中国の東シナ海進出は止まらない(三)

VOICE6月号 特集「中国の脅威」は本物か より

「海への野心」で膨張する大国に日本は何ができるか

平松茂雄
西尾幹二

___________

自衛隊は攻撃できるのか
___________

西尾 現実問題として、日本が試掘中の東シナ海のガス田に中国の船が接近し、妨害したり発砲したりしようとしたら、自衛隊は何ができるのでしょう。

平松 残念ながら何もできないでしょう。その件について関係省庁の人たちと話したことがあるのですが、彼らの返事は「どのような船が来るかによって対応が違います」というものでした。公船と民間船で違うし、公船でも軍艦とそうでない船では違うと。

 しかし中国では公船も民間船も区別がありません。漁船に見せ掛けた軍関係の船も多く存在するのです。「そう考えなければいけませんよ」と忠告したのですが、あまり理解している様子ではなかった。非常に不安です。

西尾 現在の中国は、明治以降、昭和前期までの日本のように強いナショナリズムが横溢しています。一方の日本は、かつての清朝のようにぼんやししている。立場が逆になっている。いまの中国はどのような技術も軍事に転用しているようです。かつての日本もそうでした。

 JR東海の葛西敬之会長から聞いた話ですが、超電導磁気浮上鉄道(リニアモーターカー)の実験を、JR東海はすでに成功させている。この鉄道の特徴は、最高時速に達するまでの距離が非常に短いことで、スタートしてわずか8.5キロで580キロに達します。そして同じ距離でゼロに戻る。これはまさにロケットの発射台に転用できる技術で、中国が狙っている。

 日本は急いで実用化し、第二東海道新幹線というかたちにしておけば、いざというとき軍事用に転用できます。それなのに、第二東海道新幹線構想は棚上げになっているのです。せっかく開発した最先端技術がありながら、国が戦略的に動こうとしない。軍事はもとより、民間ですら使われずにいる。非常にもったいない話です。

 先日、広島県呉市にある海事歴史博物館「大和ミュージアム」に行きました。戦艦大和の模型など、大規模な展示があり、大和の技術が戦後、さまざまな平和利用につながったという話もそこで聞きました。軍艦が民間の平和な技術開発に役立ったという一種の弁明ですが、もちろん当時は平和利用を目的として造ったのではありません。国を挙げて、ありとあらゆる技術を軍事に集中し、最強の軍艦をつくろうとしたのです。それがやがて戦後になって民間の技術に転用され、日本を経済大国にする一助になった。そしていまでは、逆に民間の技術も軍事用に転換され国防を担う。これが技術のあるべき姿だと思うのですが、日本はどこまでそうなっているでしょうか。

 軍事評論家の江畑謙介さんによると、光を使った兵器というのは、日本がもっている民間技術を使えば容易にできるそうです。ところが純科学的な研究を行なっているだけで、軍事的な領域につなげていない。自衛隊ですら危機感がないようですから、一般の技術者がそのような意識をもつはずがありませんね。

 戦艦大和は主砲がほとんど火を噴くことなく、九州と沖縄のあいだの海域で沈没しました。なぜこれをガダルカナルへもっていって、真っ先に使わなかったのか残念でなりません。戦争末期になって、航空機の護衛もない裸で、自爆覚悟の特攻隊として沖縄戦にむざむざ向かわせた。むなしい巨艦の最後でした。もっと早い時期に投入していたら、戦局はずいぶん変わったはずです。兵も技術も優秀なのにまさに「将官に人なき」で、同じようにいまもリニアモーターカーをいたずらに死なせてしまっている。「政治家に人なき」ということなんでしょうね。

平松 逆に中国はレベルが低くても、こつこつとやっているうちにだんだん技術レベルが上がってきた。これは国家が総力を挙げて、軍事に集中したからです。

つづく

「中国の東シナ海進出は止まらない(三)」への35件のフィードバック

  1. 【国益に鈍な日本人】 【あと何人いれば良いのか?】

    葛西敬之JR東海会長は立派なお方。

    【・・・いうまでもなくこれは軍事転用が可能である。ロケットの瞬発力に威力を加えることに役立つ。中国が関心をもつのは新幹線自体ではなく、この超電導リニアの技術であって、朱鎔基首相が試乗し、何とか中国に導入を図ろうと働きかけてきた。葛西社長がJR東海は民間企業であって政府の指示は受け入れないとつっぱね、民間の企業秘密を外国に漏らす理由はないと公言した。】数少ない立派な日本男児。

    【日本の天才坂村健氏が生んだトロンなどという技術体系の、アメリカという世界最大の消費地への進出を阻んだのは日本の通産省であり担当の大臣だった。幸いこの技術はトヨタのエンジン管理への意欲の元に復活し、携帯電話の普及とあいまって普遍発展したが、これを見殺しにしたのが他ならぬ日本の行政機関だったというのは、多分他の国では有り得ぬことに違いない。】(石原慎太郎氏の言)

    自国の科学者の素晴らしい発明発見を米国に遠慮して、みすみす国益を逃した政治家。この方はアンチ国益の方だったのか。総理大臣にもなられた方だけど。

    拉致問題に真剣に取り組んでこられた政治家は、本物の政治家。なんと言っても国家観をきちっとお持ちです。孤独に強く太巻きにはならない戦士。

    日本国政府って何なんだろうってない頭で考えることがある。
    あまりにもアンチが多くない?
    男女共同参画会議、ジェンダーフリーと戦う山谷えり子さん。
    国会中継で 名取はにわ(女史)局長の「故意ボキャ貧意味不明」の答弁にも切れずにさすが人格者の風格で、戦っていた山谷えりこお母さん。
    昭和天皇が学ばれた歴史書を読む、読書家。

    マザーテレサの言葉
    【 私は、なぜ男性と女性が全く同じであり、男女の間の素晴らしい違いを否定する人たちがいるのか理解できません。】

    拉致問題での警察の偉い人の国会の答弁は国賊みたいだし(北朝鮮の人みたいだし)。
    国内の敵と闘わなければならないこの惨めさ。何故!!!

    だから西村眞吾氏、平沼赳夫氏、中川昭一氏、はついて行くに値する日本男児。
    外国の顔色を見る前に自分の頭で日本国を考える政治家。
    この人たちのような政治家があと何人いれば、良いのか?
     
    上記の方々のHPはご自分の言葉できっちり書いておられます。
    私は自分の言葉で自分の考えをきちっと書ける人が好きです。

    中川昭一氏のHPない。きっと、一日の仕事が終わったら大好きなお酒を飲んで一日を終えられるのでしょう。カッコつけないのがいいですね。

    てっくさんの影響で、麻生太郎氏のHPを見るようになった。いいです! ご自分の言葉できっちり書いておられました。楽しいHP。

    安部晋三氏のは最新式だかなんだか分からないが私には使いこなせない。
    写真ばかりで女性週刊誌をイメージしてしまいがっかり。
    ご自分の言葉で私たちに語って欲しい。きっとブレーンが良くないのでしょう。

     
    【西村眞吾氏のHPより】。

    「拉致問題での皇后陛下のお言葉」

    「何故、私たち皆が自分達共同社会の出来事として、この人々の不在をもっと強く意識し続けることが出来なかったかとの思いを消すことができません・・・」

    また、天皇皇后両陛下は、イギリスを訪問されたが、これに先立ッて、橋本総理はイギリス大衆紙に日本軍によるイギリス軍捕虜虐待の謝罪文を送っていた。しかし、イギリスこそ、日本兵に対して極めて残虐で執拗な虐待をしていたのである。
     私は、このことをイギリス軍の捕虜になった経験をつづった会田雄次氏の「アーロン収容所」を引用して予算委員会で橋本氏に糾したことがあった。
     案の定、総理の謝罪でいい気になった日本軍の捕虜になった元イギリス兵は、イギリス訪問中の両陛下の通る沿道に背を向けて整列して抗議をした。
     その際、皇后陛下は、次の御歌を詠まれた。
     
     「英国にて元捕虜の激しき抗議を受けし折、かつて『虜囚』の身となりしわが国人の上もしきりと思われて」
     
    「語らざる 悲しみ持てる 人あらむ 
              母国は青き 梅実る頃」

    【山谷えり子氏のHPより】

    「傷痍軍人の歌」

    父親の弱き身体を思いてか 進学止めし 吾子に泪す

    殺さずば 殺さるるべき 戦いぞ 何故に今更 獣兵とは呼ぶ

    「少年院生の歌」

    父からの手紙読むたびむせ返し 嫌でもみつめる 過去の自分を

    母なしで生きていけぬ 俺だから もう泣かせない 泣き虫母ちゃん

    (ここまで引用)

    心打ついい歌のあとにもう一つ書きたいことを持つ私。

    拉致の家族に会わなかった小泉首相の言。
    「会うと心がブレる」(というようなことだったと思う)
    私はこの時この男はダメだと思った。 貴方の心、今使わなかったらいつ使うのですか?何のためにあるのですか?
    この日のためにブレて欲しかった。
    ご家族の心を貰って、拉致問題に望んで欲しかった。

    観劇、映画、プレスリーの博物館(?)へ行ってもこの男の心はなぁ~んにも変らない。人のために使う心? どこにあるの?

  2. 憲法は、第2章(第9条)と前文の破棄(削除)を目指すべきだ。

    ≪問題は、北朝鮮のミサイル基地に自ら軍事攻撃を加えるというような可能性がこの国でははなから考えられていないことなのだ。(注・9日麻生外相と額賀防衛庁長官がやっと敵基地攻撃の可能性を憲法のゆるす範囲で検討すべきだと重い口を開いた。)基本的にはアメリカだのみだが、ご覧の通りアメリカの対応も鈍い。日本が本気でないのだから、アメリカもほどほどに手を抜いているようにしか見えない。……
     出てくる話といえば経済制裁と国連安保理への提訴である。……
     勿論、経済制裁も国連安保理への提訴も大切だ。物事の順序としてそれはそれで仕方がない。だが、軍事力行使が構えとして最後にあって、いつでも発動できる用意ができていて、その上での経済制裁でなくては効果がないし、その上での国連安保理の利用でなければ国際的効力も期待できないだろう。≫(7月9日「北朝鮮を利用せよ」)
    ≪こわいのは北朝鮮のミサイルではない。中国の核攻撃力である。核を振りかざした政治的影響力、日本への無理難題の押しつけである。
     それをはね返すには、安倍氏よ、北朝鮮のミサイルの脅威をぜひとも上手に利用してもらいたい。北朝鮮がいいことをいいときにやってくれたと日本人が後で思えるように巧妙に立回ってほしい。
     本当の脅威は中国である。≫(同上)

     上記、西尾先生の言われることに全く同感です。
     しかし、先生の、安倍氏に対する、次の呼びかけには同意できません。

    ≪この機に憲法九条二項の削除を断行してもらいたい。……
     そうすれば地対地ミサイルを配備できるし、長距離戦略爆撃機を用意できる。すぐ使えというのではない。攻撃力を使える状態にしておかなければ、安倍氏が提案しつづけてきた経済制裁も安保理提訴も絵に描いた餅に終わるだろう。
     憲法改正に時間をかけている暇はない。九条二項の削除だけを大急ぎで国民投票にかけるべきである。≫(同上)

     かつて先生は、防衛=軍事上の問題は、憲法の問題ではない、と言われていたと思います。
     それを私なりに解釈すれば、憲法(第九条)による精神的縛りからの解放が先決であって、条文の規定による縛りの問題ではない、と言うことであろうと推察いたします。
     そのような観点にたつとき、九条2項の削除をもって、政治家・官僚の、広く日本人の、国防=軍事に対する判断に際しての精神的呪縛から脱却できるであろうか、と言うことです。
     
     私は、一部にかなり根強く「2項」削除論が存在していることは承知しています。
     特に「郵政選挙」によって与党が衆議院の3分の2以上を獲得し、民主党の前原代表が登場したときはその絶好のチャンスだった、などの意見もあります。しかし、敢えて言えば、そのような、「低位な現実主義」が、却って改憲を困難にするものと考えます。
     九条全体の削除を目指す運動が、ある段階で「2項」のみの削除なら国会の3分の2以上の賛成を得られる状況を作り出すことがあるかも知れない。そのときに、
     ① 「2項」の削除が、九条全体の削除の第一歩となりうる場合。
     ② 「2項」の削除が、九条1項の永久化に繋がる場合。
    が考えられます。①の場合は、2項削除を支持すべきでしょうが、②の場合は見送るべきであると考えます。(最初から、「2項」のみ削除を主張していれば、結局②の結果にしかならないだろうと思います。)

     さて、以上に述べたことについて、憲法の条文に関わる根拠のあらましを以下に記します。

     憲法第九条第1項の要点。
     (解釈-1)
     [国際紛争解決の手段として]次のことを放棄する。
      ① 国権の発動としての戦争。
    ② 武力による威嚇・武力の行使。
     
     (解釈-2)
      次のことを放棄する。
    ① 国権の発動としての戦争
    ② 国際紛争解決の手段として武力による威嚇・武力の行使。

    上記、2つの解釈の内、(解釈-1)のほうが通常の(順当な)解釈と言えるであろう。(解釈-2)によれば、「国権の発動としての戦争の放棄」は無条件のものとなり、「自衛戦争」も放棄したものと解釈せざるを得なくなる。但し、マッカーサー原案の規定は、(解釈-2)を採るしかないものであった。(現行条文の英訳文をみてもそのように読める。)

    <参考> マッカーサー原案第八条(1項)国民ノ一主権トシテノ戦争ハ之ヲ廃止ス他ノ国民トノ紛争解決ノ手段トシテノ武力ノ威嚇又ハ使用ハ永久ニ之ヲ廃棄ス

    <参考2> 現行九条1項 日本国民は……国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
    同上英訳 ……the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes.(講談社学術文庫より)

     憲法第九条2項の要点。
      ① 陸海空軍その他の戦力の不保持。
      ② 国の交戦権の否認。

     「芦田修正」として知られる2項冒頭の「前項の目的を達成するために」の一句によって、「自衛のための軍隊」の保持は認められる、と解釈するのが通説とされる。しかし、仮に「芦田修正」の一句があろうとなかろうと、占領下において警察予備隊が置かれ、それが保安隊、自衛隊へと発展したのであって、結局は「自衛のための軍隊」の保持は許される、と言う解釈に落ち着いたものと思われる。(そうする外に仕方がなかったろう。)

     そこで今、「2項」が削除されたとすればどうなるか。
     「芦田修正」という捩れた解釈に依らずとも自衛隊が「合法化」できること以上のメリットとして最大のものは、「国の交戦権」が認められることであろう。実に「国の交戦権の否認」こそ、1項の「国権の発動としての戦争の放棄」と相俟って、自衛権の意義を「正当防衛権」に限定する根拠に他ならないからである。従って、「自衛戦争」に関する限り、堂々と「国の交戦権」を主張して戦えることになる意義は大きい。所謂「集団的自衛権」は、「保持するが行使できない」、といった珍妙な解釈からも脱却できるかも知れない。

     にもかかわらず、「2項」の削除だけでは、現状の既成事実の追認から大きく抜け出すことは困難であろう。何故ならば、1項によって「国権の発動」が制限され、自衛権の解釈が束縛されているからである。

     第九条1項は、ケロッグ=ブリアン条約(1928年、日本は翌昭和4年批准。以下、「パリ協定」という。)の条項を受けたものであると、一般に理解されている、と言ってよいであろう。だから、1項に特に問題はない、とされるのであるが、私は逆に、だからこそ問題である、と言いたい。

     パリ協定は、
     ① 国際紛争解決のために戦争に訴えることを非し、政策手段としての戦争を放棄すること。
     ② 国際紛争は平和的手段で解決すること。
    を規定しているが、周知の通り、各国の自衛戦争の権利を認め、かつ、自衛戦争の定義は各国の解釈に委ねたのである。

     例えば、今、我が国を取り巻く以下の諸問題は、自衛権行使に関わることであろうか、それとも国際紛争と捉えるべきものであろうか。
     ① 北朝鮮のミサイル発射に対する対応。
     ② 韓国の我が国EEZ内に於ける「無許可調査」の実力阻止。
     ③ 我が国領空侵犯機に対する威嚇射撃。
     ④ 領海侵犯艦船に対する威嚇射撃。
     ⑤ 竹島不法占拠に対する実力排除。
     ⑥ ……

     これらが、「国際紛争」(二国間の紛争)の範疇に属することは否定できないだろう。けれどもパリ協定によれば、これらを自衛権の行使と解釈することが可能である。従って、もし九条1項をパリ協定の規定と同様のものと解するならば、同様に自衛権の行使と認められることになる。
     ところが、国際協定に基づく解釈ならば、全く「主権的」に自由な解釈が可能である事柄が、一旦最高法規たる憲法の規定に基づくとなるや、特定の状況、国家的政策=国防戦略・外交交渉等に応じて自由に判断し決定すべき場合において、先ず「憲法に合致するか否か」という「法解釈」の問題=「神学論争」から出発せざるを得ない状態に陥ってしまうのである。
     
     また、パリ協定は「政策としての」戦争放棄であるのにに対して、九条は「国権の発動としての」戦争放棄であって、これが主権制限条項であることは明らかである。

     また、九条の背景に、日本はナチス・ドイツと同様の侵略戦争を行った、との戦争観・歴史観があることは言うまでもない。九条の規定がその歴史観を定着させる役割を果たしてきた。

     以上により、外交力の基礎としての軍事力を堂々と保持するためには、「2項」だけの削除ではなく、九条全体、つまり第二章を、前文と共に廃棄することが不可欠である。
     「2項」だけならば比較的容易に削除できそうなところに、わざわざ高度で困難な問題を持ち出しているように思われるかも知れない。しかし、与野党及び保守論壇において、以上のような主張がほとんど聞かれないことの方が、むしろ不思議でならない。

  3. 私の次の書込みが無視されたようです。

    ボツにされたかどうかできればお答えください。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    カネを考えない机上の空論?

    西尾さんは、リニアモータカーの技術のなかにロケット発射に転用できるものがあり、

    【日本は急いで実用化し、第二東海道新幹線というかたちにしておけば、いざというとき軍事用に転用できます。それなのに、第二東海道新幹線構想は棚上げになっているのです。せっかく開発した最先端技術がありながら、国が戦略的に動こうとしない。軍事はもとより、民間ですら使われずにいる。非常にもったいない話です。】

    と述べている。

    鉄道用地があって、そこへ敷設するだけというのならカネはかなり少なくて済むだろう。

    しかし、日本では土地の買収でものすごくカネと手間がかかる。

    さらに山岳地帯、河川が多い。

    トンネル、鉄橋には膨大な金がかかる。

    日本は今そんな財政的余裕はないのだ。

    どうやらこの先生には経済観念というものがないらしい。

    カネがなくてなんとして鉄道を敷くのだろう。

    戦艦大和だってそうだ。

    私も先日「大和ミュージアム」を見学したが、あそこには「技術」が自慢されていたが、カネはどうだったというのだろう。

    戦前は軍事費、特に軍艦の建造で国家予算はかなり歪んでいたのだ。

    カネがすべてではないが、カネを無視しては何もできない。

    先の小泉改革に対する評価といい、今回といい、どうも経済観念に乏しい議論が多いようだ。

  4. レベッカさん

    西尾先生の7月15日の公演内容をお届けくださり、ありがとうございました。
    またお知らせの程よろしくお願いします。

    死ぬまでに一度、西尾先生の講演を生で拝聴したいと思っている私です。息子は一度拝聴してきました。 

  5. ≪ ①日本は今そんな財政的余裕はないのだ。
      ②どうやらこの先生には経済観念というものがないらしい。≫

     ①を言うのは宜しい。その考えが正しいかどうかは別として、それは貴方の考えである。そして「世の中」の「常識」だからだ。
     つまり、貴方の考えは、世の中多数の考え方に従っているだけだ。
     それだけのことで、②「この先生には経済観念というものがない」などと言うのは傲慢で生意気というものである。

     国家の借金が700兆円を超えて、国民一人あたり600万円の借金だという。但し、一人平均のことを言えば、反対に600万円国家に貸しがある、と言うことでもある。
     国家の財政危機を言う人は、後者のことを言わないのである。

     国家財政に問題があることは事実だが、それは国家財政の「破綻」を意味するものではないし、必ずしも日本経済の弱さを意味しているわけでもない。
     国家には、日本経済の再建(その一環に財政再建も含まれる。)のために打つべき様々な手があるにも拘わらず、それらが無視されているのである。

     経済の病は、様々なイデオロギー上の問題であり、それは外交・防衛問題におけるイデオロギー上の病よりもさらに重態である。そのような大問題の内、ここで問題になっているのは、そのうちの一つ、「財政再建至上主義」という病なのである。

     財政赤字が最大問題になっているのは、必ずしも国民経済全体にとってではなく、国の会計と出納を担当している財務省にとって、なのである。「財政再建至上主義」とは、国民経済の再建を財務省の都合に従属させるイデオロギーに過ぎない。

     因みに、東京大阪間のリニアモーターカーの建設費は8兆円程だそうである。日本のGDPの約1.5%、それほどびっくりする額ではないのだ。

     以上のように決め付ければ、さぞかし文句や反論もあろう。だが、それは、

     ≪まずどうやらこの先生には経済観念というものがないらしい。≫

    などという、無礼な決めつけを取り消してからにして頂きたい。
     

  6. 西尾さんの議論は「軍事にいつでも転用できるようにするため、
    リニア鉄道を建設すべきだ」ということであった。
    ロケット発射台に利用できる技術ならば、実験線だけでよいではないか。
    どうして東京-大阪間を走らせなければならないのか。

    これは無駄というものである。
    「財政再建至上主義」は病である、というのも一種のイデオロギーで、
    無駄な支出を減らすというのがどうして病なのか。

    今まで無駄な支出が多すぎた。
    一例を挙げれば、本四架橋が3つも出来たことだ。
    いずれも膨大な建設費をかけ、しかも大赤字である。
    リニア鉄道もこの類ではないか、というのが私の主張である。

  7. 小泉首相の評論をするなら、私ならこういう論立てをするけれど。

    小泉首相の経済改革に関して言うと一般的に評価されたのは銀行の不良債権の問題だろう。確かに銀行の不良債権の問題は産業の潤滑油が滞ることだから大事なことだけど、それがブレーンも含めて首相の手腕であったかどうか私は疑っている。誰か知っている方がいたら教えてほしい。この不良債権の処理はこれこれの理由で小泉首相の成果であったということを。

    首相のやろうとしたことは日本の米国化であって、彼が保守主義であるかどうかも疑問がある。日本が米国の植民地になればいいという若者の意見があるそうだけど、米国の影響の強さと何でも米国化すればいいという首相が保守主義政党から出現したからにはまずますその傾向が強くなるだろうし、逆にぶり返しで小泉首相の退陣後色々な批判が出てくるだろう。

    保守主義は伝統に生きるとか制度や規範を過去にならうという意味もあるけど、日本の歴史を見ると結局伝統の本質を生かしながら時代に常に対応しようとした動きが成功を収めている。いわば温故知新型の創造性発揮とでもいうのだろうか。

    しかし小泉首相のやろうとしたことは不良債権問題の評価は別にしてまるで戦後に米国に負けたトラウマかどうか知らないが、経営制度を米国流に経営コンサルタントと称する人間に教わって、歴史のある会社を崩壊させてきた若手経営者の言動を思い出してならない。

    私ならまず日本の歴史の中から理想系を探すけど。おそらく多くの人間が賛成してくれると思うけど、そしてその一人として国立銀行を創設した渋沢栄一をあげるだろう。

    彼のすごいのは「算盤と儒教」の両刀使いであった点。または「道徳経済合一主義」ともいわれている。「算盤」は経済の重視であり、「儒教」は倫理の重視になる。このどちらも必要なことであって、どっちか一方ではかならず矛盾を生じる。倫理だけを重視すればそれは武家の商法になり、算盤だけを重視すればそれはホリエモンや村上ファンドになる。

    この「算盤と儒教」という考え方以外にも渋沢栄一が実践したことは数多くある。
    ざっとランダムに指摘すると
    ①彼は愛国者であったこと。
    ②訪欧使節団に参加して、商人が軍人と同等の地位を持っていることに気づく。
    ③新しい産業の担い手として武士を積極的に採用(”武士道即実業道”)。
    ④商業の公益性の重視。利益の社会への還元を目指す。

    ④の意味は渋沢の「利益を度外視した事業などありえない。しかし利益に重点を置きすぎると、利益の分け前に預かろうとして、多くの資本が寄せられ、社会の利益と対立するようになります」と力説。そして、「私は、この株は高騰するに違いないなどと考えて株を持ったことは一度も無い」という言葉によります。

    さて小泉首相が諸手をあげて支援した人間はホリエモンです。彼が渋沢の①から④だけでみても評価に値する日本人かどうかは強い疑問があります。

  8. vagabondさんは経済に堪能なんですね。
    私なんか営利企業に勤めていますが、どうして極度に範囲の狭い弊社の場合でさえどうして景気がいいのかいまだに判断できません。弊社の場合は社員の精神が重要なことはある事由でわかっていますが。

    リニヤ鉄道といえば、そういえば東京オリンピックを目指して東京大阪間に新幹線が引かれました。当時のマスメディア論調は「万里の長城」「戦艦大和」「新幹線」の三大バカ建設という空気でありました。

    「万里の長城」が役には立たなかったのは結局「泥棒を捕らえてみればわが子かな」と同じで、外部による侵略より内部に原因があったのでしょうし、「戦艦大和」も米国が本格的な侵攻作戦を開始したのは機動部隊を護衛する高速戦艦艦隊の建設が出来てからです。あくまでも私の個人的意見ですが、日本はここぞというときに目的の集中化が出来ず、適材適所での運用にミスがあったのかもしれません。少なくとも開戦よりもう少し早い時期に大和級を複数作って、公開していれば英国や米国に対する脅しにはなっていたでしょう。

    vagabondさんにはぜひ教えてほしいのだけど、どうして当時新幹線が「三大バカ建設の一つ」と揶揄されたのか、そしてその揶揄がどうして間違えていたのかを。

    新幹線は鉄道技術的に見るとあれは日本独自の技術だそうで従来の鉄道が先頭に動力車を置いて、運行していたのが各車両に動力機器を導入して高速運転を図るという形式に変えた点は新規性だと鉄道ファンから聞いたことがあります。私は鉄道ファンでないから間違いがあると思いますが、違っていたら教えてください。
    そして現在東京大阪間だけでなく、多くの東京から地方都市の航空旅客が新幹線に変わっています。おどろくべきは新幹線開業から人身事故がないことで、それもまるで東京の山手線なみとはいいませんが、東海道通勤線に近いダイヤグラムで高速運送がなされているわけです。こういう実績を海外が見てヨーロッパでは新幹線形の高速鉄道網が引かれ(それも30分に1本程度のものです)、世界に広がったわけです。

    開業当時の三大バカの空気なんかどこへいってしまったのでしょう。

    リニヤーモーターカー運転で東京・奈良・大阪間が1時間で接続できたら、大きな国際的なハブ空港が弱体なのが日本の弱みであるといわれていますから、リニヤとの組み合わせで新しい社会変化が起きる可能性があります。もっとも航空機の離陸速度以上の高速運転する車両ですから、翼をつければ飛んでしまうのでしょうから怖いからこそ実験線だけでは最終的な判断は出来ないでしょう。後は従来の新幹線が老朽化していますから、定期的な保守が必要でしょうし、一番老朽化しているのは東京大阪間でしょうから、その代替という意味でもリニヤは意味がないわけじゃない。地震対策はリニヤの場合はどうなのでしょう。

    応用技術は現場で使われないと質は向上しません。また日本人は新規開発より改良研究が得意ですからそういう点でも実本線を引くのは悪い手じゃないでしょう。旧国鉄の技術陣の精神をつないでいる技術者集団は必ずやりとげると思いますよ。

    経済から考えると一番効果があるのは戦争だそうですな。戦争がいやな場合は大人数で大きな穴を掘ってそこに現金を埋めて、それを皆で掘り返すという産業を興すのだそうです。これなんかは典型的な無駄といえば無駄でしょう。でも景気回復の起爆剤にはなりうるわけです。仮にリニヤが無駄な投資であっても経済効果はあるでしょう。

  9. 松井さん、
    初めてあなたの判りやすい文章に出会いました。
    文はこうあってほしいですな。

    vagabondさんは経済に堪能なんですね、といわれると恥ずかしいしだいです。
    そんなに簡単に分かるわけないでしょう。

    —-

    1.「三大バカ建設」として、松井さんは「万里の長城」、「戦艦大和」、「新幹線」を挙げています。
    「万里の長城」、「戦艦大和」はその通りですが「新幹線」は初耳です。
    通常は「ピラミッド」ではないでしょうか。
    最近の研究ではピラミッドも決して「バカ」ではなかったらしいですね。

    新幹線もはじめはバカにされたが、見当違いもいいところだ。だから、リニア新幹線についても同様、
    今仮にバカにされても将来はきっとありがたがられるだろう・・・
    そういう理屈を言って貰っても困ります。

    なぜ新幹線が揶揄されたか聞かれても私には分かりません。

    2.実験線か、実用線か。
    松井さんは【応用技術は現場で使われないと質は向上しません。】と言われますが、
    これはリニア新幹線そのものの技術に関しての話でしょう。

    元の話を思い出してください。
    西尾さんは【・・スタートしてわずか8.5キロで580キロに達します。そして同じ距離でゼロに戻る。
    これはまさにロケットの発射台に転用できる技術で、中国が狙っている。
    ・・日本は急いで実用化し、第二東海道新幹線というかたちにしておけば、
    いざというとき軍事用に転用できます。】
    といっています。

    何か新幹線を作っておけばそこからロケットが発射できるかのような話ですが、できるわけありません。
    「使われた技術」であって新幹線そのものではありません。
    技術だけなら実験線で十分だろうと私は書いたのです。

    3.リニア新幹線は必要か。
    全く関係ない話ですが、この件について私の意見を述べます。
    簡単です。
    あればいいに決まっているが、要は、カネとのかかわりだ、ということです。
    私が乗るときは、東京-名古屋間はいつも満席ですから、
    「新」新幹線の必要性は理解しているつもりですが、カネを考え無理だろうと思います。

    東埼玉人さんへ、

    あなたは、
    【国家の借金が700兆円を超えて、国民一人あたり600万円の借金だという。
    但し、一人平均のことを言えば、反対に600万円国家に貸しがある、
    と言うことでもある。】
    と言われますが、so what だからどうだっていうのですか。

    国民一人ひとりが、国に対する債権をチャラにすれば万事解決です。
    そんなことあるわけない・・。

  10. vagabond氏よ
     問題をすり替えるな。
     君の主張していることは、世の中大多数の誰でもが言っていること(但しマスコミでもてはやされている限りで、ということだが、)そのオウム返しに過ぎない。その程度の認識で、人のことを「カネを考えない空論」などと生意気な決めつけをするな、と言ったのである。
     国の借金に対する国民の貸借の問題は、問題の多面性の一例としてあげたのであって、それがどうしたとは何事か。君自身がよく考えて見よ。(おそらく考える力もあるまいが。)
     間違っても、経済問題の議論の相手になりうるなどと、思い上がってもらっては困る。
     それにしても、松井氏ともあろうお方が、何故vagabond氏が「経済に詳しい」などと戯れ言を言われるのか、理解に苦しむ。

  11. 東埼玉人さん、
    松井さんが「(vagabond は)経済に詳しい」と言ったのは皮肉であることくらい、
    賢明なあなたが分からないはずはないでしょう。

    国の多額の債務がどういう影響を及ぼすか、が最も大切です。

    バブルの崩壊による企業(特に建設業関係、金融機関など)への直接・間接の財政支出が
    この天文学的な債務を生んだわけで、リチャード・クー氏は「この財政支出は必要だった。なければ日本経済はもっと悲惨な状況だっただろう」
    と述べていましたが、多分そうだろうと私は思います。

    しかし問題はこれからです。
    財務省の「エゴ」ではなく、財政再建を図らなければならない。
    なぜなら、80兆円の一般会計予算が今後税収で大きく膨らむことはまずありえない。
    しかし一方で、支出の部分「国債費=債務返済(16兆ほどでしたか?)」
    の割合がどんどんと増えていくでしょう。
    またゼロ金利解除で、国債の利子が上昇する恐れもある。

    今後予算編成がだんだん難しくなることは明らかで、要するに
    無駄な出費をなくす、減らすことがきわめて重要な課題です。
    大多数の国民の思っていることを述べることが何故「生意気」なのか、理解に苦しみます。

  12. vagabond氏よ

     むなしいが、繰り返す。
     財政再建第一・小泉改革は立派。こういう主張をするのは結構。ただ、その主張は、マスコミその他、至る所で繰りかえされている。だからといって、それが絶対なのではない。それに反対する見解は、少数派ながら立派に存在する。
     このブログの先生も多数派世論には懐疑的である。勿論、君がそれに反論するのは結構だ。だが、多数派の尻馬に乗って、まるで少数派であるが故に誤りであると言わんばかりに、

     ≪カネを考えない机上の空論?≫
     ≪どうやらこの先生には経済観念というものがないらしい。
     ≪先の小泉改革に対する評価といい、今回といい、どうも経済観念に乏しい議論が多いようだ。≫

    などと決め付けるのは、正当な議論や批判ではなく、人をバカにし貶めるものである。そして、君の愚かさと傲慢さをさらけ出し、このブログの品位を汚しているのである。

  13. 私が多数派の尻馬に乗って「財政再建」を主張している、ということこそ失礼ではありませんか。

    多数派であろうとなかろうと、財政再建は必要です。
    「ロケットへの応用のために300kmものリニア新幹線を」という西尾さんの意見は、
    まさしく、経済(財政)観念の欠如ではありませんか。

    勘違いをしないで下さい。
    「リニア新幹線は、どれだけ金がかかろうと必要だ」というのなら、また別の議論になります。

  14. さて相変わらずですね。話が途中でずれてゆくのも相変わらずだし*****。一般的に話がずれるのは自分で考えたものじゃない場合が多いのです。何となくわかったつもりになって書いていても実際には空気を吸って判断をしている場合が多いですな。自分で総合的に意味を考えないでいるから立脚点がずれてゆくのです。こういう議論は拡散するばかりです。

    そこで考えたのですが、では土俵を揃えましょう。

    私は経済は重要だけど国家の施策は政治経済文化の広範囲にわたるべきであって、物事は経済合理性だけでは判断できないという立場にいます。具体的に現在私の底にある問題意識の一つは中国とこれから数十年に亘る長期戦を闘わなければいけないという点です。その中の一環としての経済なんですね。そういう意味では西尾先生がリニヤという例題で話をされたのは意義があると判断しています。そして今回は述べませんが付加価値の点からもリニヤ技術は検討してみる余地があると考えています。

    (中国の覇権主義と大中華主義)
    最近でも「南京大虐殺」の映画が三本作られたという情報がありましたが、私はあれは国内向けじゃなくて中国が手を広げようとしている東南アジアや同様のイスラム世界に向けて作成したんじゃないかと疑っています。中国本土での国民教育である意味で大成功を収めましたし、それを日本と友好関係のある諸国で同じことをやろうとしているという疑いを私はぬぐいきれません。もっとも日本政府もおかしいのですよね。東南アジアの国を舞台にして国費で学者を派遣して、その学者が何とか旧日本軍の悪行を暴くことを使命としているのだから、そういう土台があればますます中国の反日施策は成功するでしょう。
    まあ中国は大中華主義に従って、台湾、ベトナム、モンゴル、沖縄などを本来は中華の傘下であると考えて覇権を争うでしょう。沖縄も薩摩と中国との二国支配を受けていましたし、日本でさえ室町幕府が臣下の礼を取っていたそうですから、理屈は幾らでも付けられます。

    (中国は付加価値の低いものを国際分業でやっている)
    スマイルカーブという言葉があります。もともとはコンピュータなどの電子機器の付加価値を開発・試作段階、部品組立段階、アフターサービス段階というステップを置いてみると開発・試作段階やアフターサービス段階が付加価値が高く、中間の部品組立段階が一番付加価値が低い現象をいいます。ちょうど絵文字の笑い顔 :) の口に相当する部分が笑顔に似ているからなのだそうです。後は銀行や証券会社などの競争もありますけど、まあそれを言い出すととんでもないことになりそうなので今回はやめておきます。

    中国の品目別の貿易を診ると原材料の輸入より部品や半製品の輸入が多いのがわかります。そういう目で見ると中国は付加価値が高くない労働集約型ところで競争をしているわけです。そして競争者はインドだけでなく東欧諸国にも発生していますし、アフリカ諸国にも競争者は生まれるでしょう。

    そしてスマイルカーブでみると中国は川上や川下の付加価値が高い部分は国際分業ではやっていないわけです。中国貿易輸出の55%が加工品であり、川上(研究開発、主要部品の生産)と川下(販売、アフターサービス)は中国が手を出せません。WEBであった資料で付加価値の構成を国別に仕分けたものがありましたが、米国が付加価値の50%を占め、中国自体は10から20%程度のようです。
    付加価値が高いのは武器なんかは典型ですから米国やフランスやロシヤやスエーデンは武器輸出を止められないでしょうし、中国自身がますます武器輸出に力を注ぐでしょう。

    (海外資源への探索)
    米国の情報では中国は石油の輸入先を多元化しているようです。中近東だけでなく米大陸で考えてもカナダや南米の産油国と提携して太平洋経由で石油の供給を受けるようになっています。太平洋ルートが生じると目の上のたんこぶは日本です。

    (国民の格差の拡大・地域格差の拡大)
    国民格差は米国より大きいという調査結果が出ています。中国に対する人権外交というのは中国の国民格差や地域格差や公害問題を考えても有効な手立てだと思います。日本は中国に内政干渉をされていますから、逆に内政干渉をしてやったらいいのです。

    (中国に於ける公害問題)
    これは戦後の日本どころの話ではないようです。水、空気の両者に渡り汚染が広がり、本当かどうか知りませんが中国の指導層は自国生産の野菜は食べないという噂もあります。

    これらの中国の弱点を考えてみると色々な経済施策が考えられます。もっとも日本はトロンの開発で米国を刺激するからと妨害した官僚組織があると聞きますから、考えてもむなしい気もしますが。

  15. 久々にコメント欄を覗いてみたら・・・なにやら香ばしい主張が(笑)

    バガボンドさんって数学のセンセじゃなかったんでしょうか?

    統計数字、ちゃんと見てますか?

    ご自分で、論理破綻してますぜ、ダンナ

    http://nishiokanji.com/blog/2006/07/post_354.html#c3917

    カネがすべてではないが、カネを無視しては何もできない。

    先の小泉改革に対する評価といい、今回といい、どうも経済観念に乏しい議論が多いようだ。

    http://nishiokanji.com/blog/2006/07/post_354.html#c3965

    国の多額の債務がどういう影響を及ぼすか、が最も大切です。

    (中略)

    財務省の「エゴ」ではなく、財政再建を図らなければならない。

    なぜなら、80兆円の一般会計予算が今後税収で大きく膨らむことはまずありえない。

    しかし一方で、支出の部分「国債費=債務返済(16兆ほどでしたか?)」

    の割合がどんどんと増えていくでしょう。

    またゼロ金利解除で、国債の利子が上昇する恐れもある。

    今後予算編成がだんだん難しくなることは明らかで、要するに

    無駄な出費をなくす、減らすことがきわめて重要な課題です。

    大多数の国民の思っていることを述べることが何故「生意気」なのか、理解に苦しみます。

    生意気なんかじゃありませんよ、バガボンドさんのおっしゃっていることは<埼玉人さんへ

    単なる根拠なき主張ってやつです・・・どっかで聞きかじってきた

    まず、債務を正確に示します。

    これは、きちんとデータが出ています。

    平成16年版国民経済計算年報のデータ・・・平成14年度国民経済計算

    平成14(2002)年末で、公的部門全体(一般政府+公的非金融法人企業+公的金融機関)で負債総額2,080.5兆円、一般政府部門のみで負債総額789.5兆円(うち中央政府583.5兆円、地方政府179.2兆円、社会保障基金26.8兆円)となっていますね。

    うわぁ、大変だぁ・・・って、ホントに大変なんでしょうか?

    まさか、「借金は悪」なんて、単純に考えてらっしゃるわけでもないでしょう、個人じゃなくて、国や企業の場合に。

    企業や国は、大体において収入に見合った借金・・・収入が大きくなればなるほど、それに見合った借金があるものです。

    これに対して反論される場合は、無借金企業や無借金国家が極めて少数派であること、そして、その国家や企業の経済合理性を論理的に批判してください。

    要するに、一定規模の借金を「維持」することは、何の問題もありませんし、収入、というか、収益に見合って「規模の拡大」が起こり、それに伴って借金が増加することは、なんら問題ないわけです。

    問題は、収入の伸び以上に借金の伸びが増えることです。

    その場合には、借金は膨れ上がっていきます。

    ご存知の方にとっては、少々まだるっこしい説明になりましたが、これがプライマリーバランスの均衡論です。

    プライマリーバランスを黒字化しようなどと、国家を家計に例える、この朝日などは ・・・国家と個人を混同した、ある意味、悪い例えです。

    個人は、寿命と言うものがあるので、「返済期限」と「返済可能年齢」がありますが、国家には寿命がないので、個々の借金の「返済期限」はあっても、プライマリーバランスは均衡していればいいんです。

    この収支が均衡していれば、現世代の財源負担とそれによる政府支出からの受益が均衡していることになります。

    さて、ここで問題となる、「収入の伸び以上に借金の伸びが増える」ことの原因は、最近の財政運営で言えば、税収減で借金を膨らませている小泉路線が問題ということになります。

    ということで、いきおい、小泉改革?に対する評価は、厳しくならざるを得ませんよね?

    で、バガボンドさんは、ホントに「財政再建」なんかで(税収増の施策をほったらかしで・・・小泉さんはほったらかしです)なんとかなるとお思いなのでしょうか?

    で、バガボンドさんが、大多数の国民の思いを代弁なさっているそうですので、その誤謬について指摘しておきます。

    この方のご主張は・・・

    日本の財政赤字が、こんなに膨れ上がったのは、必要もない道路や橋、無駄な公共事業を行ってきたからだ。

    ですよね?

    ついでに言うと・・・その過程において、利権に群がる政官業の癒着構造・・・これを小泉さんが「改革」したと・・・次代へのツケを回さないために「改革」が必要だったと・・・ま、こんなところでしょう

    あの・・・公共投資ってのが、政府支出の中でどの程度の額なのかをご存知なのでしょうか?

    統計を見るときに、公共投資ってのは、公的固定資本形成を見ます。

    さて、政府支出の中でどの程度の額なんでしょうか?

    これはご自分で調べてください(コメント欄では、テーブルタグが使えないので、拾ってきた数字を一覧表で示すことができません)

    数字を見ていただけたなら、現在の財政状況を招いた「主犯」が公共投資でないことがわかります。

    バガボンドさん」、あなた根拠となる数字も示さずに、論理的な話もせずに、単なる印象の言葉だけで他人様の論を批判しちゃいけません。

    反論できないならスルーで結構ですし、論点をそらした反論ならいりません。

    なぜなら、80兆円の一般会計予算が今後税収で大きく膨らむことはまずありえない。

    そう言い切る根拠は?

    今後予算編成がだんだん難しくなることは明らかで、

    どうして?

    無駄な出費をなくす、減らすことがきわめて重要な課題です。

    歳入の増加より大切なんですか?

    国はサラリーマンのように「固定給」じゃないんですよ

    入るほうを増やしたほうがいいんです

    で、借金の全額返済に意味はありません

    大体、国には徴税権と通貨発行権ってのがあるんですから

    悪いけど、紋切り型で舌足らずだから、何が言いたいのかさっぱりわかりません

    批判のための批判にしか聞こえないってことです

    もし、ご本人が経済を理解してらっしゃるのなら、ここを見てるみんなにわかりやすく説明してみてくださいな

  16. てっくさん、
    深い学識を披露されて、あなたに意見を述べることがいささか恥ずかしく感じられます。

    いわゆる「建設国債」は1978年ごろからずっと7兆円程度でした。
    (1978年というのは私の手元にある統計資料でバブル以前です)
    それがバブル崩壊後の1993年ごろから10兆円に膨れ上がり、
    同時に「赤字国債」も94年から急激に増え始めました。
    90年以降の「建設国債」はこれを「誘い水」にして景気を回復し、バブル後遺症を軽減しようとするものでした。
    例えば(国際で借金しそれを)100円投資して、税収が103円あれば、3円儲かることになる、
    従ってこの借金は有効だったといえる。
    しかし、実際は税収は100円にもならず、工事のための工事といわれたものです。
    工事によって関係者が潤うだけ、リターンは少なかったのです。
    政府の投資ではなく、社会保障に過ぎなかったのです。

    もちろん大赤字の原因は建設国債だけではありません。
    とりわけ社会保障費は増加の一途をたどり、
    減る気配はありません。
    これも大赤字の大きな原因で、今では公共事業は減り、赤字の原因としては比重が少なくなっています。

    てっくさんのいわれるように、「財政再建」か「増収」かという議論は承知しています。
    二者択一ではなく、支出を減らし、増収を図る
    という当たり前のバランスある政策が求められます。

    なお、いくつかの指摘がありますが、「今後予算編成がだんだん難しくなることは明らか」
    に対し「何故?」ということですが、本気で尋ねているのならそれこそ「何故?」と聞きたいですな。
    しかし簡単に答えておきましょう。
    短期的に言って、予算総額が大幅に増えることは考えられません。
    なぜかって言うと、増収の根源である税収が大幅に伸びる
    =景気が大幅によくなる、ということは当面考えにくいからです。

    大幅に景気がよくなるという意見があれば教えてください。
    質問ですが、予算総額に占める国債費
    =借金返済の額が増えれば、「真水」が少なくなることは当然でしょう。

    ちなみにプライマリー・バランスの均衡は、何としても成し遂げなければなりません。
    そうすれば少しずつでも借金総額は減ってきます。

    リニア新幹線などという無駄使いはやめましょう。

  17. バガボンドさん、ご丁寧な返答ありがとうございます。

    さて、プライマリーバランスが出てきたところで、次は当然ドーマーとか、いろいろと出てくるんですが・・・

    先に結論を言っちゃいます。

    ちなみにプライマリー・バランスの均衡は、何としても成し遂げなければなりません。

    そうすれば少しずつでも借金総額は減ってきます。

    このお言葉なんですが・・・

    プライマリーバランスが均衡しても、公債残高対GDP比は上昇していきます。

    残念ながら。

    最近の数字を見ると、ずっと名目金利>名目GDP成長率となっていますから。

    と、ここで、「名目」とドーマー定理の説明なんですが、いまはキャッシュでしか残ってないんですが、吉田本町の憂鬱さんがうまく説明してらっしゃいます。

    転載すると、長々とウザイんで、キャッシュのままリンクを貼ります。

    「名目」とドーマー定理

    実は、突っ込みどころがあるんですが、とりあえずはこれでみなさんに理解いただくとして・・・

    増税なんてしなくても、税収は最低でも名目GDP成長率に比例(増加)しますし、一方、政府債務は金利に比例(増加)するわけです。

    てことは、名目GDP成長率を金利よりも高水準で維持しなければ政府債務は発散(ドーマー曰くの)します。

    で、名目GDP成長率低下が歳入の顕著な減少となり、それが発散へとつながっていくんで、それを何とかしないといけないということです。

    ついでに言うと、国債残高なんてもんは、それがたとえいくらであろうが(金額の多寡)、利子率が成長率よりも大きいときは財政破綻に直面しますし、利子率が成長率よりも低ければ財政破綻の危機は訪れないんです。

    さて、これはまだまだ続いちまうんですが・・・こんなコメント、ここに書いていいんでしょうか?

    これは、管理人さんへのお伺い

    てことで、一旦ここで止めます。

    で、今書いてることとか、これから書こうとしてる事が、じつは竹中さんと与謝野さんたちの意見の相違だったりします。

    参考リンク・・・ご興味があれば

    田中センセの「ノーガード経済論戦」

    ついでに日銀・・・

    金融経済月報(基本的見解1)(2006年7月)

    なんとなく、突き詰めていけば建設的な議論になりそうな気がしないでもないんで、理解と理論武装をしっかりしてくださいませ。

    というか、ひょっとすると、興味のない人には単にウザイだけ?

    管理人さんの判断待ちということで

  18. >てっくさん、vagavondさん
    経済的なことにも、強くならなくてはと思っています。
    (実際はめっぽう弱い)
    なので、勉強にもなりますし、ご自由にお続けください。

  19. ドーマーの定理とやらは後ほど考えて見ますが、ざっとした印象で言いますと、
    名目GDP成長率と名目金利の関係では、「時間」が問題です。
    D/Yを解いてみると、指数関数(を含む式)になりますが、
    指数に含まれる負の係数が非常に小さいと、収束は緩慢になります。

    国債残高がたとえ「収束」したとしても、時間が10年なら有効でしょうが、100年なら話になりません。

    この微分方程式はそんなに意味があるとは思えません。
    しいて言えば、1年ごとに条件を変化させて
    近似解を求めることの方が有効だと思います。

    さて、個人であれ企業であれ国であれ、借金については次のことが大切です。

    1.借金は利子をつけて返さなければならない。
    2.借金には「良い」借金と「良くない、悪い」
    借金とがある。

    「良い借金」というのは、それによってカネ回りが良くなるような借金のことで、
    企業なら設備投資、個人なら家やクルマのローンなどです。

    国の場合は、古典的な考えですが、景気が悪いとき政府が借金して
    そのカネを有効に投資することです。
    例えば公共事業がそうでした。
    橋を造るのに100円という金を出せば、
    その100円は鉄鋼業をはじめさまざまな業種に回っていきます。
    しかも並列ではなく、ある企業から次の企業へ、
    また次へと金が流れるに従って富が増えていき、景気が回復し回りまわって政府の借金は返せる・・・
    実際にはこういうことが起こるかどうかはともかく、
    そうなることを期待して政府が財政出動するわけです。
    東海道新幹線は、たしか、IMF(国際通貨基金)から借金して建設したと思います。
    (間違ってたら指摘してください)
    これは、良い借金の代表例でしょう。

    次に、債務の履行ですが、金額が大きすぎて、簡単に返却できそうにはありません。
    徐々に減らしながら、長い時間をかけることが必要でしょう。
    例えば、ある年の国債の償還が20兆円だったとします。
    15兆円を赤字国債でまかない、5兆円を一般会計から充てる、
    そうすればその年は5兆円累積債務が減ったことになります。

    今はそういう状況を作り出すことが必要でしょう。

  20. 東埼玉人 様

     貴方の論旨・御心境に全く以て同感致しております。
     また、てっく様の論旨と実証は、実際の国政・財政を観ている者の端クレとして能く理解できるところです。有り難く勉強させていただきおります。

     他方、バガボンド様の論述は、忌憚なく申し上げれば「ユダヤ教のラビの説法」と云うものもこのような調子であろうか、と感じながら読んでおりました。
     エホバの神を契約相手方として「選民」か「滅亡」かの緊張関係の中に生きるユダヤ民族は「神を拝むにも狡猾でなければならず」(タルムード)と心得、そのために「一つの事柄を、目的に応じ状況に応じて数十通りにも解釈(弁明)できる能力」を身につけ、全てのゴイム(他民族)を様々に手玉にとってきた、と云われます。しかし、そこには真実も赤心も見られません。

     私は、西尾先生の感性と御洞察に感銘し、真正直に真実を追究される御誠実と赤心に感応してこのブログを訪ねており、そのような感性と見識を共有する方々と建設的な御意見や感想を交わすために、発見し啓発を受けることを期待してコメント欄を拝見しております。
     失礼ながら、バガボンド様の感性と御洞察は、西尾先生のそれとは根本的に異質なようであり、また、過日の論述においても「国民の歴史」等を読まれた上での言及なのか疑問に思われ、この方は一体何を目的に、星の数ほどある中からこのブログを選んで熱心に飛来され、ネガティブな議論を主導しておられるのか、甚だ理解に苦しむところでしたので、貴方(東埼玉人様)の御心境が痛いほどに胸に響き、思わず愚感を開陳させていただいたような次第です。
     なお、私の甚だ不躾な物言いに不快にお感じになられた向きには、粗野な坊主の放言と、御容赦のほどを

  21. 布袋和尚さんほどの見識や洞察力も持たぬ私、なまくさ坊主は、
    要するにこういうルームからは出て行けということでしょうか。

    このルームにアクセスするのは「新しい歴史教科書を作る会」に関心が極めて深いからであり、
    西尾さんの意見に合致しない人は「作る会」を語る資格はないとでもいうのでしょうか。

    むしろあなたのような「排除」の理論(?)こそが作る会の分裂の背景にあると私は思います。

    直接的にはつくる会の副会長、福地さんの「大東亜戦争美化論」が「つくる会」には相応しくない、
    という気持ちからアクセスが始まったわけで、ラビなど何のことか分からない例示で人を非難するのは
    まさに「粗野」ではないですか。

  22.  バカボンド様の仰せのとおり、私は「粗野」な坊主でございますので、不作法に「放屁」の如き「放言」を申し上げた訳で、御容赦の程は予め申し上げておいたような次第です。

     福地先生と「つくる会」に関する所見のみならず、貴方と私とは、感性と心根と思惟方法が見事なほどに対称的であると思われます。
     したがって、精神衛生上の観点からも、貴方と議論をするつもりは毛頭ございません。その点について、ここに明確に表明させていただきます。
     お互いに「時間」は大層大切です。建設的な方向に大事に使って参りましょう。

  23. ドーマーの定理についてですが、もっと簡単に言えば「インフレが強く、
    さらに金利が小さいと貨幣価値が下がり、額面100円であっても、実質は80円なり、60円となって返済が楽になる。
    極端な場合、実質チャラになる」ということでしょう。

    戦争後にはハイパーインフレが起きやすく、政府の債務は事実上雲散霧消しますが、
    国民生活は悲惨そのものです。
    ユーゴでは(確か1年で)2000兆%(約20兆倍)という
    途方もないインフレに見舞われたそうです。

    前回省略した「良くない、悪い」借金とは、端的に言えば担保のない借金、返す当てのない借金です。
    個人や企業がこういう悪い借金をすれば、取立てに苦しめられます。

    現在国もこの悪い借金(赤字国債)などを強いられています。30兆円という途方もない額です。
    借金という「毒薬」を飲まないと国民生活が成り立たないのです。
    この借金のツケは私たちの子や孫の世代に受け継がれます。

    子孫に美田を残すな、と言われますが、美田どころか、
    とんでもない借金を残しておりさらに増殖しています。

    小泉改革は、こういう負の遺産を少しでも減らそうという政策である、と私は思っています。
    ここでも「狂気の首相」と言われていますが、それは(私から見れば)もっと借金してばら撒け、
    と言っているように思えます。

    「小泉改革は負の遺産を減らすものではない」というご意見があれば、
    是非聞かせていただきたいと思います。
    重要な議論のテーマになります。

  24. バガボンドさん

    「時間」について言及されたことと、

    今はそういう状況を作り出すことが必要でしょう。

    とのご発言に対して、同意と賞賛のコメントをしようと思っていたところなんですが・・・

    直近のコメントを拝読してちょっと・・・

    小泉改革に結びつけると、他の「心情的な要素」がそれぞれの方のコメントに入ってきますので、下手をするとイデオロギー的な論争となり、議論は収束しない恐れがあります

    ということで、小泉改革に対する評価は次の点だけ、私の意見を述べておきます

    初期

    ・痛みを伴っても構造改革をやると打ち出したことで、政策のあり方は整理され、前向きな方向に動き出した。

    ・ただし、タイミングとしては非常に難しい時期にあった、なぜなら、景気は既に下向きになっており、不良債権処理や財政構造改革に取り組めば、どちらもマクロ的にはデフレ要因になるため、綱渡りの政策運営にならざるを得ない。

    この時点では、実は私は小泉さんに期待していましたし、結構温かい目で見るつもりでした

    特殊法人改革について

    ・思いつきに近いところもあり、大風呂敷を広げすぎのきらいがあった。

    日本道路公団や本州四国連絡橋公団の民営化

    ・問題の本質から外れた「改革」となった

    ・「採算の取れない高速道路をどんどん建設する」ことが悪いというのなら、それは小泉さんの決断一つで済んだ。

    彼ならできた。

    なぜなら、道路建設を立案・決定するのは、首相が会長を務める(当時)国土開発幹線自動車建設会議だった。

    小泉さんが新規建設を抑える決断を下せば、道路公団が抱える最大の問題は解決したはず。

    結果として行われた道路公団の民営化は、むしろ大事な問題から注意をそらしている面がある。

    郵政民営化については、議論百出で話が別の方向に行く恐れがあるのでコメントしません

    さて、話は変わってバガボンドさんのお言葉

    子孫に美田を残すな、と言われますが、美田どころか、

    とんでもない借金を残しておりさらに増殖しています。

    なんでいきなりそんな話になるのでしょうか(笑)

    もっと、怜悧な方だと思っていました

    現在問題にしているのは、「地方債を含めた政府債務残高がGDPを上回るスピードで増えている」ってことです

    このことがあって、これが5年、10年でどうこうなるというものではないにしても、ここ10年、20年くらいの日本の財政運営の状況を指標として、そのまま時系列的に伸ばしていけば、憂慮すべき状況にあると・・・

    現実問題として、そういった状況の悪化の前に、何らかの形で、政府の財政運営のトレンドを変えるような・・・歳出の効率化なり、何らかの増税政策なり、あるいはGDPがもっと増えるような施策を考える・・・

    つまり、バガボンドさんのおっしゃるところの「今はそういう状況を作り出すことが必要でしょう。」という、まさにそれについての議論をするのだと思っていました。

    ところがこうです

    前回省略した「良くない、悪い」借金とは、端的に言えば担保のない借金、返す当てのない借金です。

    個人や企業がこういう悪い借金をすれば、取立てに苦しめられます。

    だ・か・ら・、前にも書きましたが、個人や企業がこういう悪い借金をすればって、個人や企業じゃないからその理屈は通用しないんですってば(笑)

    前のコメントに書きましたが、

    大体、国には徴税権と通貨発行権ってのがあるんですから

    って言う意味は、会計的に見ても、のれん代に当たる「徴税権と通貨発行権の対価」が今見ることのできる(よく引き合いに出される)統計では簿外にあるわけで、実質的にはちゃんとバランスしてるんですよってことです

    現在国もこの悪い借金(赤字国債)などを強いられています。30兆円という途方もない額です。

    借金という「毒薬」を飲まないと国民生活が成り立たないのです。

    この借金のツケは私たちの子や孫の世代に受け継がれます。

    借金のツケ?

    その借金が「公債」の形をとっている限り、必ず買った人がいて、そのほとんどが国内なんですが・・・その意味わかります?

    あと、「ツケ」とか「先送り」なんて言葉は、とっても語感が悪いですよね

    おバカなマスコミが、世論を煽りたいときに、好んで使いそうな単語です

    財政赤字というのは、ある意味では「借金をする」という形で公債を発行する・・・その意味では債権が表に出てくるわけですが、例えば社会保障の場合には・・・特に賦課方式の社会保障を前提にしてますと・・・同じ時点で若い人から年とった人へのトランスファーが行われますから、これは財政赤字を出さない形で世代間で移転が行われることになるわけです。

    で、政府の債務として公債を発行すれば、償還するために将来返す必要がある、という意味では、政府にとっては債務になるわけですけど、同時に政府はいろんな形で資産を持ってます

    国と地方、社会保障基金を合わせた資産の残高というのは、借金の残高よりも多いんですよ、ということです

    ま、グロスで考えるのかネットで考えるのかってことです

    ちょっと長くなるんで、一旦やめますが、今現在、実は一番たちの悪い議論が行われてます

    そう、中川秀直あたりが言ってる「政府資産の売却」です

    例えば、民営化とか、他のやり方で、政府の資産を売却できたとして、それで収入が増加して、それによって公債の借金を相殺することができたとしても、そうした形で政府が資産を売却すると、それによって得た収入は一回限りでしか政府の収入にはならないということです

    つまり、一旦民営化をしちゃいますと、それ以外は売ってしまえばそれでおしまいということになるわけです。

    ま、それによって政府の公的なサービスを絞るということに国民が納得できるんであれば・・・民営化することにより、資産を切り売りすることによって、政府の収入は増えるわけですけど・・・さて、それでいいんでしょうか?

    仮にその資産を売ったとしても、なおかつ今までと同じように、公的サービスを続けざるを得ないとすれば、政府は売った資産を今度は借りてこざるを得ない

    ここで、本末転倒になっちゃいます(笑)

    今度は借りてきて同じサービスを提供せざるを得ないということになりますから、結果としては、収益の将来の割引現在価値がその資産の価値に等しいという・・・わけのわからないことに

    要するに、一回限りの収入と、将来の借金とが、現在価値で見て同じになりますから、これは何ら政府の財政状況を好転しません

    てことで、あなたの支持なさってる、過度の緊縮財政論というか、ケチケチ路線っていうのは、GDPの成長阻害の要因となるだけでなく、下手すりゃ抜き差しならない手詰まりの状況に持っていく施策を喚起しかねないんです

  25. これは議論ではありません。
    よく理解できない点があるので、質問(確認)します。

    てっくさんが言われるように「地方債を含めた政府債務残高がGDPを上回るスピードで増えている」
    ことが問題だということは分かります。

    ところが現在は30兆円ほどの借金によって政府債務残高がどんどん増えている(GDPを上回る速さで)・・
    だから「悪い借金」ではないですか。

    どうもよく分からないのですが、あなたは次のように言われるのでしょうか。

    借金(国債発行)はあってもかまわないし、累積残高がいくら多くてもかまわない、
    要するに「自転車操業」(借りては返し、を繰り返すこと)でそのまま推移できる、
    GDPを増やし債務残高の比率(債務残高÷GDP)を減らせば、自然と債務は軽減できる・・・。

    もう一つ分からないのは、「国には徴税権と通貨発行権がある」
    ということです。

    債務を大幅に軽減(あるいは帳消し)するほど税を取ったり、
    通貨を発行すれば別の問題が発生し、むやみには出来ません。
    消費税アップぐらいではないでしょうか。

    あなたのご意見は(・・皮肉でも批判でもありません。あくまでも質問です・・)
    人口が増え、GDPが増える(減らない)ということを前提にしている・・
    要するに「右肩上がりの成長」を前提にしているように思うのですが、
    如何でしょうか。

    もう一つ質問ですが、EU加入の条件として債務残高の比率(債務残高÷GDP)
    を3%(もう少し大きい?)でしたか、に収めるというのがあったようですが、あなたの言われる理屈では
    意味のない条件でしょうか?

    次は意見です。
    最後の
    【過度の緊縮財政論というか、ケチケチ路線っていうのは、
    GDPの成長阻害の要因となるだけでなく、下手すりゃ抜き差しならない手詰まりの状況に持っていく施策を
    喚起しかねないんです】
    については分からないわけではありませんが、端的に言うと、カネを生み出す分野には
    カネ(財政支出)を惜しまず、そうでないところは可能な限り削る、
    という意味では賛成です。

  26. 一般論と特殊な状況の違い

    追加です。
    てっくさんと私の食い違いは「一般的な状況」における議論と「特殊な場合」
    との違いではないかと思うようになりました。

    先にEUの例を出しましたが、GDPに占める債務残高の比率(以下「債務比率」といいます)
    が3%の場合と日本のように100%を超える場合とでは、
    同じ論法では論じられないのではないかと思います。

    ちなみに日本の場合、GDP=550兆円、債務=800兆円とすれば、債務比率は145%となります。

    許容範囲が3%というのは、例えば、10年すればゼロに出来ないことはない(実際はしないが)
    という「余裕」を表す数字(経験から想定された数字)であろうと思います。
    また、10年というのも「一世代(30年として)」の間にゼロに近づけることが出来そう、
    という私が勝手に選んだ数字です。

    以上を仮定すれば、日本の場合どうなるでしょうか。
    3%で10年、に対し、
    145%ではなんと480年です。

    バブル崩壊に伴う後始末で膨れ上がった債務(比率)が「想定」を超えた数字になっている、
    そういうときにあなたの議論は余り意味がない・・・そう思います。

    歴史上このような「超」のつく債務を解決(チャラにした)のは極めて荒っぽい方法でしかなかった、
    日本も荒治療しかないのでは・・と心配しています。

  27. 布袋和尚さん
    他人をさんざんけなしておいて「お前と議論する気はない」はないでしょう。
    賢明なあなたならそういうことは始めから予想がついていたはずで、
    それでいてけなすとは・・・失礼ではないですか。
    議論するつもりのない相手には始めから相手にしないことです。

  28. 「粗」にして「野」だが「正直」である私として、甚だ「癇に触るところ」について率直に感想を表明させていただいたところです。

     勿論、私はバガボンド様とは「対称世界」の住人であり、お互いに相手が「異星人」に見えるであろうバガボンド様と非生産的な議論をするつもりは毛頭ありません。

     しかし、私の「放言」が、バガボンド様にとって、或る意味で鏡となるか、何か御参考になれば幸いです。

  29. てっくさんから、「お前はこんなことが分からんのか」とばかりに
    ご高説を賜ってきましたが、結論を聞いて「なーんだ」という気がしました。

    その結論というのは、(簡潔に、私の言葉で書きます)
    1.日本の財政は危機的ではない。
    2.これまでの債務はたいしたことはなく、今後の増加が問題だ。
    3.債務の増加は高齢化など人口構造の変化による。
    ・・など。
    どうやらその理由の一つが「資産がたくさんある」ということらしい・・・。

    現在の財政状況をどう見るかについては、超悲観論から、超楽観論までさまざまだそうです。
    てっくさんは楽観論者と思われますが、これは一つの意見であって、
    ピタゴラスの定理のような真理ではありません。
    そういう楽観論を理解(支持)しないからといって、バカ呼ばわり
    (【いつになったら気付いていただけるんでしょうか?】)されても・・・ね。
    ちなみに7月29日 11:36 の書き込みは全面的に間違いである、
    と30日 10:44 に断りを書き込んでいます。

    国の債務と会社や個人のそれとは必ずしも同じではありません。
    多分最大の違いは、会社や個人にはいくら資産が豊富だといっても、不渡りを何回か出せば倒産(破産)ですが、
    日本という国の場合は貸してくれる人(団体)がいくらでもある、ということでしょうか。

    ある種の条件化では、こういうことがいつまでも続けられるから大丈夫だということなのでしょうが、
    ただでさえ膨大な借金の上に、さらに債務がGDPの増加率以上に増えていきそうな状況を考えると、
    楽観論が私の感覚には異様に聞こえます。

    財政が危機的な状況にあるという意見もたくさんあります。
    私の感覚はこちらに向いており、あなたに「こんなこと分からないのか?」と嘲られようと、
    恥ずかしいとは思いません。

    また、リニア新幹線計画そのものについても、例えば、東京-大阪間に途中の駅が
    出来るかのように期待して誘致運動をしている自治体などがありますが、
    例えば、山梨県に駅ができるとは考えられません。
    甲府に駅ができるようだったら、他からも要求が出て、「東京-大阪間1時間」は無理になります。

    ++++++++++++++++++

    私の結論として、リニア新幹線建設は現在の状況が大きく好転しない限り、手をつけるべきではありません。

  30. てっくさんから
    「特別会計も含めれば、日本の政府債務比率は62%程度なんだよ。参ったか?」
    といわれ、頭のよい人は違うな、と感心するやらあきれるやら・・・。

    実はよく理解できない部分があり、反論しても潰されるでしょうが、無駄な抵抗を試みます。

    特別会計の総額は400兆円、重複を除けば約半分だといいます。
    ところがですね、特別会計には一般会計とは桁違いの不透明部分があって、どうやら「表」に出ない部分で、
    とんでもない額の返済不可能の支出があるようです。

    TVなどで報道されていますが、社会保険庁が何とか特別会計で何百億とする娯楽施設を建て、
    大赤字になって二束三文で売り払ったじゃないですか。
    これも氷山の一角。

    てっくさんのレトリックにかかると、特会の大赤字も黒字になるんじゃないですか。その手品を見せてください。

    特会を含めて財政を論じれば、なおさら、日本の財政事情は悪いことが分かります。
    一度ネットで「特別会計」で検索してみてください。
    明るい記事なんてありません。

機械計算課長こと松井康雄 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です