『男子、一生の問題』 (二)

 この本についての読後感を何人かから早くもいただいた。評論家の宮崎正弘氏からの私信を、ご承諾を得て掲載する。
 
 宮崎さんはご自身の『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』 6月26日の下欄通信に、拙著への同趣旨の感想文が掲げられている。私信よりくわしいのだが、ここは私信をご紹介する。

 『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』の情報量にはいつも圧倒されている。世界へ張った彼のアンテナの広さと機敏さにはたヾたゞ驚くばかりである。
 
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 前略

 ルーマニアから珍しい切手を貼った絵はがきが到着しました。有り難うございます。

 物価のおばけぶりがよく分ります。麦酒が5,000。写真撮影が300,000(!)。

 いつぞや小生も、トルコで日本料理をたべて、640,000リラと言われた時の驚き、ポーランドでジャガイモ・サラダが80,000ズローチと言われたときもそうでした。トルコでは3000円くらい、ポーランドは一万ズローチ=一ドルのころです。ルーマニアの通貨単位で10万が400円だそうですね。新円切り換えに類する通貨政策の遅れでしょうか。

 さて前日に届いた最新刊『男子、一生の問題』(三笠書房)を一気呵成に拝読しました。ニーチェにはじまり、ニーチェに終わる人生論の、いろいろな織りが鮮やかに出ていて、大変参考になりました。御言葉から勝手に引用させて頂くとすれば「さすがにプロの書き手」という感想です。御文章の立て方も「勝負を挑む」スタイルが随所に出ておられました。

 平明な文章なのにすべてが印象的なのは、無意識に強い語彙を選んでおられるからでしょうか?

 たとえば「敵の中にも友を見いだし、友の中にも敵を見失わないニーチェの言う真の友情は、現実にはじつに難しいのである」(42ページ)。

 三島さんが飛ぶように階段をおりてトイレに案内したり、六本木で踊ったり、いかにもあの人らしい情景が手に取るように浮かんできました。

 川勝さんへの忠告もかつ恬淡とでていて、小生などこの人を評価する人がおかしいのでは?と思っていた者のひとりですから。あ、小生のメルマガのご紹介まで頂いておりました。

 「保守論壇のレベルは下がった」と自戒をこめて言われるあたりも福田、三島なきあとの現状を目撃するにつけ、慄然とするほど真実です。

 取り急ぎ御礼方々

               宮崎正弘

平成16年6月22日

西尾幹二先生

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