日録バージョンアップとコメント一時停止のお知らせ

いつも西尾幹二のインターネット日録をご覧いただきありがとうございます。
自分は日録の管理の技術的なお手伝いをしております高木薫と申します。
このたび当日録のプログラムをバージョンアップする事になりました。
作業には数日を要する見込みでして、近日に新しいデザインでお目にかけられると思います。
つきましては作業完了まで皆様からのコメント投稿を一時停止させてください。
また日録全体が工事中と表示されることもあるかと思います。
皆様にはご迷惑をおかけして恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。

明日の講演会

全集第12回配本「自由の悲劇」刊行記念
                
西尾幹二講演会のご案内

  全22巻の西尾幹二全集も 第12回配本の「自由の悲劇」を以て折り返し点をすぎました。
  それを記念して、下記のとおり講演会を開催いたします。

                           記
 
1 演 題: 「昭和のダイナミズム」
-歴史の地下水脈を外国にふさがれたままでいいのか-

拙著『江戸のダイナミズム』を前提に、江戸時代に熟成した日本の言語文化は明治・ 大正期に西洋からの影響で一時的にぐらつき、昭和期に入って反転し、偉大なる「昭和のダイナミズム」を形成した。ここでいう「昭和」は戦前と戦後をひとつながりとみる。
戦争に向けて「昭和文化」は高揚し、世界に対し視野を広げ、戦後も二、三十年間 はその余熱がつづいた。明治維新も敗戦も切れ目とは考えない。歴史は連続している。
興隆と衰亡の区別があるのみで、歴史は維新や敗戦で中断されて姿を変えたと考えるのは間違いである。  西尾幹二

 
2 日 時: 9月26日(土) 開場:午後2時 開演:午後2時15分
                    (途中20分の休憩をはさみ、午後5時に終演の予定です。)

3 会 場: ホテル グランドヒル市ヶ谷 3階 「瑠璃の間」 (交通のご案内 別添)

4 入場料: 1,000円 (事前予約は不要です。)

5 懇親会: 午後5時~午後7時 3階 「珊瑚の間」 会費 5,000円
         講演終了後、講師を囲んでの懇親会を行います。どなたでもご参加いただけます。
(事前予約は不要です。初参加、大歓迎です。 )

6 お問い合わせ: 国書刊行会 (営業部)
             電話 03-5970-7421 FAX 03-5970-7427
             E-mail: sales@kokusho.co.jp

  主 催: 国書刊行会    後援: 西尾幹二坦々塾

西尾幹二講演会のご案内

全集第12回配本「自由の悲劇」刊行記念
                
西尾幹二講演会のご案内

  全22巻の西尾幹二全集も 第12回配本の「自由の悲劇」を以て折り返し点をすぎました。
  それを記念して、下記のとおり講演会を開催いたします。

                           記
 
1 演 題: 「昭和のダイナミズム」
-歴史の地下水脈を外国にふさがれたままでいいのか-

拙著『江戸のダイナミズム』を前提に、江戸時代に熟成した日本の言語文化は明治・ 大正期に西洋からの影響で一時的にぐらつき、昭和期に入って反転し、偉大なる「昭和のダイナミズム」を形成した。ここでいう「昭和」は戦前と戦後をひとつながりとみる。
戦争に向けて「昭和文化」は高揚し、世界に対し視野を広げ、戦後も二、三十年間 はその余熱がつづいた。明治維新も敗戦も切れ目とは考えない。歴史は連続している。
興隆と衰亡の区別があるのみで、歴史は維新や敗戦で中断されて姿を変えたと考えるのは間違いである。  西尾幹二

 
2 日 時: 9月26日(土) 開場:午後2時 開演:午後2時15分
                    (途中20分の休憩をはさみ、午後5時に終演の予定です。)

3 会 場: ホテル グランドヒル市ヶ谷 3階 「瑠璃の間」 (交通のご案内 別添)

4 入場料: 1,000円 (事前予約は不要です。)

5 懇親会: 午後5時~午後7時 3階 「珊瑚の間」 会費 5,000円
         講演終了後、講師を囲んでの懇親会を行います。どなたでもご参加いただけます。
(事前予約は不要です。初参加、大歓迎です。 )

6 お問い合わせ: 国書刊行会 (営業部)
             電話 03-5970-7421 FAX 03-5970-7427
             E-mail: sales@kokusho.co.jp

  主 催: 国書刊行会    後援: 西尾幹二坦々塾

坦々塾生出版のお知らせ(4)

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渡辺 望氏自身による紹介文

次に『未完の大東亜戦争』の紹介を記したいと思います。この本のテーマをアスペクト出版の編集者の貝瀬裕一さんから提示されたとき、とても嬉しい気持ちでした。なぜかというと、ずっと以前から私が書いてみたいテーマだったからです。「本土決戦とは何か」ということは、高校生くらいのときからずっと考えていたことでした。

 今年は集団安保法制云々のことがあっから余計そうだったのでしょうけど、8月15日周辺になると、憲法学者や近代史学者を中心に平和主義の合唱がメディアでおこなわれることにうんざりという方は勿論少なくないでしょうけど、うんざりするだけでなくて、どうしてこういう面々がこの国に多いかということを考えなくてはいけないと思います。よく、日本は有史以来、たいへん恵まれた存在で、きわめて早い段階から統一国家、国民国家を形成することができ、そして他国から蹂躙されたことのない幸せがあったということを聞きますが、まさにその「幸せ」が、平和主義のぬるま湯風呂をつくってしまったのではないだろうか、と私は毎年、8月になると思うのですよ。

 もし、8月15日以降も戦争が継続したらどうなっただろうか。これは間違いなく、たいへんな不幸が日本に訪れたと思います。核兵器の大量使用、米ソによる日本の分断、皇室の存続の危機、そして言うまでもなく気の遠くなるような戦死者。昭和天皇が聖断の御前会議で言われたように、この世界から日本がなくなってしまうかもしれないほどの悲劇がこの国土を蹂躙したかもしれません。しかしそのような悲劇がもしあれば、今の体たらくな日本の左派、平和主義者などがいなことも事実ではないか。そのすさまじい日本本土決戦の仮想上の悲劇は、果たして日本人にとって「不幸」なことなのだろうか。私自身は、8月15日の終戦をもっとも妥当とする「穏健論」にういつまでも依拠しています。しかし依拠しつつも、この現在の日本の精神的不幸の根源を模索するために、「終戦が早すぎた」=日本本土決戦という思考実験の必要を感じるのです。

以上の視点から、いろんな角度から日本本土決戦を検討してみたのですが、たとえば「本土決戦」というと何か日本人にとってとてつもなく恐ろしい存在に思えますが、世界の国民国家間の戦争はほとんどが「本土決戦」だという事実がありますね。また昭和20年当時、内地にいたいろんな日本人知識人の手記に描かれている「本土決戦」=竹槍での戦い、のイメージは、実は8月6日の原爆投下以前の地上戦のものでしかない。「核兵器が使われる日本本土決戦」の想像というのをおこなう前に戦争が終わってしまったともいえます。それから大本営の一部には、1944年に日本本土に連合軍が侵攻してくると考えた面々もいました。もしそんなことがおきたら、大東亜戦争の終結と日本本土決戦は別個の問題になりますね。そんなふうに、「日本本土決戦」の想像というのも、実は単一ではないんですね。

 また、アメリカにとっても日本本土決戦はたいへんな歴史的苦境でした。日本本土決戦がおこなわれて、日本軍と国土義勇隊が沖縄戦・硫黄島戦並みの抵抗をすれば50万人の死傷者(ベトナム戦争でのアメリカの死傷者は39万人)が予想されたからです。この数字に怯えて、マンハッタン計画に異常な熱意を傾けたのがトルーマンであり、また陸軍長官スティムソンらは日本への降伏条件を緩和すべきという立場を展開しはじめたりもする。ところがマッカーサーは、日本本土決戦を自分の軍人人生のフィナーレとするヒロイズムにこだわり、総計で140万人の地上軍、42隻の正規空母と24隻の戦艦を投入する地上最大の作戦=日本本土決戦に執拗にこだわり、トルーマンと対立します。この対立、そして「日本本土決戦のやり残し感」が、その後の朝鮮戦争などに重大な影響をもたらすことになります。

一方、スターリンはすべての秘密情報を把握しつつ、ソ連にとっての最大限の利益を日本列島の地図を前にして毎日考えている。またイギリスはイギリスで、日本本土決戦により大東亜戦争が長期化すれば、南方に取り残された300万の日本兵が植民地独立勢力と結託して反英ゲリラになることを恐れ、日本への降伏条件をなるべく緩和するべしとの立場を主張します。要するに、1945年夏の世界情勢は、日本本土決戦を中心に動いていたということができるでしょう。日本人はとかく、日本人の視点からしか日本本土決戦のことを考えたがらないですが、こうした世界情勢の中での日本本土決戦への思考ということは、たいへん大事なことだと思います。

けれどこうした客観的視点をおおいに投じても、最後は当時の日本人の精神がどうだったかということを問題にしないといけなくなります。核戦争にせよ、地上戦にせよ、対米ソ両面戦争にせよ、日本人が本土決戦に挑むには「滅亡」を覚悟しなければならないのは厳然たる事実でした。このような「滅亡」の覚悟を、日本人は有史以来経験したことがなかったのです。しかし、この「滅亡」を全肯定し、「日本本土決戦をなすべきであった」という危険なロジックに足を踏み入れ、そしてついにそれを完成させてしまったのが三島由紀夫でした。この紹介文では省きますが、本書ではところどころに、三島由紀夫のこの本土決戦論のかかわりについて触れ、考察を展開しています。三島のあの自死でさえ、本土決戦論と重大な関係があると思います。ある意味で本書は裏道からの三島由紀夫論といえるかもしれません。

 また後半部分では、純軍事的側面から、日本本土決戦のシミュレーションの章も設けました。8月15日以降も戦争が続いた場合、「鈴木貫太郎内閣で戦争が継続するのかそれともそれ以外の内閣で戦争が継続するのか?」、「アメリカは原子爆弾を日本本土決戦にどれほど生産投入することが可能だったか?」「ソ連軍の南下のスピードはどれくらいか?」「天皇の聖断とアメリカの対日降伏条件融和派が一致を見せることはありえたのか?」「本土決戦がおこなわれた場合の特攻作戦の戦果は?」などの諸要素について考察しています。これらの思考実験を通じて、「思想としての日本本土決戦」とうべき史学の分野の生成に資することができればと思い、終戦の季節に刊行完成いたしましたのが本書でございます。

全集第12回刊行記念 西尾幹二講演会

昭和のダイナミズム
――歴史の地下水脈を外国にふさがれたままでいいのか――

9月26日(土)午後2時~5時
ホテルグランドヒル市ヶ谷
℡03-3268-0111
入場料¥1000 懇親会5時から¥5000
ともに事前予約不要

主催:国書刊行会(℡ 03-5970-7421)