お知らせ

コメント欄にも書きましたが、現在ここ西尾日録は、スパムコメントのアラシ攻撃にあっています。

現在、その攻撃に対処するために、コメントの投稿が出来ないようにしています。
しばらく、この状態が続くと予想されますので、ご容赦ください。

管理人による報告

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 現在西尾先生による日録は休載しておりますが、先生の許可を得て、管理人長谷川が、西尾先生の近況を報告させていただきます。

 『江戸のダイナミズム』の出版に伴い、出版記念会が開催されます。

 以下はその案内文です。この会に私も出席できることになりました。その折の報告もしてよいと言われましたので、5日に帰宅してから、エントリーを挙げる予定にしていますので楽しみにお待ちください。

 また、『江戸のダイナミズム』の感想に限り、コメントを受け付けますのでので、どうぞふるって書き込んで下さい。

西尾幹二さん『江戸のダイナミズム』出版記念会のご案内
 
 謹啓 季節も春めいて参りました。
 
 貴台におかれましてはご健勝のことと大慶に存じあげます。

 さて今般、私たちの知人・友人・酒友でもあり、広く健筆を振るわれる西尾幹二さんが、『江戸のダイナミズム――古代と近代の架け橋』を文藝春秋から上梓されました。

 日本、中国、欧州の学術の歴史を比較するなかで、日本文明の核心を解き明かそうと試みたこの長編評論は、月刊誌『諸君!』に、足掛け四年にわたる連載ののち、推敲、注の作成にさらに二年余を費やした労作、まさに西尾さんの代表作といえる一冊です。

 多くの歴史観論争と哲学的論点を含み、新しい国語学上の問い掛けもあり、今後、言論界に大きな反響を呼び起こすことと思われます。

 心身共に切り替わる花の季節に合わせて、この大著の出版を記念した祝宴を開催させて頂きたく、
茲もと御案内申し上げる次第です。

                記

 一、と き  四月四日(水曜日)午後六時半より(六時開場)
 一、ところ  「ホテル・グランド・ヒル・市谷」三階「瑠璃の間」(同封地図をご参照下さい)
 一、会 費 壱万円(書籍代金(2900円)を含みます。ご夫妻でお見えの場合は一人分のみを頂戴します)

 なお誠に畏れ入りますが、御出欠のご都合を同封の返信葉書にてお知らせいただければ幸いです。

                                   謹白

 平成十九年三月吉日

発起人 井尻千男  桶谷秀昭  呉 善花  加地伸行  工藤美代子  黄 文雄  小浜逸郎  佐伯彰一  佐藤雅美  高井有一  田久保忠衛  芳賀 徹 長谷川三千子  平川祏弘  三浦朱門  宮崎正弘

上野 徹(文藝春秋社長)、江口克彦(PHP研究所社長)
加瀬昌男(草思社会長)、松下武義(徳間書店社長)〔50音順〕

 西尾幹二さん『江戸のダイナミズム』出版記念会事務局
(株)文藝春秋第二出版局 第一部気付(事務担当/内田博人)

管理人からのお知らせ

☆ 現在当ブログは休載しています。

☆ 今までのエントリーはこのまま掲示します。

☆ コメント欄は閉鎖します。

☆ 雑誌掲載予告等はお知らせいたしません。

平成14年(2002年)8月から平成16年11月までの過去録はこちら

平成16年(2004年)6月から平成19年(2007年)1月までのエントリー一覧表(アーカイブ)はこちら

「日録」休載のお知らせ

江戸のダイナミズム―古代と近代の架け橋

 明1月26日に『江戸のダイナミズム――古代と近代の架け橋――』(文藝春秋刊、640ページ、¥2762)が書店の店頭に出ます。よろしくお願いします。

  この本の内容紹介は1月元旦付の当ブログ「謹賀新年」に譲ります。

 新刊の刊行を機に、平成14年8月2日から4年6ヶ月つづいた「西尾幹二のインターネット日録」を本日より以後、当分の間、休載することを申し述べさせて戴きます。永い間ご愛読をありがとうございました。

 理由は、残りの人生に私が自分に課している著述活動とブログとの両立が時間的にも、精神的にも難しくなったからです。人間が一日に文字を書くために意識を集中させるエネルギーの定量はほぼきまっています。

 以下に私の著作計画、残りの人生のための本づくりの計画を、自分への誓約という意味もこめて、あえてお示しします。

1、国民の歴史 現代篇

 呼称は、国民の現代史、または国民の昭和史、未定。

 日露戦争後(1906)から平成18年(2006)まで。

 3000枚(二部作)。

 国民の歴史と同じポイント式記述。
 徒らな歴史論議にはまらない大叙事詩構想。

 日本人の各時代の暮しに着目、文学作品や思想史にも注目、
 戦後は経済史を無視しない。

 人間が各時代を生きていた呼吸が伝わるような叙述でありたい。
 歴史は民族の生の物語であって、事実の正否を見定める論争書ではない。

  

 その基礎作業 進捗状況
(イ) ヴェノナ文書や旧ソ連文書などを通じた主に英米の20世紀史、裏面史、あるいは中ソ関係の暴露史についてインテリジェンス研究家柏原竜一氏とすでに三年目の研究に入っている。研究は今後一段と活発化させる。

(ロ) GHQ焚書図書開封と題して本年2月よりTV文化チャンネル桜で放映開始。毎月10冊程度紹介。 昭8-昭和20の国民感情と、日本から見ていた日本国民の世界像を再確立する。同名の書籍の出版も計画中。

(ハ) ニュルンベルク裁判と東京裁判と題した比較共同研究を在独エッセイストの川口マーン恵美さんとすでに開始(「秋の嵐」(三)(四)参照)。いずれ対論と各自の補論をまとめて刊行する。余談だが、『諸君!』3月号に拙論「勝者の裁き――フセインと東條のここが違う」を書いたが、すでに共同研究の成果が早くも少し現われている。

(ニ) その他の文献蒐集もすすむ。ご承知と思うが、『新・地球日本史』①②は、同じ時代のポイント式記述で、編者として私が経験をつませてもらったことは有難い。

 以上は『国民の歴史』の現代版を書きたいともう三年も前から言いつづけて少しづつ準備し、『江戸のダイナミズム』の完成に追われて実現できなかった思いを表現してみたまでのものです。

 対象時代は1906年から1950年(朝鮮戦争)までの案と、1989年(昭和の終焉)までの案とが考えられますが、平成の衰亡と拉致、領土、歴史教科書、靖国、郵政民営化まで書かないと収まりがつかないように思えます。

 当然のことですが、『江戸のダイナミズム』の12ページに及ぶ「参考文献一覧」をみていると、次から次へと新しい研究のヒントが生じ、新しい本のアイデアが生まれてきます。ある人に「先生は200歳まで生きるつもりですか」とからかわれました。

 『江戸のダイナミズム』の主題は、要約すると、「詩と言語と文字と音のテーマ」です。古代史は哲学的に書ける世界でもあります。現代史は哲学的に扱うと過ちますが、古代史は「詩と哲学」の世界といってもいいほどです。

 というわけで、「詩と言語と文字と音のテーマ」で、例えば哲学的発想で、『柿本人麿論』を書けないかと空想しています。否、空想ではなくて、略体歌・非略体歌をめぐる研究最前線の重要文献をすでにどんどん蒐めているのです。ひょんなことになるかもしれませんし、ならないかもしれません。これはあくまでまだ夢です。

 九段下会議という政治的な知識人会議をやっていたのはご存知と思います。昨年解散しました。最後までメンバーとして残った12人が私の許に再結集して下さり、その方々を中核として、その他に私の旧友等も参加して、「坦々塾」と名づける勉強会が結成され、メンバーはいま35人ほどを数えます。この侭いくともう少し増えるかもしれません。でも、気持の合ったクローズドな会です。

 何をしているかというと、講師のお話をきく勉強会で、私も講演をし、政治的活動はいっさいいたしません。講師は第一回が宮崎正弘氏、第二回が高山正之氏、第三回が関岡英之氏で、近く第三回が行われ、第四回には黄文雄氏を予定させていたゞいています。

 ここで、毎回私が1時間半の講座を持つ約束になっていて、第三回より『江戸のダイナミズム』からの継承テーマとして、『日本の天皇と中国の皇帝』を連続講義することにいたしました。日本・中国・西洋のカミ概念の比較が狙いです。『国民の歴史』の第8章「王権の根拠」の拡大版でもあるといえば分り易いかもしれません。

 うまく行くかどうかまったく分りません。途中で私はもうダメだと投げ出してしまうかもしれません。今の日本で流行している天皇論は閉鎖的にすぎるし、中国論は反中国論でありすぎます。もっと相対化した立体的な高い視点からの「天皇考」が必要だと思っていますが、私には荷が重く、これも口で言ってみるだけで一冊の著作になるかならないかまったく分りません。

 以下に次は順不同ですが、出版社もきまっていて、いずれも実現しなければならないものばかりを列記します。

2、 あなたは自由か ちくま新書 約三分の一完了

3、 ゲーテとフランス革命 「諸君!」連載決定

     
 
 その基礎作業 ゲーテとの対話 PHP新書200枚 今年前半に約束。

4、 翻訳ニーチェ「ギリシア人の悲劇時代の哲学ほか」(中公クラシクス)

 2、と4、はすぐ近い将来にお目にかけます。4、はむかしやった仕事の復刻ですが、じつは少年時代のニーチェの文章を新たに新訳で加えようと今毎日訳しています。

 ニーチェは高校生のころに三人の幼な馴染と同人活動をやっていました。そのときの文章ですから、私は少年らしい訳文にしたいと、「僕たちは」を主語にしたういういしい気分を表現します。この本は9月刊行予定とききます。ショーペンハウアーの「中公クラシクス」(3冊)は今の時代に珍しく増刷がきまりました。

 3、は大仕事です。すでに日録の「秋の嵐」(一)(二)で、構想を報告ズミであるので再論はいたしません。資料はドイツの研究書も、日本の文献もほぼ蒐集終了です。

5、 韓非子 新潮社 約束ズミ

6、 わたしの昭和史 続篇 新潮社 約束ズミ

7、 ニーチェ 第三部(人生の義務)筑摩書房

8、双六のあがりは昭和のダイナミズム1000枚

 どうせこんなにたくさんはできないだろうとお笑いになるでしょう。私に徳富蘇峰の生きた時間を天が与えて下さいますように。それでも無理みたいですね。

 それにまた時局をめぐる雑誌論文もある程度――数をあえてへらしても――書かねばなりません。それと本の出版とは別のことで、連載はありがたいのですが、雑誌を追っていると本を書けなくなります。そこにインターネットが入ると身体が三つに分れてしまいます。

 勿論今まで「インターネット日録」を書くことで自説の整理もしていましたし、コメント欄の鋭い観察のことばがいつまでも心に響き、私の思考を豊かにしてくれることもたくさんありました。

 日録は役に立っていました。他でできない面白い活動でもありました。でも、最近だんだんゲストエッセーが増えたり、入試問題を出したりするのは、私に時間とこころの余裕がなくなっている証拠でした。

 いつ再開できるか分りませんが、将来もう一度やってみたいと思うことがあるかもしれません。そのときは多分、今のスタイルとは違ったブログとして再登場することになるでしょう。

 いずれにせよ、私はいまひたすら本を書く仕事に没頭したいのです。まだまだ体力があるのです。

 本を書くのに必要な力は知力ではなく体力です。少くとも今の私にとってはそうです。

 私の体力維持にご協力下さい。

 「西尾幹二のインターネット日録」の休載をお許し下さい。

謹賀新年

謹 賀 新 年 

 

平成19年(2007年)元旦

 私は今年の夏72歳になります。年末の病院での血液検査で数値上悪い項目は何ひとつなく、いたって健康です。しかし昨年同級生(旧友)を二人失いました。

 今年の冒頭には例年とは異なり、まず自分の喜びを語りたいと思います。それから野心を告知し、そしてその後にひしひしと訪れている内心の空虚感をさらけ出してみたいと思います。

 約2年半前の夏、当日録に「私は今夜ひとり祝杯をあげています」(平成16年7月23日)と怪気炎をあげた臆面もない次のような一文を認めたことを覚えていて下さる方もいるかもしれません。

2004年07月23日
私は今夜ひとり祝杯をあげています
昨夜応援掲示板に書いたものですが、こちらにも転載します。

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1408 私は今夜ひとり祝杯をあげています 西尾幹二 2004/07/23 01:54
 2004年7月22日、正確には23日午前1時、「江戸のダイナミズム」第20回完結稿の最後の数枚のゲラがファックスで諸君編集部に流れました。すぐに受領の電話が入りました。 

 今回は題して「転回点としての孔子とソクラテス」54枚でした。これで完結です。もう毎月、月の半分を苦しまなくて良くなったのです。

 ああ、なんという解放感!

 第一回は2001年7月号でした。3年間の断続連載でした。

 ついに終わったのです。嬉しくてたまらない。壮大なテーマで、
私には蟷螂に斧でした。 

 この5日、7時まで書いて、睡眠薬を呑んで、午後1時に起きだす
生活でした。一気に10枚くらい書くのは夜中でないと出来ないのです。昼間は文献調べです。

 いつまで出来るか分かりません。皆さん、せめて今夜だけ私のために
祝ってください。本は1000枚にもなるので急ぎません。

 いまひとりウィスキーの乾杯をしています。暑い日々、皆様もおげんきで。

 最後に「急ぎません」と書いたのが仇をなして、本当に時間がかかってしまったのです。この前後に『男子、一生の問題』を出したのを皮切りに、『民族への責任』『日本人は何に躓いているのか』『人生の深淵について』『新・国民の油断』(共著)を相次いで出版して、それから小泉総選挙にぶつかり、『「狂気の首相」で日本は大丈夫か』を書いたことはまだ皆さまのご記憶にも新しい処だと思います。

 ほかに再刊本二冊(『日本はナチスと同罪か』『人生の価値について』)をワック出版から出し、ショーペンハウアーの主著の旧訳も中公クラシクスで刊行してもらいました。正直私は『江戸のダイナミズム』の完成には研究のし直しの必要もあり、整理と修文が簡単でないことを予感していて、しばらく他の仕事に逃げていたいという思いも多少はあったのです。

 あの本はいつ出るのかという期待の声を八方から耳にしました。「つくる会」内紛よりもずっと前に作業を再開していましたが、やってみると、もう一度書き直すくらいの労力を要することに気がつきました。新しい難問に次々とぶつかり、補説の必要も生じ、膨大量の注の作成その他にも手間を取り、担当編集者にも苦労をかけ、溜息の出る思いのすることが何度もありました。

 すでに昨年末にご報告している通り、本は完成しました。全640ページ、図版25枚、注(二段組34ページ)、参考文献一覧(二段組12ページ)、そして索引は人名・書名・事項の三種類です。本は1月26日に店頭に出ます。表紙は16世紀の世界地図。定価は2762円です。文藝春秋刊。すべては作品をご覧いたゞく以外になく、どうか宜敷くお願いします。

 まず目次をご紹介します。

登場人物年表  4

第一部  前提編

第一章    暗い江戸、明るい江戸 10
第二章    初期儒学者が見据えた「中華の『華』はわが日本」 27
第三章    日・中・欧の言語文化ルネサンス 48
第四章    古代文献学の誕生――焚書坑儒と海中に没した巨大図書館(アレクサンドリア) 66
第五章    ホメロスとゲーテと近代ドイツ文献学 88
第六章 探しあぐねる古代聖人の実像 111
第七章    清朝考証学・管見 137
第八章    三段の法則――「価値」から「没価値」を経て「破壊と創造」へ 164
第九章    世界に先駆ける富永仲基の聖典批判 187

第二部 展開編

第十 章   本居宣長が言挙げした日本人のおおらかな魂 216
第十一章   宣長と徂徠の古代像は「私」に満ちていたか 241
第十二章   宣長とニーチェにおける「自然」 269
第十三章   中国神話世界への異なる姿勢――新井白石と荻生徂徠  295
第十四章   科挙と赤穂浪士 325
第十五章   十七世紀西洋の孔子像にクロスした伊藤仁斎 353
第十六章   西洋古典文献学と契沖『萬葉代匠記』 383
第十七章   万葉仮名・藤原定家・契沖・現代かなづかい 414
第十八章   音だけの言語世界から誕生した『古事記』 456
第十九章   「信仰」としての太陽神話 489
第二十章   転回点としての孔子とソクラテス 519

注 549
あとがき 583
参考文献一覧
人名索引 /書名索引 /事項索引

 「登場人物年表」という日中欧の思想家の名の年代差を示す表が興味を引くはずですが、本を開いてみていたゞくしかありません。代りに、広告帯の裏面にのせられた「あとがき」からの短い抜粋文を掲示しておきます。

 限りなき神の世界の探求

 地球上で「歴史意識」というものが誕生したのは地中海域とシナ大陸と日本列島のわずか三地点です。そこで花開いた「言語文化ルネサンス」は文献学の名で総括できますが、それは単なる学問ではありません。認識の科学ではありません。古き神を尋ね、それをときには疑い、ときに言祝ぎ、そしてときにはこれの背後に回り、これを廃絶し、新しき神の誕生を求めもする情熱と決断のドラマでもありました。

(本書・あとがきより)

 この本は可能な限り学問的手続きを踏んでいますが、学者の研究書ではありません。私は学者という存在を信用していないのです。学者は「評価」を逃げるからです。歴史上の人物を列記して、記述していく場合に、大抵の学者は歴史上のどの人物をも平等に扱おうとし、どれをも良しとし、良し悪しの価値のアクセントをつけません。

 私はこの本で新井白石、荻生徂徠、僧契沖、本居宣長の四人に例外的特権を与えています。さらにその中でも徂徠と宣長を上位に置きます。それ以外の思想家もたくさん扱っていますが、価値の上で明らかに差別しています。例えば伊藤仁斎には低い評価を与えています。勿論その理由を明記しています。

 ヨーロッパと中国の古代をどう評価し、どう理解するかもこの本の眼目の一つです。ギリシア・ローマの古典古代はアラビア人の歴史に属するのであって、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアに独自の古代はありません。他方、中国に近代はなく、中国はいまだに古代専制国家体制のまゝなのかもしれません。

 ここでいう「近代」というのは丸山真男が荻生徂徠に託して「主体性」の名において語った単眼的な内容のものではありません。近代性は神秘の反対語ではないのです。神秘を信じ、かつ否定し、神の背後に回ってこれを懐疑し、しかるのちさらに神を探求し、模索し、新たな神秘を決断する精神のことです。

 宣長にも徂徠にもそれがあります。ニーチェやドストエフスキーのような人神思想が日本にはあって、中国にはありません。たゞし明治以後の日本にもそれらはありません。明治以後の日本に存在を許されたのは思想の教師であって、思想家ではありません。江戸に比べると明治以後の日本は恐ろしく平板で、見窄らしいのです。

 まあ、そんな説明をいくらつづけても仕方なく、本を読んでいたゞくしか方法がないのですが、私はこの本で日本の思想界に一つの新しい価値の標識を掲げようと企図しているのです。

 それがどれくらい分ってもらえるか判然としない不安が私を捉えているのではありません。私が先に暗示した「空虚感」とは、世間から理解し、評価してもらえるかどうか分らない不安なのではなく――そんなことを私はこの歳でとうの昔に卒業しています――私の指し示す神がまだ不確かで、私の目指した価値がまだ歴史の岩盤に届いていないのではないか、という不安なのです。

 私はまだ到底覚束ない身なのに、仕事のできる残された年月は短くなり、この本を起点に次をどう探求したらよいのか、次第に選択の可能性が小さくなっている昨今の不明が私を迷わせているのです。

 道なお遠く、歩みは遅々としていて、目標だけが見えるがゆえの不安なのです。

お知らせ

 未刊行の「江戸のダイナミズム」からの引用はここで終ります。

 「ハンス・ホルバインとわたしの四十年」はなおしばらく続ける予定ですが、丁度雑誌原稿の〆め切と重なり、私が今時間がとれないので、次回はゲスト・エッセイを紹介させていただきます。

 なお、コメント欄で「意見の小さい違いこそ決定的な違い」という私の語に対し、vagabondさんが「「小異を捨てて大同につく」ことの方が大切ではないかと問い質された問題に対し、少し時間をおきますが、後日、私からきちんと応答する予定です。

お知らせ

「つくる会」退会の挨拶文

 前略
  私は「新しい歴史教科書をつくる会」の創設に携わり、平成13年10月まで同会の会長、さらにその後も 名誉会長の名で今日まで9年余り会の維持と発展のために微力を尽くして参りました。昨年私は古希を迎え、同会の新しい指導体制も確立した潮時でもあるので、このたび名誉会長の称号を返上して、名実ともに完全 に同会から離れ、書斎にもどることといたし度、同会幹部の合意をいただきました。

  もとより私の思想活動に変更はなく、著作面でもやらねばならぬことが山積している事情を顧みての措置です。
 
 今後も関係各位におかれましてはひきつづき会へのご理解とご支援を賜るよう、切にお願い申し上げます。

                                
                                           西尾幹二

お知らせ

 日本文化チャンネル桜の「西村幸祐氏の報道ワイド日本」に私は次のように出演することをお伝えします。

 23日(金) 20:00~21:00
 24日(土)  1:00~ 2:00
 24日(土) 10:00~11:00

 次はどうでもいいことですが、12月30日21:00~ 1:00と1月1日17:00~21:00に隠し芸大会があるそうで、私が歌謡曲を歌います。
“お知らせ” の続きを読む

管理人からのお知らせ

 去る12月1日よりhttp://nitiroku-nishio.jp/blog/(独自ドメイン)のアドレスが手違いによりアクセス不能となっておりました。

 その間も、http://nishio.main.jp/blog/(サブドメイン)のアドレスはアクセス可能でしたが、一部の方がアクセスできなくなっていたようです。

 ここにお詫び申し上げます。

 尚、以前より移行を準備していたことでもあり、12月4日より「西尾幹二のインターネット日録」のアドレスを、覚えやすいhttp://nishiokanji.com/blog/(独自ドメイン)とさせていただきました。

 従来のアドレス(前述の2つ)にアクセスしていただいた場合も、自動的に新アドレスに切り替わるよう設定しておりますが、この機に「お気に入り」を上書きして、このアドレスに書き換えていただきますよう、お願いいたします。

 また、サーバー移転に伴い、携帯電話用のアドレスもhttp://nishiokanji.com/cgi/mt/mt4i.cgi?id=2と変わっておりますので、お気に入りを入れ替えてください。

御案内

「福田恆存を語る」講演のご案内

 昨年私が福田恆存先生について講演をした同じ団体が今年は佐伯彰一氏を招いて、以下のような講演会を開催するので、ご紹介しておく。

 昨年当會議は、福田恆存歿後十年記念の講演シンポジアムを開催し、諸賢の注目を聚めました。

 本年は、(財)世田谷文学館と共催し、福田先生の生前最後の対談者でありました佐伯彰一氏を講師にお迎へします。佐伯氏は、三島由紀夫氏の理解者としても夙に知られてをり、福田、三島両氏の関りを考へる上では、きはめて貴重な會合になるものと確信してをります。

 尚、当日は福田先生の書簡(世田谷文学館所蔵)と遺品の展示を行ひます。

            記

 日 時 平成17年11月19日(土)午後2時30分開演(開場は30分前)
 
 會 場 世田谷文学館(京王線蘆花公園駅南口下車歩5分)

 講 師 佐伯彰一「四つの出會い」

 参加費 500円 定員150名

※ 参加御希望の方は、電話またはメールにて事前にお申し込み下さい。
  電話 03-5261-2753(夜7時~10時)

 E-mail bunkakaigi@u01.gate01.com(氏名、住所、電話番号、年齢を明記)

                               平成17年11月吉日

 現代文化會議 新宿区市谷砂土原町8番地3-109

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お知らせ《 緊急集会! 》

 皇室典範改悪阻止!!「草莽崛起」国民大会

 二千年以上続いた日本の国体・国柄が、今、一部の人々の手によって改悪されようとしています。

 日本が日本で無くなる危機が迫っています。

 先帝陛下が『耐え難きを耐え、忍び難きを忍び』守られた日本の国体、これを私たちの世代で壊してはなりません。

 GHQ司令官マッカーサーですら変えられなかった、世界最古の国、日本のあり方、その中心たる御皇室と皇統を、私たち日本国民の手で守り抜きましょう!

【日時】  平成17年11月18日(金) 開場18時30分 開演19時(21時終演予定)※入場無料

【場所】  なかのZERO 大ホール  
※JRまたは東京メトロ東西線中野駅南口から徒歩8分(東京都中野区中野2-9-7 03-5340-5000)

【登壇者】井尻千男、伊藤哲夫、伊藤玲子、遠藤浩一、小田村四郎、加瀬英明、河内屋蒼湖堂、小堀桂一郎、名越二荒之助、西尾幹ニ、西村幸祐、平田文昭、宮崎正弘、三輪和雄、百地章ほか。(50音順)

【共催】全国地方議員1000名日本大勉強会実行委員会、神奈川草莽議員の会、日本政策研究センター、日本世論の会、建て直そう日本・女性塾、新日本協議会、英霊にこたえる会、皇位の正統な継承の堅持を求める会、誇りある日本をつくる会、人権擁護法案に反対する地方議員の会、靖国神社へ参拝する全国地方議員の会、(社)国民文化研究会、チャンネル桜草莽会、三遷の会、日本文化チャンネル桜社員同志会ほか。

【後援】 皇室典範問題研究会。

【報道】衛星放送スカパー!767ch「日本文化チャンネル桜」、インターネット「チャンネル桜オンラインTV」ほか。

【連絡先】 全国地方議員1000名日本大勉強会事務局
        電話:03-6419-3825  FAX:03-6419-3826
        E-mail soumou@ch-sakura.jp
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