百年続いたアメリカ独自の世界システム支配の正体(一)

わしズム 文明批評より

(一) はじめは、互いに戦争するつもりのなかった日米

 『聯合艦隊司令長官山本五十六』という映画を見た。いくたびも映画になった人物であるが、今回は原作本(半藤一利氏)のせいもあって、平和をひたすら願っていたが果たせなかった悲運の将として描かれていた。画像の全体に日本の戦争を歪(ゆが)めて描くようなわざとらしい自虐的解釈がなかったのはせめてもの救いだった。

 気になったのは、一貫して山本は歴史の悲劇的結末を見通していたと言わんばかりの、時代を超越した自由な人物のように扱われていた点である。そんなことはあり得ない。日独伊三国同盟に対する彼の反対がくどいほどに強調され、英米支持の平和派だったのが心ならずも開戦の鍵を托(たく)された、という筋立てに描かれていたが、それならなぜパールハーバー襲撃だったのか。彼以外の海軍中枢は日本列島周辺をがっちり固める守りの陣形を考えていたはずである。それなのに、大空のような広い太平洋に日本の主要兵力をばらまいてしまうあんな無謀な戦略を考えつき、国家の破局を早めてしまったのは山本ではなかったか。

 詳しい戦史に通じていない私でも、納得できないのはアメリカに留学し海軍随一のアメリカ通として知られていた山本が、かの国の久しい戦意、かねてから日本の狙い撃ちを図っていた殲滅戦(せんめつせん)への意志を見落としていたことである。それからもう一つは、日本はどうせ火蓋を切ったのならなぜハワイ占領を考えなかったのか。あるいはパナマ運河の破壊までやらなかったのか。当時アメリカ側にも日本軍の行動の予想をそこまで考えていた記録がある(拙著『GHQ焚書図書開封』参照)。山本のやったことは気紛(きまぐ)れで、衝動的で、不徹底であった。私が遺憾とするのはその点である。しかも太平洋を攪乱しておきながら「平和」を願っていたなどというのは噴飯ものである。

イギリスとは戦争になるかもしれない

 山本の失敗といえば、その後のミッドウェーやガダルカナルの惨敗もあり、私は彼を名将とも英雄とも考えることはできない。しかし、本稿は山本五十六論ではない。彼のようなアメリカ通にも当時の日本人がアメリカの出方を読むことはできなかったのが私の目を引くのである。短期決戦の「限定戦争」でできるだけ早期に講話にもちこむつもりで開戦したのがあの頃の大半の日本人の予測である。しかし日本人がそう思わざるを得ないような(迷わざるを得ないような)理由が当時の国際情勢にはそれなりにあった。日本人は昭和14年(1939年)くらいまで、アメリカが対日戦争に本気で踏み込んで来るとは思っていなかった。

 あるいはイギリスとは戦争になるかもしれない、と考えていた人は多かったであろう。アメリカとイギリスとは今とは違い、まったく別の国だった。イギリスのほうが超大国だった。日米間には貿易などの数量も大きく、アメリカが経済上の利益を捨てて、さして理由のない対日戦争(今考えても目的や意味の見出せない日米戦争)に敢えて踏み込むとは考え難(にく)かった。『日米もし戦わば』というような不気味な題名の書物が両国でもよく出版され、売れていたが、半ば面白半分であって、両国ともに「まさか・・・・本当に?」と疑わしい気持ちだったのが現実である。

つづく

「百年続いたアメリカ独自の世界システム支配の正体(一)」への6件のフィードバック

  1. 西尾先生がご覧になられた映画私も見ました。
    役所のファンなので
    ところで、佐藤守さんが山本の事を書いておられます。
    http://melma.com/backnumber_133212_5621974/
    子供の頃,祖父母から東郷平八郎,西郷隆盛,山元五十六と話して聞かされましたが、山本に関してはいい評価していませんでした。

  2. 2ch【無料】日本文化チャンネル桜564【Ch.217】より転載

    573 :名無しさん@お腹いっぱい。
    :2012/08/12(日) 12:07:14.27 ID:tO97VGXC
    >>572
    福島原発の事故により、脱原発派に転向した西尾幹二氏に対して、
    水島氏がどのような態度で接したかを検証しよう。
    水島氏がどのような人物であるかを考察する、一つのサンプルになるだろう(なお、原発に対する是非(賛成・反対)は捨象して、飽くまで水島氏の
    態度を見て欲しい。)。

    水島氏は、チャンネル桜のメルマガ2011年4月10日版に
    「オタオタするな」というコラムを寄せた。
    (http://archive.mag2.com/0000210954/20110410011102000.html)ここで、彼は、以下のように書いた。

    「これまで原発に賛成して、推進の旗振りをして来た自身の不明を
    恥じるなら、まず、左翼や反原発活動家や思想家に土下座して謝り、
    自らの原発推進の「犯罪行為」と愚かさを悔いて国民に謝罪し、
    原発事故の最前線の現場に赴き、原発汚染阻止の「人柱」になる
    覚悟と実行を表明すべきである。 恐らく出来はしまい。
    こういう偽善と似非ヒューマニズム、似非環境主義を批判して来たのが
    「保守」ではなかったか。」

  3. 2ch【無料】日本文化チャンネル桜564【Ch.217】より転載

    575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/08/12(日) 12:08:13.22 ID:tO97VGXC
    >>573
    チャンネル桜GHQ焚書図書開封」という番組を持つ西尾幹二氏は、
    福島の原発事故をうけて脱原発派に転向した。そこで、
    おそらくいろいろと意見や議論があったのだろう。
    「【桜戦線】平成23年夏の陣・西尾幹二」[桜H23/7/16]
    (http://www.youtube.com/watch?v=AC_4IgKMK8Y)
    という、水島氏と西尾氏が一対一で話し合う番組が作られた。

    この番組の冒頭、何故、水島氏はメルマガに書いたコラムの通り、
    「左翼や反原発活動家や思想家に土下座して謝り、自らの原発推進の
    「犯罪行為」と愚かさを悔いて国民に謝罪し、
    原発事故の最前線の現場に赴き、原発汚染阻止の「人柱」になる覚悟と
    実行を表明すべきである」と西尾氏に言わなかったのか。
    水島氏のなあなあ体質がここでひとつ見える。
    そして、動画では50分50秒あたり、水島氏は、エヘヘ笑いを浮かべて、
    「まあ先生、(原発は)10年,20年は使わなきゃならないんですから、
    あんまり脱(原発)・脱(原発)なんて言わなくても」
    と西尾氏に媚びてこの番組は終わる。
    水島氏のなあなあ体質を示すもう一つの例だ。

  4. 2ch【無料】日本文化チャンネル桜564【Ch.217】より転載

    576 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/08/12(日) 12:09:02.36 ID:tO97VGXC
    >>575
    しかし、話はこれでおわらない。
    3/3【討論!】徹底検証・菅民主党内閣の腐敗を撃つ![桜H23/7/23]
    http://www.youtube.com/watch?v=gRiq_GBz460&feature=relmfu
    この動画(13分25秒あたりから)のなかで、
    「原発のことを知らなかったですむのか、それで被害者面して、
    反原発とかなんとかなんて、誠にみっともない」
    「あんまり直接言うとお気の毒だから言わないけどね」と発言しているが、これが西尾幹二氏を念頭に置いていることは明らかである。
    なぜか、西尾氏は、【桜戦線】平成23年夏の陣・西尾幹二」[桜H23/7/16]
    (http://www.youtube.com/watch?v=AC_4IgKMK8Y)
    の冒頭で、「これまで原発のことをよく考えてこなかったが、
    自分は自分自身をなんとなく原発推進派だと認識してきた。
    だが、(原発の事故を受けて脱原発に)変わった」と述べているからだ。
    なお、上記動画(13分25秒~16分)を是非、見て欲しい。
    一人で息巻いている水島氏と白けきった討論参加者の対比が際立っていて、思わず笑ってしまうだろう。

    西尾氏を目の前にすると「お気の毒だから言わない」が、
    いなければ言いたい放題、批判の嵐。
    日本語では、こういうのを「卑怯」、こういうことをする奴を
    「卑怯者」と呼ぶのではないだろうか。

  5. 2と3と4、投稿者の義憤が感じられるので転載致しました。
    当方、当年55歳、今から37年前の18歳のとき、1975年、
    西尾先生の『『意志と表象としての世界』 ショーペンハウエル、中央公論社』
    を(おそらく1975年の初版)を読んで感激した経験がある者です。
    ヴァイツゼッカーの欺瞞を暴いた西尾先生の業績は不滅です。惜しむらくは、
    ヴァイツゼッカーの『『荒れ野の40年』は英語訳をネットで探しても見つからない、英語圏の人間とディベートするときに引用が出来ないのが無念です。

  6.  「義憤にかられて」、2,3,4の書込を2ちゃんねるにした者です。
     先生の数々のご功績の内でも、外国人労働者を受け入れないように言論を重ねられたことは、本当に日本を救ったと思っています。
     バブル経済に沸く平成元年5月13日にNHKで放映された、外国人労働者受入問題に関する討論において、経済がすべて金儲けがすべての時代風潮のなかで、先生が「(外国人労働者を受け入れるくらいなら)経済的に少し日本が落ちてもいいじゃないか」と言われたのを印象深く覚えています。また、「日本人が差別する側に回ることになる」という鋭い考察もその通りだと思いました。
     今、先生が取り組んでおられる、GHQ焚書図書開封は、素晴らしい仕事だと思います。先生の今後のご健勝とご活躍を心より祈念しております。

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