もうひとつのポピュリズム

 大学教養部時代の友人のY君(西洋史学科へ進んでテレビ会社に勤務した旧友)から6月9日に学士会夕食会の講演会でEUに関する講演を聞いたといい、そのときのペーパーと講師の論文を送ってきた。講師は北大の遠藤乾さんという国際政治学者で、最近中公新書で『欧州複合危機』という本を出しているらしい。私はその本を読んでいないが、Y君には次のような感想を送った。一枚の葉書の表裏にびっしり書くとこれくらいは入るのである。

 拝復 欧州新観察のペーパー及論考一篇ありがとうございます。フランスの選挙結果は、私には遠藤氏と違って、健全のしるしではなく、フランスのドイツへの屈服、ドイツと中国(暗黒大陸)との野心に満ちた握手、反米反日の強化、等々でフランスには幸運をもたらさないように思えてなりません。

 フランスは衰弱が加速している国です。それなのに自由、平等、博愛のフランス革命の理念に夢を追いつづける以外に「ナショナルアイデンティ」を見ることのできない今のフランス国民は、ルペン支持派とは別の、もう一つのポピュリズムに陥っているのではないでしょうか。マクロンもまたポピュリズムの産物だと私は言いたいのですが、いかがでしょうか。

 フランスは三つに分裂している国です。(A)ドイツに支配されてもいい上流特権階層(B)反独・国境死守のルペン派(C)共産党系労働者階層の三つで、この三分裂は欧州各国共通です。一番現実的なのは(B)で、(A)(C)はフランス革命前からずっとつづく流れです。

 (A)が勝ったので、イスラム系移民が増大し、フランス経済は悪化し、マクロンは早晩窮地に立たされるのではないでしょうか。

                           以上 勝手ご免

endou

“もうひとつのポピュリズム” への 14 件のフィードバック

  1. たいへんご無沙汰しております。
    何か月ぶりになるんでしょう。自分でも記憶がはっきりしないくらいなそんな感覚です。

    ルペンが敗れたとき、私はどうしてそう思ったのかわかりませんが、イギリスに何かが起こるかもしれない、そう感じたのです。後出しじゃんけんのように聞こえるかもしれませんが、私の予感が今現実として起こっているのを知り、こんな予感は当たらなくてもいいのにと思いながら、ここ毎日報道が気になってなりません。

    どうしてイギリスが被害に合うと思ったのか、それを聞かれると深い検索があるわけではないのですが、フランスは標的にしてもこの瞬間は逆の操作と成りうるから、今は集中的にイギリスを攻撃する瞬間だろう・・・と、なんとなくですが相手の心理に立つとそんな感じがしたのです。
    地理的にはフランスの方がずっと貶めやすい場所ですが、別の意味で言えばいつでもできる場所でもあり、難関不落なイギリスを攻撃することは、テロ集団の下位組織にとってはお手柄になるのは間違いないだろうと思ったんです。
    そうすることで、よりフランスを膠着させ、同時に世界にもその効果をフランス経由で波紋を及ばせ、テロ組織の行動がグローバリズムの生き残りと行動を共にすることで、その防壁が弱いところから徐々に世界を浸食しようとする流れがあるように感じたのです。

    観光立国フランスは、いつもテロと隣り合わせでいる国だと私は思うのです。国民の意識やその地理的位置から見ても、落としやすい国の代表的な国だろうと。
    一方イギリスは海を隔てていて、そのわずかな違いが大きな城壁となり、ここを責める意味合いは、この瞬間は大きな意味があるのではないかと感じたのです。

    結果的に度重なるテロ攻撃がイギリス本土で起きました。
    それにもかかわらずマクロンの率いる政党が過半数を超える議席数を確保し、フランスの国家的な悪運を国民は選択してしまったと感じます。
    フランスという国を外から伺って判断するならば、ここで踏みとどまって強国を立志するべき時だったと私は思うのですが、やはり伝統的にこの国は病んでます。

    昔、オーストラリアに旅した時、フランス人と一緒にフットボールを見に行くこととなって、待ち合わせたのですが、約束の時間を軽く30分遅刻してくるんです。オーストラリア人でさえあきれ返るほど時間にルーズなフランス人。しかも悪びれたそぶりは全くなく、まるでそれくらいのことはお前たちも覚悟していただろうという素振り。

    さすがのオーストラリア人でも、あいつらは叱る気にもなれないんだそうですよ。

    どうしてこんな国があこがれの対象なのか・・・こんなにヘタレな国なのに、アングロサクソンは何故かフランスを美化するのも現実です。
    どうしてなんでしょう、何故なんでしょう。未だにわかりません。

  2. >あきんどさん
    フランスが憧れの対象・・・・って、
    見た目が美しいからじゃないでしょうか。

    男性が美人に弱いのと同じ・・・・・

    1. >フランスが憧れの対象・・・・って、
      >見た目が美しいからじゃないでしょうか。
      >男性が美人に弱いのと同じ・・・・・

      なるほど、そういう視点は間違いなくあるんでしょうね。
      更にもう一つ、日本が中国のことをやたらと美化する傾向と、どこか似ていませんか。
      焦土と化した歴史を何度も繰り返しながらも、中国とフランスはどこか共通点があって、泥臭いながらも文化の面でなぜかあこがれの地になっている。何がどうなってそうなっているのか、私はその点に疎いので、うまく説明できませんが。

      昔の日録常連だった「こな」さんは、このことを強く訴えていました。
      確かにそうだなぁと思った記憶があります。

  3.  世の中はずっと複雑なので、何事も二分法で仕切るのは単細胞のそしりを免れませんが、グローバリズムとナショナリズムの対立の図式からいえば、マクロンの大統領就任と、総選挙におけるその新党の勝利は言うまでもなく前者の勝利です。とくにマクロンはグローバリストの総家元、ジャック・アタリの秘蔵っ子であり、フランス人は今回、無難なグローバリズムを選択したのでしょうか?総選挙の投票率はかなり低かったようで、白けた空気の中でポリティカル・コレクトネスが幅を利かせたのでしょうか?トランプ米国大統領のメディアにおける悪評の数々?がいま一つアンチ・グローバリズムの足を引っ張った感もあります。
     西尾先生の三分類にしたがえば、(A)と(C)がグローバリスト、(B)がナショナリストにおおむね該当するでしょう。ナショナリストはメディアの世界では、いま「極右」と名づけられています。(英、Extreme Rightとか、仏、Exreme Droiteですね)日本のマスコミも「極」の前置を外さず、さらに「偏狭な」ナショナリズム、ナショナリストと必ず形容詞をつけます。これは誤解を招きますね?でなければ故意に誤解を起こさせようとする表現です。なぜなら、ナショナリズムは決して「偏狭な」考え方ではないからです。国家=ネイション、主義=イズム、がナショナリズムなので、国家主義=(いま風に言えば)自国ファーストに過ぎません。
     これは他国、他国人を排斥する主義(排外主義)とは違います。現にヨーロッパ各国の「極右」政党、イギリスの独立党、フランスの国民戦線、ドイツのAfD(ドイツのための選択肢)、オランダの自由党、オーストリアの自由党、イタリアの北部同盟はたがいに友党関係にあり、「連携」を深めています。欧州議会でも統一会派を形成していると伝えられています。
     スポーツの世界では、「インター・ハイ」とか「インター・カレッジ」などがあります。全力で競い合っても試合が済めば、ノーサイドでたがいの健闘をたたえ合いますね。同じように「インター・ネイション」も勿論在っていい筈なので、そのイズムこそ「インターナショナリズム」となりましょう。よく混同されますが、インターナショナリズムとグローバリズムは似て非なるものです。上から目線で、一部のエリート、富裕層ないし狂信者が他者を支配しようと、邪魔になる「国家」をなくし、実現することの絶対にあり得ないユートピアの夢をばら撒いて世界を誑(たぶら)かしているのがグローバリズムです。マクロン=メルケル連合要注視。
     独仏は歴史的に犬猿の仲とか言われていますが、必ずしもそうではなく、第二次大戦の仏・ヴィシー政権がナチスべったりの対独協力(コラボ)に励んだ歴史も思い出されます。

  4.  little-piper さんのコメントに我が意を得たりと思いつつ、ナショナリズムの劣勢を確認して憂鬱になりました。 加えて、都議選、加計学園などの政局闘争の不毛や北朝鮮問題での無力などから、日本の衰退滅亡のシナリオも見えて来たような暗い気持ちになり、この梅雨空のように憂鬱な毎日です。
     日本人の多くが西尾先生や勇馬眞次郎氏やえんだんじ氏などのように、的確な見識と胆力を持っていれば現状の日本のこのような惨状にはならなかったと思いつつ、日本人の現状を以下のような質問で分析?してみました。

    質問1: 遠い未来には、国境が不要になり世界政府ができて平和で繁栄する自由で平等な人類社会に到達するし、そうなるように努力すべきだと思いますか?

    質問2: 中国(人)は過去に満州や内蒙古やチベットやウイグルなどを併呑した様に、今後じわじわと日本を併呑する趨勢があり、これにあらゆる防止対策(憲法改正、国防強化、入国管理強化、外交包囲網形成、中国弱体化など)をとるべきと思いますか?

    質問3: 東京裁判史観(日本が極東で侵略戦争を行った)はほぼ正しいと思いますか。

    質問4: 次の外務省主流の考えに賛同しますか?  「かつての敗者が過去を蒸し返しても国際環境が整わない中では外交的勝ち目は無いし得策ではなく、歴史戦など行うべきではない。国際政治では歴史の役割は小さい。そして日本の今後の敵は民族主義であり、今後も勝ち馬であり続ける米国とともに民族主義に打ち勝ってゆくこと。過去の事実を過去の価値基準で議論したければ、国際政治の場ではなく教室でやれ。」

    質問5: 日本(人)が守るべきものは、国土、日本人、日本語、男系皇室、文化、歴史、慣習でしょうか? このうち対象外のものは?

     以上の質問に対して、日本人の大半が小池百合子を支持した有権者の感性に近いと想定すると、その回答は以下の様になると想像します。

     質問1に対しては、「かなり時間は掛かるし曲折はあろうがそうなるし、そうするべき。」

     質問2に対しては、「それは考え過ぎだし、実行不可能。 むしろ日中友好・共存共栄を図るべき。」

     質問3に対しては、「侵略しなかったというのは詭弁。 潔く反省すべき。」

     質問4に対しては、「全くその通り。 無駄な努力はせず現実的に実を取るべき。」

     質問5に対しては、「いずれも大切にすべきだが、国際化してゆく中で昇華変質してゆくことを受け入れるべき。それが人類社会への貢献。 皇室は女系でも良いし同じこと。 まああまり尖がらずに流れに身を任せればよい。 ハワイ人がアメリカ社会の中で楽しそうにフラを踊っているではないか!」 

     多くの日本人がこのような回答をするような認識状況にあり、それをマスコミが助長している現状からは、以下のような日本衰退滅亡シナリオが見えてくるような気がします。

     憲法改正はならず自衛隊は違憲のままで、国防費は伸びず、中国人の移民が増え、地球市民気分の日本人も増殖し、人口も日本人が減少し、そのうち中国が核威嚇の下に1国2制度と中国語の公用語化を押し付けてくるようになり、ヒスパニックが大勢を占めるようになった米国は中国と太平洋を二分して手を結び、日本(人)は消滅してただ日系中国人がやけくそで阿波踊りを踊るようになる・・・・・・・・・。

  5. 将来の日本がチャイナの日本自治区になって“日系中国人がやけくそで阿波踊りを踊る”最悪の事態にしないために、この質問1~5は有効です。小池グループが想定された回答をするかどうか分かりませんが、少なくも戦後レジームを支えてきた勢力は必ず想定された回答をすると思います。その回答に対して何らかの方法により有権者の前で、議論を始めればこの勢力の馬脚が現われ、選挙の流れが変わり、戦後レジームが本当に変化するのではないでしょうか。選挙の度ごとに候補者にこの種の質問を与え、答えてもらう。有権者はその回答内容で投票を判断する。ソクラテスの用いたこの古典的手法を現代日本の政治に応用できれば効果的と思います。というのも、6月13日のBSフジのプライムニュース「憲法9条自衛隊明記を問う」では百地、井上、石川という3人の代表的憲法学者に討論させ、井上氏が見事に、改憲派と護憲派の欺瞞を、視聴者の前で、明確に暴露しました。安倍改憲案が役に立たないこと、護憲派は理論が破綻していることを浮かび上がらせました。日本を変えるためには、左派とその頑迷な支持者を言論で折伏することが不可欠です。ユーチューブで「朝まで生テレビ」の討論を見ましたが、司会がまずいため軍鶏の喧嘩になり果て成果は殆どなく、プライムニュースと対照的でした。発言者をよく選び、1対1の対決でじっくり議論させれば、安土宗論のごとく、勝敗が明らかになると思われます。

    なお、これは「真面目すぎる」と言われかねませんが、勇馬は西尾先生とその門下の驥尾に付して教えを乞う者ですので同じ行に先生のお名前と並ぶ資格のないことを付言します。

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