村山秀太郎の選んだ西尾幹二のアフォリズム(第十八回)

(8-16)自由と平等の理念を謳ったフランス革命の国が、このように「身分社会」を温存させ、しかも近年格差をいっそう際立たせているという新しい事態の出現は、じつに奇異と言わねばなるまい。これはひょっとしたら改革を必要とするフランスの恥部かもしれない。

(8-17)西ドイツは「職人」の国である。完備された職業教育には定評がある。一番低い学歴の持ち主の者にも、未来は袋小路に閉ざされていない。

(8-18)たかが入試などという、子供世界の行事の中に選抜の儀式を封じ込めて、実社会では露骨な淘汰を表立てて行わないという現行のシステムは、日本人の体質に合っているのだという考え方も成り立つのである。 だいたい不明朗で、曖昧であることが美徳にみえる奇妙な国民である。

(8-19)学校の外での露骨な淘汰を避けるために、18歳での一発勝負を、ある程度止むを得ない必要悪として承認している・・。(中略)・・・たまたまそのとき失敗し、選に漏れてしまった人間が、あと一生怨念を抱えて生きていくのは不健全きわまりない。

(8-20)評価する方も、される方も、正面切って、自分自身の責任で、相手を評価する、あるいは相手から評価される、という用意が欠けている。(のが日本の場合:村山注)

出展 全集第8巻 教育文明論
(8-16) P37 下段より 「日本の教育 ドイツの教育」を書く前に私が教育について考えていたこと
(8-17) P39 下段より
(8-18) P43 下段より
(8-19) P45p46段より
(8-20) P47 上段より

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