今西宏さんという恐らく実名で名乗られた方が、私の小泉首相批判を心配して応援掲示板に二度書きこみをして下さった。「つくる会会員の不安」と題された二度目のご文章が文意もはっきりし、私と中西輝政氏の論文の波及効果を憂慮しているので、およそ政治というものを考える材料になるとも判断し、さしあたりこの文章の全文をご紹介する。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
1388 つくる会会員の不安 今西宏 2004/07/22 13:14
男性 自営業 63歳 A型 大阪府
私は、前稿（1340 小泉評は「否定」よりも「肯定的批判」で）を書く時点で、読み終わっていたのは「正論」８月号だけで、「Ｖｏｉｃｅ」８月号については、広告の見出しで先生の批判論文の存在を知っていただけでした。
後ればせながら、昨日「Ｖｏｉｃｅ」８月号を購入し、西尾論文と中西輝政論文を読みました。読み終わって、これでつくる会は、このまま小泉政権が続けば、次の採択戦も茨の道にになるだろうと感じました。会の重鎮が二人、そろってここまで首相を否定するのは、現政権の協力は期待しないという意思表示と目されるからです。
無頼教師さんは、
> どうも、勘違いなさっているようですが、「つくる会」の教科書を実際上葬ったのは小泉政権ですよ。もうお忘れですか？と書かれました。
もちろん忘れてはいません。３年前の採択戦で、暗々裡に政府の意思が採択現場に伝えられ、扶桑社版教科書の不採択が慫慂されたという分析があったのを承知しています。それはおそらく事実でしょう。
だから次回もまた小泉政権は邪魔をするだろうと読むのは、当然のようですが実は当然ではありません。前回には前回の事情があり、あの時点では、沸騰する歴史教科書問題を鎮めることが、政権の存続に必要と判断された可能性があるからです。
どんな政権もその存続のためには「非情」も敢えてします。しかしその危険がなければ、政権本来の信条どおり動くはずです。
小泉首相は、中国、韓国の執拗な反対にも屈せず、頑なに靖国参拝を続けています。知覧特攻平和会館では、展示の前で涙しました。扶桑社版教科書には特攻隊員の遺書が掲げられています。首相に、扶桑社版への理解がないとは思えません。
「歴史教科書問題を考える超党派の会」の中川昭一氏、石破茂氏は、首相任命の現閣僚です。だから次回は、ひそかに政府の支持があるのではないかと、私は期待していました。
しかし、両先生の論文は明瞭な「戦争宣言」です。小泉首相は、ひょっとしたら胸中持っていたかもしれない、つくる会への前回の「借り」を、もはや意識することないでしょう。
制度上政府があからさまに協力や妨害をすることは不可能ですが、その意思が影響を及ぼすことは、常に念頭においておくべきです。
つくる会にとって、小泉政権を敵に回すことが良策だったのか否か、私は会員として不安を感じます。
それとも、現況は私などの想像もつかない、何らかの遠謀深慮の中にあるのでしょうか。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
こまやかなご心配をおかけし申しわけない。こんな風にいつも「つくる会」の行方やわれわれの言動に注意を払って下さっている方がいるのは心強く、読んでいてありがたかった。最初にまず心から感謝申し上げる。
以下私の考えを述べたい。
今西宏さんの予想されている憂慮が的中する確率は必ずしもゼロとはいえない。相当ていどにあり得ることと考えている。けれども、「つくる会」のためにかりに私が自分の言論を犠牲にしても、そうすれば期待する通りに「つくる会」のためになるとも保証されない。それとこれとは別、と考えるべきである。
私も中西氏も小泉首相の“正体見たり”という思いがしている。二人が打ち合わせしていたわけでもないのに、５月２２日の再訪朝の日に、首相は金正日からなんらかの私的脅迫を受けていると予想している。わが国の首相が罠にはめられたのである。
言論界でこのような予想に立って、理由なき日朝国交正常化の加速化に反対の声をあげられるような人材は今のところ私と中西氏くらいしかいない。
政界でも心ある筋は、首相がすでに金正日の謀略にひっかかったと見ているようだ。誰とはいわない。想像なされるがよい。閣内にも必ずいる。日本の政治家はそんなに馬鹿ではない。ただし、誰もすぐには動き出せない。今は嵐の前の静けさである。
福田康夫氏につづいて安倍晋三氏も小泉首相に既に見切りをつけたと私はみている。
私と中西氏は言論界の立場から、はっきりと「倒閣運動」に動きだしたのだと理解していただきたい。そう言った方がきっと分かり易いだろう。
小泉内閣は年内もちこたえるかどうか分からない。教科書の採択のときまで恐らくもつまい。かりにもつとしても、もし彼が金正日政権と国交正常化をしようとするなら、猛反対しなければならない。教科書の採択なんかどうでもよい。それよりもはるかに重大な国難である。
東北アジアでアメリカの反対を押し切って北に大金を支払うようなことが起ったら――小泉氏がもし個人的脅迫を受けていたとしたらあり得ないことではない――日米関係は破局に陥る。
最近アメリカは北朝鮮の人権問題を強行解決するための新しい法案を通した。日本の首相が北の人権抑圧と断固戦おうとしなければ、日米は危い。そして、そうなれば直前に首相は詰め腹を切らされる。日本のいつものやり方である。
首相の個人的脅迫のネタも明るみに出るだろう。『週刊文春』７月２９日号の３２ページに、わが国の首相の人品がいかにレベル以下であるかを示す事例が数多く並べられている。(アメリカ在住の方は少し事情を知らないようだが、ＮＨＫや朝日・毎日・日経・共同配信地方紙より『週刊文春』『週刊新潮』の方が題材によってははるかに信憑性が高いのである。田中真紀子、山崎拓、鈴木宗男を追撃し、追い落としたのは上記の二誌である。だから週刊誌の口を封じようとする言論封鎖の法案さえ出されかかった。)
もっと大きな事件が暴露されるＸデーは近いかもしれない。インターネットで流されている若い頃の複数の婦女暴行事件は親告罪なので立証されないでいるが（７月１５日に証拠不十分の東京地裁判決があった）。この件は不明としても、過去に女性がらみのきわどい噂は絶えない。勿論、恋愛は自由だが、相手がもし北朝鮮系の女性だったらどういうことになるか。首相はなぜにわかに朝鮮総連と通じるようになったのか。以上は勿論推論である。しかし何かとんでもないバカバカしいことで、日本の国家が危殆に瀕しかけているという悪夢が私にはある。今のところ証拠はなにも出ていない。単に悪夢であり、幻である。外国のマスコミが突然騒ぎ出すかもしれない。
郵政の民営化も秋には壁にぶつかるだろう。「改革」と叫んでなんの成果もない。中味がないのだから、成果が出るわけがない。それで、改革をいうからには憲法のはずだと外野からしきりに言われて、最近にわかに憲法改正のことを言い出した。
しかし国家哲学をきちんと持たない人間が憲法改正をするのはかえって危い。憲法９条２項の削除だけしてさっと退陣するくらいの潔さがあるなら、それは拍手されてよい。
あまりいろいろなことを彼には期待しない方がよい。個人の運命にも国家にも無関心なあぶない宰相なのである。
私も中西輝政氏も田久保忠衛氏も八木秀次氏も遠藤浩一氏も、「つくる会」メンバーは大半小泉首相の大衆だまし見掛けだおし政権維持パフォーマンスに反対している。曽我さんとジェンキンス氏をさんざんショーとして利用したのは、首相の外務省への指示があってのことにきまっている。選挙前の見せ物づくりのやり方はもう許せないという国民感情が高まっている。
こういう首相に断固反対するのは「つくる会」の昔からの精神である。この精神を貫くことが採択を有利にする。今の小泉首相に尻尾を振っても採択の結果なんかになにひとつ有利に働かない。
今西宏さんの心配して下さる気持ちは分らないではないが、「つくる会」はどこまでも正道を貫き通し、戦いつづけるのが筋である。それ以外に脱路はない。
小泉政権が長つづきして、それが裏目に出たらそのときである。
（8月3日午後加筆修正）
この記事へのコメント
西尾氏の今までの功績は凄いと思いますが、小泉憎しのために根拠のないレイプ裁判まで信じるのはどうかと思います。
言葉のあやであることを願っていますが、仮に証拠も根拠もなくこの裁判を信じるのであれば、西尾氏がかねてより非難していた反日日本人やサヨクと同じではありませんか？
証拠もないのに、訴訟を起こし、証拠もないのに「やっているに相違ない」と非難する。
そんな彼らを今まで批判してきたことをお忘れですか？
Posted by あの・・・ at 2004年08月02日 15:33
＞あの…さんへ
＝＝＝＝＝＝引用開始＝＝＝＝＝＝
もっと大きな事件が暴露されるＸデーは近いかもしれない。インターネットで流されている若い頃の複数の婦女暴行事件は親告罪なので立証されないでいるが（７月１５日に証拠不十分の東京地裁判決があった）、他にも必ずなにかあるに相違ない。相手がもし北朝鮮系の女性だったらどういうことになるか。首相はなぜにわかに朝鮮総連と通じるようになったのか。以上は勿論推論である。
＝＝＝＝＝＝引用終わり＝＝＝＝＝
「やっているに相違ない」とは書いてありません。
「他にも必ずなにかあるに相違ない」と書いてあります。
推論としてと断ってあり、
反日日本人やサヨクの「事実としての断定」とは違います。
以上、事実関係のみ。
Posted by 年上の長谷川 at 2004年08月02日 16:29
そうですね。
訂正します「他にも必ずなにかあるに相違ない」でした。
ごめんなさい。
でも、「他にも・・」と言われているという事は、木村氏が起こした「レイプ訴訟」を西尾氏は信じているということですよね？
だって信じてないなら「他にも」なんて言うはずないもの。
＞推論としてと断ってあり、反日日本人やサヨクの「事実としての断定」とは違います。
で、西尾氏は信じてらっしゃるの？
反日日本人も、確か推論や推定で「日本軍ならやりかねない」とか言ってましたね、そういうえば。
それに似た感じなのかしら？
「小泉ならやっててもおかしくない」こういう事ですか？
最後に「勿論推論である」と確かに付け加えてますけどね。仮にも名を馳せた学者なら「推論」で人の人格を貶めるような発言はなされない方がいいと思います。推論・憶測で日本軍の悪行とやらを広めた反日日本人にあれほど憤っておられたお方がどうされたんでしょう。
小泉氏を批判するために、裁判官曰く「確たる根拠なく提訴し、相手に無用の負担を掛けるのは、それ自体が不法行為として責任が生じることを指摘しておく」とまで言わしめた裁判を引き合いに出すのはかえって西尾氏の名を傷つける事になるんじゃないでしょうか。
Posted by あの・・ at 2004年08月02日 20:55
初めまして。一介の正論／諸君！読者のａｂｕｓａｎと言う者です。
貴方の憂国論に関しましては有る程度評価してましたが、先日の発言には
大いに失望させられました。なんか所謂市民団体の「小泉批判」をも
想起させるものであり、とても貴方のやる事とは到底思えません。
もし、「小泉下ろし」目的でしたら余りにも稚拙なやり方だと言わざる
を得ません。特にインターネット利用者の目は厳しいと思って貰った
方が良いです。インターネット利用者は週刊誌を決して評価していません。
朝日新聞、ＴＢＳ、テレビ朝日、毎日新聞の報道が論外なのであって
それらの信頼性の無さは決して、週刊文春、週刊新潮の信頼度を担保する
ものでは有りません。前言撤回をお勧めします。
私は、先日の発言に関して、”Ｓｈｏｗ ｔｈｅ ｆｌａｇ．”つまり旗色を
鮮明にしろと言いたいですね。貴方は民主党の小沢氏を首相に擁立したいと
お考えなのでしょうか？それとも、自民党の安倍幹事長を擁立しようと
画策しているのか。後者だったらなんとか容認しますが。
なんか、まず小泉批判ありきな論調に貴方への不信感を禁じ得ません。
確かに経済、福祉政策に大変問題が有るのは認識してますが、外交面
に関しては中国、朝鮮半島の２カ国で不審な動きがあるのも事実で
あります。勿論、そういった点では岡田代表は論外で、小沢氏もむしろ
利敵行為をする恐れが有ると言って良いでしょう。現に民主党内には
嘉納の様な反日売国奴とおぼしめき（極左団体で活動歴有り、ちなみに
麻薬不法使用で前科者）ものすら存在しますしね。また、岡田代表の
実家のイオングループ自体、中国や韓国の恩恵を受けている事も私の
民主党不信を増幅させています。少なくともそんな民主党に政権は
任せられません。
安易な小泉首相批判は少なくとも貴方の人気を著しく下げる要因と
成りかねません。少なくとも高い視点で語られた小泉批判とは
私には思えません。
Posted by abusan at 2004年08月03日 10:37
北朝鮮と国交回復を急ぐのは確かに不賛成です。
まだ何も事態の真相が不明なのに餌をつけないと返事は嫌だ＞と言う態度を毎回見せて支援米た医療品の贈答を繰り返して、少しづつ進歩してると開き直る解答にも飽きてきています。何時でも海外からの威嚇や恫喝宣言に怯えて、協調、友好と告げてる中に何時の間にか 実力行使で実効支配して占有権を主張してる「竹島問題」「魚釣り島」「尖閣諸島」言うべき時に自己主張しない態度や曖昧模糊とした返答で時間が経過して マスコミも何処の国の報道機関化相手の主張のみを協力的、友好的報道姿勢を貫いてきた日本の政府に問題が有ります。
もう資源枯渇と環境の負荷が大きい産業経済体制は続けられない時代になり、
人口余剰社会が人口過剰社会に変わり もう地球ノ国家の状態もすかり変わってるのですから、次の人口定常型国家群の形成まで時間的な過渡期のこの２０年と言わない１０年が流動時期に来てると思います。アメリカの経済システムも川幅を広げ過ぎる強欲なグローバリズムで先進国の労働者の完敗で開発途上国の労働者が勝ってる状態は 益々人口増大爆発的な資源枯渇を招き死活問題に突入しています、日本国内でも中高年労働者が年間3万4千人も経済戦争に敗れて自殺していますし貧富の差の拡大は目に見えています。諸悪の根源は人口増加が戦争を招きます。その前に大きい大戦争になる前にイラクやサウジなど中東の石油資源獲得に動くより、人口過剰国家の経済発展を止める方が問題解決は早い八ズですが・・人口過剰超大国の工業化は世界が一蓮托生で死滅へ向かうのは必定です。
いつまでも中東など人口の少ない工業も何も無い地域にかかわるより過剰国を滅亡させたら 石油はホットいても価格も下がるし地球環境の負荷も少なくなるし
一種族だけが蔓延る隔たりも無くなり地球ノ他の国々も寿命が延びるのに・・と思いますよ。貧乏国家に何時までもうだうだ言われて紳士的などと言ってる弱腰で見え張り外交は必要無い。戦争しろなどとは言って無い。人口定常を既に国民は選んでしまってる。平和に生きるには人口を増やさない事で、戦前の富国強兵政策で一家族5人以上の子供を産めよ増やせよ＞などトンでもない国策でした。
産児制限も許されず普及活動も妨げる言論圧制でこの運動化の加藤シズエ女子を牢獄へ叩きこみ共産主義とは無関係でも味噌糞に取り締まる狂気を到来させたくないです。人口が過剰なら理屈無しで他国へ侵略して行くのです｡欧米もずっと植民地化で西へ南へ東へ侵略しつづけていたのは事実です。もう皆はこのグローバリズムがトンでもない経済システムだと気が付いてると思います、世界規模で貧富の差を拡大するシステムです。
Posted by 加東 洋子 at 2004年08月10日 01:22