現代世界史放談(九)

アメリカの世界支配構造

 ピルグリムファーザーというのは、最大多数がプロテストタントなんです。アメリカはプロテスタントの国であるということはアメリカの世界史の支配構造と深く関係しているんですが、これをどう説明するかは難しい。

 結論だけ言いますが、たとえばリンカーンは宗教者です。南北戦争、あれは奴隷を解放するために戦った戦争ではない。13州に分かれていたアメリカを一つのネイションにするという、英語でゼムと書いていた13州をイットにする、単数扱いにする戦争だった。複数を単数にした。それはワシントンから続くアメリカの努力目標だった。しかしその理想もまた、暴力でしか実現できなかった。それが南北戦争です。それによって強引に統一国家になった。南部にはたくさんの問題があったのに、全部切り捨ててしまった。北から南の制圧には凄まじいことが行われた。

 その制圧の仕方を真似したのが、実は日本征服なんですよ。北アメリカが南アメリカを抑えるときにとった政策、たとえば公職追放、指導者を牢屋にぶち込んで罪の意識を与えて、しばらくしてある段階になって釈放し、従順な知識人を復活させて自分たちのほうに取り込むという、アメリカ占領軍はこの北軍のやり方をそっくり日本に当て嵌めました。それが自由民主党の生まれた所以です。それから日本は肝どころを握られ、ずっと支配されっぱなしである。

核問題では日本が一番怖い

 この間、安倍首相の戦後七十年談話に先立ち、外務省主導の21世紀構想懇談会がつくられ、先の戦争を「侵略」戦争と首相に言わせようとした北岡伸一さんという座長がいましたね。懇談会のああいう人士は、いまでもアメリカのコントロール下にあると考えるべきです。少なくとも外務省がアメリカの顔色を窺って、人選に自己規制をかけていると見るのが至当で、「侵略」はそれ以外には考えられない唐突な発言でした。

 あるいはまた、NPT(核拡散防止条約)体制の管理人に天野之弥さんという日本人がなっている。それを日本では出世したかのように言う人がいますが、黒人組織を管理させるには黒人の代表者を連れてきて管理させるんです。同じことが天野さんの役割なんです。核問題では日本が一番怖い。だから日本を抑えるためには日本人を使うんです。

 アメリカは南北戦争によって統一国家kになり、国家意思というものを鮮明にしました。

 この国家の持つ膨張性格を雄弁に語ったのは、リンカーン大統領のウィリアム・スワード国務長官です。

 彼が太平洋侵略を考え出した最初の帝国主義者でした。そこから先は長い話になるので、今日はできません。太平洋をアメリカのものにするのは、リンカーンの時代から始まったのです。

 其の後、ドイツがやられ、日本がやられ、ロシアがやられ、いま中国がやられかけていますが、さてどうなるでしょう。地球は再び大破壊を被る。あと10年先か20年先か分かりませんが・・・・・・。そうなる前に、アメリカが覇権意志を本気で捨て、ドル支配もなくなり、地球はカオスに陥るかもしれません。

 何が起こるかわからないんです。今日は何が起こるかわからないという話で終わることをお許しください。(2016年2月29日、日本工業倶楽部での講演に依る)

月刊Hanada 2016年6月号より

「現代世界史放談(九)」への2件のフィードバック

  1. 「何が起こるかわからない」まさにこの言葉が的中し、トランプ氏が勝利しました。
    先生が今後の世界の不吉な予測を予言したその数か月後に、この現実が起きました。
    序盤はトランプ氏が勝利するかもしれないという可能性予測から始まり、それが次第に現実化し、このままいくと本当にトランプ氏が勝利するかもしれないぞといううわさが飛び交いました。ところがヒラリークリントン氏がやっぱり優勢だろうというマスコミ誘導が報じられてから、「そうかやっぱりトランプ氏は勝てないのか」というイメージが濃厚になりました。
    この時私は一瞬安堵する思いもありました。
    上手く説明できませんが、クリントン氏が勝てば、つまりは歴史に沿った流れが展開するということなのだろうと思ったからです。

    実際選挙の開放情報を耳にしている間も、クリントン劣勢と聞く度に、なんとなくいやな気分になっていきました。
    そして結果トランプ氏が勝ちました。

    でもよくよく考えてみると、クリントン氏の政治家としての骨子が、選挙中に微妙に変化している印象が私にはあります。
    例えばTPPです。
    当然民主党はこれを容認していかなければならないわけですが、クリントン氏は突然TPPを見直すことを表明します。
    私が思うには、これは現アメリカ政府への裏切り行為となるのではないかと思いました。ところがあまりそのような反応がなく、どうしてこのような現象なのか、不思議でした。

    私はこのような選挙が繰り広げられていくアメリカの実態に、おそらく国民は相当疲弊しているんじゃないかと考えたんです。その思いを管理人の長谷川さんのブログにも書きました。そこで書いた内容を簡単に表現しますと・・・アメリカ国民の気持ちになって今回の選挙をどう受け止めたらいいのかという心の叫びは「俺たちはこんな奴らしか選ぶことができないのか」ではないかと。

    正直誰が勝者なのか本当の意味で分からないという気持ちが、アメリカ国民の中にはあるんじゃないかと想像します。
    今頃になってトランプ氏は色々常識的な態度を示そうとしていますが、果たしてこれが彼の本当なのかそれとも虚像なのか、私には少し嘘っぽく見えるんですがどうでしょう。

    いずれにせよこの方が数か月後にアメリカ大統領になります。
    世界の支配者の頂点に立つわけです。
    その観点から考えると、彼はかなり経験が少なすぎるのは明らかでしょう。
    これがカオスの始まりなのでしょうか。

    そうならないでほしいわけですが。

  2. 「現代世界史放談」ということですが、今起きている事をめぐって気儘に喋ることは面白いです。USAの大統領選挙ですが、共和と民主の候補の一騎打ち、政治に係って来たクリントンと新人のトランプの闘いです。現在のアメリカの支配層はクリントンを応援し続けたが、結果はトランプだった。クリントンは敗因をどう考えているのだろうか?トランプは勝因をどう考えているのだろうか? 新聞・テレビ・で、宣伝していた報道のすべてがクリントンを支持していたし、クリントンが圧勝の筈であった。それは、我われが得る情報は、新聞テレビに誘導されてきた歴史を物語っているし、今までは田舎に住むアメリカ人も同様だった。だが、普通のアメリカ人の生活実感では、クリントンに胡散臭さを感じていたらしい。我々日本でも、生の情報に接することが出来ない為に、3大ネットワークとか、大新聞に、候補者の人物像を頼っている。その為に、安倍首相は選挙前に、クリントンに肩入れに近い会談を行っている。たぶん、この会談は無知な馬鹿げた外務省の官僚に、吹き込まれた結果なのだろうと想像するが、トランプにすれば面白くは無かっただろう。安倍は、会談するなら、両方とするべきであったが、それでは、肩入れではなくなってしまう。反日外務の為に、安倍は自分の手の内を世界に晒してしまった。トランプは日本に取り天祐であろう。掃除すべきは日本の政府外交機関の中にいるゴミだ。なぜTPPなどを、よりによって日本の与党が決議する必要があるのか、まったく馬鹿げている。今度の衆議院選でどうなるか?大東亜戦争後70年、東アジアと日本には地殻変動はジワジワと起りつつあるのではなかろうか。

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