『日韓 悲劇の深層』(一)

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 本書は西尾幹二氏主宰の勉強会に呉善花氏が招かれ、そこで講演した内容に触発された西尾氏の発案で実現した。意外なことに、この両者による初めての対談本である。

 戦後、年月を経るにしたがって日韓両国の関係がますます悪くなり、韓国が戦前のことを蒸し返し、反日政策がその度合いを高めていることは困惑するばかりであり、日本人にとって大きな謎というしかない。世に韓国に関する本は多いが、本書はその謎の解明を試みるものである。

 呉氏自身も体験した反日教育の実態、来日して味わった両国のギャップと自身の相克が語られ、そこから導かれた日韓の相違についての論考は実に説得力に富む。その呉氏が母国では「売国奴」呼ばわりされて迫害を受け、生命の危険にも脅かされ、現在では事実上の「入国拒否」状態にあることを、西尾氏は「精神的に股裂きされている思想家の悲劇」と呼び、日本人はこの「悲劇」に格別な注意を払うべきだと主張する。呉氏の韓国批判、日本擁護の言説に「心地良く酔い、甘えてはならない」との西尾氏の言葉は、われわれにも耳が痛い。

 また近年、韓国で親北朝鮮感情が急速に高まり、金正恩第1書記が理想的指導者として評価されているとの呉氏の指摘とその原因の分析には、西尾氏も驚きを隠せない。

 さらに「ドイツは戦後の清算を済ませているが、日本は済ませていない」と韓国が繰り返し主張するところについての西尾氏の明晰(めいせき)極まりない反論は、本書の読みどころの一つでもある。(祥伝社新書・820円+税)

 祥伝社新書編集部 角田勉

「『日韓 悲劇の深層』(一)」への1件のフィードバック

  1. それぞれの地方にすぐれた指導者と官僚、

    企画者と実行者を持って行政を行うことが日本を復興するために必要だと思う。

    道州制を主張する人たちもいるけど、そうじゃなくて、むしろいま必要なのは新しい幕藩制の創出でしょう。

    『日本の文脈』

    15/10/12 15:47

    子路。

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