『GHQ焚書図書開封』の刊行が決定

 現在西尾幹二先生自身の筆による「西尾幹二のインターネット日録」は休載中ですが、許可を得て、管理人(長谷川)が西尾先生関連のエントリーを挙げています。

 今回は近く発刊される西尾先生の新刊についてです。紹介文は西尾先生の手によるものです。

 『GHQ焚書図書開封』の刊行は、空白の歴史の回復、自国史に関する広い新しい視野の獲得のための試みです。

 昭和8年頃から昭和19年までの日本の目星しい書物が敗戦後GHQによって没収されました。その数は現在の研究で7100冊に及ぶとみられていますが、完全に忘れられ、今では一般の人の目に触れることはありません。

 戦後わずかに古書店と個人所有と一部の図書館に残存した以外には、ことごとく米占領軍によって消されました。官公庁や学校や版元や流通ルートが所有することは禁止されました。また仮に古書店にあっても、戦前、戦中を否定したこの国の国民は、あえて手に取ってみようとする者はほとんどいませんでした。

 私は『日本人はアメリカを許していない』の中で、10冊程度焚書図書を利用した論文を書いています。

 「文化チャンネル桜」の水島総社長が1200冊ほどの焚書図書のコレクションを作成し、いまなお蒐集中です。私はこれを使用して紹介、解説する番組を放送する機会を与えられました。

 番組はいまなお放送続行中ですが、最初の16回分のタイトルは以下の通りです。( )内は放送日。徳間書店が刊行を決定し、活字におこす作業を開始しました。

 第1回:占領直後の日本人の平静さの底にあった不服従に
      彼らは恐怖を感じていた (2月1日)
 第2回:一兵士の体験した南京陥落 (2月15日)
 第3回:太平洋大海戦は当時としては無謀ではなかった (3月1日)
 第4回:正面の敵は実はイギリスだった (3月15日)
 第5回:太平洋上でのフランスの暴虐 (3月29日)
 第6回:オーストラリアは何故元気がない国家なのか (4月11日)
 第7回:オーストラリアのホロコースト (4月25日)
 第8回:南太平洋の陣取り合戦 (5月9日)
 第9回:シンガポール陥落までの戦場風景 (5月23日)
 第10回:人権国家フランスの無慈悲なる人権侵害 (6月6日)
 第11回:アメリカ人が語った真珠湾空襲の朝 (6月20日)
 第12回:オランダのインドネシア侵略史 ① 7月3日
 第13回:オランダのインドネシア侵略史 ② 7月31日
 第14回:日本軍仏印進駐の実際の情景 8月28日
 第15回:日本軍仏印進駐下の狡猾惰弱なフランス人10月2日
 第16回:『米本土空襲』という本 10月23日

 以上は300冊程度の焚書図書をしらべ、30冊程度を取り扱った結果で、氷山の一角のそのまた一角の紹介にすぎません。

 以上の出版の後にも、放送は続行し、出版も継続されるはずです。私の出版が何冊で終わるかも今の処わかりません。それでも氷山の一角のそのまた一角のレベルを越えることはないでしょう。

 60年間顧みられることなく放置されていた未知の歴史情報の回復には、60年を要するのかもしれません。私の仕事はどこまでも「開封」であって、それ以上のものではありませんが、この「空白の歴史」を埋めなければ「国民の歴史」は欠損のままで、いつまでも完成しないのです。

 第一冊目は来年早々にも出版されると思います。

文・西尾幹二

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