阿由葉秀峰が選んだ西尾幹二のアフォリズム(第十七回)

(2-26)天才の恋愛の仕方は凡人とは異なっていても、恋愛の感情そのものはなんら凡人と変るものではありえない。天才の自殺もまた、要するに一つの自殺であって、その仕方は凡人とは異なるけれども、その相違は主として死に関する省察の質と分量からくるものなのである。
(236頁下段「「死」からみた三島美学」)

(2-27)自由とはそもそも不自由をめざす瞬間にしか自由たり得ない矛盾概念である。これは自由や解放がアナーキーと境を接する外ないわれわれの生きているこの現代社会が孕んでいる矛盾そのものを示している。
(248頁下段「不自由への情熱」)

(2-28)あらゆることが許され、解放されている自由な世界では、自由であることこそが最大の不自由である。人は自由によって生きているのでは決してなく、実際には、適度の不自由と制限によって生の安定と統一を得ている。しかし、自由があり余れば、人間は中心を喪い、自分を不自由であると空想的に設定することに被虐的快感を覚え、その瞬間の熱病によって生を支えようとするものである。
(253頁上段「不自由への情熱」)

(2-29)現代人は幸福の原理を喪ったのである。幸福とは制限のなかの自足であり、不自由のなかの自由である。
(258頁下段「不自由への情熱」)

「阿由葉秀峰が選んだ西尾幹二のアフォリズム(第十七回)」への1件のフィードバック

  1. 場違いで恐縮ですが、日本あるいは日本人の本質というか、それを失ったら日本あるいは日本人でなくなるものは何か? そしてその特質の遠因ともたらすものは何かを記してみました。 
    何を最低限守るべきか、その特質を考えてどう防衛すべきかという問題意識です。

    1.日本語
    人工知能研究、脳科学研究、言語研究者の黒川伊保子氏は、その著書『日本語はなぜ美しいのか』(集英社新書H19年1月発行)の中で、日本語は母音認識言語で、同じポリネシア諸語などを除く世界中の子音認識言語の海の中で孤立していると指摘しています。 
    母音認識言語は右脳との関係が深く、虫の音を雑音としか認識できない左脳言語の子音認識言語の人々と異なり、自然や人々と共感する傾向が強いそうです。このため、「話せばわかる」というのは日本人同士の場合のみの共感現象で、子音認識言語の人々は論理で徹底的に論争して初めて合意するかどうかの傾向が強いので、日本人は世界を相手にする時、その点を十分に認識しておくべきと指摘しています。
    これは、和をもたらす長所でもあり、誤解され騙され易い欠点にもなると思われます。したがって、当然とはいえあらためて、日本語は日本の本質の重要な部分と思われます。

    2.民族形成経緯から見える「和を以て貴しとなす」基本的な性格
     拙ブログ http://rakuaki.blog.fc2.com 2月頃の記事『近年のDNA多型分析人類学から窺がえる日本人の和の背景?』で記したように、日本人に特異なDNA多様性の原因は、日本列島では多様なDNA型の種族が前後して流入したが、その温和湿潤な風土の故に棲み分け共生し易いこともあってか、先住の種族は後続の種族を排斥せず共存して最終的にはDNA多様性を有する日本人を形成していったのに対し、世界の多くの地域では先住の種族と後続の種族の争い(放逐ないし絶滅)が常であり、DNA多様性が生じなかったと解釈せざるを得ないとしています。
    温和湿潤な風土に加え、前項の日本語の共感性?がこの和の種族の形成と日本語形成自体を相互に促進したのかもしれません。そして、この受容性と共感性の卓越が日本人の「和を以て貴しとなす」性格を形成し、激烈な対立闘争や極端なものをやんわり置き去り排除する文化を形成したものと思われます。 日本では、一神教的なものは一切根付くことは困難なのはうなづけます。

    3.神道と天皇と歴史
    上記2項の言語と性格・文化が結晶したのが神道と思われます。天皇はその司祭・法王的立場ということかと思われます。 そして、それらが紡いできた日本の歴史そのものが日本の自叙伝、目録であり遺言、遺訓としての結晶と思われます。(ここでいう歴史にGHQ的史観は当然入りません)

    4.日本の本質とそれがもたらすもの
    守るべき日本とは何でしょうか? 日本語と和の精神と神道と歴史がない日本は考えられません。キリスト教がなくても、儒教(要素)がなくなっても日本です。仏教(要素)がなくなると・・・ちょっと躊躇しますが日本といえそうです。 移民が増えて混血が増えて人種構成が全く変わったとしても、日本語と和の精神と神道と歴史が健全であるならば(ちょっとありえないでしょうがその仮定では)、それも日本といえそうです。 つまり、日本語と和の精神と神道と歴史が日本の本質かと思います。
    天皇、皇室がなくなると日本の本質は損なわれやすいとは思うのですが・・・・・別の機会にもう少し考えたいと思います。

     そして、日本の本質からは、当然、八紘一宇(世界の諸民族が仲良く対等に付き合い、共存共栄で世界を協治する棲み分け共生のプラスサム)の思想が導かれ、それを実践しようとします。 ところが、世界のほとんどはダーウィン的自然淘汰のゼロサム的世界観の人々が大半で、八紘一宇をプロパガンダとして信用せず、敵対します。 かくて、明治維新以降の日本の努力は特殊で、理解されにくく、誤解されます。 さらに、河野談話の顛末が示すように、日本は騙されやすく、これまでのすべての中韓への援助が仇で返されているというのが実態だと思います。

    5.日本の本質の保全と欠点の対策
    ・・・・・今日は疲れました。また後日考えてみたいと思います。

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