰れば過酷な運命が待っている。それなのに北を普通

の国のように考える能天気な日本人に聞きに来て欲しい。

前売り券はコンビニでLコード35716、Pコード803−613。2000円です。

                                   (評論家)

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