西尾幹二全集第14巻「人生論集」読後感

ゲストエッセイ
鳥取大教授 武田修志

 九月も半ばになり、ようやく梅雨のような夏も終わろうとしていますが、西尾先生におかれましては、その後いかがお過ごしでしょうか。

 『西尾幹二全集第十四巻 人生論集』を読了しましたので、いつものように拙い感想を述べさせていただきます。

 今回はこの一巻に、「人生の深淵について」「人生の価値について」「男子、一生の問題」と三篇の人生論が収められていますが、対談「人生の自由と宿命について」のお相手、池田俊二氏と同様、私も「人生の深淵について」を最もおもしろく拝読しました。341ページで池田氏が、「心の奥底をこれほど深く洞察し、心の襞をこれほど精緻に描いたものはどこにもないだろう」とおっしゃっていますが、全く同感です。

 「人生の深淵について」は「新しい人生論」と言っていいのではないかと思います。または、「新たに人生論の可能性を開いた人生論」と。

 どういう意味かと申しますと、三、四十年前までは人生論、あるいは人生論風の教訓的文章はよく出版されていましたし、読まれてもいたと思います。私も高校生から大学生の頃、比較的よく読んだように記憶しています。『三太郎の日記』『愛と認識との出発』といった一昔前の定番の人生論からトルストイ、武者小路実篤、佐古純一郎等、古今東西の人生論あるいは人生論風のエッセーですね。こういう文章が今や誰によっても書かれないし、また読む人もいません。言うまでもなく、こういう文章が、このニヒリズム蔓延の時代を生き抜かなければならない読者にとっても、全く無力だからです。

 小林秀雄が、世間から「私の人生観」を話すように求められながら、「観」とはどういう意味合いの言葉かという話から始めて、明恵や宮本武蔵の話をすることで、間接的に自分の人生観を暗示したに留まったのは、昔ながらの「人生論」の無力、ストレートに自分の生き方を語る不可能を自覚していたせいではないでしょうか。西尾先生もその点では同じだと思います。何か自分はもう人間として出来上がっているかのように、高みに立って、読者に教え諭すように語る、そういう人生論は陳腐であり、不可能である、と。

 それでは、現代においてはどういう「人生論」が可能であるか?

 まさに先生の「人生の深淵について」は、そういう問題意識を持って書かれた「新しい人生論」ではないでしょうか。

 「人生の深淵について」というこの標題が、先生のねらいがどこにあるかを語っています。人生の「深淵」、つまり、人が人生を渡っていく時に出会う「危機の瞬間」に焦点をあてて、人間と人生を語ってみようとしているのだと私は理解しました。人の心の奥底、心の襞を描くに実に巧みな焦点の絞り方です。そして、ここに「現代」というもう一つの視点を持ち込むことで、「怒り」「虚栄」「羞恥」「死」といった古典的テーマへ、先生ならではの洞察を折り込むことに成功しています。全編、これは本当に、読んでおもしろく、同感し、教えられるところの多い、名エッセーだと思いました。

 以下に少しだけ、私が特に同感したところを書き写してみます。

「怒りについて」から――

「(現代社会にあっては)本気で怒るということが誰にもできない。・・・怒りは常に何か目に見えないものの手によって管理されている。」(15ページ)

「・・・怒りは、人生においては何を最も肝要と考えて生きているかという、いわば価値観の根本に関わる貴重な感情と言ってよいのではなかろうか。」(20ページ)

「孤独について」から――

「『孤独感』は自分に近い存在と自分との関わりにおいて初めて生ずるものではないだろうか。近い人間に遠さを感じたときに、初めて人は孤独を知るのではないだろうか。」(51ページ)

「理想を求める精神は、老若を問わず孤独である」(57ページ)

「退屈について」から――

「突きつめて考えるとこの人生に生きる価値があるのかどうかは誰にもわからない。われわれの生には究極的に目的はないのかもしれない。しかし、人生は無価値だと断定するのもまた虚偽なのである。なぜなら、人間は生きている限り、生の外に立って自分の生の全体を対象化して眺めることはできないからだ。われわれは自分の生の客観的な判定者にはなれないのである。そのような判定者になれるのは、われわれが自分の生の外に立ったときだが、そのとき、われわれはこの世にはもはや存在しないのである。」(80ページ)

 ・・・・・こんなふうに引用していくと切りがありませんのでやめますが、今回最も教えられたのは「羞恥について」の一編でした。そもそも「羞恥」という感情について反省的に考察したことが一度もなかったので、以下の章句には非常に教えられるものがありました。

 「羞恥」は「誇りとか謙遜とかのどの概念よりもさらに深く、人間の魂の最も秘密な奥所に触れている人間の基本に関わる心の働きである。」(86ページ)

 「羞恥は意識や意図の入り込む余地のない、きわめて自然な感情の一つである。羞恥は自ずと発生するのであって、演技することはできない。演技した羞恥はすぐ見破られ、厚かましさよりももっと醜悪である。しかし、謙遜を演技することは不可能ではない。謙遜が往々にして傲慢の一形式になることは、『慇懃無礼』という言葉があることから分かるが、羞恥にはこれは通用しない。人は謙遜の仮面を被ることはできても、羞恥の仮面を被ることはできない。ここに、この感情が人間の魂の深部に関わっている所以がある。」(87ページ)

「羞恥はより多く伝統に由来している」(92ページ)

 そして、この羞恥という感情が払底しているのが、また現代であると。羞恥心といったものに自分が無自覚だっただけに、なるほどと納得しました。

 さらにまた(これは池田氏が対談の中で指摘されていることでもありますが)この羞恥という感情がなければ、猥褻ということは成立しないという93ページに詳述されている洞察は、実に目から鱗が落ちるような一ページでした。「人生の深淵について」全体の中でも、先生の思考の深さと明晰さが格別光っている部分ではないかと思いました。

 だらだらと長くなりましたが、この『全集第十四巻』の中で、「随筆集(その一)の部の一番末尾に置かれている随筆「愛犬の死」については、是非ひとこと言っておかなければなりません。

 これは、先生がこれまでにお書きになったエッセーの中でも最も優れたものではないかと思います。小品ですが、実にやわらかな、流れるような文章になっていて、しみじみとした味わいがあり、私は三度読み返してみましたが、三度とも涙なしにでは読み通すことができませんでした。ひょっとすると、この一編が読者へ与える、人が生きて行くことについての、また、死んでいくことについての感慨は、残りの六百ページの人生談義が与える感慨に匹敵するかもしれないなあとも思ったりしました。小説をお書きにならない先生の名短編です。

 (私の弟がたいへん犬好きで、今年の冬、愛犬を無くしましたので、この一編を読ませようと思って「全集第十四巻」を一冊送りましたところ、さっそく読んで、「とても感動した」とすぐに返事を寄越しました。)

 今回はまた表面をなぞっただけの雑漠たる感想になってしまいました。ご容赦下さい。
 今日はこれにて失礼いたします。
 お元気でご活躍下さい。

                                          平成26年9月10日

著者からのコメント

 武田さん、いつものような好意あるご評文、まことにありがとうございます。

 「人生論集」ということばで一冊をまとめましたが、仰せの通りこの題は正確ではないかもしれません。「人生論」という語には古臭いイメージがあるのでしょうね。ただ他に言いようがなかったので、こういう題目で一巻をまとめました。

 巻末の随筆集について触れて下さったのは有り難かったですが、『男子 一生の問題』に言及がなかったのは少し残念でした。これは型破りの作品だったので、いつかまたご感想をおきかせ下さい。

 今年は雨が多く、御地も大変だったのではないでしょうか。どうかお元気で。
                                               草々

「西尾幹二全集第14巻「人生論集」読後感」への7件のフィードバック

  1. ◇◆とうこうようかいパターン◆◇
    現在は、量子コンピューターの実用化が目前です。その
    主要方式(量子アニーリング、レーザーネットワーク)の
    理論的定式化には日本人の多大な寄与があります。その
    採用論理は量子論で、それによると物事の本質は不確定
    性と離散性です。したがって、様々な概念は離散化され、
    それらはパターンと呼ばれます。その自然な帰結として、
    パターン言語が生まれました。(建築、ソフトウェア、数
    学の圏論等)

    パターンは汎民族主義にも見られ、それに関する日本に
    対する漢族および朝鮮族の戦略は、その属性から言わば
    韜光養晦(とうこうようかい)パターンです。ここで、韜
    光養晦とは、”才能や野心を隠して、周囲を油断させて、
    力を蓄えていくという処世の姿勢”です。

    用日パターンである韜光養晦パターンを端的に言えば、
    擦り寄り乗っ取りパターンです。(広義の乗っ取りはパク
    リとも言えます。)このパターンには、陽的と陰的の派生
    があり、前者は漢族、後者は朝鮮族に採用されています。
    具体例は以下のとおりです。

    ・弱者の振りをして日本に資金援助と技術移転をさせ(自
    国民に対し公式には非公表)、実力がついた時点で、移転
    された技術をパクり、独自のものと称し売り込む。(高速
    鉄道、家電、半導体、ハイテクIT製品など)特に、漢族共
    産国家の技術輸出入管理条例の27条、28条、29条は、こ
    れを法的に保障する悪法として有名で、日本の経済界は、
    これらをこの国への投資の危険性として、認識すべきで
    す。
    ・技能が未熟として、国策で技能実習生を送り込み、定
    住化を推進し、人口侵略を目指している。
    ・技術に留まらず、あらゆる分野で日本を利用している。
    (例:クールジャパンの中核となるべきアニメ業界)

  2. 本エッセイに関係ない話で恐縮ですが、Youtubeで拝見しました、
    【右向け右!】第20回 – 西尾 幹二・評論家 × 花田紀凱(プレビュー版)
    の西尾先生のお話(プレビュー版だったので途中までしか拝見できませんでしたが)すばらしいと思いました。
    朝日新聞およびその同調者よ!慰安婦を戦場の女性の人権につなげたいならどうぞ徹底的にやってくれ!当時から現在にいたる世界中の戦地の女性の人権問題を遠慮なく追及してくれ!

    これは100万人の日本人に読んでほしい内容です。

  3. こんな本を見つけました。

    バルバロイがやってくる―どうなる?移民と麻薬
    朝日ソノラマ

    「世界はいまや新たな異邦人(バルバロイ)の侵略にさらされている。それは「移民流入」と「麻薬中毒」だ。世界各国を取材し、その施策を分析して解決の道を示唆する。」

    http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%81%8C%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8B%E2%80%95%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%AA%E3%82%8B-%E7%A7%BB%E6%B0%91%E3%81%A8%E9%BA%BB%E8%96%AC-%E3%82%AE-%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/4257033568

    フランスのジャーナリストが、「現代(1990年代初頭)における深刻な問題」として、移民と麻薬の流入を世界各地で取材した報告書です。
    バルバロイとは、古代ローマにおける蛮族、異邦人の呼称です。
    世界中を取材し、日本においても、「移民流入に公然と反対する珍しい存在」として西尾幹二先生も取り上げています。著者は、西尾先生にも取材したのですね。
    この本が翻訳出版がなされたのは、1993年で、20年以上が経過しているわけですが、海外のおける移民問題は解決するどころか悪化の一途をたどってており、一部では内戦すら予測されています。現実にアフリカのコートジボワールは、移民と国民の対立に宗教対立の要因が加わって、凄惨な内戦に発展しました。
    失業、定期的に発生する暴動とテロ、移民と国民、移民と移民との険悪な対立、財政と治安の悪化。
    かつてはナチス扱いを受け、党首がヒトラーの再来と呼ばれ、メディアに叩かれまくった移民反対政党の急速な支持拡大。
    「移民は、文化対立をもたらす」という茶者の主張は現在も不変であり、「移民と麻薬の問題は、グローバル化、ボーダレス化が進むほど深刻になるに違いない」という訳者の予言は、気味が悪いほど現実となっています。
    わが国においても、外国人犯罪の増加、外国人が持ち込む違法薬物問題、治安と財政の悪化、外国人住民と日本人との文化対立などが局地的に発生していますが、すでにバルバロイ(移民と麻薬)の侵略にさらされているのですね。
    かつて徳川幕府が、開国に躊躇した理由は、外国人が入り込むと、阿片(麻薬)が流入して国がズタボロになることを極度に恐れたからであり、その神経質なまでの脅威は、21世紀になっても健在です。
    ますます、「外国人労働者や移民はトラブルの原因」であり、「移民問題は、国防問題」であるという認識を改めて強めた次第です。

  4. >参考さま
    そうはいっても、価値を感じて生きているものですね。

    >観測者さま
    日本人は隙だらけです。
    そこがいいところ?なのかもしれませんが・・・・・・

    >仁王門さま
    いいものを見つけてくださったのですね。
    最近はテレビの番組より、ユーチューブのほうが面白いです。

    >ウミユリさま
    いつもコメント有難うございます。
    さっそくアマゾンで注文してみました。

  5. 敬愛する西尾先生と皆さんへ

    こんにちは。以前、アメリカの伝統保守派知識人の代表格の一人であるPat Buchanan氏の大東亜戦争の劈頭における日本軍の真珠湾攻撃についての公正にして洞察の深い文章をもって、この場で紹介させていただき、西尾先生と他の皆さんから親切な反響と好意的評価を頂戴しました日本を愛する海外の読者と支持者の一人でございます。さぞや、大変恐縮ながら、この一件は今は皆様には薄い記憶が留まることであろうと密かに思い期待しますが。この場で前回の書き込み以来、もう久しぶりですが、今回、あえて、拙文のメッセージを送る主目的は、一つの歴史の事実を明らかにすることで日本の名誉と国益に適う要件につきまして、願わくば、先生と皆さんのご協力を謹んで求めたいということでございます。

    単刀直入に、かつ具体的に述べますと、私の友人であるアメリカ人のフリーランス作家トムグードリチ氏(Tom Goodrich)の大東亜戦争の間における米国政府と米軍が日本の軍人と平民ともに対して犯していた残虐無道な戦争犯罪を暴き欧米社会に向かって広く知らしめるという日本の正義と国益に合致する大変正しく有意義な事業に関しての協力要請でございます。以下は、詳述させていただきます。

    まず、このグードリチ氏その人と前に書いた一つの重要な作品を少し紹介させてもらいましょう。彼は非常に優秀で良心的なアメリカ人であり、世の中の通論・俗論となる第二次世界大戦の戦勝国側が意図的に宣伝し戦後の国際社会に定説になっていた戦勝国史観を真っ向から否定し挑戦している歴史的洞察に富み正義感の強い好漢である。ここで特筆として取り上げたい氏の著書の一冊は、長年の資料収集と創作に没頭した末、ようやく出来上がった「地獄の嵐:ナチスドイツの滅亡1944から1947年に」(Hellstorm: The Death of Nazi Germany 1944-1947)という著作である。それは、戦中の後期と戦後当初のドイツの軍人と平民はソ連からだけではなく、所謂自称の民主主義国の偽善の米英などから受けていた苛酷にして凄惨なる仕打ちとその数々の衝撃的な事例を如実に描く歴史ドキュメンタリーである。この一書はすでに完成されアマゾンにて大変の好評を受けて、旋風のような読者からの反響を呼び起こした。実に、この分厚い本は、私は今中国語に翻訳しよいと決めまして、そして、未来に出来れば日本語に翻訳することもと念頭に置きます。決めまして、当然に、その大事業に厖大な時間を要することを覚悟し。そして、いったん、翻訳を完成したら、中国と日本で本書の訳本を出版する意欲がある出版社を探し、それぞれを出版して貰えるように全力を尽くしたいと思いました。今は中国語の翻訳は開始したばかりで、鋭意進行中です。日本語への翻訳に関して、小生は意欲こそ強く持つが、客観的にやや力不足を感じた。もし、西尾先生や皆さん或いは皆さんの友人・知人にはその興味を持たれる方が居れば、その事業を携えて頂いて宜しいですし、非常に歓迎・感謝すべき幸甚のことだと真摯に思います。
    http://www.amazon.com/Hellstorm-Death-Nazi-Germany-1944-1947/dp/097138522X/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1412151493&sr=1-1&keywords=tom+goodrich

    さて、今回、皆さんに頼みたい本題に戻りまして、グードリチ氏が、同書の姉妹編として、ドイツと同じ敗戦国だった日本は戦争中と終戦の初期に米国に遭った不正にして残酷な処遇を写実する本を書こうと決意しました。それは、大東亜戦争において、米軍が日本の兵士と平民に対し仕掛けていた嗜虐的とも言うべき数々の虐殺や暴行(例えば、日本人の兵士の降伏を受け入れず、もしくは騙して日本人の投降を誘き出してその場で射殺したり、死んだ日本兵の死体を沸騰している湯に煮てきれいになった頭蓋骨を取り出して装飾としたり、日本兵の大腿骨と脛骨を処理して封筒を切り開く道具としたりすること等々、上述のすべては架空の物語ではなく真実そのものであった)とその背後にあった、それらの悪事を駆動した暗い心理的な歪みと恨みを発掘し掘り出して、一つ一つに克明に記録し検証することにある。それをもって、ツインズとしての二冊を完成して、一シーリスの完結を告げることになると思われる。誠に、勇気のある、賞賛すべき、支持と応援に値する事業ではないだろうか、と私はつくづく思いました。そのために、私は出来る限りの協力を惜しまないし、西尾先生と皆さんにも出来るだけの協力を求めたい所以がこれである。実に、最近、同氏が私にメールを送って日本人の有識者に向かってアピールするメッセージを私に日本語へ訳すのを託した。以下の「」中のようです:

    「親愛なる大東亜戦争に関連を持たれる日本人の有識の皆さんへ

    こんにちは!はじめまして、トムグードリチ(Tom Goodrich)と申します。アメリカのフロリダ在住のアメリカ人作家である。私は大東亜戦争における日本の立場を理解し好意と誠意をもってその時代の歴史研究を従事しております。実に、ただ今、戦争中に起こっていた日本の軍人と平民ともが米軍によって行われた各種の残虐な暴行や不正を調べ、それらを中心とする一冊の本を書こうと努めて参ります。ゆえに、言語上などの障碍による現在難航中の私の資料収集に関する事業について、あの戦争相関の歴史に通暁される、若しくは家族か親族の中に直接に戦争被害の体験を持たれる日本人の方々の熱心な助力を切に求めたいと謹んで思います。当時の米国政府と米軍が日本という国と人民に犯した戦争犯罪とその罪責を暴き歴史の真相を明らかにし欧米社会に広く知らしめるのが大変有意義な事であり、それは真実性と客観性に基づいての史実の究明が現在と未来の健全なる日米関係の構築にも資することを信じます、皆さんの知識と能力の範囲のことならぜひ、最大なご協力を頂きたい。これは、良心ある一介のアメリカ庶民である私の心底からの真摯なる願いである。ついでですが、私は全く日本語に通じないため、日本を愛し日本語に精通し私の一人の友人に頼んで、この私の願いを日本語へ書き直してもらったもので、ご理解ください。又、今後のやり取りに来ましては、英語が出来る方なら、願わくば、英語で進みましょうと期待します。そうでない方なら、前述の友達に資料を送り、彼に日本語へ訳し私に再び送ってもらうことにしました。いかがでしょうか。皆様のご協力を吝嗇なく賜るよう切望しております。再度、衷心の感謝を申し上げることをもって、筆を擱きます。

    グードリチ 拝」

    以上に話したように、グードリチ氏は大東亜戦争中と其の終末後に日本の軍人と平民が米国から掛けられていた不正で残酷な打撃・虐待・虐殺に関して新しい意欲作を書くつもる意思を表明したものである。私の浅見によると、それは欧米世界に初公開する極めて挑発的にして忠実の歴史を還元する「爆弾作」になるのに決まっている。そして、当初、同氏の良心と勇気に敬意を覚えて触発された私は、あらゆる出来るだけの協力を致す態度を氏に対し表明しました。すると、当人から早くも感謝と肯定のメールが届きました。私の肯定と応援の意思を深く感謝してくれたし、色々な感想と心情を私に素直に開陳してくれました。いわば、国際ユダヤ人勢力に作られた共産主義と金融・消費的資本主義は一枚のコインの両面・同じ穴のムジナに過ぎず、彼らの利益と思惑に決められた戦勝者史観は歪曲と改竄とマヤカシに充溢したもので不公正の極みだと認識されて然るべき。それで、これらの戦後の利得する連中が世界中に行っているプロパガンダに敢然と闘争し白日下に曝け出さなくてはなりません。従来の通念として正義の側と捉えられる戦争における米英ソ諸国の正体は実に邪悪邪険極まらないもので、連中の犯した反人道の罪は連中により冤罪を被られた独日両国より百倍も深く大きいものだ。ならば、同氏の本書を書く目的は、偽善と欺瞞と傲慢の極みであった米国の手によって日本に侵された数々の戦争犯罪を余す所なく暴露し、真の戦争犯罪と戦犯・張本人が日本ではなく、当時のアメリカ政府に在るという歴史の真実を示すに他ならない。まさに、正真正銘のインテリとしての氏の実直さと人格の高貴さを端的に顕示するものと思われる。グードリチ氏の姿勢を目に通した私は、氏は真実を追い求め広く公表することに一種の真摯で熾烈な使命感に燃えている誠実と信念の男と私が感じ取り、日本の名誉の為、真実を世間に広げ一人も多く知らせる為、勿論、協力を光栄として引き受け喜んで支援して参りたいとの意向を氏に教えていった。本当に、遣り甲斐の有る事業だと信じて疑わないからだ。それに同意・同感を抱かれる戦争の歴史に詳しい方や先の大戦に参加した元帝国陸海軍の将兵の親族、はたまたあの戦争中の米軍戦争行為の直接の被害者を持たれる方からの積極的な貢献も大いに心から期待し懇切に要請いたします。それが出来ると、グードリチ氏の事業に大きく役立てる一助になる筈なので、誠に幸甚だと思います。どうか、皆さんも御力の幾分を貸して下さり、真相を追求し自国の不正な対日戦争を批判しその悪行を暴こうとする良心たるアメリカ人の努力に助力して、共に今まで隠れていた戦争中の様々な戦争暴行と偽善と欺瞞を満天下に曝け出して行こうではありませんか。
    では、以下の質問に応えられる情報を持たれる方々が、奮って、グードリチ氏に協力し吝嗇なく貴重な情報をご提供して下さいませんか。ぜひ、ご理解とご援助・ご協力のほど深くお願いします。

    グードリチ氏が待望している資料は、主に以下の内容に関する出処付きの第一人称の証言である(日本人の目撃証言の直接か間接の伝え、平民、陸海軍の将兵、パイロットからは皆宜しい):
    1.より多くの戦中、終戦後における日本人捕虜への虐待事例に関する目撃証言・当事者証言が欲しい。無論、日本人のなかなか投降しない傾向と投降しようとも受け入れられず殺される結末のため、こうした証言の数はごく限られたものと否めないが、捕虜になってしまっても虜囚の悲惨なる経歴を乗り越え生き残った少数の日本人将兵からの驚かすべき語りが現存する筈だと信じられる。
    2.より多くの沖縄戦及び日本本土占領期におけるアメリカ人による日本婦女強姦の証言・情報、同じ沖縄戦と日本占領期における日本人平民への虐待か殺害に関する証言・情報がほしい。
    3.より多くの日本人政治的指導者や中、高級の将領に対する拷問並びに所謂「戦犯」の殺害に関する記録・証言がほしい。
    4.GHQによる日本占領期におけるアメリカ軍と民間人の犯罪・無法・跋扈に関するより多くの記録・証言がほしい。(注:マッカーサーが其の米国パブリックに示す報告の中に日本に居るアメリカ占領軍が正しく天使の如く描いたから、それを読んだ米国大衆はアメリカの対日軍事占領が一般の日本人民にとって巨大な祝福であったかのような印象を受けるに違いない。)
    5.より多くの日本への大空襲に対する日本人平民の思いに関する証言・資料がほしい。
    6.より多くのアメリカの対日占領期における日本人への虐待や侮辱に対する日本人の日記や便り等の資料がほしい。

    上述の内容に関わる情報が有る方は、グードリチ氏の電子メールアドレス即ちmtgoodrich@aol.com(英語)か私の電子メールアドレス即ちrikireiright@gmail.com(日本語)に送って頂きますようお願い申し上げます。どうも、ありがとうございます。

    阿笠 力 拝
    平成26年10月13日

  6. youtubeは毎週キーワードで検索してその週更新された動画をストックして見ます。西尾先生の講義はやはり大変面白い。落語の名人のような心地よいリズムがありお世辞ではなく永久保存すべき講義と思います。いつか書籍とともに動画も整理される時期がくればよいですね。
    最近は朝日新聞の謝罪会見もあり慰安婦関係の動画も増えていろいろ見ましたが、なかでも藤岡信勝氏の解説動画はなかなか秀逸だと思いました。
    藤岡先生の動画を見ていて思い出したのですが、慰安婦騒動初期にいろいろ活動をされた方のなかで沈着冷静に理路整然と批判されていた上杉千年氏という方のことを思い出したのでネットで検索したら5年ほど前にすでに亡くなられていたので非常に残念に思いました。また心から哀悼の意を感じました。上杉氏は高校の先生でありながら吉田清治が中華航空に勤めていたという証言の真偽を確かめるために中華航空の社員会にまで当たったりするなど実証的で行動的な方であったようです。当時はいまだ言論界や報道界は左翼がかなり優勢でしかも教育界のなかで闘っておられたのでそうとう孤独な闘いであったと思います。
    亡くなった年は慰安婦騒動が鎮火するどころかどんどんデマが陰険化かつ悪質化して強固化しつつあった時期だったのでさぞ無念なお気持ちでこの世を去られたのではないかと勝手に想像しております。こういう方々の著作もぜひ永久保存し供養の意味も込めて日本人が振り返るべき労作ではないかと思えます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です