謹賀新年(1)

 チャンネル桜 年忘れ 西尾幹二氏に聞く、西洋の野蛮(平成27年12月29日放送より)

「謹賀新年(1)」への4件のフィードバック

  1. 年をまたいでしまいましたが、昨年を振り返ってみると、おおざっぱに日本は世界の中で唯一平和な国家だったのではないか、という印象があります。
    天候の乱れとか少子高齢化とか、もちろん日本が能天気な平和国家だったわけではありませんが、いわゆる国際問題化している危険な因子が、日本は少なかったと言えるのでしょう。

    それに比べヨーロッパはひどい年となりました。
    象徴的だったのはドイツの混乱です。
    ヨーロッパのみならずアメリカもアラブ諸国も2015年と言う年は記憶に残る年だったでしょう。

    そんな中日本だけはそうした世界情勢を、高みの見物というんでしょうか、少し距離を置いて過ごした年でした。
    まるでこれは第一次世界大戦の時の日本と、同じような状況ではないでしょうか。

    いま日本の経済は少しずつ上向きだと言われています。
    円安と株価の上昇が実際それを立証していますが、しかし、私はそれが「安定」の基軸だとは思いません。
    経済の実態というものを見定めると、都市部のみならず地方までが海外観光客による購買力に依存していることが顕著です。
    それがけして悪いことではありませんが、さてその依存度はどうなのかという問題があります。
    日本の一般人に生活の安定性の実感があまりない中、景気の中軸を海外からの渡航客に依存する形で、我々日本人の生活形成が維持されていると言うのが本当だとしたら、日本人の本質的な生活安定感というものは、かなり流動的ではないでしょうか。

    私は観光業界にたずさわる仕事に従事していますが、その実態は、海外観光客とくに中国人観光客の動員に6割以上頼っているのが現状なのです。
    いわゆる観光地に存在するお土産屋さんや、都市部のスーパーでは、中国人の購買力なくして、売り上げ向上を図ることは、すでに不可避となっています。こうした現実がいつ閉鎖されてしまうのかという不安がまず存在し、それにかわる新たな顧客確保をどう睨んでいかなければならないのかが、喫緊の課題であるわけです。

    そこでわが地元北海道は来年3月に新幹線が通ります。函館までではありますが、その効果は絶大でしょう。
    しかしその効果も5年が限度で、徐々に元の交通ルートが利便性の上でも旅費の上でも「得」だと言う認識が利用者に浸透するだろうと予測しています。札幌幌までの開通は30年後だと言われています。しかし、既存のルートで栄えてきた町はそれによって一気に沈没するだろうと言われています。
    簡単に言いますと、本州から北海道に旅する場合、行きは新幹線を、帰りは飛行機を利用するだろうと言われています。
    その理由は北海道の観光地の立地条件が絡んでいるからで、道内を色々回った後は、飛行機で帰る方法が一番便利なのではないかと、予測を立てています。
    おそらく千歳空港はハブ空港を目指すでしょう。世界情勢がどうなるかはわかりませんが、例えばロシアとの関係が今よりも向上すると、新たな顧客確保が期待できますからね。

    たかが観光業の話ではありますが、しかし日本はこれから観光業のありかたがとても重要なんです。
    今もそうなんですが、既存の観光業はまだまだ国内向けなんです。
    すでにそれを改善している地域もあるでしょうが、実態はまだまだ出遅れています。そこで大きな問題は、業態が日本人を雇用するよりも、中国人を雇用した方が効率的かもしれないと考えだす危険性です。
    お土産屋さんやスーパー観光地など、窓口に中国人が配置されるのは時間の問題でしょう。

    私がここで何を言いたいかと申しますと、大きく二つあります。
    それは国内需要がこのままだとその依存度は海外観光客に偏っていくと言うこと。そしてもっとも懸念することは、海外観光客に対応できない日本人は、向こう十年間の間に、かなりそぎ落とされる傾向が発生するのではないかと言う懸念です。
    特に北海道はそれが顕著になり、日本一国際化してしまう可能性もあるということ。
    そうなると北海道は日本の玄関口となる可能性もあります。
    北海道はもはや日本という枠組みに収まらない地域になる可能性もあるのです。
    それが良い方向なのか悪い方向なのかを、今から見極めなければいけない時期にあると、私は考えています。

  2. 西尾様の著書もさることながらネットでの発信もとてもわかりやすい。文字に抵抗ない世代だけでなくこれからの若者にも多く語りかけておいていただきたい。過去のバラバラの事象がつながって理解出来るようになったのも大きい。

    また北海道の状況から観光業のありかた、しいては日本の未来も
    考えるきっかけを与えてくださった投稿者のコメントもあわせて
    拝読させていただいてます。

  3. ドイツのケルンで、大晦日移民達が女性を集団で強姦するという痛ましい事件が発生しました。被害者は60人から100人に上り、他にも金品を奪われた人も多数の模様です。
    移民や難民の恐ろしさは、普段はおとなしくても集団を形成すると暴徒化し、極めて危険な存在になるということです。
    海外で起きることは日本でも必ず起きます。昨年の㋈、ドイツでトルコ人移民とクルド人移民が衝突して大乱闘へ発展しましたが(今や移民同士の対立が深刻)、それからひと月も立たない内にわが国のトルコ大使館前で同様の事件が起きました。
    彼らは、殴り合い、棒でたたきあい、物を投げ合い、車に投石し、窓ガラスを破壊し、完全に暴徒となったのです。
    国内に外国人が増えれば、同様の事態は相次ぐと思われます。

  4. > ken.m様

    レスありがとうございます。
    日録が発足して間もないころから、拙文を重ねてきた私ですが、西尾先生の基本的スタンスが、昔も今も全く変化がないところに私は一番共感しています。
    西尾先生のポリシーは、ご本人から直接聞いたわけではありませんが、私が思うには「孤独感」というものが、とても大きく作用していると感じております。
    一見「孤独感」というと、何か後ろ向きな言葉に聞こえてしまいますが、実は全く逆で、これを兼ね備えた人間の言葉は、絶大な重みを伴っていると思います。
    ニーチェもその象徴だろうと思うわけですが、考えてみると歴史的に名をはせた人間は、みな孤独だったんだろうと思います。そのジャンルは問われません。我々にだってそれはあります。
    会社でこの孤独感を耐えながら仕事をしている人間は、どこか見ているところが違うなと感じさせてくれます。
    各企業の社長さん方も「孤独」でしょう。
    しかしそれがないと本質にたどり着けません。
    会社のことを本当に直視できるには、「孤独」でなければなりません。

    社会ではそれがどう生かされるのか、それはなかなか簡単には言い表せませんが、自分の信念というものを常に世の中に発信しようという考えが継続できることで、一種社会というものはコミュニティの場で生かされてくると考えます。小さな「衝突」がそこには伴うかもしれません。
    しかしそういう小さな「衝突」がなければ、健全化は図れません。

    そうした自分の孤独感を常に兼ね備えている人間の言葉は、繰り返しますが重いですね。わたしはそこをいつも気にしながら生きています。

    会社経営をしますと、必ず経営者を呼び集める何らかの団体がお声をかけてきます。次世代の経営者を集める団体として有名なのがJC(日本青年会議所)です。決してこの団体が世の中で悪さをしているわけではありませんが、一歩間違えるとこの団体は、その次世代たちを、ふがいない人間に仕立てあげてしまう団体でもあるのです。
    なぜなら、「みんな腕組み手を取り合おう」みたいな雰囲気があるからです。それはまるで「孤独感」からの逃避ですよね。
    これがダメなんです。それぞれが「孤独感」を維持しながら集まるのなら、健全なんですが、それを失うようなきっかけを作り出す要素は十分ありますから、せっかく自分を磨き上げようとして参加した団体で、自分から墓穴を掘る人間がどれほどいるかわかりません。

    日本の経営者に欧米的な人間形成が足りないと感じるなら、その理由はこんな場面から生まれているのではないかと推測します。
    なにせ元来日本人は集まることが大好きです。そうした表向き集まりやすい場を口実に、次世代の経営者が日々どれだけぐうたらしているか、しかしそうした場で実際に行われていることはと言うと、町のイベントの下準備だとか、宣伝活動だとか、全国の青年会議所との交流をはかる大会参加だとか、もしくは選ばれし参加者が海外視察と称して、ほとんど会社経費で遊びまくるのが実態です。

    それはそれで経験を高めるきっかけでもあるんですが、問題はそこに「孤独感」が伴っているかなんです。
    旅に出て孤独を感じる・・・みたいなセンチメンタルな話ではございません。つまり、従来から自分を磨き上げるための素材として、胸の内に収めていた「孤独感」を、大きな舞台でも発揮できるかどうかと言う問題です。

    これからの日本人の重要ポスト人材に求められているのは、本質的な「孤独感」です。政治家も民間企業者も官僚も、そして一個一個の家庭の責任者も、これが本質的に問われる時代でしょう。

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