甘い保守主義者へ

 最近の私の主な仕事をまとめておしらせする。

 『正論』7月号(6月1日に出ている)で張作霖爆殺事件をめぐって新しい研究を発表された加藤康男氏と大型対談をしている。『正論』の臨時増刊号(6月20日頃に出る)に、「仲小路彰の見たスペイン内戦から支那事変への潮流」を書いた。同じ頃に仲小路彰の新刊復刻本が三冊同時に発売される。私が解説を書いている。注意してみていただきたい。

 大震災から原発事故をへて、私は『WiLL』の5月号、6月号、7月号にこれまで立て続けに観察と見解を述べてきた。6月号論文は当日録に掲載し、7月号論文には日録で注意をうながした。

 『WiLL』8月号(6月26日発売)が昨日校了となった。私はひきつづき「平和主義ではない脱原発」を発表している。原発が日本の国防を混乱させ、国家の独立自存にマイナスに働いていることを書いた。原発がなくなると産業も成り立たない、などとまだ言っている古い保守主義者はいろいろなことをもっと知って、世界についても広い知識を持ってからものを言ってもらいたい。知らないで既成観念に閉ざされているのは愚昧と言われても仕方がない。

 私の8月号論文を読んで目が覚めたら、素直になって欲しい。原発をつづければつづけるほど、放射能の危険のことではなくて、国家の能率が下がることになる。それに原子力の研究者や技術者がどんどんいなくなっている。やりたくても原子力発電はやれない時代になっている。

 中国の風力発電が世界一なのを知っているだろうか。アメリカが世界最大級の洋上風力発電を企画し、三菱電機、伊藤忠、住友商事が次々と参画しはじめているのを知っているだろうか。日本がやらないから、日本の企業は世界に手を伸ばす。高速増殖炉と再処理工場の故障で動かない日本の原発は「ガラパゴス化」していたのである。

「甘い保守主義者へ」への3件のフィードバック

  1. 原発と関係ないんですが、ご参考までに。
    2011年にもなってこんな本が出るとは思いませんでした。

    『日本の1/2革命』 (集英社新書)
    池上 彰 (著), 佐藤 賢一 (著)
    http://www.amazon.co.jp/dp/4087205967
    明治維新はフランス革命の「半分」だった?
    明治維新も8・15革命も1968も「半分」だけに終わった日本は、
    革命の本家本元のフランスと一体どこが違うのか? 震災後の未曾有の
    危機に直面する私たちが、後半戦に臨むための道すじを考察する。

  2. 日本の技術力を高く評価している人達が多いが、原発、石油化学プラント、鉄鋼、造船、自動車、電子技術等々基本技術を輸入して、製造技術をブラッシュアップしてきたにすぎない。基本設計が分かっていないから、原発では本質的に重大な事故想定もできないので対処もできない。
    すべて借り物の技術を多少改良したことをもって、技術大国日本と思いこんでいたのでしょう。今後も日本の技術では自然エネルギー関連技術を発展させることはできるはずがない。日本の技術者のレベルはその程度と考えておいたほうがよい。結局欧米の技術導入によって、エネルギー技術も進められていく。

これは へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です