番組名:闘論!倒論!討論!2014
テーマ:「安倍外交とは何か?」
放送予定日:平成26年2月22日(土曜日)20:00-23:00
日本文化チャンネル桜(スカパー!217チャンネル)
インターネット放送So‐TV
「You Tube」 「ニコニコチャンネル」オフィシャルサイト
パネリスト:50音順敬称略
加瀬英明(外交評論家)
関岡英之(ノンフィクション作家)
西尾幹二(評論家)
馬淵睦夫(元駐ウクライナ兼モルドバ大使)
三宅 博(衆議院議員)
宮崎正弘(作家・評論家)
宮脇淳子(東洋史家・学術博士)
司会:水島 総(日本文化チャンネル桜 代表)
この討論での、西尾先生はじめ皆様の卓見、面白く腑に落ちました。
中でも、馬渕睦夫氏のグローバリズムVSナショナリズムの視点は、共感すること大で、私にとって得がたい発見でした。
早速、馬渕睦夫氏を検索し、氏の見解の多くを調べてみましたが、欧米の挙動の背景、本質、現状、そして日本や欧米に振り回される諸国の措かれた位置や情況が見えたような気がします。
今回の討論を拝見して最初に感じたものは、日本はどうしてこれほどまで米国に「遠慮」しなければならないのか・・・ですね。
しかしそれは日本人が勝手にそう思い込んでいるのが実態で、本当はこんなに遠慮すべきではないはずなのに、なぜか多くの日本人が米国に「遠慮」している。
どうしてそうなるのか。それは多分日本国民の多くが本気で米国と離縁できない心境に陥っているからでしょう。
おそらく米国はその日本人の心理を今利用していますよ。日本の保守層がいくら声高に国威発揚をしても、すでに日本人の本質は米国離縁を為せない国家に固まっているだろうと憶測しているのではないだろうか。
その反面、日本人の根底には、米国の予測を越える民族の決断を下せる要素がどこかにあって、それはいまかろうじて靖国神社が対外的にはわかりやすい象徴となっているわけですが、いざとなったら日本人は本気で戦う民族であることを米国は恐れているのは間違いないところで、その日本人の敵対心が最後は米国に向けられることだけは避けたい心理は絶対あるでしょう。
ところが一方で米国が日本近隣諸国とのいざこざには首を突っ込みたくないのも本音で、ある程度の日本の防衛意識の向上を求めているのも真実でしょう。
しかし、その向上心が発生するきっかけは、このままいくと先の大戦と同様、米国への敵対心が発動のきっかけとなり、今まで羊のようにおとなしかった日本が、狼のように変身し、様々な不満の矛先が全て米国に向いてしまう可能性は絶対ないとは言い切れないわけです。
おそらくそれがもしも現実化した場合は、悲惨な現実になるのは間違いないことで、ではその悲惨な予測をどう回避しなければならないかというのが、これからの日本のとるべき課題の一つであるということなのでしょう。
西尾先生はその危険性を現在の保守層のあり方にその要因を見ていますね。
あまりにも空のんきに日米の摩擦を解消しようとしている意見意識が蔓延しようとしている今の国民意識に、先生は忠告しようとしている。
例えば最近のロシアに対する日本人の意識はかなり急速に好印象化しています。それはけして間違った路線ではないのかもしれませんが、そのことが将来日米関係にどんな影響をもたらすかを踏まえて行動しなければならないよと、西尾先生はおっしゃりたかったのではないでしょうか。ですから、色んなパネラーに対して、その都度鋭い質問疑問を投げかけていらっしゃいました。その先生の言葉の根幹に位置するものは、「日本は本気で米国と袂を分けることが正しいのか」というメッセージでしょう。
この戦後の歴史はたしかに正さねばならないものが沢山山積みされていますが、しかしだからといって完全決別を下す行為はあまりにも危険で、世界から孤立する日本を生む大いなる失敗を、再び繰り返す要因であることを示唆していると感じます。
世界外交の一番難しい場面に差し掛かろうとしているのが、このまさに「今の時点」であり、日本は今本当に難しい選択を今後数多くこなしていかなけえばならない状況にあると言えます。
さすがにもう戦前生まれの日本人が少なくなりつつある現在、いやもっと追求していくと、戦争の実態を知らない日本人が急増している現在とひょうげんすべきでしょうか、なにしろ今80歳辺りの世代でさえ、もうすでに戦争の記憶が薄れ始めていると予測できますから、殆どの日本人にとって過去の戦争は歴史の1ページと化しているわけです。
このことはつまり、認識の格差を生みます。私は今年54歳になりますが、敗戦から15年後に生まれた世代ですから、なんとかかんとか戦争体験者の話を聞くことができた世代です。それでも当然実感はあまり無いわけですから、今の若者たちにとっては、当然太平洋戦争というのは歴史教科書の一部なわけです。
私の父親は霞ヶ浦の訓練所には行ったんですが、あと4日で零戦に乗る羽目だったのが、終戦を迎えて、かろうじて生きながらえた人間です。
その時のエピソードは子供の頃からポツリポツリと聞かされていました。
やっぱり自分の親ですからね、一応話がそれなりに重いわけです。
そんな感情を今の子供たちに理解してもらおうとしても、なかなか難しいですよ。しかしその一方で、彼らは軽々と太平洋戦争へのアプローチも為せるのかもしれません。つまりある程度の無責任さがそこにあるんですね。
私たちの世代にはやっぱり「厭戦感覚」というものがありました。戦争なんかするもんじゃないという感覚ですね。親たちもそれは口を揃えて言うわけです。それはいい意味でのストッパーにもなっています。
その感覚は今密かに大切になりつつあるのではないかと思うわけです。
もちろん国家が自立することは重要です。しかし、だからといって闇雲に国威発揚だけを促すのも、危険なものになります。
おそらく西尾先生はそのことを一番訴えたいのではないかと思うのです。
その意味での「離米」というニュアンスなのではないかと。
国威発揚はもしかすると安直になせる感覚で、やろうと思えばできてしまう国家意識なのかもしれません。しかし、そこに釘を刺して、安易な言動は国家損失を招きかねないことも警鐘しなければならないわけで、米国との離縁はそれを招いてしまう最大の危機と成りうることを考えていかなければならないのでしょう。
ですから外交上ははっきりと世界に日本の意思を表さなければならないというスタンスが大事で、国家内部の盛り上がりに力を任せるような外交は避けるべきだということと踏まえました。
そうした日本人特有の内面の爆発は・・・いや追い込まれた国々ならおこりそうな意識と言うべきでしょうか、それはとても危険な感情で、日本人ならやりかねない行為だと言うことができますし、おそらく米国はそれを一番恐れているでしょうし、仮にそうなってしまった場合、米国は完全に日本を敵国として位置づけ、米国の情報戦略の前に日本はひれ伏し、全世界を敵国に回してしまう危険だって有りうるわけです。
中国包囲網のごとくその近隣諸国との外交戦略を固めていく道筋は正しい部分が多くありますが、しかしそれが結果的に米国の逆燐に触れてしまってはならないわけです。
そこが最大のポイントだと認識します。
http://www.yuko2ch.net/mako/makok/src/1393558835640.jpg
平成25年9月の宮内庁HPに掲載されている写真です。
小和田恒はじめ、小和田姉妹はたびたび東宮御所に入り込んでいます。