裁判所が新しい権利を認めることは滅多にないそうである。そう前から聞いていた。だから船橋の「焚書」事件(関連投稿・船橋西図書館焚書事件(一)・(二))
でも、一、二審どおりに、自分の政治的偏見で図書館の蔵書を好き勝手に廃棄した司書の減俸処分はすでにきまっているので、それでもうおしまいにされそうだった。著者たちを傷つけた償いをせよとまでいう私たちの要求は余計なことと見做されそうだった。
6月に最高裁で口頭弁論(関連投稿・最高裁口頭弁論(一)(二)(三)(四))が許されると聞いて、なにかが起こりそうな予感がした。弁護団は色めき立った。その段階で土橋悦子という司書個人への上告はなくなった。船橋市の責任に対してだけ最高裁が新たな判断を示すことになった。
既報どおり14日午前10時30分、最高裁は原判決破棄、高裁差し戻しの判決を下した。「つくる会」側の事実上の勝訴である。著作者の人格権を認めたのである。船橋市が著者に償いをせよという判決であり、金額は高裁で決定するという意味である。
当り前の判決ともいえるが、一、二審どおりに門前払いもあり得た。一、二審は一件を図書館内部の管理問題にとどめて、著者への権利侵害までは問い得ないとした。今度もこの程度でサラッと体を躱して終りにされる可能性は高いと見ていたのに、最高裁は「図書館における著作者の人格権」を認めた。
いちかばちかやってみようとした弁護団の勝利である。内田智弁護士を団長とした複数の熱心な弁護士さんたちの、3年に及ぶ努力と苦心の賜物である。
プライバシー権や眺望権、日照権に並ぶ法的保護に値する新たな人格保護の拡大である、と内田さんは記者会見で説明された。これを補って、高池勝彦弁護士はプライバシー権や眺望権、日照権はアメリカから来た概念であるのに反し、今度の権利はまだ名がなくても、日本独自の概念であることに意義があると付言された。
こういう分り易い説明のことばが新聞報道にはまったく出てこない。日本の新聞は気が利かないし、硬直していて、つねに表現不足である。弁護士さんからは今年の最高裁判例の特筆すべき一ページではないかとの言葉もあった。健全な司法制度が機能していることが証明され、日本が民主社会であることを証した一件、とは居並ぶ人の異口同音の言葉であった。
作家の井沢元彦氏は船橋市在住でこの訴訟の原告団代表をつとめて下さった。氏は記者会見で、右とか左とか関係なしにすべてのものを書く著作者にとって福音をなす判決であると語った。
私は二つのことを言った。人権の名において特定の団体に警察権を与えるかのごとき人権擁護法が鎌首をもたげて来ている今の時代に、民主社会の自由の原則を最高裁が再確認したという点が時宜に適い、意味深いものがあると思う。人権擁護法が通っていれば、土橋司書の行動を止めるすべはなくなっていただろう、と。
船橋市から著者たちにこのあと謝罪の言葉があるのかどうかを見守りたい。市が償いの金を払えばそれでいいというものではあるまい。図書館長の減俸、教育委員長の解任などの個人処罰がなくてはすまないはずだ。適用される法令の種類が異なるというなら、個人の責任追及は船橋市議会の課題になろう。
日本では官僚の個人責任が問われないでウヤムヤになるケースが余りに多い。新聞記者の皆さんはいつもそのことを疑問にしているではないか。私は土橋司書がこのまま免職もされずに居座るということにも納得がいかないものがある、と付け加えておいた。
ところで「日録」の「TVタックルもやっぱり詐偽だった」(二)7月14日付けのコメント欄の上から4番目に、土橋司書の異常行動に関する投稿が書きこまれている。
それによると、土橋悦子氏は自分が書いた創作童話『ぬい針だんなとまち針おくさん』(福音館書店、1999.6)を、船橋市内の図書館に分散させて35冊買入れさせている。
長年多くの人に親しまれて定番となった童話なら複数買い入れもあっていいが、自分の新作をこんなに大量に搬入させるのはどうであろう、と書き込み者は疑問を投げかけている。職権濫用は間違いあるまい。こういうことを平気でする人格なのである。船橋市議会での追及を期待しておきたい。
7/21一部修正
西尾先生、毎度お疲れ様のお世話様であります。
今回の焚書事件について、役人や議員連中による税金流用・濫用と、公共公益性無視の恣意的処断、つまりは「好き勝手やりやがって、この税金泥棒!」と思える典型を見せつけられました。
他にも実際に、公務員でありながらバイトをしていたとか、ある郵便局職員(忘れた)はヤクザの組員でもあったとか、特に労組ついでの過激派絡みや芋づるで民潭・総連関連につながっていたり、支那南京へ行って30万虐殺にお詫びついでの日本批判のJR東日本労組のように、ネット上でよく云われる「工作員の跋扈」という状況に溢れています。
郵政民営化反対がいかに国益即ち国民の利益に反しているか、誰が反対しているか、“朝日(新聞)の法則”同様、よく顔を晒してくれているので判り易く、対北鮮問題や靖国でふらついて賛否両論あれども、小泉政権を支持しております。
でも、やはり安倍さんか西村さんがいいな。
初めまして。
私は下記のURLの掲示板の住人ですが、その住人の有志が調査した結果、
土橋悦子氏の本は貸出実績があることが判明いたしましたのでお知らせ致します。
具体的には、
>平成11年から14年の間に合計35冊購入
>で、平成17年までに358回。
(掲示板より引用)
だそうです。
比較する材料がないので、多いとも少ないとも言えません。
では、失礼致します。
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1121853521
縷々さん、そしてogreさん、はじめまして(同一内容でしたので一つにまとめさせていただきました)
情報をありがとうございます。
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1121853521/328
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1121853521/378
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1121853521/387
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1121853521/391
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1121853521/405
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1121853521/407-411
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1121853521/445-461
大体、こんな感じでよろしいでしょうか?
スレ住人の皆さんの、是々非々のご対応に感服いたしました。
今後ともよろしくお願いします。
個人的にはhttp://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1121853521/105がツボにはまりました。
-追記-
電凸・・・電突とも、「電話で突撃質問」の略
今回のまとめサイト
http://dentotsu.jp.land.to/seiji.html#funabashi
※結果の解釈については、各人のメディアリテラシー(【media literacy】メディアを利用する技術や,伝えられた内容を分析する能力のこと)にお任せします。
貸し出しがあろうがなかろうが
自分の新作を大量に搬入させている
のはやはり常道を逸していると思います。
どおいう意思決定を経て
このようなことになっているのか
議会でぜひ解明していただきたいです。
西尾様のご指摘は
貸し出しがあるからいいとか
無いから悪いとかそおいご指摘では
ないと文面から読み取れますので
林道義先生のサイトを見ていたら、こんなことが書いてあった。
(引用開始)
前回、図書館の本の選定に偏りがあるという指摘をしたが、それを証拠だてる事実が明らかになった。
千葉県船橋市図書館の土橋悦子司書は「新しい歴史教科書をつくる会」の関係者の図書を勝手に処分したとして批判を受けているが、なんと自分の著書『ぬい針だんなとまち針おくさん』(福音館)を35冊も図書館蔵書として購入していた事実が明らかになった。私物化というか、倫理観の欠如というか、それにしても35冊というのは常軌を逸している。どういう感覚なのか。
ところが、問題はそれだけにとどまらない。もっと大きな問題が明らかになったのである。蔵書検索をしてみたら、この倫理観の欠如はこの司書だけの単独の現象ではなく、「同志」がたくさんいることが明らかになった。なんと、この本、東京都だけでも、各図書館が異常に多く購入していたのである。
すなわち、葛飾区38冊、品川区25冊、小平市25冊、文京区24冊、西東京市22冊(芝久保図書館に13冊)、調布市15冊、練馬区15冊、北区15冊、豊島区15冊、世田谷区14冊、立川市13冊、杉並区12冊、足立区12冊、江東区11冊、新宿区10冊、府中市10冊、羽村市10冊、中野区9冊、江戸川区9冊、三鷹市9冊、武蔵村山市9冊、日野市8冊、町田市8冊、八王子市7冊、武蔵野市6冊、板橋区6冊、青梅市6冊、渋谷区6冊、荒川区5冊、墨田区5冊、国分寺市5冊、国立市5冊、狛江市4冊ほか計430冊。さらに千葉市17冊。名古屋市図書館32冊。
あきれはてたる数字である。気に入らない本を勝手に処分しただけでなく、自分たちの党派的な利権を組織的に追及したという問題である。これはもはや「組織的犯罪」による「税金泥棒」と言うべきである。問題はこの本だけではない。調べれば、いくらでも出てきそうである。さしあたって、この本の異常な購入数について、各自治体は責任者を追及し、「税金無駄使い」の罪で処罰すべきである。さらに全国的に、異常に重複して購入されている本を調査すべきである。
土橋悦子司書は「社団法人 日本国際児童図書評議会」の理事であり、「日本図書館協会青少年委員」でもある。また「子どもと本の出会いの会」(会長・井上ひさし)の1999年と2001年度の委員だったが、2000年には委員でなくなり、そのときに、この会の推薦図書「出会いの本50冊」に彼女の本があげられた。仲間があちこちにたくさんいる、ということなのだ。
左翼が権力を握ると、こういう反道徳的で党派的な使い方をするのだという、よい教訓である。
(引用終わり)
そうだろうな、連中は正義のためでなく図書のためでもなく自分の生活が掛かっているからと別に驚かない私に驚いた。
近所の図書館には「諸君!」も「正論」も置いてありません。
「世界」はあります。
どれかの月刊誌が廃刊にならない限り、新しい月刊誌を入れる予定はありません・・・・と言われました。ぎゃふん!
「西尾幹二のインターネット日録」が言論の公器であるのか、単なる応援ブログで「検閲」を当然とし反論も認めないのか、このコメントが載るかどうかで一材料とします。
私のブログに関連記事を掲載しました。ご参照ください。