「牛久大佛(3)」への1件のフィードバック

  1. 7月14日の午前中、坦々熟の仲間からのメールに、「猛暑の中の牛久行き、先生大丈夫か心配」と書いてあつた。彼も私同樣參加できなかつたのだ。
    翌日再び、「昨日先生が御無事であられたことを祈る」と言つてきた。先生に直接電話して確認することは憚られたのだらう。

    17日に「牛久大佛を訪れて」を讀んでほつとし、よかつたと思つた。「私は病後にもめげず熱暑の中を歩きつづけ、一晩寝ただけで疲れも取れ、体力の自信を回復したことをご報告する」と先生がおつしやつてゐるからだが、それだけではない。

    私が參加を斷念したのは數日前、佃島の土手を轉げ落ちて、(骨折はしなかつたものの)兩手の甲が倍くらゐに腫上がる怪我をしたからだ。吟行中に道から見下ろした土手に捩ぢ花を見つけた。俳句をやる者はこの花を殊の外珍重する。1時間後の句會に持込んで見せびらかしてやれと考へて、柵を乘り越え、2mくらゐ下まで、そろそろと下りた。傾斜は大したことなかつた。花のすぐ脇には、小さな枯れ枝が落ちてゐた。これを使つて根から掘り起こしてやれ、と手を伸ばしつつ、半歩出した左足を地面がまともに受け止めずに、忽ち一身丸ごとゴロゴロゴロ・・・。
    醫師に「土手は土と草ーー柔らかいものばかりなのに、どうして手がこんなにやられたのでせうか」と訊いたら「體重が乘つかつたのだらう」との答。さう言はれてみると、ゴロゴロの間、手がどこに、どんな状態で存在したのか全く記憶にない。更に、この醫師には、去年の區民健診で10キロ減量を命ぜられ、全く果さぬままになつてゐる。

    この怪我がなければ、私は牛久行きに參加しただらう。「熱暑の中を歩きつづけ」るとは知らなかつたからである。レンタカーから下りるのは晝食や喫茶か何かの見學の折のみで、精々20~30メートル歩けばすむと思つてゐた。
    ここ數年、私は極端なスタミナ不足で、足弱である。原因は①自轉車の醉つ拂ひ運轉で轉んで右肩骨挫傷、50年近く續けたテニスをやめた②ホルモン療法による體力減③釣り船で右足のかかと骨折ーー等のため、歩くことが少くなつたことである。鍛錬により恢復する筈だが、一方に心房細動(不整脈)があるので、それとのバランス上、無理は出來ず、一向に改善しない。
    その點、病後の先生に及ばないことはたしかで、もし私が參加して「歩きつづけ」ようとしたら、 皆さんに、御迷惑をかけたに違ひない。さうならずに濟んだのは、捩ぢ 花のおかげだ。先生が自信を囘復されたことを慶ぶと同時に、私自身が慘めな思ひをしなかつた好運に感謝したい。

    牛久行きの「美学的動機」については全く知らなかつた。近くに靈園があるとか聞いたので、その見學などの世俗的な目的かなどとも思つた。參加した人々にも、事前にそれ以上のことは知らされてゐなかつたやうだ。先生の講釋に、「同乗の友人たちは狐につままれたような不可解な顔をしていた」由、私は讀んで、抱腹絶倒した。まして、音樂・美術音癡の自分がそこにゐたら・・・?

    葛飾北齋の遠近法くらゐは理解できる。「現代にピラミッド級の巨大な佛像が建立されれば、近隣に住む人にはえらく目障りに違いないアンバランスな光景が至る処に出現しているだろう、私はそれを見たいと思った」「甲府の町から見る富士山にはこの視覚上のショッキングがある。私は同じ驚きをカナディアン・ロッキーやドロミー テで経験した。私は牛久にもそれを期待した。だから石像そのものに興味はない。周辺の光景との不釣り合いを見たいのだ」との理屈も、全然分らないとは言へない。
    しかし、いかにも唐突だ。”アンバランス”は牛久に限らないだらう(他には絶對に見 られない特色でもあるのだらうか))。年々暑くなる夏の、最も暑い時にそれを敢行す る理由は? 烈々たる太陽と霸を竸ふことにより、平成の末世に生きて、たるみ切つた根性を叩き直さうといふことか。

    「このところ盛んに吹いていた風もなく、朝からジリジリ照りつける熱暑の日だった。 友人の一人が十数人乗れる大型のレンタカーを用意してくれた。朝8時に友人たちは約束どおり杉並の西荻窪の駅近くに集合した」との的確な情景描寫に、またも、私の笑ひは止まらなくなつた。私も最初、「西荻窪驛で吉田さんが待つてゐる」と案内されてゐたのだ。

    「皆さんが工夫して撮った数々の面白い映像とそれに伴うこの日の感想の言葉が今日から当ブログを賑わすことになるだろう。同じような似た画像が繰り返されてもよいことにしていただきたい」との仰せに大いに期待し、樂しみにしてゐる。奇拔な角度から撮られたユニークな映像、西尾美學を發展させた・あるいは覆す名論、炎熱下の苦鬪etc

    勿論、こちらにそれを參加の皆さんに請求する權利はなく、皆さんに義務はない。ただ待つてゐることだけをお傳へする。本日(金曜・20日)までの出足の(2)(3)はあまり賑々しくない。これは未だに「狐につままれ」てゐるからではなく、お忙しいからだらう。明日で一週間經過、しかも土曜なのだから、一氣に・・・。私は林試の森公園へ吟 行に出かけるので、夕方に戻つて拜見するつもり。どうぞよろしく。

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