最近の感想

ゲストエッセイ 
坦々塾事務局長 大石朋子

今年は地震の恐怖のせいか、何時もより暑くなるのが早いような気がします。
団扇と扇子が手放せない夏になりそうですね。

私は、日本人が電気を使わなければならないような生活パターンになって行く道を進んできたように思います。
進んできたと言うより、進まされて来たという方が正しいのかもしれません。

この道を進む限りは、資源の無い日本において原発は必要なのでしょうが、江戸時代に戻るのではなく、進む方向を少し変えれば、考え方を少し変えれば、西洋に全て学ばなければならない訳ではないと、今一度考え直す良い機会なのかもしれません。

例えば「はめ殺し窓」。
外の空気を取り入れることなど考えずに設計されているので、常にエアコンを使う以外に空調・温度調節をすることが出来ない。
電気が無くなるということを考えていないからです。
最近のオフィスはこのような窓が多く見受けられます。

最近建てられたマンションも同じように、窓を開放するという考え方をしないので、風通しという発想が起きないのでしょう。
この夏、本当の停電が起きたとき、どうするのでしょう・・・と他人事ですが・・・心配してしまいます。

扉を開けるという動作を省くため、自動ドア、オートロック。
停電の際、扉が開かなくて困ったという話しも聞きました。

嘗て、身体障害者のために作られた「電動歯ブラシ」も些細な量ですが、電気を無駄に使います。
歯磨きしながらボーっと考え事をするのは、私は好きです。

現代の人々は、少しのことを我慢できずに全て電気に頼るのです。

節電の為に【トイレの便座の温度は低めに】とACだったか・・・TVで流れていました。
馬鹿言ってんじゃない!
冷たいのが嫌なら便座カバーを使え!
と、テレビに向かって騒いでいました。

話しが逸れますが、洋式便座のない頃は、多分足腰の弱いご老人は少なかったのではないのかと思います。
何故なら、毎回気付かないうちに、ストレッチ運動をしていたからです。

そんな理由で、少子化問題も起きているかもしれません。
体力が無い、お産が重い。
エレベーターに頼る。足腰が弱る。
こうなると、鶏が先か卵が先かの堂々巡りになります。

全て電気に頼ってきた「つけ」なのだと思います。

今回の震災は貞観津波から千年以上。
歴史を学び、常に備えていれば今回のようなことにはならなかったはず。
山の上には「ここより下に家を建てぬよう」忠告が書かれていたと知りました。

同じ平安時代の清原元輔でさえ、貞観津波は(過去にあった)万が一のような表現として「末の松山波越さじ」という言葉で表しています。高だか百年位前の出来事でさえ、恋の歌の言葉として使われているのが、過去に学ばずにいる例でしょうと思います。

この先、日本という国が続く限りこのまま電気に頼り続ける生活をするということは、原発の増設が続くということなのではないかと、不安になります。

原子爆弾を作るのにプルトニウムが8kg必要だと聞いたことがあります。
現在、どれだけのプルトニウムがあるのでしょうか?

私の記憶では、九段下会議の頃のことですので、現在の正確な数字は知りませんが、英仏の再処理施設には約38tのプルトニウムがあったそうです。その頃の日本には、5.9tあったそうです。
そこで心配していたことが「テロ」でした。
今回、先生も仰っていたことと同じ事を考えていました。
ですから、アメリカはじめ諸外国は、日本が核弾頭を持つことに危機感を持っていた。そんなことだと思います。
日本の再処理施設は常にIAEAの監視下にあったと聞いたことがありました。

2006年。米・ワイオミング州の核ミサイル基地のミニットマンⅢ型ミサイルは分散配置(多分テロを警戒してだと思います)されていると聞きました。
面積は「日本の四国」くらいの面積だそうです。
核、原子力を持つということは、そのくらいのリスクと広大な土地が必要なので、直ぐ傍に民家がある、食料を育てる畑や牧畜業がある、ということ自体がおかしいのではないかと思います。

面積の少ない日本。
冷却するための大河の無い日本は、海岸に水を求めて建設しますが、海岸には大河と異なり津波が起こる可能性がある。
それを考えずに設計したことも今回の震災に繋がったわけで、施設だけを真似しても環境が違えば、それなりの備えが必要になることを考えなかった。そこで大きな事故に繋がった。そんなことだと思います。

私は中学二年の夏休みに「(旧ソビエト連邦の)サターン5型の脅威」という自由研究をしました。
その頃から無防備な日本を憂いていました。
その後80年代に入り、ソ連は中距離弾道ミサイルSS20を西ドイツに向けて、西ドイツのコール首相は国民の反対を押し切って、アメリカの核ミサイル(パーシングⅡGCLM)を配置したそうです。記憶に間違いが無ければですが。

武器としての核を持つことは、私個人は賛成です。
何故なら、周辺に話しをしても無駄な国が、我が国に向けて核ミサイルを設置しているからです。
核を持つということは、核の抑止力になると思うからです。

ただ、楽な生活のみを求めて、増大する消費電力の為だけに原子力を使い、無尽蔵に原発を増設することには絶対反対です。

震災復興のための「国債」のことですが、坦々塾のブログに今年の一月十四日にアップしました「箪笥預金よりも」
http://tantanjuku.seesaa.net/article/180436010.htmlの無記名債券が、特に今の時点では最良ではないかと私は考えています。

歴史に学び、先を読み、常に備えよ。
毎日、そう考えて行動しているつもりです。

蚊取り線香は「ベープ電気蚊取り」だと電気や電池を使うので、
多分ですが・・・今年の夏は「キンチョーの蚊取り線香」(渦巻きのです)が売れるような気がします。(笑)

夏に向けて、「すだれ」の準備と「蔓もの」の種を蒔きました。

大石

  

           

「最近の感想」への3件のフィードバック

  1. 原子力発電を細々とでも続けるつもりなら、その廃棄物の最良の処理方法として原爆製造を考へなくてはなりません。世界中の各国がそのやうに日本の原発も見てゐるしそれが当然なのですから。
    原爆の方が管理がしつかりするし原発よりも春かに安全だと思ひます。
    日本人の自己欺瞞性は陶冶できないかもしれませんが。
    管首相の浜岡原発停止要請は彼の最良の決断で、人気が回復するかも知れない。後は性急に電信柱を立てたりして復興を急がないことです。

  2. 本気で電気を節約したいなら、電気料金を2倍ないし3倍に引き揚げれば、電気使用量を抑制できるとする試算を、ある経済学者が発表している。
    製造会社は、現在でも他国に比較して高い電気料金を避けるため、外国に工場を移すか、技術開発によって自家発電や省電力化したシステムを創り上げるだろう。そうすると困るのは電力会社なので、今まで本気で電力消費削減対策を要請してこなかった。しかし福島原発事故を契機に、省電力に進むことになり、日本の経済もある程度縮小していくかもしれない。原発を10年程度の期間で全て止めるにしても、その後数十年に渡って使用済み核燃料の処分はしなければならない。そのころに人口は減少していて、一人当たりの国民負担が大きくなり、生活は苦しくなるだろう。その解決策があるのか分からない。

  3. トヨタでも何処でもメーカーが自家発電すれば遥かに安い電力を使用出来る。

    一般消費者はドイツのやうに発電方式を選べる - 電気は色分け出来ないので料金に差が出るだけだが -やうにすれば良い。

    原子力発電が安価だといふのは、二酸化炭素が地球原因温暖化の原因だ、タバコが肺癌の原因だ、などと同様に根拠のないお話であることは今や誰でも知つてゐる。

    デフレはインフレより好ましく、将来日本の人口が半分になれば物価も半分になるだらうし一人当たりの負担が増えるといふこともない。

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