ゲストエッセー
坦々塾塾生 池田 俊二
簡單な感想の斷片をいくつか竝べさせていただきます。
先生の高い志は十分に感じとつてゐるつもりですが、言外の意圖(作戰?とも言ふべきものを正しく理解できないせゐで、その邪魔をする結果にならないやう、 自ら祈るのみです。
政權周邊の動脈硬化
「政權内部でも周邊でも、いかに動脈硬化が進んでいるかを具體例をもって示しておきました」が先生御自身による總括でせうね。ここまで「進んでいる」のかと驚きつつ、完全に納得させられました。しかし、世の「保守」はほとんどが現政權支持です。さうでなくては、生きてゆけない、商賣も成り立たないと思つてゐるかのごとくです。先日、保守系のシンクタンクの機關誌が送られてきましたが、嘗てゴリゴリの保守、度しがたき反動として、進歩派から目の敵にされてきた會長が「一強多弱と言われる自民黨政權は安定し、安倍晋三氏はまだ5年の任期が殘っている。9年間の安定政權の時代に、日本の内政や外交・防衞政策の方向が固まると期待している。安倍氏は自民黨の ”右派 ”と言われているが、これが”保守本流 ”の考え方」と書いてゐます。
これが、今の「保守言論人」の典型的もの言ひです。この會長の場合、本氣ではなくて世間の風向きに合せてゐるやうな節もみえますが、結構本氣と思はれる、安倍長期政權待望論も多い。御厨さんを座長にしたり、中國人移民を推進する安倍さん(この點についての、先生の御批判はあとで引用させていただきます)がどうして ”右派 ”とされるのか理解できません。時に、威勢のいいことを口走ることがありますが、それは發作的で、事前の準備も、あとの履行も皆無であることは明かです。數年前、日本人二人がイスラム國で斬首された時は、「罪を償はせる!」と叫びました。
そのあたりが世間の目には頼もしいと映るのでせうか。私自身、先生に紹介された先輩から、安倍さんを批判して村八分にされるとつらいから、愼めと忠告されたことがあります。私には無縁の世界ですが、そんな雰圍氣もあるやうですね。
オスプレイ事故と尖閣保障
名護市沿岸でのオスプレイ事故の際、「『やつぱり落ちた』・・・待つてましたといわんばかりの騷然たる怒號に氣押されて、日本側では誰ひとり何も發言 しません」「搭乘員がとつさにとつた”囘避行”に、」「日本の立場から」「ひとことの感謝の言葉が出」なかつたことと、後に、マティス國防長官による尖閣の保障を、「右から左まですべてのメディアが ” あなうれしや、ありがたや ” ”ホッとしたよ、良かったね ” というムードで報道していた」とは、一對のものですね。
それは先生の論述により氣づきましたが、一言でいへば、卑怯者の兩面ですね。「原因は勇氣の缺如です。自信、平常時における自己確信、それが缺けていることが物事のすべてをおかしくしているのです」「日本全體をすつぽりと包み込んでいる不安、ないし恐怖が、ひとびとの人間らしい自由な發語を封じてい
るのです」とは、前者についての分析ですが、後者にも通じますね。
後者は支那から、「定心丸」(精神安定劑?)とからかはれましたか。さういふ心理をあつさりと見透かされてしまつたのかもしれません。
今年 佐藤松男さん(現代文化會議主宰)からいただいた賀状には、福田恆存の「アメリカは日本を國家とは見てゐない。アメリカの一州程度にしか考へてゐないし、いざとなれば一州ほどにもカバーしてくれない」といふ言葉が印刷されてゐました。今も基本的にはこのとほりでせう。
しかし、さういふ實も蓋も無い現實を見据ゑた上で、同盟國に對しては、最低限の禮が必要です。菅官房長官や稻田防衞大臣にはそれが分つてゐないのでせう。のみならず、如上の現實を見て、覺悟を決めてゐる(それが、先生のおつしやる「平常時における自己確信」に通じるのでせう)とはみえません。「いざとなれば」アメリカさんが・・・と甘つたれてゐるのでせう。勿論二人だけではなくて、筆頭は安倍總理大臣でせう。
日米首腦會談
「オバマ政權の時代までアメリカは自らのナショナリズム・エゴイズムをグローバリズムの名において隱していました」ーーといふ先生のかねてからのお説には、久しく親しんできましたが、オバマが去り、 樣相が一變しましたね。
アメリカが、「ついに自ら牙を剥きだしたことを隱そうとし」ない今、(他國のことはさておいて)日本國内の現象には、おやおやと思はされることが多い。トランプを見下さなければ沽券にかかはると思つてゐるらしい、壞れたレコードのやうなトランプ報道には、ここでは觸れませんが、 安倍總理大臣の渡米の際、正に仰せのやうに、「まるで救世主を送りだすような空氣」でしたね。そして、 「2017年2月日米首腦會談において、安倍總理は迷ふことなく新大統領トランプ氏の許に他國に先んじてはせ參じ、固い握手を交しました」「安倍總理の最初から確信に滿ちた對米對應が功を奏した成果といってよく、賞讚すべき外交努力でした」。
このとほりなのでせう。しかし、私は「賞讚すべき」とまでは感じず、「確信に滿ちた」とも見えませんでした。考へるまでもなく、選擇肢は他に殆どなかつたのではないでせうか。オートマティックな感じで、鳩山由紀夫總理大臣でも、同じやうにしたのではないかといふ氣がしました。
お言葉を返すやうで、申し譯ありませんが、 安倍さんに對する不信感は、先生よりも私の方が根深いのかもしれません。プラス評價は殆どできません。一つ前の日露首腦會談をみても、總理は明かに自らの不見識、讀み違へ、失敗をごまかし、國民の目を逸さうとしました(その件はこの後述べます)。
「米中の關係がどう動くかがすべてを決める。半島の情勢もそれ如何です。日本の態度決定はさらにそのあとです」は廣い視野からの的確な見立てですが、それだけに、日米の直前に、トランプ大統領が習近平主席との電話會談で、「一つの中國」の原則を尊重すると、態度を急變させたことが氣になります。しかも、そのことを、大統領が安倍首相と竝んだ記者會見の場で傳へ、「これは、日本のためにもいいはずだ」と述べたのはどういふ意味か分りませんが、油斷がならないと感じました。大統領の意圖は知りませんが、これまでのことからして、安倍さんなら、その邊も讀み切つた上で、ぬかりなくやるだらうと樂觀することはとてもできません。
北方領土の行方
昨年末プーチンとの會談後の安倍總理のテレビ出演を少し見ましたが、必死に言ひ繕はうとするさまがありありとみえました。プーチンと昨年會つたのは4~5囘でせうか。支那への備へためにも、ロシアとの關係が大事なことは、他の場所で、西尾先生のおつしやつたとほりですが、安倍總理が初め、領土を主にしてゐたことは明かです。
そして、①5月には「これまでにない新しい發想によるアプローチ」⇒②9月には「手應へを強く感じる」(この發言を山際澄夫さんは後に顧みて、「なんであんなことを言つたのか謎」と言はれましたが、私には少しも謎ではありませんでした。「今は少し風向きがいいのだな。本來、そんなことは、引退してから、囘想録にでも記すべきなのに、自慢したくて、我慢ができなくなつたのだ。未だ決着してゐないのに輕率だ。最後には泣きつ面を見せることになりさうだ」と、單純に想像しました)⇒③11月には「これまで動かなかつたものを動かすのは簡單ではない」と著しく調子が變り(この時は、私でさへ、トランプが勝つたためにプーチンの態度が變つたのだと察しがつきました)⇒④12月の山口でのあの結果。「經濟の共同經營により相互信頼を釀成」にすり變へて、本人は國民を瞞くつもりだつたのでせうが、オバマのレームダック化ぎりぎりの時を選んだ姑息さと合せて、笑止なことでした。すべては、プーチンの掌の上でしたね。「強い手應へ」とは、なんのことだつたのでせうか。
しかし、テレビの安倍さんに對するオベッカは尋常ではありませんでした。宮根誠司とかいふ人は(日曜夜だつたので、8チャンで)「總理、發表は未だできないのでせうが、島は何年何月何日に返すとプーチンとの間で話がついてゐるんぢやないですか。ずゐぶん充實した話し合ひだつたやうですね」と言ひだす始
末。安倍さんは滿更でもないらしく、「そんなこと」はあつても、あつたとは言へないよと言はんばかりの、思はせぶりの表情でした。なんとも淺ましい景色で、お追從もきはまれりですね。
脱線序でに恐縮ですが、「ウラジーミル、君と・・・」 ーーこんなせりふに、普通の日本人は寒氣を催すのではないでせうか。あるいは、 飛行機からタラップを降りる時、夫人と手をつないでーー。あの2點だけでも、そんなことをする人の感覺を疑ひたくなります。
左翼政黨が一番右に位置する不思議
「世界各地で政界再編成の機運があ」るのに、「日本には政權政黨の外に目立つ新しい有力な政治潮流は浮かび上がつて來ていません」ーーこれは、日本の特殊現象と言へるかもしれませんね。
以前、先生は「自民黨は左翼政黨」とおつしやいました。最近は「自民黨の右の勢力が必要」とおつしやいました。左翼政黨が一番右とは、奇妙・異常な姿で、不自然のきはみですから、お言葉には全面的に贊同します。私も前からふしぎに思つたり苛立つたりしてきました。そして、その理由を考へましたが、せいぜ
い、「WGIPにより、右翼的勢力は2度と芽を吹くこともできないほど、根絶やしにされたのだ」といふ程度のことしか思ひ浮びません。たしかに、「全體が無氣力で」「波風の立つほうがよほど生産的で、未來を動かすということが分つていない」と感じます。どうしてさうなるのかを、次の機會に更に分析していただきたいものです。
御厨座長代理の胸のうち
御厨さんの「天皇と憲法」の中の發言は、「どう讀んでも、皇室の存在は、『主權在民の立場』にとっては弊害になっている、ということを言つている」としか思へません。そして、「『二十一世紀の日本の國家像』は共和制がふさわしいという意見の持主ではないでしょうか。少くとも皇室護持の氣持、ないしは意思は小さい。できれば皇室はこの儘置いておくと危險な存在だから國民の未來のためにどんなに面倒でもなくした方がよいと言つているのではないでしょうか。なにか言い淀んではいますが、要はそういうことです」ーー私も全く同じやうに受け取りました。これは、「日録」の勇馬眞次郎さんによる次のコメントと完全に符合します。
御厨氏は大学同期で、彼の思想が形成される環境や雰囲気を共有しますので彼が宮沢や芦部、その 他多くの敗戦利得者の系譜につながる先生方の話を聴いて育ち、主権在民というより寧ろ 国民平等の理念から、21世紀の日本の国家像を考えるとき、本音では「何で天皇の話が出てこないってなるわけでしょ」となることは、私も嘗てそうでしたので、よく分かります。公務員試験や司法試験に合格して官僚や法曹に
なった連中も、企業幹部も知識人の多くも、日本の伝統や歴史を自助努力で学ばない者は、理論にまじめであればあるほど、「みんな大事だと思いながらね、 絶対口を噤んで言わない」だけで、心中で天皇は平等原則に 反すると思っているはずです。専門家委員会や有識者会議などの会議の結論や方向はキーパーソンの人選でほぼ決まります。御厨氏に 将来の皇室護持に向けた配慮を期待できないとして、他に主要大学の誰が適任でしょう。人選した側にも、内閣にも、この手の輩が多く、尊王」の立場は現在危うい状況であり、「国の臍」などという発想も天皇を外 国人の目から眺めている証拠です。
これでほぼ盡きてゐると思はれます。つまり、御厨さんは同世代のほとんどの人々と同樣に、敗戰利得者.から、天皇を否定するのが正しいと教へられ、そのまま信じ込んだ。そして、それは今でも基本的には變つてはゐない。ーー完全に、先生のお見立てのとほりです。
更に、今の日本は、内閣を初め、あらゆる分野を「この手の輩」が占めてゐるので、他に人を見つけるのは難しいのではないか(この點、我々が安倍總理大臣を批判した場合、「ほかに人がゐますか」と反問され、沈默させられたのと似てゐる氣がします)と勇馬さんは考へてをられるのでせう。
たしかに、御厨さんは「この重要なお役目の座に坐るにふさわしい思想の持主で」はないし、「彼を選んだ官邸の責任は免れない」のですが、世の中が「この手の輩」ばかり(選ぶ側も選ばれる側も)では、どうしやうもないのでせうか。
安倍流人事
安倍さんが總理大臣としてふさはしいのなら、御厨さんも同程度に、座長代理としてふさはしいと言へるのではないでせうか。とにかく、典型的な官邸=安倍人事です。
私が初めて知つた、同樣の例は黒田日銀總裁です。この人に對する安倍さんの執心ぶりについて、決定前に新聞で讀みました。しかし、そこには黒田さんの人となりについては殆ど書かれてゐませんでした。就任一ヵ月後くらゐだつたでせうか、産經に大物記者古森さんの記事が載りました。古森さんは、總裁の經歴を列擧して曰く「これを見て驚いた。終始一貫して中國・朝鮮の擁護者、支援者なのだ。日本の利
益とどちらを大事に考へてゐるのかも分らない。こんな人でいいのだらうか」。 古森記者が驚いたのですから、私も驚きましたが、安倍總理大臣がその經歴を知らない筈はありません。それどころか、かういふ「思想の持主」こそ、安倍さんの好みなのかもしれません。
「中國の囘し者みたいに『日本は侵略國家』と叫びつづける北岡伸一氏を繰り返し重用してきたのが安倍政權です。今また皇室問題で御厨氏を起用するのが・・・安倍氏」ですね。そして、安倍・御厨・北岡のいづれにも代りがないとは!? 私も先生の驥尾に附して「ほとんど日本の未來に絶望」せざるを得ません。
つづく
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北方制覇
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簡単な取引だ
金正恩を射殺させて呉れたら、難民を引き受ける。
北の兵力を併呑し、露や中華を攻める 若しくは南を攻めるも良し。
秒読み開始。
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何遍でも言ってやる、北の工作員なんぞ撫で斬りだ。
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初志を名誉や利益で始めた学問は、進めば進むほどその弊害がはっきり現れる。
どんなに広い知識や、多くの言葉で飾ったとしても、この弊害をかくし通すことはできない。
そして大事に臨んだ時、自分の判断力を失い、節義を欠き、【権力や利益に屈して】、
人間としてこの上なく見苦しいことになる。
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吉田松陰
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池田様、暫くブログから離れると言い条、移動中のスマホで偶然このエッセイを拝読し、身過ぎ世過ぎの仕事が手につかなくなり(笑)書き始めています。前回言い忘れたことも含め、まとまりのない断片を以下に。
1.「ほとんど日本の未來に絶望せざるを得ません」と仰いますが、それでも絶望できないが故の言挙げであることは云わずもがなです。
戦後、「保守」という言葉が世間で反動だった時代が終わって市民権を得、戦後70年経った今やネット世界では保守・愛国がむしろ主流になりつつあるではありませんか。「百年河清を俟つ」はあてのないことを空しく待つたとえですが、あと30年以内、戦後百年にして日本に清い水が流れることを期待することは決して虚しくはないと思って生きようと思います。
絶望してはならない理由を確認することが重要ではないでしょうか。
① ブリュッセル女史は不幸にも絶望のまま他界しましたが、昨今、憂国の若い日本女性たちが多数出現し頼もしい言論を繰り広げ始めたのは力強い味方です。女子サッカーの撫子ジャパンが引き金になったのでしょうか。
② 「自民の右が存在しない」というお見立てですが、都知事選で非自民の“右翼”田母神氏は60万票を取りましたし、谷山雄二朗氏等注目すべき若者も現れ、低迷はしていますが「日本のこころ」は比例代表での全国得票率が2%以上のレッキとした政党ですし、内部事情は存じませんので見当違いを申すかも知れませんが、「自主憲法制定、国家の真の自立」という理念を共有する党員が(党の看板や仲間を当てにせず)独自に政策を深く学び、弁舌を磨き、一騎当千の気迫で捲土重来を目指せば希望を託せるのではないでしょうか。
③ 昔には無かったネット言論が出現し、次第に力を付けつつあり、蓮舫の二重国籍を告発し追い詰めた八幡和郎氏もネットに拠り、民進党のいかがわしさを暴き最近の分裂を誘い野田などを恐れさせているのもネットでした。これらによって左翼マスメディアの偏向が炙り出されつつあります。ネットを通じた救国統一保守戦線の結成も可能となっています。
④ 政治家のレベルや実態は戦前も戦後も左程変わっていないと思いますが、戦前と戦後の一番大きな違いは、戦後に現れた反日売国奴が戦前にはなく、戦前までは一般庶民の当然の前提だった愛国心が戦後消えてしまったことです。反日売国議員(蓮舫や志位、森友学園で国会を抜けた辻元や福山等)は明らかに中国、韓国、北の回し者や工作員であり、その資金源や素性、素行を徹底的に洗えば容易に摘発でき、公表すれば直ちに葬り去ることが出来るはずです。
⑤ 西尾先生も仰る日本の若者達の海外展開が広く深く実現すれば日本を変える契機となり得ます。一時的な留学ではなく、長期に滞在し、現地に住み、働き、学び、現地人と斬り結ぶ経験をして日本に戻ってくれれば日本は変わります。
⑥ 左翼思想は結局若い者の一時的なかぶれや過ちであって、知性のある者が歳をとり世間が広がり知見を広め成熟すれば、つまり「おとな」になることが出来れば必ず保守に回帰するもののようです。左翼思想のまやかしがおかしいと感ずる感性が自ずと培われ、その気付きが自らの偏向を正すよすがとなりますので、左から右への転向はあってもその逆は聞いたことがないのは、このことを説明します。
2.保守の星であるべき安倍氏には私も何度か裏切られていますので、池田様と不信感を共有し、北方領土交渉で「強い手應へとは、なんのことだつたのでせうか」に強く共感します。「經濟の共同經營により相互信頼を釀成」にすり変えた昨年の首脳会談は我々国民を瞞くもので、日本外交史に汚点を残したと思います。機密裡に返還約束ができ公表しないのではないかと宮根某が云ったとすれば、それは期待の表現であって、追従ではないと解釈できないこともないのですが、仮令そうであったとしてもプーチン自身があとで否定すれば、或は後任が否定すれば終わりです。所詮、売り家と唐様で書く3代目であり、田中角栄のような気迫や経綸、弁舌もなく、七光りと党内力学でのし上がっただけ、日本の未来を託せる人材ではありません。
しかし、これは繰り返しの議論になってしまいますが、現実の国内政治の状況下では安倍氏以外に有力政治家は払底しており、「ほかに人がゐない」以上、安倍政権に対して、「批判的消極的支持」をすることが必要と思います。日本のこころなどの真正保守勢力を支援し自民党をリード(善導)させつつ、真の敵である共産、民進を潰すことしか日本再生の方策は無いと考えます。しかし一旦その方向に動き出せばフランスのルペン党の伸長の如く、自民が退潮し、真の保守、ジャパンファーストの勢力が国民の支持を受け多数になっていくことが夢ではなくなります。
それにしても不思議なのは、最近手にした「なぜ外務省はダメになったか」で15年も前に元外務次官の村田良平氏が極めて適切に外務省だけでなく日本の甦りへの処方箋をすべて言い尽くしていながら、その後一歩もといっていいほど日本の政治は変わっていないことです。阻む勢力が強かったと推測するのみですが、私の意見は、日本を離れていた時期に出版され気付かなかったこの本で村田氏が云っていることの後追いでしかなく、私の主張するサムライ心は村田氏の「日本の独立保全に生命を擲つ覚悟」そのものであり、「祖国の威信を守ることは重要な国益に属する」考えと一致します。
3.「WGIPにより、右翼的勢力は2度と芽を吹くこともできないほど、根絶やしにされたのだ」と仰いますが、上に述べた如く絶滅してはおらず、GHQ/OSSの仕組んだ巧妙なメカニズム、子々孫々までWGIPという日本弱体化システムを生き残らせる企みは、日本人の自覚によって打破することが可能です。そのための同胞折伏ですが、いかに困難であっても、工夫はあり得るのであって、先ず団塊世代を米国による洗脳の事実に「覚醒」させ、その呪縛から「解放(解毒や洗浄があからさまな言葉ですが)」することが出来れば後は一気呵成に日本人解放が実現するように思います。関野道夫氏のブックレット(日本人を狂わせた洗脳工作)はそのための強力な橋頭堡です。大学での推薦図書には今でも戦後に焚書された図書は一冊もないと思われます。例えば、中村克郎らによる反戦学生の「聞け、わだつみの声」と並んで和田稔の「わだつみの声消えることなく」が加われば大学生の教養は変わり知識人の空気や常識が変わり始める筈です。
4.民主党政権時代、引退した仙谷とかいう官房長官が「柳腰という腰の使い方がある」と云ったことがありましたが、彼らはマルクスレーニンや唯物論の社会科学は知っていても、日本の文化と伝統を学んでいません。日本文化の中が核である日本語を知らないことをこの仙谷は端無くも披露してしまいました。民進党には限りません議員らの国会での国語力は目を覆うばかりです。国語力の欠如と日本文化への無知は一体であり、私が“転向”できたのも、日本文化への憧れと愛着が根底に常にあったからであり、西尾先生がニーチェや哲学に、池田様が日本語や俳句に、造詣が深いのも偶然ではなく、逆に社会科学とゼニ勘定しか頭になく、人文学(humanities)の素養のない輩は永遠に転向出来ない、死ぬまで「開放」されず、日本に悪さする勢力でありつづけるでしょう。日本の青少年に歴史教育と並んで国語教育をテコ入れすれば左翼リベラリズムへの感染を防御することができそうです。
5.最後に日本人の弱点を克服する必要を感じます。楽秋庵様からの貴重な情報ですが、①「シベリア抑留の日本人捕虜は、戦闘では勇敢だったが、吊し上げもあって共産党の洗脳で多くがすぐ赤くなったがドイツ人捕虜はほとんど相手にしていなかった」、②「日本兵は捕虜になると平気で軍事的情報聴取にぺらぺらと応えることに米軍は驚き当初は謀略虚偽かと疑った。」この2つの事実は日本人の節操の無さが戦前からのものであることを伺わせます。しかしこれは保守の折伏にとって逆手にとれることであり、逆プロパガンダの洗脳も遣り易いことを物語ります。
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勇馬さんの言は良く分かる。
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勇馬樣 お忙しいところをお附合ひ下さり、忝く存じます。
なるほど、「『保守』という言葉が世間で反動だった時代が終わって市民権
を得」、「保守・愛国がむしろ主流になりつつある」のは喜ぶべきことなのですね。いい方に風向きが變つたのだから。今のムードの方が健全で、心地
よいから。
向きが變つても、その風の吹く仕組みは同じやうにも感ぜられ、なんとなく頼りない氣もするのですが。福田恆存も、さういふ變化を感じてゐたやうですね。
同じ事が言へる樣な風向きになつたからそれに唱和するといふのが私
の嫌ふ「戰後の風潮」である。(昭和55年)
〔今は、〕左翼的な「進歩的文化人」の言論の方が村八分にされかねな い世の中になつた。そして私は二十數年前と同樣、厭な世の中だなと憮 然としてゐる。(昭和55年)
と、福田は喜んでゐないやうですが、やはり素直に、進歩と思つた方がよろ
しいのでせうね。
「ブリュッセル女史は不幸にも絶望のまま他界しましたが、昨今、憂国の若い日本女性たちが多数出現し頼もしい言論を繰り広げ始めたのは力強い味方
です」。
ブリュッセル女史は格外の傑物でしたね。彼女には、風向きなど關係なく、瞬時に、眞贋を見拔く眼力があり、僞物に對しては容赦しなかつた。その上に、あの學殖とインテリジェンス! あれほどの人には(男でも)、他に接したことがありません。
若い女性については私は存じませんが、仰せのとほりだとすると、結構なことですね。
さうでした。「都知事選で非自民の“右翼”田母神氏は60万票を取りました」ね。
あの時は、私も眞劍に應援しました。應援演説で、「私には舛添氏に恨みがある」などとおつしやつて聽衆を笑はせた西尾先生に「安倍總理大臣は舛添さんの選擧カーに乘つて、舛添さんの手を持上げましたよ」と報告したところ、いやな顏をされたのを覺えてゐます。
60萬票は善戰と言はれましたが、私はもつと接戰を豫想し、勝利を熱望してもゐましたので、がつかりしました。
「戦前と戦後の一番大きな違いは、戦後に現れた反日売国奴が戦前にはなく」。
さうでせうね。昭和一桁の頃、陸軍軍人で、トルコに駐在した者はトルコ革命の心醉者になつて歸國し、モスコウに駐在した者はソヴィエトの獨裁體勢を禮讚して、一天萬乘の天皇の理想的姿をスターリンに見るに至り、更には、陸軍部内には、天皇を廢する説まで行はれたとか。ああいふ人たちを賣國奴と呼ぶのかと思つてゐましたが、あれは愛國のゆゑだつたのでせうから、戰後の妙な連中と一緒にするのは間違ひですね。
「左翼思想のまやかしがおかしいと感ずる感性が自ずと培われ、その気付きが自らの偏向を正すよすがとなりますので、左から右への転向はあってもその逆は聞いたことがない」。
そのとほりでせうね。私には「左翼思想」の内容を吟味したことはなく、それを奉ずると稱する人たちの狂態に寒氣を催したことが、すべての始まりでしたが。
「保守の星であるべき安倍氏には私も何度か裏切られていますので、池田様と不信感を共有し、北方領土交渉で『強い手應へとは、なんのことだつたのでせうか』に強く共感します。『經濟の共同經營により相互信頼を釀成』にすり変えた昨年の首脳会談は我々国民を瞞くもので、日本外交史に汚点を残した」。
御同意いただき、ありがたうございます。テレビなどでは、あのインチキに對する批判は殆どありませんでしたね。
「保守の星」とは、我々が勝手に勘違ひした結果の呼稱ではないでせうか。第一次安倍内閣で、☆「竹島の日」を國の式典に、☆村山談話を見直す、などの前言を翻したり、☆岸信介元總理の戰爭責任を認めたり・・・あれには失望しました。
にもかかはらず、安倍政權が復活すると、私はまた支持しました。前は病氣だつたのだからーー。
安倍さん、をかしいな、どうしてあんなことを!? と訝りつつも、見限ることができないでゐましたが、坦々塾で、西尾先生から全員(?)が叱られた時、ふんぎりがつきました。
先生は「保守は皆 安倍さんが好きだよ。イヤミがないし、偉さうにもしない。おなか痛いなんて可愛らしいぢやないか。なんとか守つてやりたいーーあなたがたもさう思つてゐるんぢやないの?」とおつしやいました。
ここで、幹事に指名されたE さんは「安倍さんに問題はありますが、あとに人がゐないので・・・」と答へました。これに對して先生のたまはく 「あなたは自民黨幹事長ではないのだから、そんなことを考へる必要はない!」。E さんが代表して叱られてくれたやうな恰好になりました。あとで私は「おかげさまで、スッキリしました」と、E さんにお禮を言ひました。
西尾先生が何度かおつしやいましたが、他の、たとへば谷垣前總裁のやうに自民左派・リベラルと言はれるやうな人だつたら、絶對に許されないやうな言動も、我等が星 安倍さんだからとて認められてしまふことが問題ですね。
拉致の問題も、今どこまで進んでゐるのかは別にして、安倍さんが「斷乎やる」と言つたために、皆安心しました。そして、急速に人々の關心は薄れました。「どうなつてゐるのだ!」と安倍さんを追及する動きも見られません。このテーマで講演會を開いても、人が集まらないさうです。10數年前、「つくる會」が横田夫妻等を招いて、シンポを催した際の熱氣は大變なもので、吝嗇な私まで、カンパをしましたが、さういふムードを萎ませたのは安倍さんの人徳でせうね。
さういふ「安倍政権に対して、『批判的消極的支持』をすることが必要」なのでせうね。以下の、仰せの手順について、私には、その當否を論じる知識も能力もなく、人々の健鬪を祈るのみですが。
「① シベリア抑留の日本人捕虜は、戦闘では勇敢だったが、吊し上げもあって共産党の洗脳で多くがすぐ赤くなったがドイツ人捕虜はほとんど相手にしていなかった」、「②日本兵は捕虜になると平気で軍事的情報聴取にぺらぺらと応えることに米軍は驚き当初は謀略虚偽かと疑った。この2つの事実は日本人の節操の無さが戦前からのものであることを伺わせます」。
これは、えんだんじさんの著書でも觸れられてゐて、考へさせられましたが、かういふ性向について、それ以上の研究をしたことがなく、確たる意見はありません。ただ、「これは保守の折伏にとって逆手にとれることであり、逆プロパガンダの洗脳も遣り易いことを物語ります」とは合理的な捉へ方ですね。我等日本人がかくも淺ましいとは、あまり信じたくありませんが、そこで考へ込んだり、ヤケを起したりせず、その淺ましさを「逆手」に活用すべしとの仰せですね。澁々ながら、贊成せざるを得ません。
(附記)折角コメントをお寄せくださつたにもかかはらず、こちらに智慧も策もないために、力強い反應ができず、申し譯ありません。何卒 お見限りなく、今後もよろしくお願ひ申上げます。