訃報を受けて(七)

吉田 圭介より:

西尾先生に申し上げたかったこと

 先生、トランプ氏がアメリカ大統領選に勝利しましたよ。
いつものように、先生のお見立ての通りです。

 先生の予言は必ず当たるのです。
直ぐに結果が出るものも有れば、二十年三十年の時間を経て実現するものも有りますが、いずれにしろ的中するのです。

 それは先生が真にフラットな視点をお持ちだったからであり、その視点は真の自由を求めてやまない先生の精神によって形作られたものだったということが、今は良く分かります。

 「日本はドイツのように戦争を反省していない」というマウントに日本人全体が押し潰されそうになっていた時、「やったことが違えば謝り方は違って当然」という誰もが納得せざるを得ない道理を用いてそれを鮮やかに覆した西尾先生。

 経済人だけの論理で安易に進められようとしていた外国人労働者受け入れ論を、「社会的・文化的・民俗的な問題として考えなければ必ず大問題が起こる」と警告してその流れを押し止めた西尾先生。

 近隣諸国への配慮という巨大な同調圧力の中、従軍慰安婦問題に対して行動を起こした藤岡信勝氏に真っ先に賛意を表明し、自ら教科書改善運動の先頭に立たれた西尾先生。

 「愛子妃が問題なのではなく、その次の代になった時の国民の尊崇の念の低下が問題なのだ」という、誰もが理解し共感できる説明で女系天皇論の急進を食い止めた西尾先生。

 「人権委員会」の存在の危険性をいち早く指摘し、保守系の政治家やメディアも全く気づいていなかった人権擁護法案の異常性を広く認識させて法案を廃案に持ち込ませた西尾先生。

 そして、あらゆる言論がトランプ非難の大合唱だった中、トランプ勝利の十分な可能性と、それが日本にとって有益である理由を敢然と説かれたのも西尾先生でした。

 先生、先生はいつだってトップバッターでいらっしゃいました!切り込み隊長でいらっしゃいました!
それも、マスメディアやアカデミズムが特定の意見一色に染まり、「みんながそう言うならばそれが正しいのかも知れない…」と、声の小さな者たちが確信を失いそうになった時、まるでドアを蹴破るように、テーブルをひっくり返すように、大音声で正論を叫ぶ勇者でいらっしゃいました!

 「西尾幹二ってカッコいいよなぁ」
 「西尾幹二って人は何回、独りで国を救うんだろうね」
私は友人たちと酒を呑みながら、幾度となくそんな会話で盛り上がったものです。
友人の一人は話の締めくくりに必ずこう言います。
「西尾神社を創建しなくちゃいけないね」
勿論これは半分冗談ですが、私は満更冗談とは思っておりません。

 先生、先生は以前、ご自身の主宰する勉強会「坦々塾」で(確か女系天皇問題についてご講話を頂いた時だったと思いますが)、お話が終わって懇親会になり、お酒もまわってさぁお開きという時に、「ああ、オレはもう言うべきことは言ったし、あとはどうにでもしろってんだ!」と言いながら破顔一笑されたことがありましたね。

 ご尤もです。全くもって、おっしゃる通りです。

 残された私たちが、先生が憂え続けていらした事柄を少しでも正すことが出来るのか。先生が斯くあるべしとお示しになった方へ少しでも世界を近付けることが出来るのか。
先生、どうか泉下で、或いはWalhallaで、お見守りください。

西尾幹二先生、本当に有難う御座いました。


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