「インターネット日録」の再出発にあたり

当ブログ「西尾幹二のインターネット日録」のヴァージョンアップの改築工事中ですが、面倒な作業を続行している高木薫さんにまず厚く御礼申上げます。

間もなく坦々塾新年会のシンポジウムと質疑応答を録画したYouTubeを開示いたします。再出発にふさわしい内容と存じます。

さて、私はといえば、全集第13巻『日本の孤独』の「後記」約50枚を一昨日完了し、これから『正論』の連載に取りかゝるのですが、その前に「確定申告」の計算を計理士に渡すという面倒な、一年でいちばん嫌な仕事を片づけねばなりません。

きっと気づいている方はいると思いますが、『正論』の連載は遅々として捗りません。いま新しい鎖国論を試み始めていて、その入り口で立ち停っております。鎖国に入ったわが国の前期鎖国時代(1630~1750)を日本の外から眺めるという視点が、今までの歴史書にほとんどありません。日本史研究家にありません。

イギリスの地球侵略史の全体構図の中で、なぜ日本列島と北太平洋は見逃されていたのか。日本の軍事的強さゆえなのか、ぼんやり見過ごした幕府の迂闊さなのか、恵まれた富(金、銀、銅の埋蔵)のゆえか、東側の海(北太平洋)が深く荒涼たる深淵であったがゆえか、そういうことを今までの歴史家は考えないのです。日本史の内側のことを詳しくほじくっているばかりです。

今このテーマにぶつかっていて、勉強の時間が足りなくて、立往生しています。連載は2回休みました。編集長に「あゝ書けない!今月も書けないですよ。時間が足りない!」と嘆いて、代りになんらかの『時局論』を書きます。かくて3月号は「日韓合意の悪夢の到来」を、4月号は「覚悟なき経済制裁の危険」を書いて、お茶を濁しました。これが真相です。

濁したお茶も、それぞれ味も良い、こくのある濃いお茶ですから、安心して飲んで下さい。水で薄めてなんかしていません。けれども歴史論より10分の1の時間で書けるのです。

「GHQ焚書図書開封」をYouTubeでご覧下さっている熱心な愛読者の方もおられるので、これについてもひとことご報告しておきます。

この仕事は本当はもう止めたいのです。種本はいくらもありそうですが、使える本、テレビに向いている本、読みあげて分る本は尽きかけています。テーマは勿論まだたくさん残っています。「ユーラシア侵略国ロシア」「ノモンハン事件」「満州」など、きりがないほどテーマは残っています。今週からロシア史に取りかゝりました。3月末放送を皮切りにロシア史をつづけます。4月にいよいよついに200回目!の放送録画となります。順にYouTubeでも流布しています。

次回の刊行本は「GHQ焚書図書開封」第12巻「名著発見」で、和辻哲郎、真山青果、山中峯太郎、を取り上げます。わけても真山青果の戯曲『乃木将軍』が白眉です。この巻では、司馬遼太郎の『殉死』を集中的に批判しました。すでにYouTubeでご覧の方もいるでしょうが、本になったら「歴史とは何か?」をしかと考えて下さい。通俗作家は結局は通俗的なのだということもきっと分るでしょう。

では、読者の皆さま、今後も「インターネット日録」をご覧下さい。コメント欄もよろしくお願いします。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です