中国の東シナ海進出は止まらない(二)

お 知 ら せ

*TLF7月講演会*

講 師 西尾幹二氏 (評論家)

テーマ “GHQ焚書図書”から読み解く〔大東亜戦争〕の実相

と き 平成18年7月15日(土)
     午後6:30~8:30(受付6時)

ところ 東京ウィメンズプラザ・視聴覚室(1F)
    東京都渋谷区神宮前5-53-67(地下有料駐車場有)

交 通 〔表参道〕B2口より渋谷方面に5分(国連大学)手前右折

参加費 男女共1500円・学生1000円(要学生証)
     当日会場までお越しの上、直接お申し込み下さい!

“非営利・非会員制”の知的空間

主 催 東京レディスフォーラム
  〒100-8691 東京中央郵便局私書箱351号
  ℡&FAX 03-5411-0335

VOICE6月号 特集「中国の脅威」は本物か より

「海への野心」で膨張する大国に日本は何ができるか

平松茂雄
西尾幹二

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東シナ海の日中中間線を認めていない
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 西尾 平松先生は中国の国家戦略について、毛沢東が最初から、「核、海岸、宇宙」の三つをセットにしたアメリカとほぼ同じ大国戦略をプログラムとしていたとおっしゃっています。国家百年の大計をきちんと定め、それに従って何十年と動いてきた。それが少しずつ集積して、いま巨大なエネルギーとして浮かび上がってきている気がします。

 その一方で、地図を見ると中国大陸の東側には日本列島から沖縄、台湾があり、中国大陸の東を全面的に覆うかたちになっています。中国としては、日本が近代国家として早く目覚めたため、いつの間にか自分たちの海岸線の先を全部押さえられ、太平洋の出口をふさがれてしまったと感じているのではないでしょうか。

 これは、日本が知らないうちにアメリカにどんどん西へ進出されて、ハワイからサモア、グアム、フィリピンを押さえられ、包囲されたかたちになったのにも似ている。わが国が、それを突破しようとしてアメリカとぶつかった大東亜戦争の構図を当てはめると大変なことになる。中国が太平洋に出るには、台湾海峡を抜けるか、台湾とフィリピンのあいだにあるバシー海峡を抜けるかしかありません。台湾海峡を抜けたあとは、沖縄の宮古島周辺を通らなければならない。中国が太平洋に出ようとしたら、日本と衝突するのは必然というわけです。

 もっとも中国がそんなことを考え出すのは、長い歴史において、ごく最近の話です。彼らは基本的に、海の民ではありません。そう考えると海への野心は、それほど強烈なものではないのではないでしょうか。

平松 いえ、そんなことはありません。東南アジアを完全に影響下に入れるために南シナ海を押さえ、その後、陸地から進出しはじめています。いま中国は大陸の奥地から、ミャンマーやベトナム方向に盛んに進出しています。

 また台湾を支配下に入れたがるのも、そうすれば直接、太平洋に出られるからです。バシー海峡からマラッカ海峡に至る南シナ海には、日本のシーレーンが通っていますから、南シナ海を押さえられたら日本は中国の顔色を窺わないと船の航行がしにくくなる。

 現在、韓国が中国に一生懸命擦り寄っている理由も、そこにあります。中国はいま東シナ海を影響下に置こうとして日本と対立していますが、もし東シナ海が「中国の海」になれば、黄海は出入り口がなくなって、完全に中国の内海になり、米国の空母や原子力潜水艦が入れなくなる。朝鮮半島への影響力を決定的なものにできるのです。それを予感して韓国は親中戦略を採っていると考えられるのです。

 このような危険は状況になりつつあるのに、日本はまったく危機感を抱いていません。3月に行われた東シナ海のガス田をめぐる交渉にしても、中国が尖閣列島付近での共同開発を持ち出すことなど、考えてもいなかったようです。これは中国の戦略としては当然のことなのです。

 この会談で中国は、日韓共同石油開発が行われた海域にまで日中共同開発を主張しています。ここは80年代初めに日韓共同で石油の試掘を行った場所ですが、大して石油が出ず、放置されたままになっていた。そこをあらためて「開発しよう」といってくるのは、「そこは中国のものだ」と日本と韓国に認めさせたいからです。日本政府は春暁のガス田開発と尖閣列島の領有問題と日韓共同開発海域の問題をまったく別個に考えていますが、中国はそうでなく、「東シナ海の大陸棚とその海域は、全部自分たちのものだ」と考えている。

 中国はいろいろな問題を通して、東シナ海でのプレゼンスを高めることを意図しています。最近「春暁ガス田」に近い平湖油田の拡張工事で周辺の海域に対して、外国の船舶の航行を禁止する措置をとろうとしましたが、日中中間線の日本側海域にまでその禁止海域を拡大して設定していることがわかりました。中国は日中中間線を認めていないから、当然の措置と見ているわけです。このような問題が起こった場合、緊張が生まれるかもしれませんが、日本政府は断固たる態度で対応する必要があります。

西尾 平松先生は、中国はすでに東シナ海の問題を「片づいた」と考えていると書いていますね。

平松 中国は南シナ海も東シナ海も、かなりの程度まで片づいたと思っています。だからこそ西太平洋にまで進んできているのです。

西尾 中国の潜水艦が西太平洋に出て海底調査を行なっています。日本領土である沖ノ鳥島付近のわが国の経済水域ばかりか、北部海域の「公海」にも入ってきている。

平松 たしかに領土から200海里が排他的経済水域ですから、沖ノ鳥島からそれ以上離れた北部海域は「公海」ですが、その「公海」の周りはすべて日本の経済水域になっているのです。

 中国だったらあそこは「自分たちの海」というでしょう。アメリカだって暗黙の了解として自らの海と認めさせるに違いない。その意味で日本は優等生すぎるのです。

西尾 おっしゃるとおりで沖ノ鳥島の北方は、日本が「ここはわれわれの海だ」と認めさせてしまえば、それで済む気もします。最近ようやく沖ノ鳥島の重要性に気づいて、日本も発電施設や灯台を置くなどといいだしました。

平松 そのようなことをドンドンやらないとダメなんです。これまで沖ノ鳥島に触れること自体、嫌がっていましたからね。

西尾 「中国を刺激するから」と。そんなバカなことをいっているから、いつの間にか中国にやられてしまう。

平松 中国が南シナ海に進出したとき、私が、日本の船舶が頻繁に航行する南シナ海のシーレーンを中国に押さえられる状況になることを危惧しても、「なんで、そんなことを心配するんですか」と防衛庁や自衛隊の人たちから笑われたのです。

西尾 先日たまたま防衛庁の人と会いました。私が「いざとなったら将官クラスの人は憲法違反をして、自分で腹を切る覚悟でいないと、この国は守れないですよ」というと、「私どもは決意しています」などと、口ではいっていましたけどね(笑)

つづく

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