普段あまり見ないのだが、『正論』5月号連載第1回へのアマゾンの論評二篇がかなり的確な内容だったのに気がついたので、転載させていたゞく。まあ、大体こういう方向であるが、読者からの期待の声としてありがたく拝読した。二篇の内容指摘は重なっているが、よく読むと少し違うところが面白い。
今連載の第二回目を書いているが、ずっと先までの見通しは立っていない。「衛星から見ているような鳥瞰的視点」と一定の短い時間内を詳しく描く虫めがねの視点とをとり混ぜて行きたいと考えている。
By閑居人
「正論」40周年記念連載として、西尾幹二氏の「戦争史観の転換ーー日本はどのように『侵略』されたのか」が、これから30回、2年半かけて長期連載されることになった。その第一回にあたる今回は「第一章 そも、アメリカとは何者か?」である。
恐らく、今回の文章は、全体の「プロローグ」に当たる部分だろう。西尾氏は三つの命題を予め提示する。
第一命題 「アメリカにとって国際社会は存在しない。ワンワールドである。」
第二命題 「『救済』という使命を持つ国家アメリカは、ヨーロッパなどの『旧世界』を退廃ととらえ、アメリカが作る『新世界』が 純潔であるという信念を持つ」
第三命題 「基本的に植民地を持たない。金融・投資(ドル)と制空権(軍事力)という脱領土的世界支配という方式で支配する」
多分、この三つの命題は、主題や対象を変えながらも、繰り返し現れて主旋律を奏でることになるだろう。世界史上、「世界的覇権国家」となり得た国家は「モンゴル帝国」と「アメリカ」しか存在しない。「モンゴル帝国」は、ユーラシア大陸の大半を占領し、東アジアに「元・清」、東ヨーロッパ草原に「キエフ公国・ロシア」、中近東に「オスマントルコ帝国」、インドに「ムガール(モンゴル)帝国」をつくった。地政学で言うハートランドからの進出に対して沿岸に追い詰められた辺境諸国は、海に活路を見いだした。大航海時代である。ポルトガル、スペイン、オランダそしてイギリスが海上覇権を握った。
20世紀、アメリカは二つの大戦を経て、「腐敗したイギリスに代わって」、七つの海を支配する海洋国家として世界に君臨した。1991年の「ソビエト崩壊」後は、唯一の世界覇権国家として生存していくことを国防会議で決定した。(この経緯は国際政治学者伊藤貫氏の著作に詳しい。アメリカは一国覇権主義をとり続け、ロシア、中国、日本、ドイツを「地域覇権国家を目指す潜在的敵性国家」として見なし、注意深く力を削ぐことにした。)また、今回、西尾氏は、これから語ろうとすることの本質の幾つかを提示している。一つは、「歴史を変化の相の下に見る」ことである。アメリカが当初から現在のような世界観で統一されていたわけではない。当初は、おずおずと、迷いながら、国際社会に踏み出し、戦争をするたびに大きく変質していった。第二次大戦でも、「戦争の初期と終わりごろとでは、アメリカの戦争の仕方、内容、規模ががらっと変わっていた」戦争の始まりは、第一次大戦の戦争文化だったが、「1943年以降、アメリカの戦争はがらりとその様相を変えた。酷薄で無慈悲になった」(58~59ページ)
次には、「権力」パワーの問題がある。戦勝国の「権力」をつくるものは「剥き出しの暴力」である。しかし、国際政治の大枠が決定されると、次には「権力の正当化」とそれに対する「対抗的パワー」との間で次の局面に向かおうとする情報戦、宣伝戦が始まる。
多分、アメリカについてまとまったことを語ることは、西尾氏にとって今回が最後になるだろう。西尾氏が切り開こうとする知的世界に、一読者として期待するばかりである。
By 海 (宗像)
西尾幹二の連載が始まった。
第一章 そも、アメリカとは何者か?である。
10頁であるが鳥瞰的というより衛星から見ているような視点でありイデオロギーから超越した爽やかさを感じる。日本の歴史は2000年、この列島に住み始めてからはもっと遙かに1万5000年。そして、アメリカ先住民とは多分、同根である。その地に僅か350年程前異変が起こった。
把握し難い系列の人種の出現、自然信仰でない別系統の一神教徒集団の出現である。厄介な異質集団が押し寄せて来た。アメリカとは。
第一に、 アメリカにとっては国際社会は存在しない。アメリカという一つの世界がある。
第二に、 旧世界(ヨーロッパ)の頽廃に対して新世界(アメリカ)の純潔という自己認識。
第三に、 基本的に植民地を持たないことを国是としていた。そのため、脱領土的な世界支配つまり、制空権や金融による他者の遠隔コントロール方式である。アメリカは、戦争する度に姿を変える国である。
戦前の日本人は、アメリカが好きだった。アメリカびいきであった。
そして、第二次世界大戦の始めと終わりではアメリカの姿勢、立つ位置もすっかり変わって別のアメリカになっていた。
だから、「何故、負けると分かっていた戦争をしたのか」というのは、意味をなさない。
1943年以降は、集中砲火、絨毯爆撃等酷薄で無慈悲になった。現代の無人攻撃機の先駆をなすB29による戦争の機械化を始めた。アメリカは、次々と変化する。そして、今ではアメリカ本土からのボタン化、ゲーム化、遊戯化が起きている。
350年前に出てきた集団がなんでそこまでするのよ、という事である。
私たちは、空間拡大や移動を求めない、余分な狩りをしない民族であったが、彼らは追いつめ息の根を止める。
アメリカは、繰り返し戦争をし、戦争の度に大きくなり国家体質を変えた。それも戦争の真っただ中で。これにはヨーロッパも追いついてはいけない。
「戦前のどこが悪かったか、間違っていたか」という人がいるがそれは、虚しい。
それ以前から、歴史の進行はほぼ、決まっていたのだ。続篇に期待したい。
日本政府(文部科学省)は、日本の小中学校・高等学校等の歴史教科書検定基準における『近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。』(いわゆる「近隣諸国条項」)を廃止し、日本の将来を重視した日本国民のための教育を行うべきである。
中国や韓国は、国定教科書により国内全域において統一的に一方的な反日教育を行っている。今の日本の敗戦的・配慮外交な教育は間違っている。グローバル化したボーダレスな現在、今までの日本の敗戦的・配慮外交な教育では通用しなくなってきている。今、日本は日本国民のための真の教育が求められている。
≪≪「近隣諸国条項」制定の背景≫≫
昭和57年(1982年)、高等学校用の近現代史の教科書記述において、日本軍の華北への『侵略』という記述が文部省の教科書検定によって、『進出』と書き換えさせられたとの新聞報道が、朝日新聞をはじめ各紙に載った。これはまったくの誤報だったにも係わらず、これに中国・韓国が非難を浴びせ、外交問題として猛反発した。
8月26日、ときの宮澤喜一官房長官は中国・韓国に謝罪し、「政府の責任において是正する」「検定基準を改める」などとした談話を発表した。これに基づいて11月24日、「近隣諸国に配慮」するといういわゆる『近隣諸国条項』が新設され、これにより、ますます自虐的な偏向教科書が続出することとなる。以後、今日にいたるまで、歴史教科書執筆はこの制約を受けている。
≪≪(宮沢喜一内閣官房長官談話に至った経緯≫≫
この騒ぎのもとになったのは、昭和57年(1982年)7月26日に北京の日本大使館に、肖向前(しょう こうぜん)中国外務省第一アジア局長が、渡辺幸治(わたなべ こうじ)駐中国日本公使に申し入れをしたことである。これについて 『朝日新聞』 の7月26日付夕刊は、北京支局26日発のものとして、「教科書検定問題に関する中国政府の申し入れ内容は次の通り」 一、最近、日本の新聞が文部省の歴史教科書検定について多くの報道をした。これから判断すると、検定の過程で、日本軍国主義が中国を侵略した事実について改ざんが行われている。たとえば華北侵略を「進出」と改め・・・と始まってなお40数行続く。
それから一週間して、中野好夫氏が 『朝日新聞』(8月5日付夕刊)に次のように書いた。「・・・まことに奇怪千万でわからぬものは・・・文部省当局(いわゆる調査官も含めてだ)の頭の構造である。たとえばいかに言霊(ことだま)の幸(さ)わう有り難いお国柄とはいえ、『侵略』を『進出』に・・・等々にさえ書き改めれば、それで厳たる事実が抹殺できると本気で考えているのだろうか。不思議な頭である・・・」。
ところが、このとき国際的大問題に発展するきっかけとなった「侵略」を「進出」に換えた歴史教科書などは、翌年度使用される予定のもののなかに一つもなかった。北京の中国外務省第一アジア局長は、まさに虚に吠えたのである。そして萬犬(ばんけん)がそれに唱和したのである(萬犬虚に吠える)。
【教師用指導書の市販本 『年代ごとに読める歴史事典 「最新日本史」教授資料』/ 明 成 社 (編著:最新日本史教授資料編集委員会) 2013年(平成25年)3月15日発行:9,720円】
本書は、自虐史観・反日史観にとらわれない高校用歴史教科書 『最新日本史』(明成社)に出てくる用語・コラム・図版を詳しく解説し、本来学校で先生方が使用される教授用資料集として製作されたものです。ついては一般の方にも、日本史の面白さ、素晴らしさを余すことなく体感できる内容として、市販化したものです。
教師用の指導書は文部科学省の検定の対象ではないので、大事なことをきちんと充分に記述することができます。重要な事件や用語は、もれなくこの一冊に詰まっています。
教科書で紹介できなかった事項を数多く掲載し、使いやすい巻末資料「皇統譜」「歴代天皇一覧」「歴代将軍一覧」「干支順位表」などを掲載しています。また、「神話とは何か」「世界史の中の明治天皇」「日本軍政下のアジアと独立」など豊富な囲み記事も満載です。
ページをめくるたびに、先人たちの実績に驚かされ、苦難の歴史には涙を禁じえないでしょう。