最高裁口頭弁論 (四)

 アメリカは文明国だと果たしていえるのだろうか。しかし失われた本を回復せずに、60年も放置してきた責任は何といっても日本人自らにあるだろう。

 目録を見て、日本人の協力なしで出来る作業ではないと思った。ユダヤ人に対するナチスの犯行はユダヤ人の協力なしでは不可能だった。

 件の『没収指定図書総目録』の最初の「ア」のページから何冊か書名を書き出してみよう。

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(以下略)

 これらの書物が暗示する一つの大きな心の歴史、それがぽっくり抜けて、空洞となり、私たちは歴史の連続性を失った。

 ミラン・クンデラの言ったことば、―国民の記憶を失わせるのは簡単である、「その国民の図書、その歴史を消し去った上で、誰かに新しい本を書かせ、新しい歴史を発明することだ。」をあらためてよく、憂悶の思いをこめて噛みしめておこう。

 話題を再び現代に戻すが、私たちの口頭弁論のあと、船橋市代理人が裁判長の質問に答えて、文書で提出した以上に新たに申し立てることは特にない、と述べた。裁判長横尾和子氏が「判決申し渡しは次回7月14日午前10時30分です」と宣言し、ただちに閉廷となった。

 法廷に私たちがいたのは全体で30分未満だった。

 外は小雨が降っていた。

「最高裁口頭弁論 (四)」への1件のフィードバック

  1.  ココログからのTBの調子が悪くもあるようなのですが、成功したTBをこちらの管理人さんは削除されてしまわれたようなので、コメント欄に書き込みます。
     現在、まったくTB不能なのはこちらのサーバ側で拒否されているのではないかと心配です。
      こちらの記事に直接関係する記事を書きました。リンクを残していきます。ぜひみなさん参考にしてください。

    ※管理人さん、二重投稿すみません。先の投稿はリンクが変になっているので削除お願いします。

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