「ドイツ・EU・中国」そして日本の孤独(八)

EUの陰に隠れて膨張するドイツと難民問題について、エマニュエル・トッドは著書の最初にヨーロッパの地図を載せています。EU解体を狙っている勢力とか、EUから離れたがっている国々とかを色分けしています。イギリスはユーロに入っていません。イギリスもドイツも苦境に立っていますね。ドイツはフォルクスワーゲンの問題や難民の襲来で二重苦三重苦でしょう。すでに難民の宿舎に火をつけた事件がもう250件くらいはあるのでしょうか。これから激しくなりますね。それでいて、今まで難民反対のデモをやっていたのがピタッと無くなった。難民受け入れについてのいろいろな論議もピタッと無くなった。言論統制というか、言ってはいけないこと、人種差別になると・・・。そういうことがドイツを覆っています。日本が救いなのは、私がこういうことを堂々と言えることですね。私が人種差別だなんていう人はいませんからね。私は日本が「被害者」になるとは言っていないのですよ。日本人が「加害者」になるから止めておけ、と言っているのです。必ず加害者になりますよ。ドイツも加害者になるのです。日本の場合は慰安婦問題からも分かるように、加害者になったら海外にどんな喧伝されるか分からないではありませんか。だからこういう国は警戒に警戒を重ねた方がいいのだと言っているのです。私はズルいから被害者になるなんて言わないで、「加害者になるのですよ、よく気を付けてくださいよ。」と、そこまでしか言わないのです。

「腐肉に群がるハイエナ」ということについて、IMFは人民元のSDRを認めて、中国はそのための口約束をして、その間にAIIBの支払いがあり、その前に人民元で決済をする。上手くいかないのではないか、中国は金が無いのになぜあんなことがやれるのか・・・。見ているうちに、ちゃんと人民元でAIIBで動かし始める。それをイギリスもドイツも期待しているのです。イギリスは先の総額7兆円の契約があり、ドイツは今後東へ伸びて行こうとする場合、北京からベルリンまでの鉄道を充実させて輸送路をつくるなどというド派手なプランにドイツ人は大喜びをしています。ドイツと中国が手を結ぶことに必然性があるのはロシアもなのですが、もともと陸軍国なのです。海軍国イギリスがなぜこれに参加したのか理解できませんが、ドイツ・中国・ロシアは海上のラインを抑えることはできません。海軍国ではないし港を持っていません。中国もロシアも実は太平洋に出て行くことはできません。アメリカと日本が頑張れば絶対にできません。海軍国イギリスがなぜ後押しをしたのかが分からないのです。海軍国・陸軍国というのが昔からあってロシア、中国は陸軍国で、日本もアメリカも海軍国です。第二次世界大戦は海軍国の日本がアメリカと組めていればあんなことは無かったでしょう。それはあのときの失敗ですね。

シティは怪しい闇取引、オフショアの代表で一種の闇金融です。しかしヨーロッパの社債などの5割くらいをシティで発行していますが、タックスヘイヴンの総元締めみたいなところがあります。いっぽうで2008年以来アメリカは必死になってタックスヘイヴンや闇金融を押さえようとしています。ところが2008年の金融ショックで、アメリカがタックスヘイヴンを経由してお金がテロリストに流れるということがはっきり分かったので、それを止める。北朝鮮のタックスヘイヴンも止める。マネーロンダリングを止める。アメリカはスイスの闇金融まで押さえようとしていますね。まだ完全には出来ていませんが。おかげでスイスは国家的危機に陥っています。ところがイギリスはそのタックスヘイヴンを復活させたいわけです。それを中国という闇がタックスヘイヴンを始めたらとんでもないことになりはしませんか。私はそういうことを心配しています。資本主義の大変質が起こるのではないでしょうか。アメリカがそんなバカなことを許すでしょうか。まだ信じられません。本当のことは分からないのですよ。だけれど人によっては、中国をこの制度に入れてやらせると中国も初めてまともな国になるとこういうことを言います。まともにせざるをえなくなり、開放して人民元が下がりはしても、まともな資本主義国家に変質していくステップになるだろうということです。そうされては困るということで、中国共産党内には簡単に入らない方がいいという議論があると聞いています。分かりませんが。議論はそういうところらしいですから皆さんもちょっと調べてみてください。つまり悪いところを考えれば、人民元のタックスヘイヴン化ということ。良いことを考えれば、中国はこれで表街道に引っ張り出されて、オープン化されるのではないか。どちらか分からりません。でも私は前者だと思っています。だからやっちゃいけない。いつも裏切られているではありませんか。

もともと南太平洋のことをイギリスやフランスやドイツはどう考えているのでしょうか。南沙諸島のあの島々のことをイギリスは喜んでいたのですよ。いまでこそアメリカは怒っているということを知っていますが、一時イギリスはあそこの軍事基地を喜んで応援しようとしていたのです。それくらいアジアのことをナメているのです。そういうことを騒ぎ立てるのが遅すぎたわけで、フィリピンは国際提訴したので国際政争が続くことでしょう。日本は南太平洋の人工島の要塞化を恐れているけれど、何れにしてもイギリスもフランスもドイツもあまり気にかけていません。どうでもいいことなのです。それで中国経済が盛り上ればそれでいいと思っています。

中国に恩恵を与えてやれば、お金持ちになれば民主国家になるだろう、というのが多くのひとの願いだったけれど、ぜんぜん逆の方向へ走ったというので、アメリカが怒りだしています。でもそんなことは分りきったことではないですか。あの中国人が唯我独尊になるのは初めからのことで、いつもそうしてきた民族です。嘘ではなく、思ったとおりにやっているのです。期待して恵みを与えれば感謝して「よき国」に変わるだろうという期待をもってやるのだとしたら、アメリカもおかしいですね。裏切られてやっと、というのは何とも知恵の無い話であって、アメリカは本当にやっと今気が付いたのです。アメリカはやっと気が付いているけれど、しかしイギリス・ドイツは気付いていないということです。そしてSDR、金融面での人工島が造られてしまうのではないか。私はそう思うのですが、心配のし過ぎですか。ただ、AIIBについては銀行で、政治的に日本の復興銀行とかと同じようなものでしょうから。でも日本も中国に対抗して13兆円出すとか復興銀行の条件を緩和するでしょう。

私もよく分からず、皆さんと同じように新聞やインターネットを見たりしている一介の素人です。こんな深刻な難しいテーマには入ってゆくべきではないし、入れない立場ですが経済のことは本当に分らないのです。それと政治の未来も分かりませんね。アメリカがリーマンショックで衝撃を受けて、金融を粛正しなければ自分たちが危ない。なぜならそのバブルになった金がテロリストに流れてゆく。それは今後もそうで、それを抑えなければいけない。2008年以降、アメリカの金融がそのような危機感から問題の引締めに入っているわけですね。それでもアメリカには何処かにまだタックスヘイヴン的なものが残っていると聞きました。全部は100%の排除は出来ていない。ですからイギリスのあり方には、多分ドイツもですが、アメリカの一部の指導者は渋い顔をしているだろうと思うのです。特に共和党なんかの。でもそれもよく分かりません。人民元のSDR承認については一時アメリカ議会の承認が必要だとも聞きましたが、共和党がいるので反対はするでしょうけれど、どうもそういう条件は無いらしいですね。IMFの理事会の判断らしいですね。オバマはOKを出しています。オバマっていう人も本当にノータリンですよね。今はもう完全にプーチンに手玉に取られているではないですか。任期はあと1年ですか。誰が大統領になるかで日本の運命が動いたりするというのは厭ですね。この先どういった動向に向かうかは、この年末まで世界のニュースを見守っていてください。

文章化:阿由葉秀峰

「「ドイツ・EU・中国」そして日本の孤独(八)」への1件のフィードバック

  1. 2005年に米国国務長官が「責任あるステークホルダーになってほしい」と呼びかけ、胡錦禱主席は「我々は和平崛起なのだ」と反論した。
    米国はこれまで対中政策として「建設的関与政策」をとってきた
    米国のシンクタンクの分析によると
    1、関与政策を取れば中国は米国に対して協力的になるという確信
    2、中国は共産主義から民主主義の国になりつつある
    3、中国は国内に問題が多いのでいつ潰れるかわからない
    4、全体として中国は米国のような国になりたがっている
    5、人民解放軍の中の対米強硬派の影響力が弱い
    という前提に基づいてニクソン、キッシンジャー時代から関与政策を取ってきた、だが2桁の数字で国防予算を増やして行き、「大国外交だ」と言い出したので米国に対する挑戦だと受け止め、今になって多くのシンクタンクが米国の対中国政策の前提は全て誤りだったのではないか、という結論を出しつつある と菅沼光弘先生が解釈されていますが中国人が猫をかぶるのが上手かったということでしょうか?日本に対しては二度と立ち上がれないように手を加えたのに対してあまりに態度が違うと思うのですが、、、 

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