続・つくる会顛末記 (六)の4

続・つくる会顛末記

 

(六)の4

 驚くべきことに、「総額1728万円、月額17万円(保守料)」はあっという間に値引きされ、「1000万円、11万円」と決定されました。こういうことがますます謎を深めます。どういう仕掛けになっているのでしょう。簡単に700万も値引きするなんてことは、どうしても私には分らない。

 「遠藤報告書」の平成15年1月22日~(18)から平成17年4月7日~(28)までを読んでいたゞくのが一番手っ取り早い。

遠藤報告書1
遠藤報告書2

 ソフト開発購入代価と保守契約込みで1000万円になってみんなよかった、よかったと安心して、保守契約が「玉虫色」であったことは当時は誰も気づいていませんでした。ついに今に至るまで、きちんとした保守契約は具体的に決まらないままできました。常識的に業界では考えられない業者の不誠実を目の当たりにし、富樫氏は将来に及ぶ器械不調を考慮に入れて、第三者の専門家を交えてあらためて保守契約をすべきと考え、再度理事会へ提言文書を提出しました。が、また種子島、宮崎の両氏にはばまれて、彼女の提言は無視されました。

 宮崎氏は、理事会承認をいいことに、女史の進言を無視して業者からの請求書もまだ受け取っていないうちに、ただの口約束で、購入代金の一部525万円の支払いをすませました。いつも支払っている小口の支払い口座に投げこむという杜撰さで、この話を聞いて調査委員会のメンバーもあいた口がふさがりませんでした。

 事務的に一連の契約書関係書類、保守契約書等がなんとか出揃ったのは、理事会の承認からなんと5ヶ月も経った後になってやっとという始末でした。

 最初の頃はコンピュータに不具合が発生しても、業者は相談に乗ってくれていたようですが、だんだん応対が悪くなり、オペレーターは日常業務に支障をきたすようになりました。Mさんは毎日のように起こる器械の異常をノートし、約1年の記録データを残しています。それでも業者が面倒を見てくれる間は良かったのですが、だんだん手抜きになり、ついには、平成17年11月頃に、業者側から翌年3月で保守契約を解消すると通告してきたのです。契約は「玉虫色」で、会社側は保守する義務は必ずしもないと考えていたからでしょう。

 担当オペレーターのMさんは、業者の対応に苦慮し、宮崎事務局長に何度も相談するも、事務局のこの担当のT氏が会社と会を往ったり来たりするだけで、容易にらちがあきません。ついには、自分の担当する職務に自信がもてなくなり、会を退職するに至りました。

 今、コンピュータは正常に動いているといわれていますが、果してバグが改善されているのか、データーが正常に作動しているのかは、詳しく調査してみなければ分りません。いま別の人により保守が開始されたので、何とか動いているのが実情です。一定の保守がなされれば瞞し瞞し使いつづけることはできるでしょうが、「保守契約」のなかった曖昧な無契約状態のまま打ち捨てて来た罪は消えていません。

 それに、最初のこの玉虫色の曖昧さ、保守契約の点だけでなく金銭的にもはっきりしない宙ぶらの状態をかたくなに封印し、死守し、「公認会計士」の口出しを威嚇をもって退けた種子島氏と宮崎氏の姿勢に、何故? 何があるの? という不審の思いを抱くのは私ばかりではないでしょう。当時私が口出ししようとしても露骨に不快な顔で拒絶されました。

 種子島氏は会長になるや、コンピュータは動いている、問題はなにもない、と待っていましたとばかりに一早く宣言しました。そしてFAX通信にそのような意味の一行を入れておけ、と、事務局員に命じて、急遽一文が挿入されました。

 動いていれば問題がないということにはなりません。いつ動かなくなるかもしれない、それに対する用意ができていないまゝに放置されていた責任が問われているのです。

 じつは「遠藤報告書」には注目すべき記述があります。平成14年2月会社はサラリーマンK氏のソフトを継承しての作成は困難と判断し、独自システムの構築を提案しますが、宮崎氏は従来の機能を維持することをくりかえし主張しました。

平成14(2002) この頃種子島副会長は事務局長に対し、①旧システムをベースせず、全く新しいシステムを構築する、②ユーザー(つくる会)側の要望を一本化し同事務局長が折衡の窓口になることを事務局長に指示(宮崎事務局長は「記憶にない」)。

 種子島氏は海外に行く前に①②を言い置いて行ったのに事実はその通りになっていなかったと後で主張しています。二人のうちどちらかが嘘をついていることは明かです。

 「遠藤報告書」の第一稿がほゞ出来たとき、それを藤岡氏が種子島氏に伝え、種子島氏は「経緯はその通りだ」と応じ、ただし自分はこう言い置いて海外に行ったのに宮崎氏が守らなかった、と平成17年10-11月頃に証言し、この①②が報告書につけ加えられた、というのが真相です。

 平成14年3月に試みに第一次納品がなされましたが、二人の女性オペレーターがファイルメーカー使用の従来の機能が反映しておらず、不満を表明し、相談の結果ファイルメーカーを使用した折衷案で行くことになったそうです。会社はファイルメーカーを使用したことがないので分らない、と言っていたそうですが、オペレーター側の要望に妥協したようです。

つづく

「続・つくる会顛末記 (六)の4」への4件のフィードバック

  1.  田舎の氏の折角の仲介の申し出であるが、無用のことであろう。

     西尾幹二氏は、「つくる会」から離れているとはいえ、会の現状を憂え、公衆に訴え、「つくる会」の正常な発展を期待している。

     藤岡信勝氏は、会にあって、次の採択戦に向けての前進を期している。ただし、日本会議との「友好」が前進のカギと考えている節があり、その見通しの安易さが気にかかるところではあるが。

     

     両氏に対して、新田均氏らは「つくる会」を出ていった人たちであり、有り体に言えば「追い出された」グループである。所詮、それは「つくる会」に対する分裂工作以上のものではない。

     問題の根本的解決はNet上ではなく、来る7月の「つくる会」総会で為されることになろう。

    Net上の声の大きさは必ずしも実際の力関係を表さない。「つくる会」と「ただす会」との抗争がどのような経過をたどるかは予断を許さないが、大勢は決しているものと考える。何故なら、会長代行以下、現執行部に何ら問題はなく、着実に前進することが期待できるからである。

  2. Posted by 松田

       幻の自社ソフトとFileMaker珍劇

       1. サーバーの適切な設定がなされていなかったのでは

     新システムに移行後、トラブル続きだったとのことですが、それはおそらくFileMaker自体のせいではなく、コ社によって新たにインストールされたOSであるWindows 2000 Serverのセッテングがうまくなされていなかったせいかもしれません。

    (小林報告書より)
    >高機能のOSを選択しているが、適切な環境設定が成されておらず無意味な使い方をしている。システムの設定者は、運用の経験が無いように思われます。

     このOS、Windosw 2000 Serverというのは、旧システムで使われていたWindows NT 4.0の次バージョン( 5.0 )に当たり、ほぼ同じOSと言えます。調査を担当した小林氏はプログラマーやSEではなく、Windowsソフトの専門家ということですが、その人から見てもわかるくらい、つくる会の会員データベースPCはOSの適切な設定がなされていなかったということです。

     ここでいうServerとは、Windows 95やXPなどのパソコン用OSとはやや異なり、なんでもやるわけではなく、主にいくつかの機能を専門で受け持つよう、特化したコンピューターのことです。たとえばメールだけを送るメールサーバーとか、ホームページだけを表示するWebサーバーとかですね。この場合は、データベースだけを受け持つFileMaker専用のServerとなっているわけです。だから、これに必要ない機能(メール、Web表示、インターネット機能)などは切ってしまってさしつかえないわけです。逆にそれをやってないと、使ってもいない機能にメモリだけを食われてしまい、調子が悪くなったりするものです。
     これを担当したホームページ会社の社員は、こうした最低限のスキルももっていない素人以下のレベルだったのだろうと思います。

       2. File Makerの開発事例

     次に問題のFile Makerについておさらいをします。これは既述したように、特別にコンピューターの知識がない人でも、あるいはワープロしか使ったことがない人でも、簡単にデータベースを構築できるようになっているソフトウェアです。だから、大抵の場合はデータベースの作成は自分でやるわけです。ですから、おそらくプログラム経験のない会社員K氏でも、つくる会用のデータベースを作成できたわけです。

     しかし一方、このFileMakerを用いて、非常に高度なデータベースを構築することも可能です。たとえば、フィットネスクラブの会員システムのようなものですね。ある会員はどういう種目を毎日やっているか、体重がどれくらい増減しているか、食事の内容はどうか、会費はちゃんと納めているかなどを瞬時に表示させ、トレーナーが各会員に健康上のさまざまなアドバイスをするのにも使えるわけですね。

     で、このもっとも高度なタイプの会員システムをFileMakerで組んだ場合、どれくらいの費用がかかるかというと、だいたい100万円前後です。

     ・ある会社のフィットネスクラブ向け開発事例4つ

     FileMakerを使った場合、最高度のデータベースシステムを業者に頼んで組んでもらっても、その報酬はせいぜい100万円前後だということをよく覚えておいてください。つくる会データベースは素人のK氏でも作成できるくらいのごく単純なものですから、業者に委託したとしても普通は30万円程度しかからないのではないでしょうか?もちろん、これにソフトの購入代金として20万、セッティング代10万くらいはプラスされるでしょうが、ふっかけても100万は越えないというのが充分予想できます。

      3. 幻の自社ソフトフェアは存在したのか?

     さて、問題は一旦は納入されながら、女子事務員二人の苦情によって破棄されたというソフトウェアの方です。上の説明でわかるとおり、当初からFileMakerを使ってデータベースを作成したのでは、どうあがいても100万以上の数字を出すことはできません。しかし、一旦は自社ソフトの開発を委託した、会社は納品までした、しかしつくる会側の都合によって破棄され、さらにつくる会側の要望によって、再度File Makerを用いて簡単なデータベースを構築することになった、この筋書きなら、破棄されたソフトとFileMaker開発両方とで、大きな数字を虚構することも可能になります。
     たとえ、はじめからFile Makerを使うつもりであっても、こういう経過を演出しないと、1000万円なんて数字は誰も帳簿上だすことができないのです。

     ですから、支出された1000万円の大半は、この消えてなくなった幻の独自ソフトウェア代金ということになります。最初にSQLを使う予定だったという独自ソフトの見積もりでも、奇妙に符合する750万〜900万という数字になっています。ここでは、顧客に受領されなかったソフトウェアに900万円以上の代金を請求することの商業倫理上の妥当性はひとまず不問にします。

     しかし、この破棄されたというソフトウェアは本当に存在したのでしょうか?
    仮りに存在したとして、本当にそれはコ社が自社開発したソフトウェアだったのか?「かんたん商人」6000円のような市販ソフトをバイナリエディタで加工し、表示される名前だけをすり換えたものではなかったか?ダミーソフトであった可能性も全くないわけではありません。その肝心の幻のソフトウェアの存在確認、およびソースの検証がなされていないようなのですから。

     この幻のソフトウェアは、女子事務員二名の苦情によって受取拒否されたとのことですが、もともとコ社は、噂では当時のつくる会女子事務員の血縁者が経営している会社とのことですし、その当の事務員たちは連名で、富樫文書や藤岡・西尾先生を非難する声明文まで発表しているわけですから、全員がこの問題に中立な人達であったとは言えないと思います。勘ぐれば、そういう苦情を出し、再びFileMaker使用を要望する打ち合わせができていたのかもしれません。だいたい、Windows 2000のような簡単OSさえまともにセッティングできない会社に、FileMakerと同等の自社ソフトを開発する能力があるとはとても信じられません。

     このように、一般会員が納めた貴重な会費の一部である、1000万円をめぐっては、実に奇々怪々な不条理劇が演じられていたのですね。まったく、これで「コンピューター問題など存在しない」と大見栄を切っていた人達がいたことに、今更ながら思いやられます。

  3. ニッポンガムバレ ニッポンちゃちゃちゃ

    今回のコンピュータ問題は私はどこでも初心者がやるような失敗なんだろうなと。

    仮に作る会を副業を持った従業員20名前後の零細企業と考えてみると、私が社長なら経営指標から何が問題かを考えるでしょう。経費削減が目的か、省力化か、仕事の効率化か、残業の削減か、ユーザーサービスの向上か、色々とあるわけです。仮に月に10万程度の費用がかかる項目があって、それを全部なくせた場合、5年リースで償却するとすると最大で500万程度の投資は出来るわけです。この時点ですでに機械化の目的と投資額は決定されます。

    次に選ぶのは外注するか自社でやるかの選択です。

    例えばユーザーとの通信料金を下げてかつユーザーに提供する情報サービス機能をあげようとしたらまずインターネットの商店街をやっている業者を探すでしょう。本屋なんかは作る会の会員の多くは読書家が多いでしょうから、会員名簿をインターネット本屋に提供するという点で会員の了解を得てから、インターネット本屋の協賛を得て、安い料金でインターネット本屋に間借りをすることを考えるでしょう。インターネット本屋なんかは情報提供サービスそのものですからそれなりのシステムを持っているはずです。そして従来通りのシステムはそのまま使うという方針にします。

    そういう好都合の業者がいなかったら仕方がないから自社でやることになりますが、その場合はまた既存アプリケーションを使うか、セミオーダーのシステムを検討するか、またはエクセルやアクセスという道具で対応するか、またはスクリプト言語形のデータベースシステムを使うか、4GL言語で対応するか、高級言語で対応するか、会社の規模から考えてせいぜいエクセルとアクセスの組み合わせで自社で将来はアクセスの言語であるVBAを使える人間を養成するなんてのも手でしょう。

    一番大事なのはソフトを保守する人間という意味で選択肢が多いほうがいいに決まっていますから、あんまり凝ったことをしないで一番使われているソフトにあわせて人間の仕事を変えてゆくのがまあ妥当な線でしょう。もう一つ大事なのはデータの相互互換と機密保持対策をどう取るかでしょうか。

    ドキュメントの作成も大事ですが、これはこれで結構手間が掛かります。その点への配慮も必要でしょう。

    多くの失敗は人間の仕事を効率化しないでそのまま機械に置き換えるというパターンのケースが多いのです。人間と機械はまったく質が異なりますし、むいている仕事も異なります。日常の仕事をそのまま置き換えると考えればソフトに金が掛かるのは当たり前です。機械化前に事前に日常の仕事をこういう点を改善したいという目星がないならやらないほうがましです。それは仕事を効率化しようとする人間が日常の仕事はこうあるべきだという確信に近い標準化像を持っていないと機械を使おうと、使わないで行おうと、効率化が進められないのと同じです。

    もう一つ日本人が苦手なのが機能設計です。日本人は心臓という臓器を血液を送るポンプと機能的には見ないで、精神が宿る存在と見ますから、臓器移植でも壊れたポンプの交換とは考えません。実はコンピュータは西洋文明の思想が作り出したもので背景に人間でさえ唯物論的存在、または機能機械とみなしますから、人間の心情や情感など関係ない設計をする前提で作られているのです。比較的パソコンは人間に近いですが、基本はやはり唯物論が出した製品です。日本人社会では当たり前の人間同士の濃密な関係性は合理化に妨害要素になりうるのです。実際に複数の人間関係まですべて考えていたら手をつけられないでしょう。義理と人情の板ばさみどころじゃないわけです。

    データベースを使うということは将来情報の共有を考えているのでしょ。しかし情報を見えるようになったからといって情報の共有が出来るわけなではないです。使うのは人間なんですから人間側の意識改革から始まった色々な訓練が必要なんです。情報を見えるようにしても会社の売り上げが上がるわけでもなく効率がよくなるわけでもないし、経営指標に数字が現れないということは実際にあることです。これは当たり前の話であって現場を改善の具体的問題意識を持ってみていない人、すなわち答えがあらかじめ予想がついている人なら効果はあるでしょうが、答えのない人間が無責任に幾らコンピュータの画面を見たって効果があがるわけがないのです。

    そういえばばかげた先輩が昔いました。段ボール箱20箱分くらいになる色々と組み合わせた帳票を作ってくれっていってきたのです。これをじっと見ていれば会社の問題点がわかると勘違いしてるのです。そういうえばこの人は技術者出身ですが、実験の数がめちゃめちゃ多いので有名でした。そして実験では何の成果もあがらないという評判の人でした。こういう人がトップの覚えめでたく昇進するのですから。

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