「令和2年「正論」7月号」への22件のフィードバック

  1. 先月号に引き続いて掲載された「正論」の西尾論文についての感想を、今回も池田俊二さんに触発されて記すことにいたします。

    まず最初に明記いたしますことは、私自身は政治状況論の類を論ずるのが全く苦手だ、ということです。会合なり研究会で、ずいぶんと諸先生・諸先輩の方々が状況論を論じられるのに接してきました。「では渡辺君はどう考えるかね?」と指名されると、私は皆さんの意見の単語が頭の中で空回りしているだけで、いつもしどろもどろの答えしかできません。「政治なんてどうだっていいや」とまでは思ってはいないのです。ただ、政治の世界というのは難しいものだ、という先入観はあります。「政治を実行する」「政治の現状を論ずる」「政治の根本とは何かを考える」などはすべて別々の問題であって、自分はどれに対しても、本質的な関心というようなものはなかなか感じられない。だから議論が「政治」の話になると、どうも頭がぼんやりしてしまうのです。

    たとえば安倍晋三総理についての議論にしても、安倍さんそのものより、まず「安倍さんについて議論をしている人」の言動振る舞いの方が先に私は気になってしまう。我が国の戦後は、だいたい、左翼民主主義の理念派と保守主義の現実派が何となく対立していて、若者の中の不平不満分子は前者にくっつくのが常だったと思います。ところが安倍さんの登場以来、こうした若者達の相当数が安倍さんへの擁護にまわるようになった。「世の中うまくいかない」ことをを体制のせいにするのではなく、「安倍首相が理念を通しにくくしている政治の現状」のせいにする。この変化は実に不思議で、私は「若者の保守主義化」などというおめでたい理由で片づけられることではないと感じています。不満をもつ若者は、安倍晋三首相という存在に、何かとてつもない期待感をもつようになったのです。

    今一つ、安倍さんは教科書問題へのコミットメントや、政治評論家ぶった奥さんの存在のせいからか、言論界と非常に近い総理という面があることについてです。私は今まで、「自分は安倍総理とつながりがあるんだ」ということをさりげなく目の前でアイデンティティ的にいう言論人に目の前で数多く出くわしてきました。私は政治家よりも哲学者や文学者が偉いと思い込んでいる人間だから、そんなこと言われてもびくともしないですが、世の中の多くの人はそんなことをいわれれば「言論が政治的権力と結びついていること」に無根拠な畏敬を感じてしまうでしょう。本当はこうした傾向は言論人として好ましくないことだと思うのですが、そういうことを可能にしてしまった安倍さんという人は何かたいへん不思議な力をもっているのだろう、とも考えてきました。歴代の総理で、たとえば大平正芳さんなんかもそうした言論界との近しさを有している人物でしたが、これは大平さんが正真正銘、たいへんな読書家で思索家だったある種の哲人政治家だったことが理由なわけで、安倍さん自身がそれほどの知識人でないことは、国民の誰もが認識しています。そんな不思議な「安倍さんの力」というものは何なのでしょうか。

    ここから西尾論文の内容に入りますが、そんな政治論に不向きな私の問題意識にも答えが準備されているのが流石と思わせるのでして、西尾先生は安倍さんのことを「少年」と喩えています。大半が「出来の悪い」大人の総理ばかりの戦後日本で、「少年」の喩えに合致する首相が、日本の戦後でだれか他にいたでしょうか?育ちがよく上品で、矛盾した立場や仕事を嫌な顔も見せずにこなすこともできる。「少年」には蓄積や経験はないが、素直と可能性を感じることはできる。比べて中曽根氏などは論文内でいわれるように「下級将校」であり(これは西尾論文の一つのユーモアを形成している)私はある本で読みましたが福田赳夫氏は「江戸時代の儒者」のような風格を有しているといわれます(ゆえに福田氏は理念を掲げるだけで終わってしまった)社会党や民主党内閣の総理など、比喩以前にとどまった人物もたくさんいます。

    ここで思い出すのは、三島由紀夫が「岸総理はなぜ大衆に好かれないか?」という問題に関して、「岸総理は小さなニヒリストがゆえに」と形容していたことです。国民大衆は、戦前戦後の様々な日本の闇を経験しそれらを突破してきた岸信介のニヒリズムを居心地悪いものとして嫌った。岸さんを非難攻撃したのは何も左翼だけではなく、江藤淳・石原慎太郎・浅利慶太など新進気鋭の文化人グループなど「若者」たちもいました。戦後の経済や文化から戦争の気配がなくなった1960年代の雰囲気に、確かに岸さんのニヒリズムめいた老獪さはまったく対極なものだったのかもしれません。もちろんこのことは、岸さん自身が有していた優れた政治的展望とは全然別の問題です。

    一方、「少年」安倍晋三が登場したのは21世紀、戦後日本の時間の行き詰まりを皆が感じているけれども、いつまでも戦後を決定的に超えることもできない時代においてです。ちょっとしたニヒリズムの時代、といってよいのかもしれません。なかなか戦後の壁を超えられずに、憲法改正も北方領土返還の見通しも立たないに苛立っていた保守派論客たちは安倍晋三に飛びついた。さらには日本共産党までが護憲派・農業ナショナリズム化し、革新主義に枯渇した若者の不平不満層もやはりから抜け出せるようなものを「少年」総理に期待した。「ニヒリズム」の解決策が、「少年」の上品さ、人当たりのよさ、爽やかさにあると国民は感じた。確かに安倍さんは事実的に運が非常にいい面がありますが、こうした精神的な時代風潮に乗っかっていることが彼の長期政権の理由なのではないでしょうか。

    この「少年」総理がそれなりの功績をみせたことを西尾論文は説明し公平に評価しています。よく読めば西尾論文は全然「反安倍」ではありません。しかしまさに「少年」であって「大人」性を欠いているがゆえに、安倍総理のナショナリズム面からの功績は妙に一貫性のない気まぐれがみられることも指摘の通りです。事実を正確に判断すればするほど、単純な「親安倍」になることも難しくなる。「少年」の気まぐれは「大人」である西尾論文からすれば不可思議なものとして非難対象になりますが、しかし「少年」である安倍首相の内部では別に矛盾したものだとはとらえていないでしょう。

    現実に憲法改正(9条改正)には相当の距離感があり、北方領土問題も解決の見込みは全くみられません。誰でも知っているこの変わらない政治的現実に対して安倍万歳を継続する保守論客層や若者の不平不満層はもう少し自省的になる必要がある。「少年」を求める日本人の精神性自体は悪いものではないとしても、精神性と政治的現実の距離感がますます肥大していけば、これは歴史的危険に日本が近づいていることを意味するといえます。この距離感の肥大に西尾先生は常に警鐘を鳴らしてきたものと思われます。「少年」の気まぐれを見て見ぬふりをするのが「大人」ではなく、それを地道に一つずつ注意指摘して「少年」を「大人」にすること、これがあまりに正論すぎるかもしれませんが、健全な国民文化空間ではないでしょうか。ところが日本人は奇妙な一面があって、西尾論文で「ある種の静かな狂気」というように、言論を旗を振り展開するのを抑えつけようとする性格がある。たとえば「つくる会」のメーリングリストなどでは、安倍批評を聞くだけで怒り狂い、「安倍終身総理大臣」なるものを大真面目で主張し批評を抑えつけようとする大人がいらっしゃったりします。「終身総理大臣」?そんな言葉はスターリンやポルポトでも思いつかなかったブラックジョークです。

    武漢ウイルス問題にしても、論文で示されている通り、首相官邸・官僚がまさに感染拡大の危険をずっと犯し続けたけれど、説明不可能なウイルスの不拡散理由が幸いし、重篤な事態に至ってはいません。この幸いが今後も続くという期待はあまりしない方がいいでしょう。しかし対中国政策の現実をみると、安倍内閣は依然として無作為的な面が多い。したたか、というにはあまりに戦略が感じられない無作為です。「したたかな無作為」は大人の究極的な知恵で、「単なる無作為」は少年の決定的な怠惰というべきです。「少年」総理がゆえの頼りなさがかなり出てしまっている武漢ウイルスのパンデミックの現状は私でも認めざるをえません。たとえば武漢ウイルス問題は日本において大きく回避されつつあるのに、日本国民にはさしたる安堵感も達成感もなく、何となくの不安とともに毎日がありますが、この不安は「少年」総理の無作為のゆえである、ということに気づき始めている面々もいないわけではないでしょう。

    ここで論文をまったく逆さまに読み込めば、「小さなニヒリズム」を回避して「少年」を求めてきた日本人がそもそも間違っている、という考え方も成立すると思います。「ニヒリズム」は、少なくとも政治面においては、それを耐え忍ばなければならないものなのかもしれません。論文半ばで取り上げられていますが、国家と国民の防衛という最大原理のために、他民族重視という第二原理を平然と放棄したメルケルなどにはそうした「ニヒリズム」が確かにあるといえる。西尾論文の複眼は、メルケルのニヒリズムを評価している面もないわけではないのです。しかし、ここからこそが論理的なジレンマで、「少年」総理の安倍さんを選択した国民を罵倒してメルケルのようなことができる政治家を選べばいい、ということが日本人のあるべき道筋かというと、そういうこともならない。

    つまり安倍さんとともに日本の多数が2010年代を進んできたこと自体はそう簡単に否定はできないし、これはまだ続くだろう。これを前提にしないといけない。単に「他国の政治家を真似しろ」では何も生産的にならない。この「否定できない」という消極的現実でもって、「少年」に少しでも「大人」あるいは「ニヒリスト」の要素を身につけてもらうことを期待する。西尾論文はこの「期待」の種々について丁寧にすべて列挙しています。端的にいえば、「少年」安倍晋三に対する、なんと奥深く優しくしかし果てしなく厳しい「大人」からの教育指針の論文でしょうか。「少年」が成長するかどうか、それは政治知らずの私には何とも予想できません。いずれにしてもこの期待が今後とるべき「最良の日本の(とりあえずの)精神的選択である」というのが、西尾論文から引き出せる私の安倍さんに対しての見解・解釈なのですが、いかがなものでしょうか。

    ちなみに、以下はまったくの蛇足ですが、憲法改正についての私見は西尾先生とまったく同一です。9条だけ改正すれば問題は事足ると考えるべきです。安倍騒ぎもひどいものですが、保守派の「憲法改正騒ぎ」に私はまったく辟易としています。憲法改正をすれば何もかも「保守主義的問題」が解決し日本がよくなると思ったら大間違い。常々私が警戒を感じているように、「左翼的な憲法改正」という危険性も相当に存在します。憲法改正をブームにして左派もそれに便乗すれば、たとえば本来、日本国憲法を改正し人民憲法をつくろうとした日本共産党の護憲論がいつ崩れるかわかったものではありません。女系天皇論や環境人権論などを加えるべきだという見解も出てくるかもしれません。9条以外の憲法条項はそのままにし、あとは律令制度のように、不文法と下位法律で対処すれば日本の法制度は私は安全に機能していくと思います。少なくとも「憲法改正騒ぎ」はやめて、もっと冷静な憲法改正論をおこなっていくべきかと思います。

  2. 渡邊さんのコメントについて

    「政治の世界というのは難しいものだ」「本質的な関心というようなものはなかなか感 じられない」とは渡邊さんの率直な思ひでせう。「私は政治家よりも哲学者や文学者が偉いと思い込んでいる」も掛け値なしのところでせう。私は、渡邊さん自身の本質も、西尾先生と全く同じく文學者(ないしは、哲學者)だと、信じてゐます。勿論、その人の資質がすべてでせうが、強ひて、分野で別けるなら、文學者の感覺が一番、まともなやうな氣がします。

    その渡邊さんが、私が先のコメントで觸れた、「戰後70年談話」をテーマにした坦々 塾で 示した見識は、政治のみをこととする人々のレベルを遙かに越えた卓拔なものでした。政治にあまり「關心」がない筈の渡邊さんのスピーチから、私は安倍總理御用達の、”文藝評論家”小川榮太郎といふ人の名前と存在などを初めて知りました。

    そして、のちに、新聞で、安倍總理の消息に「文藝評論家 小川榮太郎氏の出版記念會に出席」などと書かれてゐるのを見て、なるほど、有名な人なんだと思つたりしました。

    今囘の渡邊コメントについて、蛇足を少しだけ。

    「安倍さんそのものより、まず『安倍さんについて議論をしている人』の言動振る舞い の方が先に私は気になってしまう」とは、相當皮肉が利いてゐて、私も赤面せざるを得ませんが、いかにも文學者らしい感想で、そして全體の本質を最も的確に見てゐます。

    「『世の中うまくいかない』ことをを体制のせいにするのではなく、『安倍首相が理念を通しにくくしている政治の現状』のせいにする」が、これも文學的ではあるが、最も的 確な現状把握かもしれません。「この変化は実に不思議」なことは、私にも同じだが、 その結果、「不満をもつ若者は、安倍晋三首相という存在に、何かとてつもない期待感をもつようになった」のですか。

    「私は今まで、『自分は安倍総理とつながりがあるんだ』ということをさりげなく目の前でアイデンティティ的にいう言論人に目の前で数多く出くわしてきました」ーーまつたく、さういふ、もしくはさう言ひたげな人々がうようよしてゐますね。

    以前に、この欄に何度も書きましたが、「昨夜、安倍總理と會食」などといふキャプシ ョン附きで、安倍さんと竝んだ寫眞を得意げに、掲げる評論家なぞがゐますね。安倍さんは、そのあたりの心理・生態をよく心得てゐるのでせう、會食を始め、あらゆるサ ービスを”言論”界の人々に與へるべく、日夜勵んでゐるやうですね。

    昔は「あいつは政府と繋がつてゐる」などと言はれることは、言論で飯を食ふ者には、 死刑宣告と同じで、假に、安倍さんと會食したら、必死に隱したでせう。その頃の感覺 のままの私には、 『正論』『Will』『 HANADA』などの誌面が理解できません。 そして『正論』が西尾論文を載せる整合性のなさ・・・

    三島由紀夫が「岸総理は小さなニヒリストがゆえに」と形容していたことは、初めて知りました。私自身は60年安保の、「アンポ反對!岸 殺せ!」の渦の中で、反抗すれば確實に毆り殺されるので、必死に逃げましたが、といつて、心の中で、「岸さん頑張れ!」 と叫ぶこともありませんでした。岸さんがあまり好きではなかつたのです。三島の指摘するやうな理由からでせうか。自分のことながら、よく分りません。ニヒリスト、ニヒリズムなどといふ言葉から實感が傳はつてこないのですから、止むを得ません。

    「よく読めば西尾論文は全然『反安倍』ではありません。 しかしまさに『少年』であって 『大人』性を欠いているがゆえに、安倍総理のナショナリズム面からの功績は妙に一貫性のない気まぐれがみられることも指摘の通りです」
    「しかし『少年』である安倍首相の内部では別に矛盾したものだとはとらえていないで しょう」
    ーーいやはや、かくもあつさりと言ひ當てられては、いい年をしてカッカとし續けで、な るべく安倍さんのことを忘れることによつて、餘生の心の平安を保たうとしてゐる自分は 穴に這入りたい思ひです。

    安倍少年には、「全然『反安倍』では」なく、「公平に評価してい」る、西尾先生の意見が理解できないのではないでせうか。

    以前、西尾先生と安倍さんは附合ひがあつたが、今は多分ないのではないか。安倍少年とすれば、先生に批判されることは不愉快だし、先生の言葉が分らない。だから、 それに耳を傾けたくないのでせう。

    常に、自分で自分を瞞し續けてゐる安倍少年とすれば、先生から、「自身の心の中を凝視せよ、9條2項をそのままにして(つまり奴隸のままで)、3項(自衞隊についての規定)を加へることに矛盾を感じないのか。『いよいよの所で』『空っぽにする』ことに、良心の咎めはないのか。それで、獨立國の尊嚴が本當に保てるのか。 心の底から、さう思ふのか」と言はれても、それは少年には通じない。だから、少年としては聞きたくないし、わけの分らない意見をする西尾先生といふ存在そのものが腹だたしくなる。 そして、先生に背を向ける。
    ーーそんなところが、今の安倍少年ではないでせうか。

    まるで次元は違ふが、自分も最近似た經驗をしました。あなたは、「自分で自分を瞞してゐるのではないですか」と、 人に訊いたら、 キョトンとして、默り込んでしまひました。やがて、怒り出し、まつたく關係のないことを竝べました。なにがなんだか分らない時 は、怒るしかないやうです。

    そこで私は以前、You Tubeで見た、「これは面白い!」といふキャッチフレーズのついた、安倍少年の議會答辯集の一齣を思ひ出しました。安倍少年は質問の意味が分らず、怒りで聲を震はせ、支離滅裂に喋り續けました。あれと全く同じだと可笑しくなりました。

    「『つくる会」』のメーリングリストなどでは、安倍批評を聞くだけで怒り狂い、『安倍終身総理大臣』なるものを大真面目で主張し批評を抑えつけようとする大人がいらっしゃっ たりします。『終身総理大臣』?そんな言葉はスターリンやポルポトでも思いつかなか ったブラックジョークです」
    ーーそこまでスゴイことになつてゐたのですか。つくる會のMLなるものは、時々人から横流ししてもらつて見るだけだつたので、知りませんでした。

    「武漢ウイルス問題は日本において大きく回避されつつあるのに、日本国民にはさした る安堵感も達成感もなく、 何となくの不安とともに毎日がありますが、 この不安は『少 年』総理の無作為のゆえである、ということに気づき始めている面々もいないわけでは ないでしょう」
    ーーさうなのですか。私は安倍少年をとつくに見限りましたが、武漢ウィルス問題につ いて、人々が少年を罵倒するのにはあまり同調できず、それほど致命的なミスを連發したのかと反問し、少年を擁護したい思ひがないでもありません。

    「少なくとも『憲法改正騒ぎ』はやめて、もっと冷静な憲法改正論をおこなっていくべきかと思います」といふ渡邊さんの結論には、澁々ながらも、謹んで同意せざるをえません。

    それにしても、渡邊さん、次の著書に向けて忙しい筈なのに、これほどの名論をお寄せ いただき感謝に堪へません(私が禮を言ふのは筋違ひだが)。これほど質の高い議論が、日本の、どこかほかの場所にあるでせうか。

    坦々塾には、私の見るところだけでも、超弩級の論客が他にも何人かゐる筈です。然るに、彼等は皆、藝惜しみをする。こんなところ(西尾先生のブログに對して失禮な言 ひ草ではないか!)に書いても意味はないと思ふのか、投稿しようとしません。怪しか らんことです。彼等の悔い改められむことを期待します。駄辯失禮しました。

  3. 7月号 「安倍晋三と国家の命運」を拝読。6月号 厄介なシナとの距離との関係も併せて日本国民はこの非常事態を乗り越えないとならない。

    渡辺さんが
    「よく読めば西尾論文は全然『反安倍』ではありません。 しかしまさに『少年』であって 『大人』性を欠いているがゆえに、安倍総理のナショナリズム面からの功績は妙に一貫性のない気まぐれがみられることも指摘の通りです」
    「しかし『少年』である安倍首相の内部では別に矛盾したものだとはとらえていないで しょう」

    なるほど しかし安倍さんの内部に矛盾はなくとも、私などは、それでは日本(国民)はどうなってしまうのか!との怒りを覚える。そして、本稿は、少年時代(お坊ちゃま育ちと生ぬるい戦後育ち~これは自分の世代でもあるが)まで遡らければ語れない、安倍さんに対する強い憤りに満ちたものと思う。
    2017年8月週間ポスト「安倍君、下関へ帰りたまえ」同年9月「保守の真贋」で語りつくしている。この非常事態において読者、国民に解りやすく問いかけたものと思っているが、果たして。

    以下、一部から 私見を述べたい。
    P41
    ~~私は安倍さんの少年時代をよく知らないのだが、氏はある矛盾した魂を重荷のように抱えながら、政治家としての務めを半ば得意げに、半ば面倒臭げに生きてきた人ではないかという気がする。~国民は好むと好まざるとに拘らずこの人に運命に託してきたのである。
    ~靖国問題、拉致問題、北方領土、とりわけ憲法改正、なんのためらいも恐れる風もなく全部自分が独力でやってのけてみますと言わんばかりに平然と丁か半かの賭けに打って出た。~~もともと責任という重い言葉に彼はそぐわない。
    北方領土(ロシア)全難問に威勢よく安請け合いさながらさっと手を出した無造作ぶりは、岸家の三代目としての傲りと現実を計算できないある種の幼さが原因しているのではないだろうか。
    P46
    ~~安倍氏は必ずしも中国狂いの政治家ではないのにときどき理解できない行動にでる。第一次安倍内閣をつくった直後の訪問が中国。~~~~かくて安倍氏は支持基盤の保守層が熱望していた靖国参拝をそれ以降ずっと封印してしまった。(2013年12月が最後) 更に河野談話と村山談話を承認すると安倍氏が相次いで発言したのも同じ頃だった。

    ~~しかし、その後もぐらつく安倍内閣の左旋回に対して私は次第に不満や批判の気持ちを高めるようになった。2007年4月の安倍氏の訪米とブッシュ大統領を前にした慰安婦謝罪発言に至って、疑問は頂点の達した。

    ~~
    P42 ブッデンブローク家の人々 3代の盛衰を引用されたのは、戦後自民党の衰退(国家の意思が見えなくなった)は中曽根政権からで、歴代自民党は経済繁栄に現を抜かし、憲法改正、皇室継承問題 等を置き去りにし、安倍晋三で最悪となった、そう指摘されたのだと思う。
     
    以下 私の懸念 その1
    https://www.youtube.com/watch?v=flOjnxVA4Io
    中国海自 海自能力より大幅優位 虎ノ門ニュース(6月1日20分頃)
    竹田恒靖氏によれば 2103年から中国海自の能力は日本のそれを大幅に上回っているという。古森義久氏の米国情報にも指摘がある。 孫氏の兵法をとれば、すでにそのタイミングは明日でも不思議ではないということか?

    さて、正論7月号に 櫻井よしこ氏との対談があり(言論TV:櫻井氏の運営チャンネル)の再構成 中国に対する対応として

    安倍:~尖閣の問題については、力による現状変更を圧倒的な態勢で対応しています。
    櫻井: 圧倒的態勢とは。
    安倍:具体的なことは言えませんが、領海に入ってきた船に対してはこちらが圧倒的な態勢で対応するということです。
    櫻井:向こうが一隻きたら、こっちは二隻、三隻、四隻行くぞ、というようなことですか。
    安倍:戦略ですから申し上げられません。圧倒的な態勢での対応を安倍政権にやっています。習近平国家主席にも「尖閣における日本政府の意思を見誤らいでもらいたい」とはっきり申し上げます。私たちの強い意志は現場においてもしっかりと示していると思います。海上保安庁の皆さんには大変なご負担をかけておりますが、しっかりと意志を示しています。
    櫻井:海保の力も自衛隊の力ももっと充実させていく必要があると思いますが。
    安倍:この8年間で海上保安庁の対応力を相当向上させてきました。これからも当然、対応力を強化していきたいと思います。

    ~~~~
    え~! もちろん、軍事秘密はあるので精一杯の回答なのでしょうが、これを信じる人いますか!! 

    安倍さんの常套手段 困ったときの「櫻井よしこ氏」頼み。

    その2
    今回韓国からでた慰安婦問題の大ウソ、慰安婦問題の崩壊。これに対して日本政府は名誉回復のために行動していくのだろうか? もちろん現政権に期待することはできない。 非韓 3原則 を貫いて暫くは 韓国側の様子見としても完全に崩壊した慰安婦問題が置き去りにされることは許されない。

    その3 

    これを書いている時に横田滋さんの訃報が入った。体調を崩されていたことは承知していたが、めぐみさんとの再会を果たせず、旅立たれた。心よりご冥福を申し上げます。 5人の拉致被害者が帰国した際の官房副長官だった安倍さん、一番近くで家族をみていた。 私は蓮池透氏とは袂を分けたが、氏が「安倍は拉致問題を政治利用している」との発言に違和感をもたない。ほんとうに悔しい。

    ~~~
    最後に纏めで
    「安倍政権は民主党政治の混乱から日本を救い出し、長期の安定をもたらしたが、今や現実が見えなくなり、変化を怖がっている。しかし、国民は国家が動き出すことを決して怖がっていない。国民はしっかり目が覚めているのである」
    前半は 痛烈な皮肉であり、国民は~怖がっていない。 は果たしてそうだろうかと 考えてしまう。

  4. 小池樣

    お久しぶりです。
    前囘お電話を頂いたのは、『正論』6月號の出た直後でしたね。激語を投じられるかと思つてゐたら、お忙しかつたか、辛うじて我慢されたかで延びて、7月號に及んで堪忍袋の緒が・・・

    大分御立腹ですね。
    「安倍さんの内部に矛盾はなくとも」「それでは日本(国民)はどうなってしまうのか!」。「強い憤り」は御尤もですが、その安倍さんを延々と擔いできたのは、ほかならない日本國民なのですから、まあ穩やかに。血壓が上りますよ。御親戚の池島信平さんと貴兄はいろいろな點で似てゐると感じますが、信平さんは高血壓のために短命だつたのですから、呉々も御用心を。

    「お坊ちゃま育ち」とか、いろいろなことが言はれますが、根本的なことは、育ちと關係がないやうに思ひます。家貧しうして孝子出づと言ひますが、彼は貧家に生れても、孝子にはなり得なかつたでせう。素質がないのです。その結果が、西尾先生の仰せの「教養がない」といふことでせう。どんなに立派な家庭教師について學問を授けられても、どんなに高尚な藝術に接しても、どんなに切實な實地研修を受けても、それらを感じて、吸收する能力がないのです。生れつきなのだから、しやうがありません。

    あとは、なるべく世間に迷惑をかけずに生きてくれればよかつたのですが、國を亡ぼす寸前といふ、とんでもないところまて來てしまひました。これは彼一人の責任ではないでせう。渡邊望さんから、 「安倍終身総理大臣」なるものを大真面目で主張する向きさへあることを教へられました。ここまでくれば、本人の責任はほぼゼロ、99%以上は周り(その主たるものは、もちろん國民)の責任といふことになりませう。

    虎ノ門ニュースをアップして下さつたのは、竹田恒靖氏の説を聞けといふ意味ですね。聞いてみませう。ただし、竹田さんは安倍提燈を提げてゐますね。

    虎ノ門ニュースはYou Tubeで、時折見かけますが、安倍提燈を提げてゐる人ば かりが目 につくので、すぐに切り替へます。あのグループに安倍提燈を手にしてゐない人もゐるのですか。ゐるのなら、名前を教へていただけませんか。安倍さんの茶坊主なのに、武漢ウィルス以降、御主人樣に惡罵を投げつける輩がゐることは知つてゐます。西尾論文を載せる『正論』の女編集長も顏を出しますが、彼女も明かに安倍グループですね。

    「困ったときの『櫻井よしこ氏』頼み」は名言。私は精神衞生のために、安倍さん・櫻井さんの姿や文章には努めて接しないやうにしてゐます。もちろん、『正論』7月號に兩者の對談が載つてゐることは承知してゐました(題して「日本は國難を克服できる」!)が、1行も讀んでゐません。しかし、折角小池さんが引用して下さつたのに、その勞を無にしては惡いと思ひ、讀みましたが、決して無駄ではなかつた。傑作です。愉快ですね。

    安倍 :具体的なことは言えませんが、領海に入ってきた船に対してはこちらが圧倒的な態勢で対応するということです。
    櫻井:向こうが一隻きたら、こっちは二隻、三隻、四隻行くぞ、というようなことです か。
    安倍:戦略ですから申し上げられません。圧倒的な態勢での対応を安倍政権はやっています。習近平国家主席にも「尖閣における日本政府の意思を見誤らないでもらいたい」とはっきり申し上げます。私たちの強い意志は現場においてもしっかりと意志を示しています。

    安倍さん、なかなかのストーリーテラーですね。「具体的なことは言えません」「戦略ですから申し上げられません」が全てですね。小池さんは、「これを信じる人いますか!!」と仰せになりますが、ゐるから、安倍政權は續いてゐるのではないせうか。小池さんのやうな意地の惡い人ばかりでは、安倍さんはやつてゐられませんよ。

    習近平さん、いろいろと頭の痛い思ひをしてゐるのでせうが、この安倍發言を讀めば、いい氣分轉換になるのでは。戦略だつて!?と腹を抱へて笑つたに違ひありません。

    そして、涼しい顏で、安倍さんのお相手を務める櫻井さんの凄さには、改めて舌を卷かざるを得ません。産經新聞の「正論」欄に彼女が登場しても、私はタイトル以外見ませんが、たまには讀まなければ損ですね。これほど樂しいプロデュースをするのですから、さぞ有益な材料を提供してくれてゐるのでせう。彼女、貴兄と同縣人では? 小池、櫻井に共通點がありませうか。

    「5人の拉致被害者が帰国した際の官房副長官だった安倍さん」ーーさうでしたね。思ひ出したくはないが、私が彼こそ救世主と仰いだのも、その頃でした。西尾先生が安倍さんについて、「拉致を政權浮揚に最大限利用しながら・・・」と非議されたのは、大分あとのこと。

    「安倍政権は民主党政治の混乱から日本を救い出し」が皮肉かどうかは別にして、「惡夢の民主黨政權」といふイメージが、安倍政權にとつて、大きなプラス要素であることは間違ひありませんね。

    安倍シンパを大きく分ければ、一つは、櫻井よしこ・西岡力兩氏のやうな確信犯、つまり安倍さんがポシャれば、さつと逃げだす用意のできてゐる人々、もう一つは、その用意はなく、なんとなく安倍さんはいいと思ひ込んでゐる、いはば、「自分で自分を瞞し」てゐる人々ーーこの二種になるのではないでせうか。

    後者は、武漢ウィルス以降、少し苦しくなつてきました。「あれ、あなたは安倍支持だつたのでは?」などとからかふと、必死に辯解し、錯亂状態に陷るのを何度か見ました。かういふ無自覺層こそ、いつの世でも、國を滅ぼす原動力になるのです。大東亞戰爭での敗北を思ひ出して下さい。ルーズベルトの罠と知りつつ、最後には、日本は起ち上らざるを得なかつた。國をさういふ苦しい立場に追ひ込んだのは、無自覺層の、ワーッといふ勢ひです。

    私はかなり前から、前者・後者を合せた安倍支持者を亡國・賣國の徒と斷じてゐますが、誤りはありませんでした。彼等の掲げる ”愛國 ”の旗は、常に亡國旗です。安倍さんのおかげで、人の評價を定め得たことも何度かあります。その外、安倍さんをめぐつて、何人かの、意外な本性を見ました。安倍少年にも、相當な效用があります。

    しばらく、イッパイやつてゐませんね。これも武漢ウィルスのせゐ。まあ、一段落ついたら盛大にやりませう。お元氣で。

  5. 池田さん

    コメントありがとうございます。 ほとんど見抜かれているようですね。
    でも 石松の怒りは まだまだです、コロナ終息しましたら 一献酌み交わしてお話しましょう。 虎ノ門ニューズ は竹田氏がシナ 海軍の分析をしている部分だけでもご視聴ください。 シナの軍事情勢も分析の上で 櫻井さんとのやりとりであればとも
    思ったのですが(これも軍事機密ですって 言い訳しますね、安倍さんは) もう、突っ込みはやめました。

    もう 一つ 先生もご指摘ですが まだ、現場にいる 私の直近の懸念は「働き方改革」これは悪法ですね。。

    小池広行 拝

  6. 池田さん

    追記します。

    渡邊望さんから、 「安倍終身総理大臣」なるものを大真面目で主張する向きさへあることを教へられました。ここまでくれば、本人の責任はほぼゼロ、99%以上は周り(その主たるものは、もちろん國民)の責任といふことになりませう。

    終身総理はともかく 「99%以上は周り(その主たるものは、もちろん國民)の責任といふことになりませう。」  

    → まったくそのとおりです。

    それゆえ、「しかし、国民は国家が動き出すことを決して怖がっていない。国民はしっかり目が覚めているのである」

    を考えてしまいます。

    石松の周りには 流石に反日左翼はいませんが、ぼ~っとしているか、なんにも考えていない友人・知人多数です。 コロナ終息後に懸念・不安を感じてはいますけどね。 

  7. 小池 樣

    「国民は国家が動き出すことを決して怖がっていない。国民はしっかり目が覚めているのである」といふ先生のお言葉ですね。これは、どういふ意味でおつしやつたのか、私にも理解できません。本當に「怖がっていない」「目が覚めている」のでせうか。先生にお聞きするしかありませんね。

    先生が我々のやりとりを御覽になつて、お答へ下さればありがたいのですが、お忙しいから、いつ御覽いただけるか分りません。二三日待つて、お答がない場合は、先生の信頼の厚い貴兄から、電話で伺つていただけませんか。なにしろ、大事な點ですから、分らずじまひにしたくありません。よろしく。

    貴兄御紹介の櫻井・安倍問答を讀んで、あまりに荒唐無稽にして秀拔なのに
    呆氣にとられ、思はず、傑作、愉快などと言つてしまひましたが、あとで背筋が寒くなりました。6月號で西尾先生が、その感想で、渡邊望さんがそれぞれ言はれたやうに、我々日本人には絶對に「中国人はわからない」のです。いつ何をするのか・・・、昨日なぜ「愉快」などと言つたのか、ぞつとします。

    安倍さんは「戰略」のほかに、「軍事機密」とも言つたが、貴兄、そちらへの「突っ込みはやめました」ーー御尤も。彼に「突つ込」んでも、意味はありません。

    貴兄には以前、「我々は西尾先生から、地獄行きの切符を貰つてあるのだ。じたばたすることはない。墮ちる時は一緒に墮ちよう」と言はれ、同意した覺えがありますが、それは今夜かも知れないのですよ。そんなにすぐは困る。今夜は酒が呑みたい。明日? それも困る。私だけ、なんとか助けてもらへませんか。

  8. 今回も少々長くなりますが、お許しください。

     「貴方がたは再び強い日本兵を見たいのですか!」
    先生が、この論文の最初の方で引用されたドイツのコール首相の言葉を、「ドイツ兵」から「日本兵」に置き換えた台詞である。
    「もしこんな言葉が日本の首相の口から出たら、我々国民はどんなに気が晴れるだろう」と私は思った。でも「そんなことあり得ない」と、すぐに我に返った。

    5月25日に緊急事態宣言が解除されて、国内には緊張感から一息ついた雰囲気が漂っているが、東京では感染者数が二桁になる日もあり、そう簡単に終息に至らないことは明らかだ。武漢ウイルスのせいで、以前のままの日本が戻って来る事はなさそうである。
    変ったのは街並みや、人々の習慣だけではない。国民の意識も変わったと私は思う。まずは年々増加していた外国人の事を、改めて考え直すという意識が芽生えたことだ。

    というのも、毎日のように国内感染者数が報道されているが、国籍が発表されたのは、ほんの最初だけだったからだ。多くの国民が感染者や入院患者の国籍開示を要求しているにも拘らず、厚労省は、今もなお頑として隠蔽し続けている。
    例えば国内初の感染者は、神奈川県在住の30代男性で、今年1月3日武漢市滞在中に発熱し、その後帰国して入院した。次に1月末に奈良市のバス運転手が武漢市からのツアー客を乗せた後感染した。その後2月3日にダイヤモンドプリンセス号が横浜港に入港して大問題になるが、乗船者の国籍はなかなか発表されなかった。厚労省や自治体のHPには、感染者の国籍或は居住地に「調査中」という文字が並ぶようになる。ところが現在では「調査中」の文字も消えた。こうした経過により国民は、公的機関にとって「国籍」がタブーであることに気付いたのである。

    そこで本題に入る前に、ネット上で検索できる限りの外国人に関する数字を集めてみたので紹介したい。まず2019年6月末時点の総在留外国人数は、2,829,416人で過去最高である(「統計で見る日本」より)。
    内訳は中国786,241人(27.8%)、韓国451,543人(16.0%)、ベトナム371,755人(13.1%)、フィリピン277,409人(9.8%)、ブラジル206,886人(7.2%)、ネパール92,804人(3.2%)、台湾61,960人(2.2%)、インドネシア61,051人(2.2%)の8カ国で全体の8割を超える。
    その中で外国人労働者数は1,658,804人(2019年10月末)である(厚労省石川労働局「都道府県別外国人雇用事業所数及び外国人労働者数」より)。
    彼等の居住地は、1位東京485,345人(29.3%)、2位愛知175,119人(10.6%)、3位大阪105,379人(6.4%)、4位神奈川91,581人(5.5%)等であり、この4地域だけで全国の約52%に上る。就労していない人も含めれば、東京では中国人だけで約55万人いるそうである。

    上記外国人労働者の居住地を見ると、今回の武漢ウイルスの感染者数が多かった地域と完全に一致する。その他北海道、兵庫、福岡など空や海の玄関口である地域も感染者が多かったことは周知の通りだ。こうした状況を見ても、国内感染を防ぐには、一刻も早く外国人の流入を停止することだと判断するのは当然の流れである。

    ところが米国が1月31日時点で中国人を全面入国禁止したのに対し、日本政府の対応を見ると、ウイルスの発祥地中国への対応は信じられないくらい甘かった。例えば留学生が多い早稲田大学の留学センターのサイトを見ると、外国人相手だから当然だが、2月以降も「汚染地域への不要不急の渡航は控えて下さい」「再入国できません」などの表現が目立つ。2月は湖北省、次に浙江省からの入国制限という限定的な規制に過ぎなかった。
    https://www.waseda.jp/inst/cie/news/21595
    ところが法務省のHPを見ても表現は同じであって、結局これらの公的文書は、主に国内の外国人向けに作られたのではないかとさえ感じられるほどだ。なぜなら一般の国民は、海外出張する企業人は別として、こんな時期に海外渡航する人はまれだからである。

    因みに昨年(令和元年2019)の11月1日現在の早稲田大学の留学生数は、国費私費或は学部大学院等も含め6,207人、うち中国人は3,519人(ちなみに韓国857人、台湾428人)である。
    また国内の留学生総数は336,847人、うち中国人は132,845人で全体の約4割を占める。
     それだけではない。韓国朝鮮人のいわゆる特別永住者約29万人を除くと、永住者783,513人のうちの34%、家族滞在191,017人のうちの40%が中国人でトップを占める。しかも名目上は、発展途上国への技術移転を目的とする技能実習生も、ダントツで中国人が多い。GDP世界第2位の国が、発展途上国としても振る舞っている訳である。つまり日本は、あらゆる階層の中国人を受け入れている訳で、日本各地に行けば、現代中国の雛型を見られるという形になっている。

    一般国民が、感染状況の悪化を見て、外国人の入国禁止措置が取られるのを歯ぎしりしながら待っているのに、政府の方がのんびりしていたのは、明らかに国内外の中国人に相当気を使っているとしか考えられない。

    例えば厚労省のHPにある「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」の内容を見ると、令和2年5月8日までは、「PCR検査陽性者15,547例 日本国籍の者6,826名、外国籍の者226名(他は国籍確認中)」などと記載していたのに、翌日の5月9日版からは「PCR検査陽性者15,649例」という記載になり、国籍が消されてしまった。旅行者ならパスポート、在留外国人なら住民基本台帳には国籍が記載されているのだから、「国籍確認中」がずっと続いたり、国籍事項を勝手に抹消するなどは、常識的にも許されることではない。政府や各省庁は、明らかに「国籍は隠す」方針なのである。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11222.html https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11229.html
    こうして多くの国民は「一体ここは本当に日本か」と、驚きと共に強い憤りを感じたのではないだろうか?それにしても、どうしてこれだけ外国人、特に中国人が増えたのか?

    ここで参考になる論文があるので引用する。「増加・多様化する在留外国人—『ポスト中国』の新段階の変化に着目して—山下清海 筑波大学生命環境系」である。
    jags.ne.jp/wp/wp-content/uploads/Geospace_9-3_2-min.pdf この論文では、第二次大戦後の在日外国人の動向を、第1期(1970年代以前)、第2期
    (1980年代~2008年)、第3期(2009年以降~現在)に分けて考察している。
    まず1950年代、60年代で最も多かったのは、韓国・朝鮮人であり約60万人を占め、次が大陸出身者と台湾出身者だった。中国人が韓国・朝鮮人を上回るのは、2007年になってからである。
    さて戦前は日本国籍だった台湾人は、多くが中華民国籍となったが、1972年日中国交正常化前後から、台湾及び大陸出身者の一部が日本に帰化したため、1971年には52,333人だった在日中国人は、1973年には46,642人に減った。この頃の総在留外国人数は約71万人である。
    1980年代は、バブル期で人手不足になった時期で、西尾先生が活躍した移民論争が起こった時期でもある。同時に、1983年中曾根康弘首相の下で「留学生受入れ10万人計画」も始まり、在留外国人が激増した。例えば中国人(台湾人含む)に限って言えば、1984年は約6万4千人だった。それが留学生数が10万人を超えた2005年頃、つまり中曽根首相の計画が始まって20年後は、ほぼ8倍の50万人に達している。
    留学生増加の背景には、私費留学生に対するビザ申請審査の規制緩和、1996年の身元保証人制度撤廃、1998年アルバイト時間の緩和、2000年に大学・日本語学校が申請書のみで在留資格認定が可能になったこと等がある。また1993年外国人技能実習制度が出来たことで、その約8割が中国人で占められたことも、中国人増加の一因と考えられる。

    因みに山下氏の論文に掲載されているグラフを見ると、1999年からの2009年あたりまでの10年間で、中国人は30万人から70万人近くに激増した。小渕内閣から麻生内閣までの時期である。2008年はリーマンショック、また2011年には東日本大震災の影響もあり、以後しばらくは中国人の増加率は緩やかになる。ただ先述したように2019年6月末時点では、中国人が78万人を超えているので、再び増加傾向にあると言えよう。逆に震災後急増してきたのがベトナム人である。
    今危急の問題は、今回の武漢ウイルス問題により、国情が不安定になった中国から、これまで以上に、大量移民が押し寄せる可能性が出て来たことである。

    さて何かと批判されることの多い安倍政権だが、山下氏の論文を読むと、在留外国人に関しては、歴代の自民党内閣の伝統を踏襲しているだけとも言える。つまり途中3年間の民主党政権があっても、1973年の約71万人から昨年2019年6月末の約280万人まで在留外国人数を増加させたのは、歴代自民党政権である。
    もちろん「留学生10万人計画」は、国内の留学生数を欧米並みにとの事だったので、中曽根氏が現在の状況をどう思っていたかは分からない。しかし1993年に始まる技能実習制度は、名目上発展途上国への技術移転となっていても、現実には実労働をさせていたので、実質的な安い労働力確保だと、当初から見抜かれていた。

    こうした批判の急先鋒はもちろん西尾先生であり、当時「開国/鎖国」論争とも言われた移民論争では、移民賛成派というのは、「日本文化を活性化させる」という美辞麗句の下、「安価な労働力を確保したい」との真意を隠していると断じた。そして外国人労働力に頼れば階層分化が起こり、平等で活力ある伝統的な日本型社会が崩壊する、それは現代のドイツを見れば分かる、と力説され、我々の多くは先生の意見に激しく同意したのであった。
    しかしあの論争からほぼ30年が経った今、あれほど先生が力説したにも拘らず、我が国は「移民国家」の道をひたすら進んできた訳である。

    前置きが長くなったが、今回の先生の論文を読んで、一番印象に残ったのが「安倍氏は中国に対し対抗意識が非常に強い」そして「位負け」(P45)している、と書かれた所だ。私は思わず、「先生、私達の世代に、そんな気骨を求めても無駄ですよ!」と言いたくなった。

     私は、安倍首相とも習近平氏とも、ほぼ同じ世代だ。周氏は清華大学出身だそうだが、彼が中高生の時代は、1966年に始まった文革の頃だから、最も多感で知力が発達する時期を下放されたり、或は街の工場で働いたり、現代の青少年には考えられないような生活を送った訳である。したがって今の60代から70代の中国人は、我々日本人が良くも悪くも中高生時代に培うような一般教養や、ポップカルチャーなどのちょっとした雑学もない人が多い。もちろん文革後、大学入試も復活し、独学で大学に入った人も多いから、一概に比較はできない。それに今の若い中国人は、詰め込みの入試競争世代だから、日本の青少年が彼等を脅威に感じるのも無理はない。
     
    しかし私は、理由あって中国の高校と大学に行った人を知っているが、「中国の学校はそれほどレベルが高いとは思えない」と言っていた。少なくとも歴史教科書に関しては、約3割が「抗日」について記述されているというから、日本のような世界史、日本史の膨大な暗記事項に忙殺されることはなさそうである。また話せる語学を重視するから、英会話コンプレックスの我々日本人は、彼等の語学力だけで、すべてを判断してしまう。しかも一般社会や大学では、どれだけ世界史や日本史を知っているかなど、問われることはないから、彼等が案外無知なのも知らない。
     もともと中国人は、英語圏に行くのが理想であり一流だと思っているので、日本に来るのは、親戚などがいるか、金がない、或は横文字がダメというケースが多い。しかも彼等は日本が移民を推進していると知っているから、堂々と来る訳である。80年代はそれなりに選抜された人材が来日したが、今はどんなレベルの中国人でも来られるようになったのは、一般の人も気付いている通りだ。
     
     ところで日本の青少年の学力が世界トップクラスと言われた頃、私はある本の中で、アメリカ留学した日本青年が「こっちの奴らって、頭悪いでしょ」などと傲慢な口を利く、と書いてあるのを見たことがある。ところが今度は日本で、若い中国人が、日本や日本人に対し同じ事を言っているのを、私は実際に何度か聞いた。
     つまり現代の裕福な中国人にとって、日本は学びに来る国ではなく、買い物に来る場所であり、避暑地や保養地であり、投資をする場所なので、自分たちは日本で「お客様」だと思っている。田舎から来た教養のない中国人の技能実習生など、自分には全く関係ないと考えているのだ。
    こうして中曽根首相が、1983年に、欧米並みにと「留学生10万人計画」を実施して以来、事態はここまで来てしまった訳である。

     以上私が書いた程度の事も、中国人と接したことのない人は知りようがない。そして安倍首相も、多くの政治家も知らないのではないだろうか?だからこそ、習近平にも「位負け」するのではないだろうか?

    それもそのはずである。私が若い頃、同級生たちの中で、中国に関心を持つ人などほとんどいなかったからだ。しかも日本に中国留学生がやって来たのは、80年代以降だから、我々の世代は彼等と知り合う機会もなく、したがって彼等に対する知識もなかったと思う。
    そのうち90年代あたりから中国人のタレントや学者などがマスコミに登場するようになる。私の記憶では、雑誌『諸君』か『正論』に、ある中国人ジャーナリストが「移民1千万人計画」について書いていたのを覚えている。またいわゆる「南京」や「慰安婦」などの問題もあり、徐々に中国の悪意が明らかになって来た時期でもある。
    それでも私の同級生で、「教科書問題」に関心を持つ人は少なかったと思う。

     私の年代は、団塊の世代が政治運動で吹き荒れた後の世代であり、関心は専らアメリカ、留学したい国も欧米だった。将来の職業と専門分野への関心しかなく、政治的なことに関わるとロクな事はないし、ダサいと思っている者が大部分だった。ほとんどは、いい大学に入って、名のある企業や官庁に入るのが理想で、教師を志す者も、大都会では、新任教師も三桁の募集があった時代だ。
     学校でも、「ぼんやりしていたら受験に通らないぞ」「そんなことは大学に行ってからやれ」等と言われ、苦手科目は避けて、少しでも入りやすい大学を捜すことに専念した。また大学では、再び「そんなことをしていたら就職できない」等と言われる。
     私達の親は戦中派か、戦争体験はないが物のない時代を過ごしたから、「安定した職場に入れ」というのが決まり文句だった。それでこの教えだけはしっかりと受け継いでいるのだ。「一芸に秀でる」とか「突拍子もないことをする」のは、恵まれた人間だけだった。

     だから先生が安倍首相のことを、「彼には臆病な所がある。肝心要なポイントになると手を出さない。さっと逃げてしまう。」「つまり、彼は手を出すべき事柄が何であるか分っていてそれには手を出すのだが、肝心要なところを外す、あるいはポイントの中のポイントを逸らす、またはわざとしているみたいに大事なところで白紙を出す、そしてそういうことをなぜか繰り返す。」(P48)と書かれた時、私は「ああ、なるほどその通りだ」と思った。
     もちろん安倍首相のように名門の家系の出身で、しかも長年政治家と首相を務めた方には失礼かもしれないが、安倍氏も、世代的な特徴を完全に備えていると思う。

     何せ小さい頃から、既存の枠内で如何に上手く立ち回るか、が常に問われ、「体制批判をする」とか「戦後体制を根本から考え直す」などという疲れる作業は、到底やりたくない。そんな事をしていたら、下手すると「落伍者になるかもしれない」からだ。では社会に出たら出来るかというと、それも難しい。こうした問題意識や試みは蓄積が必要で、伊達や酔狂では出来ないからだ。
    そもそも学校や実社会でも、「現実に解決を求められる」ことは少ない。例えば拉致問題も、本当に解決しようとすれば大変な妨害が起こるだろうし、そんな騒ぎに巻き込まれたくない人も多いから、それらの人々の反対がある、という「逃げ道」が用意されているから、解決しなくてもいい訳である。

    すべてがそんな調子だから、安倍氏には「偽物臭さ」が漂うのである。安倍氏だけではない。私も同じ世代だから、自分も「三代目で家を潰す」部類に入ると思っている。

    そんな所に、とんでもない武漢ウイルス問題が出現した。感染すれば肺炎を起こし、死に至るのを見て、我々の多くは恐怖に怯え、一刻も早く中国人の入国禁止を望んだ。「これで中国と手を切るチャンスが来た」と思った人も多かっただろう。それなのに、もたもたしている安倍政権を見て、思い描いたのが『植民地の宰相』というイメージではないだろうか?「ああやっぱりこれじゃダメだ」と、皆思ったに違いない。

    トランプ大統領もいち早く中国人の全面入国禁止を決定した。メルケル首相も「電光石火ドイツ国境を閉鎖した」(P40)。両方とも大量の移民がいる国家なのに、国民を守る時は全く迷いがない。船に例えたら、二人とも立派に船長の務めを果たしている。

    ところが安倍政権は、習近平の来日や、医療観光サービスで早く日本に来て治療したがっている中国人に配慮しているのか知らないが、なかなか国境を閉めようとはしない。私は、このことを指して、「安倍首相が『グローバル』を実践している」とは全く思わない。
    なぜなら「グローバル」を堪能しているのは習近平や他の中国人であり、そうした彼等の振る舞いを助けるのは、ただの「サーバント」に過ぎないからだ。つまり自分が本当にグローバルに行動するならば、こちらも相手国に、できるだけ自由に入らせるようにさせるのが筋のはずである。安倍首相は、中国に進出している企業人も含め、「グローバル」をモットーとしているようだが、自分たちはただの「サーバント」に成り下がっている事に気付いていないらしい。

    先生が書かれた、「『軍事問題』一般に対する日本人のアレルギー、未開人が禁句に触れたときに見せるような驚愕と恐怖の表情によく似た小児病的な反応」(P40)は、我々国民一人一人が胸に手を当てて反省してみる事柄でもある。

    そういえば学校でも、教えられた内容を真面目に受け取るのが「成功の第一歩」だった。マスコミも知識人も、「あの戦争は祖国日本が一方的に悪かったのだ」、と言ってばかりいる。「何かおかしい」と感じながらも、「そうなのかな」と受け流して来た。するといつの間にか色んな中国人がやって来て、被害者面しながらも上から目線で物を言う。マスコミは「中国人は優秀だ」の大合唱だ。それが、最近では「俺たちは優秀だから日本に来てやっている」「インバウンドで日本にカネを落としているのは自分たちだ」なんて言うようになった。留学生も奨学金を貰っているくせに、それが当然のような顔をしている。
     それでも黙っているのが、私と同じ世代の人間だ。高度経済成長期に子供時代を過ごし、バブルも経験するなど「いい思い」をしてきたから、相手の悪意に気付かないのだ。

     先生は論文の中で、戦後の首相何人かに言及された。その中の一人「田中角栄は周恩来に対して『位負け』していなかった」と書かれたが、以前どなたかの文章で、周恩来は田中氏に対し、大変失礼な中国語を使っていた、と書いてあるのを読んだことがある。その時私は、中国の政治家というのは、周恩来のように育ちや外見がよくても、「上品なヤクザ」か「下品なヤクザ」かの、どっちかなんだと思った。

     私は、中国人に対する現実感覚は、私の世代よりも今の若者の方が正確だろうと思う。ただ先生が書かれた通り「知らないのは若い世代で、核武装国であるとか、世界第二位の経済大国であるとか、近頃のイメージに左右され過ぎて、今の中国政府の出すプロパガンダに意のままに操られ勝ちである」(P45)ことは確かだ。しかし行儀が悪く、不作法で、傲慢なタイプの中国人を「生」で見ている点では、「近代史の実績を踏まえれば、日本の政治家が中国の政治家(共産主義者)に『位負け』する理由はなにひとつ見いだせない」(P45)ことを納得すると思う。

     山下氏の論文によれば、1980年代には日本語学校で学ぶ私費留学生に対する入国管理庁のビザ申請調査の規制緩和をしたら、たちまち不法就労、不法残留が増加した。そこでビザ資格審査を厳格化すると、留学生の増加が鈍化したそうである。また2003年福岡で、中国人留学生・就学生3人による、小学生の兄妹を含む一家四人殺人事件があった。この事件の影響で、以後就学・留学ビザの発給審査が厳格になったという例もある。やる気さえあれば、国内の治安維持のため、外国人の流入を厳格に管理することは可能なのだ。

     今回の武漢ウイルスのように、国内の感染者約1万7千人のうち約半分以上は外国籍であり、その大部分が中国人・韓国人と推測されている中、厚労省が率先して感染者の国籍を隠蔽するなどもっての外である。
     現代中国は、先生が例えている通り「古代専制国家」「現代共産主義独裁体制」「金融資本主義的市場経済」「全体主義的ファシズム」という四つの蛇頭を持つ「多面体」なのだから、必要なら、頭の一つや尻尾、腕の一本ずつでも、ちょん切って行くべきではないか?
     どうせ中国の富裕層は、日本の中小企業に雇われている技能実習生など、同じ国民だとも思っていないのだから、我々日本人が、どうして彼等を一律に「統一された中国人」と見なさないといけないのだろうか?

     それなのにTVや新聞を見ると、未だに「中国では、IT化が進んで・・・」などと言っている。政治家や大陸に傾倒する企業家たちは、向こうの富裕層だけを相手にしていればいいと思っているようだが、このままいくと、最も虐げられた中国の下層民からも、日本は奴隷長のような国だと思われるかもしれない。
     再び安倍首相のことだが、先生の表現に沿えば、「もともと責任という思い言葉は彼にはそぐわない。とはいえ『政治は結果責任』と自ら口癖のように言っていたので、その意味では長期政権の最期に結果が問われる秋(とき)が近づいていることは本人も知っていよう。」(P41)確かに、日本が現代のように移民大国になったのも、歴代自民党政権の積み重ねであって、安倍首相は、図らずもこうした遺産をすべて体現する首相になってしまったのかもしれない。それに我々の多くは、もう安倍氏には多くを期待してはいない。

     しかし戦後日本は、名門の三代目で長期政権を成し遂げた総理大臣を擁したが、実は大陸の一地方長官に過ぎなかった、などという汚名を頂くことだけは、国民の一人として、絶対に御免被りたいものである。   
                      (終)

  9. 黒ユリ 樣

    お見事!

    豐富な資料(山下清海教授ーー私の全く知らない人でしたーーの論文なども含めて)、統計・數値を使つて、精緻にして、情理兼ね備へた議論を滑らかに展開され、完全に説得されてしまひました(もちろん、細部までことごとく、私のお粗末な頭にしかと收まつたとは申しませんが)。

    「戦後日本は、名門の三代目で長期政権を成し遂げた総理大臣を擁したが、実は大陸の一地方長官に過ぎなかった、などという汚名を頂くことだけは、国民の一人として、絶対に御免被りたいものである」(その恐れが愈々大きくなりつつあるだけに、それを強調したい)といふ結論に、謹んで同意します。

    しかし、それだけで、一切因縁をつけずじまひでは面白くないので、黒ユリ樣が冗談のやうに發せられた「私は思わず、『先生、私達の世代に、そんな気骨を求めても無駄ですよ!』と言いたくなった」との一言に、少しだけ疑問をーー

    黒ユリ樣や安倍さんの世代に「氣骨」を求めることが無理でも、先生の世代になら、求めて得られるのでせうか。私は、論證拔きで申すと、前者が無理なら後者も無理、後者が可能なら、前者も可能なやうな氣がします(世代論なるものを好まないせゐかもしれませんが)。

    黒ユリ樣や安倍さんは、搖り籠の時から、WGIPの滿々たる毒氣の中で育つたことでせう。しかし、先生だつて、WGIPの猛毒注射を打たれてゐます。成長につれて、 その毒をどう感じ、どう對處するかは、個々人の問題でせう(多くの人々が、毒を毒とも氣づかず、氣樂に生きて、生涯を閉ぢるのでせうが)。

    先生の26歳の時の「『雙面神』脱退の記」といふ短文について、私がこの日録で觸れたら、後で、黒ユリ樣がそれを引用されたので、覺えていらつしやるでせうが、あの同人雜誌で、まともなのは先生だけで、他は全員、WGIP毒に完全にいかれてゐましたね。

    「われらと戰後派」といふ評論特集が企畫された際、「 戰後派を批判しても本質的否定はせず、あとで 『 大きく救ふ 』 ことを忘れないやうに」 といふ提言が、全員に當然の如く肯定され、途中參加の先生は異議を挾むことはできなかつたが、不滿だつたーーといふことでしたね。

    ほとんど全員がバカ、中にさうでもない者が少數ゐるかどうかーーこれは、どの時代、 どの場所でも同じではないでせうか。「つくる會」の八木事件の際、伊藤悠可さんが「水増しだつた。保守がそんなにゐるわけがない」と喝破されたのも同じ。「わけがな い」はたしかでも、一人や二人ゐても不思議ではありません(序でながら、先日、友人から、 「西尾先生が『つくる會』を退會されたが、何か先生から、それらしきことを聞いゐるか」かと問はれましたが、何もお聞きしてゐない」と答へておきました)。

    私は、西尾先生より4年半年少です。終戰の際、先生は小學4年生、私は未就学兒で、翌年小學校に入學。今日、先生と私は、何もかも違ひ過ぎるほど違ひますが、それは、生きた時代が4年半ずれてゐたせゐと思つたことはありません。先生は先生であられたから、今日の先生になられた、私は私だから、今の私になつたので、時代は、一切とは言はないにしても、あまり關係がないと思つてゐます。

    と書いてゐて、一度だけ、先生との年齡差を強く感じたことを思ひ出しました。今から 20年くらゐ前でせうか、「先生は何によつて、(日本)神話に親しまれましたか」と質問したところ、即座に「繪本だね」とのお答。さうか。自分は、「因幡の白兔」「大國主命」の物語くらゐは聞いたことがあつても、その繪本を楽しんだ覺えはない。終戰時の小4と未就學の差は大きいと、少々感慨ありーーだつたと記憶してゐます。

    それはさておき、ここに最近登場された渡邊望さんは、私の子供よりも年下です。にも かかはらず、私としては、三尺下らざるを得ない、あの見識。年齡や時代は、決定的要素ではないのではないでせうか。

    安倍さんが、あの時代に育ち、さらにお坊ちやま育ちであつてなほ、「氣骨」があつて も不思議ではないのでは。時代や環境のせゐばかりにするのは、必ずしも妥當ではないと愚考しますが、貴見如何。

    無理やり因縁をつけたので、最後に、安倍長官絶對御免の貴説にもう一度贊意を表します。同じアベでも、阿倍仲麻呂はハノイで、唐の鎮南都護に任じられ、歿すると唐朝から潞(漢字 が正しく送信されないかもしれません。「ロ」ーーサンズイに路)州大都督の稱號を贈 られました。 安倍さんが、外地なら、どこの長官、總督に任ぜられるのも、御自由ですが、倭州大都督だけは辭退してほしい、我々にそのくらゐの配慮はあつて然るべきだと思ひますが、いかがでせう。昨日、小池さんに、櫻井・安倍問答を讀まされてから、酒もおちおち飮めない氣分です。

    また教へて下さい。

  10. 池田 様

     池田様の「因縁」はいつも手厳しいです。
     実は自分で書いていても、世代論みたいになったので「ただの私見だし、説得力あるかな?」と思いました。でも、自分の考えを書かないといけないので、特に安倍首相に対しては、こんな風にしか書けませんでした。

     仰る通り、どんな年代の方にも色々いる訳で、きれいに色分けできません。どんな年代の人も、「一人や二人ゐても不思議はない」けど「保守がそんなにゐるわけがない」のはその通りだと思います。
     それにそもそも先生がよく仰っていますが、いつから「保守」の人って出来たんですかね?「保守反動」というのは悪口で、対する「革新」というのは何となくスマートな響きだった時代を、私も子供だったけど、ある程度覚えています。結局「保守」と「革新」も西洋語から来たのだろうと思います。それで我々自身が、「分からないまま使っている」。

     だから「やっぱり、またそれか!」と私なんかは思います。先生は、WGIPで「戦後、日本人は『言葉』を奪われた」というような事を書かれたと思います。「自由」とか「民主主義」とか、今でいう「普遍的価値」みたいな言葉は、全部戦後GHQによって日本国民に与えられた、みたいな形にされてしまった、本当はそうじゃないのに・・・。

     それで何と名付けていいのか分かりませんが、「保守」も「天皇を元首とし、議会制民主主義を旨とする派」とか、もっと短く、例えば「皇道派」みたいな名前にしてくれれば、それから外れる人も出てきて、分かりやすくなるんじゃないでしょうか?
    こんな事を書くと、鼻で笑う人もいると思いますが、今日本で、対立している勢力を大きく分けると「天皇が必要、不要」に分かれ、さらに「天皇必要」の人々も、先生の言葉を借りると「ワシントンに本拠地がある天皇」か「日本本土に根拠地がある天皇」かに分かれると思うので、それで「保守」を名乗る人々にも、ご自分でどっちに入るか判断してもらう・・・そこまでやらないと、「保守が何人いるか」、いつまでたっても分からない気がします。

    ところで池田様は、「『雙面神』脱退の記」について、先生以外はWGIP毒に完全にいかれてゐる、と仰います。しかし「戦後派を批判しても本質的否定はせず、あとで『大きく救ふ』ことを忘れないやうに」しよう、とするのは、WGIPのせいなんでしょうか?
    確かに「戦後を善、戦前を悪」と固定して考える人にとっては、戦後の作家であろう何であろうが否定するのは「恐れ多い」し、後々「何かと都合が悪い」ことになるのでしょう。
    でもそんな人間って、江戸時代でもそれ以前からもいるような気がします。つまりその時代の「権威」に逆らわずに生きようとする、簡単にいえば「その時代を越えられない人」は沢山いる訳だし、『雙面神』の人たちは、結局先生以外、皆そんなタイプだったんじゃないか、と。

     と、書いているうちに、自分が先の投稿で書いた「世代論」は結局間違いだった、ということになりそうです。確かに世代や年代の問題じゃありませんから。
     ただ言い訳がましくなりますが、自分の同世代の事は大体よく分かるので、具体的には私の書いた事について、思い当たる方は多いのではないかと思っています。
    池田様に因縁つけられると、結局自分の矛盾を突かれて、降参せざるを得なくなりますね。

  11. 黒 ユリ 樣

    「降參」とかなんとかおつしやりながら、御自身の筋はきちんとお通しになりますね。これ以上進めると、こちらの形勢が惡くなりさうなので、この因縁は打ち切ります。

    そこで、話題を變へ、もう少し切實な問題について、黒ユリ樣の御高見を承り
    たく何分よろしく。議論ではありません。お感じになつたところを率直にーー

    (一)小池さん御提示の櫻井ー安倍問答、私はあまりのバカバカしさに可笑し
    くなりましたが、あとで、これは他人事ではない、すぐにも我が身に及ぶかも
    しれなのだといふ當り前のことに氣づき、ぞつとしました。

    安倍 :具体的なことは言えませんが、領海に入ってきた船に対してはこちら
    が圧倒的な態勢で対応するということです。
    櫻井:向こうが一隻きたら、こっちは二隻、三隻、四隻行くぞ、というようなことです か。
    安倍:戦略ですから申し上げられません。圧倒的な態勢での対応を安倍政権はやっています。習近平国家主席にも「尖閣における日本政府の意思を見誤らないでもらいたい」とはっきり申し上げます。

    小池さんは「これを信じる人いますか!」と怒つてゐます。安倍さんは「斷乎
    やる」「しつかりと筋を通す」「きちんと責任を取る」などの科白が好きで、連發しますが、そのとほりにしたことは一度もありません。從つて、「圧倒的な態勢」といふ頼もしい言葉を信じたくても、さう簡單には信じられません。黒ユリ樣は如何ですか。日本國民は枕を高くして寐ていいのでせうか。論證
    はいりません。どうお感じになるか。

    (二)黒ユリ樣の次のコメントについて。
    「先生は論文の中で、戦後の首相何人かに言及された。その中の一人『田
    中角栄は周恩来に対して「位負け」していなかった』と書かれたが、以前ど
    なたかの文章で、周恩来は田中氏に対し、大変失礼な中国語を使っていた、
    と書いてあるのを読んだことがある。その時私は、中国の政治家というのは、
    周恩来のように育ちや外見がよくても、『上品なヤクザ』か『下品なヤクザ』かの、どっちかなんだと思った」

    こちらは位負けしたつもりはなかつたが、向かうは位勝ちしたつもりだつたのか、結局は分りませんね。私が何度も引く
    水島「安倍さんは世界の要人を相手に亙りあつてゐる」
    西尾「亙りあつてなどゐない。馬鹿にされてゐるだけだ」
    も、水島社長は、あの大好きな安倍さんのことだからーー、西尾先生は、あの
    安倍さんにそんなこと出來る筈がーーと、考へたといふことでせうね。

    「亙り合ふ」と否とは、色々な場面の綜合なのでせうが、會談そのものは見て
    ゐないのだから、實際のところは、想像も混じるのでせうね(私などは、斷然
    西尾説に加擔したいのですが)。

    今囘の西尾論文には、こんなのことも書かれてゐますね。
    「岸信介はダレス国務長官と意見の齟齬をきたしたときピタと相手の眼を見
    つめて向こうが視線をそらすまで動かなかったと伝えられる」
    これも、實際にさうだつたか分らない。西尾先生は、愼重に「勿論、そういう
    言い伝えがあったというだけの話だが・・・」と附け加へてをられます(先生は以前にも、この岸ーダレス會談のことをお書きになりました)。

    外交評論家加瀬英明氏は「これぞ安倍外交!」と襃めそやしたことが何度かありますが、その内容をしかと解説したのは聞いたことがなく、多分、加瀬氏も中身を見ずに、大好きな安倍さんに旗を振つたのだらうと想像しました。

    安倍ートランプ電話會談で、トランプは「プーチンは安倍を襃めてゐたよ」と
    言つたさうだと、時事通信の田崎記者が、晝のテレビ番組で言つたことがあります。會談の内容を日本側で知つてゐるのは、總理本人だけか、あるいは祕書も聞けるのか知りません。官邸詰めの田崎記者はそれを總理か祕書から聞いたのでせう。本當かもしれません。でも、田崎記者は産經の阿比留記者に負けないくらゐ安倍提燈で有名なので、嘘つぽく聞こえました。もしも嘘なら、誰が?・・・。

    西尾先生は「首相となった人の態度、物腰だけでなく、発言内容、すなわち言
    葉の使い方、表現の仕方のひとつひとつがもう永いことわが国民のストレスと
    なっていた」とおつしやいます。つまり、それは國民にとつて大きな意味をもつといふことでせう。そのとほりで、たとへば、黒ユリ樣作の 「貴方がたは再び強い日本兵を見たいのですか!」といふ科白を、安倍さんが言つてくれたら、「我々国民はどんなに気が晴れるだろう」と、私も黒ユリ樣と共に思ひます。

    けれども、上述のごとく、總理や要人の言動はなかなか正確には傳はらない。
    ガセネタが溢れてゐます。私がイカレた安倍副長官の「(拉致被害者を北へ)
    歸してはならない。自分は體を張つて止める」といふ發言も、出所・眞僞とも
    不明です。

    田中角榮ー周恩來の位負け・位勝ちを初め、國民のストレスになつたり、「氣
    が晴れる」大事なことが、傳聞により、歪められて屆きます。そこに、宣傳・プロパガンダが大きな力を持ち、それが決定的要素にもなるのでせう。その邊についての御意見をまづお聞かせ下さい。もう一つ、安倍さんがジャーナリスト對策・工作に熱心(とは、故Bruxxeles女史から聞きました)で、それが功を奏してゐるのは分りますが、それにしても、言論人たちの、長期にわたる常軌を逸したなびきぶりが、私には理解できません。その御解説も合せて。よろしくお願ひします。

  12. 池田 様

     「櫻井—安倍問答」ですが、これから「圧倒的な態勢で対応しています」と言われたって、確かに「いつどこで~?」と突っ込みたくなるだけですね。私は、その二隻、三隻・・・というのは、海上保安庁の船なのか、海自の戦艦か空母なのか?とバカな疑問が浮かんでしまいました。
     今まで、毎日毎日産経ニュースで、「尖閣に中国公船、連続○○日」との報告を読まされているし、小池樣や池田様の仰る通り、私も信じられません。

     安倍さんが得しているのは、これほど約束を反故にしても、公明の反対があったんだろうとか、野党が酷いから、そうせざるを得ないのだろうとか、どういう訳か同情を買える所です。私も、「安倍さんに限ってどうしてかな?」と思うのですが、小泉訪朝の時の対応とか、教科書問題での初期の対応などを見て、我々が「この人だ!」と期待し過ぎたせいかもしれません。もちろん池田様が仰るように、それらも作り話だったらどうしようもありませんが。
     ところでブリュッセルさんは、安倍さんがジャーナリスト対策・工作に熱心だったと書かれていたんですか、流石ですね。それはその通りかもしれません。

     今の日本は軍事的に自立していないから、いくら「亙り合ふ」と言っても土台無理な話です。もとより「親分」がいるなら、その親分を、何らかの言いがかりをつけて「ゆする」位のことをしてくれたら、多少汚くても「安倍さん、なかなかやるじゃん!」みたいに言われるのでしょうが、安倍さんはあくまでスマートに行きたいのでしょう。

     ただ安倍さんに同情の余地があるとすれば、あんな政界にいて、あの野党たちが相手では、「どうやって相手を言葉で丸め込むか」に腐心するようになっても無理はないかな、と思います。それにマスコミは、我々とは別の意味で「安倍反対」だから、それに対する防衛もあるでしょう。安倍さんは、いわゆる保守からは支持を得て(櫻井さんとか)いるから、安心して「左」だけ対処すればいい、と思ってるように見えます。

    いずれにしても、どうせ今の国会は、与野党で茶番劇を披露しているみたいなものだから、「明日、尖閣に海上自衛隊の船を派遣するが如何!」の話には、絶対にならない。
     こうして、「御存じの通り尖閣諸島(或は竹島)は我が国のものであって、もし不当に侵害されるような事態になれば、我が国としては当然それなりの対処をしなければなりません」みたいなことを何年も聞かされて、もう私達国民は、野党はもちろん、与党も「本当は問題を解決する気なんてないんだな」と見抜いてしまった。

     関係ありませんが、「尖閣諸島」と入力しようとすると、最初に「浅学」と出て来る。それで「尖頭」と出してから、「頭」を消して「楼閣」の「閣」をくっつける。どうしていつまでも「五島列島」みたいにパッと出てこないんだろう?と思います。

     もし安倍さんが、期待されたような「有言実行」の人だったら、もう政界にいないでしょう。そんなことも予想しているから、国民は「安倍さん、もうちょっと政界にいて、頑張ってよ」という気になる・・・。それもこれも、結局彼がサラブレッドだからでしょう。「憲法改正」も言ってくれたし、一つ彼に賭けて見ようか・・・という切ない思いで、まだこれを断ち切れないでいる。何だか書いていて情けなくなりました・・・。
    でもそれも時間の問題になりました。
     政治家もビジネスマンも、これまで彼等が外国と渡り合うために、どれだけ苦労して、辛酸をなめて来たかについて、普通の国民は随分聞かされてきました。その度に一般人は「第一線にいる人は大変なんだな~、頑張ってくれてるんだな~」とねぎらう気持ちだった・・・

     でも私は今回の武漢ウイルスで、安倍政権が習近平来日のため(と言われていますが)、なかなか国境閉鎖しなかった事で、流石の安倍さんにも、同情の余地はないと思いました。安倍さんというより安倍政権といった方がいいかもしれませんが。

     というのも中国人の出入国に関して、色んな情報に基づくと、日中はもう国民の見えない所で手を握って交流している、と分かったんですから。例の医療観光ビジネスで、湖北省や浙江省出身の中国人を4月になっても入れていたようですし。それに他にどんな中国人が入ってきているか分からない。もう「二階が悪い」だけじゃ済まされない。統計の数字が色々出ていますが、公表されている数字も、様々な細工や改竄が行われているようだとの指摘もあります。完全に国民を馬鹿にしている訳ですね。

     昔だったら、そんなことはマスコミがすっぱ抜いて記事にしたかもしれない、「政界、中国と闇の癒着!」なんてタイトルで。でも野党は当然、こんな時でも「外国人を差別するな」(つまりシャットアウトするな)と言っていると同じだから同類だし、マスコミも同様、となると国民は、どこにも頼みの綱がない、ネットだけ、ということになる・・・

     話が逸れてしまい失礼しました。
    田中元首相ですが、周恩来が失礼な中国語で対応したからといって、どうせ言葉が通じないのだから、田中氏が「位負け」したとは言えないと思います。ただ日中国交をそんなに急ぐ必要があったのか、との批判があるし、当の中国から早く国交を結びたいとの圧力があったとしたら、負けたのかもしれませんが、その辺は分かりません。

     以前確か先生がどこかで、仲小路彰について書かれ、仲小路氏は「中国人は日本人を見下しているからダメだ」と言っている、というようなことを仰っていたと思います。私は先生の『GHQ焚書図書開封』シリーズに刺戟されて、戦前の雑誌などいくつか買って読んだのですが、戦前にも「中国人は国際的で凄い」と中国人に心酔するが人いたんですね、今と同じです。でも仲小路氏のように、その頃から中国人の本質を見抜いた人もいて、頼りになるのはやっぱりそんな学者たちだけだ、と思いました。仲小路氏の著作が焚書図書になったのは、戦争に荷担したという事情はあっても、日本人でありながら、内容も量も半端じゃない著作を書いたことにGHQは脅威を感じたのだろうし、嫉妬もあったろうと思います(仲小路氏の著作は全く読んでいないので、先生の書かれたことを勝手に解釈しているだけですが)。

     まとまりがなくなって失礼しました。一般人に届く情報が、どこでゆがめられているか分からないので、届いた範囲で判断するしかありません。でも一国民として言わせてもらえば、そんなTV、新聞、雑誌などの報道だけじゃなく、普通の人はもう一つ「肌感覚」みたいなもので、判断していると思います。分かりやすいのが今の武漢ウイルスです。

     東日本大震災に伴う福島原発事故が起こった時、多くの国民が、「中国人というのは一旦命に係るとなると真っ先に逃げる」のを目の当たりにしました。今度も、本国が危ないとなると、「一斉に逃げ出す」のを見たし、「それでも尖閣には毎日やって来る」・・・同じ中国人でも違うんだろうか?あの国は、バラバラなんじゃないだろうか?と思った筈です。「貧富の差で人間が違う」、とか「政治と軍部は違う」なんて言いながら、騒ぎが治まったら、また「金を要求してくる」・・・・さんざんこんな経験をして、国民は「中国や中国人というのはつくづく信用できない」、と思っている訳です。
     
     こんな「肌感覚」が全部正しいという訳ではありませんが、そんな単純な感覚も共有できない政府なんて到底信用できないんじゃないでしょうか?だからプロパガンダだけが功を奏している訳じゃないと、私は思います。

    今回の武漢ウイルスの対応における安倍さんに対する評価も、これからだんだん固まって行くのでしょう。ただいくら評論家みたいな人たちが「色々あっても、安倍さん、上手くやった」と言っても、あの不信感(まだ中国人を入れていた)は拭えない。今後第二波、第三波が来てまずいことになるかもしれないし、ワクチンや薬の件で国益を損ねるようなことになる可能性もあります。
     そんな時、一般人が思い出すのは、「あの不信感」です。人間というのは、まずいことが起こると、「あの時、あの人は怪しかった。やっぱりあの時からおかしかったんだ」と思うのが普通だし、それが亀裂になって、破綻が来る・・・まるで男女の関係の様ですが、庶民の肌感覚は、そういう意味で言葉だけのプロパガンダより恐ろしいのじゃないかと、私は思っています。
     その例の一つが、中国製品、特に食品に対する不信感です。特に女性はそうです。一旦悪評判が立ってしまうと、絶対に元に戻すことはできません。
     

  13. 黒ユリ 樣

    いやはや、恐れ入りました。私の言ひたいことを全て言つて下さつたのみならず、私の思ひもしなかつた樣々なことを、鋭く指摘・提示され、ああさうかと氣づいたり納得したり・・・以前から、こんなに冴えていらしたのですか。

    以下、どう感服したかを書くと長くなるし、疲れもするので、サボツて、印象の強かつた數節をコピペするだけで濟ませます。お許しを。

    ☆ 安倍さんが得しているのは、これほど約束を反故にしても、公明の反対があったんだろうとか、野党が酷いから、そうせざるを得ないのだろうとか、どういう訳か同情を買える所・・・

    ☆ 「親分」がいるなら、その親分を、何らかの言いがかりをつけて「ゆする」位のことをしてくれたら、多少汚くても「安倍さん、なかなかやるじゃん!」みたいに言われるのでしょうが・・・

    ☆ あの野党たちが相手では、「どうやって相手を言葉で丸め込むか」に腐心するようになっても無理はないかな・・・
    (ここだけ、異論あり。安倍さんは丸め込むべく腐心してゐるでせうか。その必要がなく、だらだらと時間を稼ぐだけで濟むから、訓練もせず、もともとお粗末な言葉が愈々お粗末になるのではないでせうか)

    ☆ もし安倍さんが、期待されたような「有言実行」の人だったら、もう政界にいないでしょう。
    (嚴しい! しかし、ここがポイントですね)

    ☆ 政治家もビジネスマンも、これまで彼等が外国と渡り合うために、どれだけ苦労して、辛酸をなめて来たかについて、普通の国民は随分聞かされてきました。その度に一般人は「第一線にいる人は大変なんだな~、頑張ってくれてるんだな~」とねぎらう気持ちだった・・・
    (まつたく。聞くも涙、語るも涙で、感謝感激でしたね)

    ☆中国人の出入国に関して、色んな情報に基づくと、日中はもう国民の見えない所で手を握って交流している・・・
    (關野氏のメール「ネットでベノナと言うのを検索してみたところ、ソ連と言うのは、非常に多くのエイジェントをアメリカ等の政府他の重要部署に送り込んでいます。日本政府の最近の諸行動を見ていると、中共は日本におおくのエイジェントを送り込んでいると思われます。習近平の国賓招待、香港弾圧非難声明に加わらず、『つくる会』一発不合格等々、安倍晋三首相以下、閣僚、自民党議員等チェックする必要ありと思います」を西尾先生にお傳へしたところ、「エイジェントのせゐではない。自民黨は元々左翼なのだ!」と、私が叱られ、「ええ、昔から、先生が『自民黨は左翼政黨』」とおつしやつてゐることは、十分に心得てゐます」と釋明しておきました)

    ☆東日本大震災に伴う福島原発事故が起こった時、多くの国民が、「中国人というのは一旦命に係るとなると真っ先に逃げる」のを目の当たりにしました。今度も、本国が危ないとなると、「一斉に逃げ出す」のを見たし、「それでも尖閣には毎日やって来る」・・・
    (誰でも、危なければ逃げますが、それにしても、あそこの人々はちと。そして尖閣へ「中国人は分らない」ですね。)
    以下略
    また教へて下さい。

    (追記)6月9日の本欄に、(先日、友人から、 「西尾先生が『つくる會』を退會されたが、何か先生から、それらしきことを聞いゐるか」かと問はれましたが、何もお聞きしてゐない」と答へておきました)と記しましたが、先生御本人に確認したところ、 「自分では(つくる會を)やめたつもりはないが、なぜかやめたことにされてしまつた。何人かから、殘念ですと言はれた」とのことでした。

  14. 第二次安倍政権(2012年12月~2020年3月) 7年4か月の「成果」
    ① TPP参加・・民主党路線(菅直人内閣の決定を踏襲しただけ)
    ② 加憲論(憲法改正)
    ③ 消費増税・・2012年の野田政権の「三党合意」を忠実に引き継いただけ
    (リーマンショック級の経済危機があれば取り消すと言っていた~ コロナは?)
    ④ プライマリー・バランスの黒字化の非撤回・・菅直人政権の目標を引き継いだだけ
    ⑤ 靖国神社参拝問題・・(2013年12月から一度も行っていない)
    ⑥ 北方領土問題・・ロシアに対する経済協力+4島一括返還から2島(ロシアは拒否)
    ⑦ 慰安婦問題・・米の要請? 10億円拠出 (河野談話の踏襲)
    ⑧ 公共事業費の削減(インフラの未整備・劣化の放置)
    ⑨ 電力・水道の自由化
    ⑩ 働き方改革を含む労働規制の改正・緩和
    ⑪ 漁業法改正(漁業権の有名無実化)
    ⑫ 農協改革(農業市場の開放)
    ⑬ 種子法の廃止
    ⑭ 国有林野管理経営法改革
    ⑮ 外国人の土地取得の無規制
    ⑯ 市場原理による教育・大学改革(科学技術予算の削減)
    ⑰ 移民受け入れの拡大
    ⑱ IR推進法
    ⑲ アイヌ新法

    以上は 以下の「安倍政権は日本を取り戻せるか」2020年4月4日番組での浜崎洋介氏の説明資料を纏めたものです。 

    改憲など 不成立のものもありますが、成立した法案はもう 取返しのつかない(法案の改正などできない)ものばかり 自分がもうこれはダメだ、当事者として悲痛になるのは

    ⑨ 電力改革。 これは 3.11以降 民主党政権が提案した置き土産をそのまま引き継いだ経産省のシナリオ。 原子力発電の法的位置づけを不明確にしたまま、電力システム改革を強引に法制化したものですから いずれ料金も高騰、 安定供給も損なわれるのではないかと思っています。エネルギーと食料の調達できない先進国は日本だけです。原子力発電も衰退しもうまくいかないでしょう? 次世代のためにもと、若手社員の教育にも熱をいれていましたが、どうでもよくなってきました。 今の政治情勢では原子力をやる資格ないですよ。 発電用原子炉もそうですから、核武装など 夢のまた夢ですね。
    https://www.youtube.com/watch?v=FjFn2UOZhjI&t=20s
    (1時間15分あたりから浜崎の解説ありますので ご視聴ください)

    重要な事案はワン内閣、ワンイッシュー 憲法改正~拉致の解決(そのためには憲法改正は必須) 魂の叫びが 国民に届けばと期待していたこともありました。

    西尾先生は すべてご承知と思います。
    現在進行形で どうしても阻止したいもことは 全体主義国家 シナとの関係をはっきりとすることです。

    私が願うのはただ これだけ、ほんとうにこれだけは 気概をもって取り組んで欲しい。

  15. 小池 樣

    安倍政權の功績一覽リスト、壯觀ですね。一政權で、よくぞここまでやれたもの!これで戰後レジームからの脱却は完成ですね。

    チャンネル櫻の座談會「安倍政權は日本を取り戻せるか」、少しだけ見ました。一寸でも安倍批判をする人に對しては、血相を變へて怒つた水島社長を初め、安倍ベッタリたりし面々(濱崎氏の過去は知らず)が、どう言ひ種を修正するか、多少興味はありますが、さして珍しい見せ物ではなく(もの心ついて以來、同種のものをずつと見續けてきた氣がします)、あまり樂しくもないので、途中で止めました。

    安倍べつたり度の激しかつた渡邊哲也といふ經濟評論家は『新型コロナ恐慌後の世界』といふ自身の新著の宣傳をしてゐましたね。時流に便乘してゐるのか、流されてゐるのか、すばしつこいですね。

    以下は、いづれも、福田恆存の言葉です。

    「同じ事が言へるやうな風向きになつたからそれに唱和するといふのが私の嫌ふ『戰後の風潮』である」(「近代日本知識人の典型志水幾太郎を論ず」昭和五十五年)

    「〔今は、〕左翼的な『進歩的文化人』の言論の方が村八分にされかねない世の中になつた。そして私は二十數年前と同樣、厭な世の中だなと憮然としてゐる」(「言論の虚しさ」昭和五十五年)

    そのうち、國民全員が、口を揃へて、安倍さんを罵るやうになるかもしれません。でも、福田のいはゆる「厭な世の中」であることには、變りありません。私が半年ばかり前、「安倍神輿を擔ぎ、提燈を提げ・・・」と言つたところ、「私の周りも皆、提燈を提げてゐる。しやうないなあ」と應じた人がゐましたが、見ると、その人も提燈を提げてゐました。福田は風向きを問題にするのですが、その人は風向きに關係なく、都合次第で、右にでも左にでも唱和するのです。

    その人は圖々しくて、他人を瞞さうとしてゐるのではありません。右の説を聞けば、そらが尤もで、即ち自身の説だと思ふし、左の説を聞けば、それが尤もで、即ち自身の説だと信じるーーつまり、 自分で自分を瞞してゐるのです。 西尾先生のお言葉では「救ひはない」のです。そして、さういふ人たちが世のmajorityを占めることは變りさうにありませんから、「厭な世の中」も變らないでせう。

    6月號で先生から、(安倍さんに關係なく)覺悟を促された時は感奮しましたが、7月號で、安倍さんのことを考へさせられてから、氣持が暗くなりました。酒も不味いので、このあたりで御免を蒙ることにします。

  16. 池田様
    6月號で先生から、(安倍さんに關係なく)覺悟を促された時は感奮しましたが、7月號で、安倍さんのことを考へさせられてから、氣持が暗くなりました

    → 共感します。 6月号を読んだときには 近未来の覚悟、恐怖 苛立ち、そんな輻輳した思いがあり、投稿できませんでした。7月号で 暗澹とした気分に。。

  17. 最初に、前のコメントで私が書いたことに一部間違いがありましたので訂正します。
    「東京では中国人だけで役55万人いるそうである」と書きましたが。「東京では外国人全体で約55万人いる」の間違いだったので、失礼しました。

    小池 様

     有益な動画をありがとうございました。大塚議員は本当によい仕事をされていると思います。というのも、多くの国民が疑問に思っていることを、ストレートに追求されているからです。「これぞ国会議員!」です。

     大塚氏が指摘したのは、大まかに言うと3つあると思います。

    1. 一つは、厚労省が発表している「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」の記載についてです。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11993.html
    例えば、この6月19日版にはもう日本国籍と外国籍の区別はありませんが、5月8日まではPCR検査陽性者について、「日本国籍の者」、「外国籍の者」、「他は国籍確認中」を区別する記載があったのです。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11222.html

    ただこの「国籍確認中」というのは、おかしいのであって、外国人観光客であれば、言葉が通じなくても「パスポート」を見れば分かるし、日本国在住の外国人なら、中長期滞在者(大雑把には3カ月以上滞在)は「在留カード」を持っているはずです。仮に在留カードを持参していなくても、その人が現住所を言えば、住民基本台帳を調べ、その場で国籍が分かる訳です。住所不定、或は現住所が言えない場合は「不法滞在」の可能性がありますね。
    今もなお全国のPCR検査陽性者の約半数以上が「外国籍の者・国籍確認中の者」なのだから、国民としては、ウイルスから身を守るため、これらの人々の国籍を当然知りたいと思う。
    ところが多くの国民が、感染者の国籍開示を、政府にも厚労省にも再三求めているにも拘らず、今日に至る間で発表されていないのです。つまり厚労省は、故意に国籍を隠していると言わざるを得ません。
    だから麻生氏が、「差額の9000人は日本人か外国人か」と疑問を呈したのは、ごく当たり前のことです。

    動画では、大塚氏の質問に、厚労省の吉永審議官がペラペラと分かりにくい答弁をしています。要するに「自治体の方から感染者の国籍情報が上がってこない」とのことでした。

    しかし令和2年2月27日、厚生労働省健康局結核感染症課が、各都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部(局)に向け、事務連絡として「一類感染症患者発生に関する公表基準」の中の、「氏名・国籍・基礎疾患・職業・居住している市区町村」は「公表しない情報」に指定していることが明らかとなっています。つまり厚労省自身が「国籍は隠せ」と言っている訳です。したがって吉永審議官は嘘をついているのです。このことは何人かの方が指摘していて、水間政憲氏の動画でも、詳しく解説されています。
    『新型コロナ感染者の「国籍」も隠せと指令した厚労省文書』第122回【水間条項TV】フリー動画
    https://www.youtube.com/watch?v=w56kQAEQrQ4&list=PLw0onGOt4GJxZo1KNwVD73nIrRXaG8XiG&index=32&t=0s また、問題の厚労省文書(令和2年2月27日)は以下の通り
    https://www.mhlw.go.jp/content/000601059.pdf

    2. ところで外国人中長期滞在者が、各自治体の住民基本台帳に記載されていることは、大塚氏が掲げたもう一つのテーマ、「外国人の国民健康保険」問題につながってきます。

    外国人は、日本国内でどのように扱われているのでしょうか?

    昔は、外国人に対し、各地区町村では日本人の住民票とは別に、外国人登録がされ(外国人登録原票)ていました。しかし平成24年7月9日より、この「外国人登録法」は廃止され、外国人も「住民基本台帳制度」に適用され、一本化されました。
    https://www.soumu.go.jp/main_content/000166902.pdf
     この制度改革によって、外国人にも市区町村にもメリットがあると言います。

    例えば、「在留資格の手続きは、入国管理局のみで済みます」から、外国人は「転入届により国民健康保険等の届出もされたとみなされます」。つまり中長期滞在の外国人は、留学生であれ、日本人の配偶者であれ、自動的に国民健康保険に加入したことになる訳です。

     大塚氏は、動画の中で、「外国人の保険証に国籍を記載すべきではないか?」と質問しているので、現在は国籍が記載されていないようです。これはどう考えても、非常識なのではないでしょうか?この質問に対し、もう一人の審議官は、「国籍は記載する必要がない」と言っていますが、その根拠を聞きたいものです。

     私個人が知っている範囲ですが、ある中国留学生が、毎月送られてくる国民健康保険料支払いの振込用紙を、長期間放置して滞納していたのを知っています。銀行引き落としでない限り、いくらでも滞納できる訳です。しかも役所で手続きする時に、最初に一月の保険料3千円ほど支払えば、保険証はすぐにでも使えます。
     因みに、この留学生ですが、理由あってその後帰国したのですが、私が代理で役所に手続きに行った所、役所の人は「帰国したんですか?じゃ、これまで滞納していた分、どうしますか?払います~?」と呑気な様子でした(!)
     外国人の事務手続きを簡潔にするのはいいとして、国民健康保険に強制加入させるなら、保険料も強制徴収するのが筋ではないでしょうか。

    3. 大塚氏が提起した3つのうちの最後の一つは、『特段の事情』で入国した3万人強(今年2月~6月)の国籍についてです。この問題は、最も分かりにくい問題の一つです。
    なぜなら、法務省出入国在留管理庁は、一部の国民が役所の文書を鵜の目鷹の目で精査しているのを尻目に、言い逃れをしようとあの手この手を使っているからです。

    例えば4月1日の段階で、法務省入管は・・・
    「4月3日午前0時から、当分の間、添付の表の2の国・地域に滞在歴のある外国人については、『永住者』『日本人の配偶者等』等の在留資格を有する外国人であっても、原則として、特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となりますので、本邦に在留している方は、上陸拒否の対象地域への渡航は控えてください。」
    http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00136.html
    と書いています。つまりそれまでは一部分の地域だけが「入国制限対象地域」だった中国・韓国は、その全土が、制限対象となった訳です。
    ところがどういう訳か、当の3日から『特段の事情』による入国者が大幅に増加しているのです。しかも4月に入ってから、国内の感染者数がグンと上がりました。こうした変化に対し、多くの国民が大きな不信感を抱きました。

    それに対し4月14日には、この疑問に対する回答として以下のように記載しています。

    「これは主に、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を踏まえ、4月3日から、新たに北米や中南米、オセアニア、東南アジア等を含む49の国・地域の全域も対象としたことにより、合計73の国・地域が上陸拒否の対象地域となったことから、これに伴い、『(1)閣議了解等により上陸拒否の対象者に当たるとして慎重な審査の対象となった人』や『特段の事情が認められ上陸を許可した人』の数も増加したものです。」
    http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00147.html

     これを読んだ時、私は、役所というのは、一般人を煙に巻くために、ありとあらゆる言説を弄する所なのだな、とつくづく感じました、国民の求めに応じて、入国者の国籍を開示すればそれで済むものを・・・。

     ではなぜ、入管は一般国民を煙に巻いていると思うのか?
    2月から4月7日までの、法務省出入国在留管理庁の「新型コロナウイルス感染防止に係る上陸審査の状況(速報値)」の脚注が以下のようになっていたからです。

    (注1)「特段の事情」とは、中国湖北省又は中国浙江省において発行された中国旅券を所持する者で、上陸申請日前の14日以内に中国湖北省又は中国浙江省に滞在歴がないことが明らかである者などである。
    (注2)2月7日及び2月17日に羽田空港に到着した中国・武漢からのチャーター便により入国した外国人については、上記の人数に含まれていない。

    ところが4月9日になると、脚注は以下のように変化します。

    注1)「特段の事情」の例は、以下のとおりである。
    ・中国湖北省又は中国浙江省において発行された旅券を所持するものの、上陸の申請日前の14日以内に上陸拒否の対象地域に滞在歴がない者
    ・令和2年4月2日までに再入国許可により出国した「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」または「定住者」の在留資格を有する者
    (注2)は前と同じ。

    さらに4月12日になると、再び脚注が変化します。

    (注1)「特段の事情」の例は、以下のとおりである。
    ・令和2年4月2日までに再入国許可により出国した「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」また「定住者」の在留資格を有する者
    (注2)は前と同じ。

    驚くことに翌日4月13日には、以下のようになり、現在に至ります。

    (注1)「特段の事情」の例は、以下のとおりである。
    ・国際線の航空機の運航のための乗員(クルー)で、乗り継ぎ等のために短期間滞在し、宿泊施設で過ごす者
    ・令和2年4月2日までに再入国許可により出国した「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」また「定住者」の在留資格を有する者
    (注2)は前と同じ。
    http://www.moj.go.jp/content/001318291.pdf

    上記4月の表の脚注は3度も変化した訳です。同じ月の中で、脚注を変えるということは表中の数字の意味が変わってしまうので、意味がないし、本来すべき事ではありません。

    以上の内容については、速報値という変化する記録をしっかりと精査していた水間氏の動画の中で、詳しく解説されています。

     とにかく法務省は4月3日午前0時から、中国・韓国全土からの渡航者を入国制限したはずです。常識的に考えれば、「当面中国人・韓国人は入国するな」ということです。
    ところが少なくとも4月9日までは、「湖北省・浙江省出身者であっても14日以内にその地域にいなければ、いくらでも入国してよい」と言っているのと同じな訳です。
     それが4月12日の段階で、脚注の「湖北省・浙江省」の文字が消えたのは、多くの国民からの厳しい指摘があったためと考えられます。

    実際、2月に武漢の中国人が、「14日以内に湖北に行っていないと申告したら入国できた」と、たとえ嘘を申告しても簡単に入国できることをSNSで堂々と発信しているのです。
    https://lifemorefun.org/news-143-3228.html/amp?__twitter_impression=true この事例は、大塚氏が「迂回すれば、いくらでも日本に入国できる」と指摘した通り、法律の網の目をくぐれば、いくつも抜け道があることを示唆しています。

     そればかりか、『特段の事情』で入国した外国人が、4月では毎日約3~400人だったのが、だんだん増えて6月に入ってからは、600人前後となっているのもおかしい。おまけにほとんどが上陸許可されているのです。
    http://www.moj.go.jp/content/001322534.pdf

     誤解してはいけないのは、「入国制限対象地域」から帰国した日本人も、PCR検査を受け
    14日間は自宅或は自分で確保した宿泊施設で待機し(費用は自分持ち)、公共交通機関は使用禁止など、行動は大幅に制限されることです。今回の新型コロナウイルスという未知の病気を防ぐためには、日本人であっても厳しく管理されるし、本人もそれだけ感染防止に対する高い意識を要求される訳です。

     そもそもなぜ『特段の事情』が問題になるかといえば、国内の感染者の半数以上と言われる外国人の大部分が、中国人と韓国人だと言われているからです。
    これは根拠のない話でも、差別でも何でもなく、各地の住民が様々な証言をネットに書き込んでいることから分かります。例えば、看護師をしている人が、居住地の病院に沢山の中国人が入院しているのを、また健康診断らしき複数の中国人が騒いでいるのを目撃しています。またスーパーや街角で、現在はいるはずのない中国人の団体を見掛けた人も少なくありません。
    中国ならこうした書き込みを削除するか、或は「虚偽を書いている」と言うのでしょう。しかし日本の役所が、「国民のこうした証言は虚偽だ」と言い募るなら、自分たちが書いた「厚労省(或は法務省)文書も虚偽だ」と言われても反論できないはずです。

    我々日本国民は、一刻も早く今回の感染症の終息を願い、自粛して政府や各省庁の要請に従っています。それなのに、日本を避難場所に来日する外国人がいるであろうと推測される昨今、日本国民に対し、その国籍を隠蔽するのは、役所自ら法律破りをしていると同じであって、断じて許されません。
     もとより現在日本に居住する外国人も、彼等の祖国では新型コロナウイルスに関し、厳しい措置を講じているはずです。現在各国が、感染者を増やさないために国境管理をしている中、日本だけ甘い対応をしていては、現状を維持できる保証などありません。

     因みに、毎日の上陸人数ですが、大塚氏はクルーの人数が多めに算定されている可能性があるとも指摘しているので、それも明らかにしなければなりません。
     とにかく、法務省や厚労省が、国民の求めに応じ、感染者や入国者の国籍を開示すればそれで済むことなのです。

     ところでなぜ特に中国人を問題にするかと言えば、日本にいる外国人の約3割が中国人だからです。しかも簡単に日本国籍が取れてしまう現在、元中国人も含めれば相当な数になります。彼等の多くは、一般の日本人と違い、日中の間を往来して仕事する場合が非常に多いので、現在のような状況にあっても、彼等を通してウイルスが持ち込まれる可能性は、極めて高い訳です。
     第二に、日本以外の外国籍を取得している元中国人も非常に多い。したがって中国本土と強く結びついている「外国籍の中国人」も沢山いる訳です。彼等が「入国制限対象地域」以外から日本に入国すれば、大塚氏が提起した「迂回して日本に入国する」問題につながります。
     しかも平成28年4月1日から、「外国人入国記録・再入国出入国記録」に、「国籍・地域」と「性別」を記載しなくてもよくなったそうです(!)
    また「外国人出国記録」が廃止されたそうです(!)
    http://www.immi-moj.go.jp/re-ed/EDcard_leaf_ja.pdf

     つまり飛行機や船で来日した外国人は、どの国から来たのか、或は男か女かも分からない、ただ「ガイジン」として来日する訳です。また出国記録もないから、もし日本国内で犯罪を犯した「ガイジン」が、外国へ逃亡しても、日本の警察は追跡できないでしょう。

     一体日本政府及び日本の役所は、この日本を、どうしようというのでしょうか?

     我々一般の日本人は、住民登録することによって、その地域の様々なサービスを受けられますが、その代り所得税を始め、不動産税やその他様々な税金も支払っています。特にサラリーマンなら、少ない給料からしっかりと税金は引かれ、ごまかしは効きません。また何かにつけ、銀行引き落としが便利だとして勧められます。つまり逆に言えば、居住地にしっかりと「縛られている」訳です。
     ところが、昨日今日やってきた外国人でも、三か月以上滞在することになったら、国民健康保険にも加入でき、振込用紙での支払いを選ぶことができます。その結果、「保険料を滞納」しても、「保険証の使い回し」をしても、すぐに逮捕状が来るわけではありません。
     また仮に日本で、警察沙汰になりそうになったら、本国に帰国する事も可能です。その場合、「出国記録」も廃止されたのだから、警察を煙に巻くことも簡単でしょう。

     のみならず、法務省の様々な文書は、よく読んでみると、もともとは国内の外国人向けに書かれたものであることが分かります。
    http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho06_00099.html 例えば4月3日0時から中国韓国全土が「入国制限対象地域」になったことから、中国人の間で、「在留カード」が無効になる、という噂が立ったことがありました。
    https://lawoffice-yokoyama.com/info/200416/ それに対し、法律の専門家が様々なアドバイスをしているのですが、法務省でも、上述のように、外国人向け専用に、懇切丁寧なサイトを設けている訳です。

     特に四角で囲った5月27日の文書では、例の『特段の事情』の脚注が大幅に増えています。これを読むと、「上陸拒否対象地域」が徐々に追加され、その地域に滞在歴があっても、○月〇日までに再入国許可を得て出国した場合は「原則として特段の事情があるものとし」入国を許可する、となっています。
     つまりこれは、一見「上陸拒否対象地域」を増やしたように見えて、大塚議員が指摘したように、日本に入国するための「「迂回経路」を示唆したものと読めるのです(!)
     中国の富裕層なら、これらの地域を迂回して日本に来ることは、実に簡単なことです。
     これが日本国が、新型コロナウイルスに関して、どの国に対しても「全面入国禁止」と明示しない(できない)理由だと考えられます。

     私は法律の事はよく分からないのですが、今回の事件をきっかけに様々な役所の文書を見て、日本の法務省が、如何に、国内の外国人向けに懇切丁寧な説明をしているか、また実社会にも、如何に、外国人をサポートする法律専門家が沢山いるか分かりました。例えば、新型コロナの影響で、技能実習生・特定技能外国人の困難になった雇用を維持するために、法務省は様々な支援をしています。

     一方で、土着の日本人は土地に縛り付けられて脱税など許されない、他方、外国人にはゆるい基準で日本と祖国を行き来できるように、また日本でのサービスも日本人と同じように受けられるようにあらゆる努力をする、という構図が、私の中でイメージされました。

     現在、総在留外国人数は約282万人、全人口の約2%です。もし彼等全てを「少数者」としてくくるなら、彼等の中に一般の日本人より何倍もの資産家がいても、我々国民は、彼等のためにあらゆる便宜を図る努力をしなければならないでしょう。また今回のようにどんなに未知のウイルスが発生しようとも、彼等が日本と祖国とを自由に行き来できるために、多少国内に病気が蔓延しようが我慢しなければならないのでしょう。
     それもこれも、「少数者は善」という「イデオロギー」のためなのです。
     
     かつて西尾先生は、「開国/鎖国論争」で、移民賛成の和田春樹氏について、確かこう書かれたと思います。なぜ彼が移民に賛成するか、自分は彼に興味を持った、と。そして恐らく理由はこうだろう、と書かれます。つまり「移民が増えれば、自分の出番が増える」からだ、と。私は、成程なぁ、と感慨深く思ったのを覚えています。

     今後日本に移民が増え続けても、「少数者」という立場を覆すまでには相当の時間がかかるでしょう。例えば現在東京の人口約1,400万人のうち、外国人が約55万人だとして、ほぼ杉並区全体の人口(56.21万人)に匹敵します。仮に彼等が団結して一つの組織を作ったら、日本国の東京都政の下で、そのサービスを受けつつ、それとは別次元のシステムを構築して、そこから日本人を排除することも可能でしょう。そして、今のまま、「差別撤廃」の名の下、できるだけ外国人と日本人の差をなくしていく。そうすれば、基本的に日本人と同じように、日本に出入りできることになっていくはずです。まさに先生が仰った「国内国家」の誕生です。

     日本にいる外国人は、まさに外国とのパイプ役だから、彼等を通して、日本は外国とのあらゆる交流、商売のセンターになるでしょう。土着の日本人は、日本国内のあらゆるサービスを提供する働きアリ程度の存在として扱われるでしょう。
     実際、素人目に法務省、外務省の文書をちょっと読んでみても「外国人を招く」話ばかりで、「如何に日本人を外国に派遣して打って出るか」という方向性がない。

     私は今の日本を見て、一つの人物像が思い浮かびました。それは、家庭では気難しいが、外面はよく、内のことは「愚妻」とか「愚息」といって卑下し、家族を差し置いても、得意客をもてなす商売人です。
     こうした人物像は多くの国民にとっても、今政権の中枢にいる幾人かの政治家の顔と重なって、イメージされるのではないでしょうか?

  18. 連投失礼します。
    国内の外国人の人数、滞在目的を知っておくことは重要だと思うので、ネットで拾った数字を一部紹介します。

    現在、日本の在留外国人数 2,829,416人のうち、約27.7%の786,241人が中国人です。その内訳を3位まで、ざっと提示します・・・「統計で見る日本」(2019年6月)
    https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00250012&tstat=000001018034&cycle=1&year=20190&month=12040606&tclass1=000001060399
    ※ただし、各国の「外交」「公用」また「短期滞在」の人数は別にします。
    この「外交」「公用」また「短期滞在」(観光、商用、文化・学術活動等)を含めると、総数3,463,597人(そのうち中国人は、1,019,001人)だそうです。

    教授(7,401人)→ 1位中国1,385人 2位米国1002人 3位韓国852人
    芸術( 469人)→ 1位米国 79人 2位中国 62人 3位韓国 52人
    宗教(4,266人)→1位韓国 894人 2位フィリピン291人3位ベトナム247人
    報道( 217人)→1位中国 48人 2位韓国 43人 3位米国 20人
    高度専門職1号イロハ2号(13,038人)→1位中国 8,500人 2位米国 554人
    3位韓国 534人
    経営・管理(26,148人)→1位中国 13,638人 2位韓国 3094人 
    3位ネパール1538人
    法律・会計事務(153人)→1位米国 61人 2位英国 21人 3位中国 16人
    医療(2,298人)→1位中国 1,794人 2位インドネシア158人 3位韓国152人
    研究(1,519人)→1位中国 376人 2位インド166人 3位韓国 135人
    教育(12,769人→)1位米国 6,096人 2位英国1,346人 3位カナダ 1029人
    技術・人文知識・国際業務(256,414人)→1位中国 88,959人 
    2位ベトナム44,670人 3位韓国 27,362人
    企業内転勤(18,141人)→1位中国 5,975人 2位フィリピン 1,779人 
    3位韓国1,576人
    介護(499人)→1位ベトナム 258人 2位ネパール 48人 3位フィリピン 45人
    興行(2,477人)→1位フィリピン 522人 2位韓国 240人 3位中国138人
    技能(40,361人)→1位中国 16,221人 2位ネパール 12,639人 
    3位インド 5,422人
    特定技能1号2号(20人)→1位タイ 11人 2位ベトナム 7人 
    3位カンボジア 2人
    技能実習1号イ1号ロ2号イ2号ロ3号イ3号ロ(367,709人)→
    1位ベトナム 189,021人 2位中国 81,258人 3位フィリピン 33.481人
    文化活動(2,934人)→1位フランス 204人 2位韓国 196人 3位米国 166人
    留学(336,847人)→1位中国 132,845人2位ベトナム 82,266人 
    3位ネパール 28,268人
    研修(1300人)→1位中国 200人 2位タイ 193人 3位インドネシア 165人
    家族滞在(191,017人)→1位中国 79,836人 2位ネパール 27,792人 
    3位ベトナム18,132人

    特定活動【特定研究等及び情報処理(本人・家族)、家事使用人、ワーキングホリデー、アマスポーツ選手(本人・家族)、インターンシップ、EPA対象者(本人・家族)、医療滞在・同伴者、高度人材(本人・家族)、その他】
    全体(61,675人)→1位中国 10,046人2位フィリピン 7,607人 
    3位ベトナム 5,804人

    ※以下、特定活動で人数が多いものだけ抽出
    家事使用人(1,195人)→1位フィリピン 940人 2位タイ 21人 3位ガーナ 14人
    ワーキングホリデー(13,514人)→1位韓国 4,844人 2位台湾 3,703人 
    3位フランス 1,115人
    インターンシップ(2,150人)→1位台湾 640人 2位ベトナム 458人
    3位インドネシア 453人
    EPA対象者(本人・家族)(4,597人)→1位インドネシア 本人1,657人(家族286人)
    2位フィリピン 本人1,578人(家族105人) 3位ベトナム 929人(家族33人)
    医療滞在・同伴者(370人)→1位中国 286人 2位フィリピン 15人 
    3位モンゴル 12人
    高度人材(本人・家族)(3,594人)→1位中国 本人217人(家族2,914人)
    2位米国 14人(家族22人) 3位インド 本人12人(家族113人)
    その他(35,630人)→1位中国 5,809人 2位フィリピン 4,919人
    3位ベトナム 4,321人

    永住者(783,513人)→1位中国 267,959人 2位フィリピン 130,956人
    3位韓国 71,856人

    日本人の配偶者等(配偶者と子)(143,246人)→
    1位中国 29,029人(配偶者)1,361人(日本人の子)
    2位フィリピン 22,072人(配偶者、)4,335人(日本人の子)
    3位韓国 12,887人(配偶者)303人(日本人の子)

    永住者の配偶者等(配偶者と子)(39,537人)→
    1位中国 16,161人 2位フィリピン 6,465人 3位韓国 2,159人

    定住者(197,599人)→1位フィリピン 52,963人 2位中国 28,330人
    3位韓国 7,245人
    特別永住者(317,849人)→1位韓国 285,753人 2位朝鮮 28,393人
    3位台湾 1,154人


    外交(8,591人)→1位米国 1,092人 2位中国 733人 3位韓国 448人
    公用(9,394人)→1位米国 2,490人 2位フィリピン 1,072人 
    3位サウジアラビア 693人

    短期滞在(601,966人)【観光・商用・文化学術活動・親族訪問・その他】
    観光(502,894人)→1位中国 197,661人 2位台湾 86,725人
    3位韓国 72,448人
    商用(35,345人)→1位中国 10,044人 2位米国 2,827人 3位韓国 2,443人
    親族訪問(53,016人)→1位中国 18,901人 2位フィリピン 10,338人
    3位米国 7,506人
    その他(8,600人)→1位中国 4,087人 2位米国 1,101人 3位韓国 519人

    以上

    どの部門も圧倒的に中国人が多いのですが、技能実習生全体では、1位がベトナムの189,021人で中国を抜いています。ベトナム人は、留学生も中国に次ぎ第2位の多さです。

    意外なのはネパール人で、留学生の第3位を占めています。また「経営・管理」の第3位もネパール人で1,538人となっています。
    また目立つのは、中国人の家族滞在です。特に、高度人材では本人が217人なのに対し、家族が2,914人、一世帯あたり13人の多さです。インドも多いのですが、本人12人対し家族が113人、一世帯あたり9人ですから、それでも中国より少ない。中国は少し前まで一人っ子政策だったので、親子祖父母以外にもいると考えざるを得ません。

    その他、「医療滞在・同伴者」では中国人が1位なのは頷けます。現在問題になっている「医療観光ツアー」客はほとんどが中国人と言われているので、現実にはもっと存在するのではないかと思われます。
    短期滞在を見ても、観光はもちろん、親族訪問も圧倒的に中国人が目立ちます。短期滞在者全体の中で、中国人は230,873人ですから、中長期滞在者を合わせると、日本国内には中国人だけで、常時100万人以上いることになります。

  19. 黒ユリ 様

    詳細にわたり 解説頂き感謝です。 驚きました。
    コロナを契機として 入国の在り方や(外国人登録)を考え直さないと大変なことになるだろう。

    西尾先生が「『労働鎖国』のすすめ」1989年(1992年に文庫)が出されたころは、このテーマでNHKの長時間討論番組にも二度出演され、注目を集めたと述べておられます。更に2013年「中国人に対する『労働鎖国』のすすめ」の「まとめ」に「「中国人」の問題は日本列島を占領支配しようとする中国のグランドデザインがあり。~略~ 私たち日本人は20世紀の前半に西洋とアメリカに「侵略」されたにもかかわらず、自分を「侵略」した側におく愚かな甘さ、感傷的反省病(WGIPですね)に冒されているために、中国からの「侵略」にも気づかない鈍感さ、善良さの中をぼんやりと生きている」

     コロナ事件で厄介な中国を認識し、その距離をしっかりと見据えるチャンスと思いきや経団連トップや、トヨタをはじめとする大企業は歴史認識がないのか、知性がないのか目の前の国難を理解せず、さらに政治も経済界に巻き込まれたのか、あるいは親中派とグルなのか、よくわかりませんが、いずれにしても「国家としての意志」が見えてこないと考えるのは私だけではないはず、気が滅入るばかりです。

     ありがとうございました。
    今後ともよろしくお願いいたします。

  20. 日本ではあまり報道されていませんが、6月上旬からの豪雨による洪水もシナ16周で深刻。この時期の洪水による被害は恒例のようですが、(福島香織さんの解説参照)今年の被害はと驚異的になっています。三峡ダム上流の重慶も洪水被害は甚大でで、重慶を守るためには、三峡ダムからの放流が条件。(周知なしでやっている?)そうなると 下流側は大規模な洪水被害と。 動画を紹介します。是非視聴してみてください。疫病、物資、食料の不足、
    下流側南部は 経済拠点も多数。

    https://www.youtube.com/watch?v=p94gfvjZlO0
    三峡ダムが崩壊?!ブラックスワン説 / 19分から~

    https://www.youtube.com/watch?v=Y9wKMP7S4yk
    中国南部11省で洪水災害 三峡設計ミスで引き起こされる大惨事とは
     (大紀元 6月19日)
    https://www.youtube.com/watch?v=zaHPo4oa2iQ&t=30s
    世相のうっぷん晴らしチャンネル
    【80年に一度の大洪水】中・下流域で大放水開始は三峡ダム決壊寸前のサインか?重慶は依然暴雨止まらず。【知識ゼロでも分かるよう現状解説】
    6月26日

    https://www.youtube.com/watch?v=xrgsgUodX2A

    上流域80年ぶりの洪水で三峡ダム放水!日本のマスコミが報道しない背景

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