「株式日記と経済展望」からの書評(五)の七

 現在西尾幹二先生自身の筆による「西尾幹二のインターネット日録」は休載中ですが、許可を得て、管理人(長谷川)が西尾先生関連のエントリーを挙げています。
 
 今回は、ブログ「株式日記と経済展望」から、西尾先生の本の書評を、許可を得て転載します。今回はベストセラーになった『国民の歴史』の書評ですが、本の引用が長いので数回に分けて、転載します。一からお読み下さい。

(私のコメント)注:私とは株式日記と経済展望の著者2005tora氏のことです。

極東における情勢は日清戦争以前の頃とよく似ていますが、地政学的にロシアや中国は日本という国によって太平洋への出口を塞がれている状況にある。実際の歴史においても日清・日露戦争により中国とロシアは太平洋への進出は出来なくなった。もし日本がロシアや中国の支配下に入ればアメリカの太平洋の制海権は危ういものになってしまう。

それなのになぜ日本とアメリカとが戦争をすることになったのかは後日触れたいと思いますが、当時はイギリスが七つの海の制海権を持っていた。それに対してロシアの南下政策で満州から朝鮮半島にかけてのロシアの影響が大きくなり、日本はイギリスにそそのかされるようにロシアや中国と戦争をする状況になってしまった。

戦略的にいえば日本は海軍力でロシアや中国に対して優位に立てばいいのであり、大陸に進出する必要はなかった。軍事的には沿岸地域を制圧できればいいのでしょうが、そうすると日中戦争のように奥へ奥へと引きずりこまれてしまう。今から考えれば朝鮮半島へ進出した事が間違いの元だった。

むしろ大陸に進出するよりも、太平洋やインド洋への制海権を確保すべきだったし、アメリカによる日本への海上封鎖が日本への一番の脅威であり、大東亜戦争はアメリカに対する防衛策の不備が敗戦の原因となった。日本はソ連の共産主義にばかり警戒の目が向けられてアメリカへの備えを怠ってしまった。

明治維新の頃はイギリスはクリミア戦争で戦っていたように、現在のアメリカもイラクやアフガニスタンで戦っている。こうなるとロシアや中国は極東へ勢力を伸ばしてくるのは歴史的必然だろう。北朝鮮の核武装も背後から中国やロシアが操っているからであり、それに対してアメリカは動きが取れない。

アメリカは明治維新の頃のイギリスのように日本を強化して中露に対抗させるという戦略をとるだろう。それに対して日本はそれだけの体制を築く事ができるだろうか? 憲法改正や集団安全保障体制などの体制整備の対する国民の合意がぜんぜん出来ていない。

西尾幹二氏が言うように「当時の日本は無力なる半植民地国家」であり、現在もアメリカの半植民地状態であるのだ。アメリカという国家が強力であり続けてくれれば半植民地でもいいのでしょうが、アメリカはイラクの戦況を見れば分かるようにアメリカの国力の衰退は歴然としている。

一番注意しなければならないことは、日本が半植民地に安住してしまうと、朝鮮半島のように中国、ロシア、アメリカに分割支配されかねないということだ。西日本は中国に、中部日本はアメリカに、北日本はロシアに分割されてしまうかもしれない。だからこそ「株式日記」では自主防衛体制を主張しているのですが、日本国民は真の近代の歴史をほとんど知らない。

「国民の歴史」という本を読めば歴史の真相がある程度読めてくるだろう。戦後の歴史書は多くが東京裁判史観で書かれており、日本は戦争犯罪国家であり非武装国家にされて、世界情勢が分からない愚民化政策がとられてしまった。だから、自主防衛だの核武装だのと言うとびっくりして思考が停止してしまう。

国会では核武装について考えることも禁止されている。まさに日本はアメリカの半植民地なのです。例えば日本とオーストラリアとで核兵器を共同開発したらどうだろうか? オーストラリアにはウラン鉱石があるし、広大な核実験場も出来るだろう。アメリカは反対するかもしれないが、英国はどうだろうか?

このままでは日本は中国かロシアの支配下に入ってしまって太平洋の覇権は中国やロシアのものとなってしまう。そうなる事をアメリカやイギリスは望むだろうか? 歴史が分かる人ならば答えはすでに出ている。分からない人は「国民の歴史」を読んでもらえれば分かると思う。

文・株式日記と経済展望:2005tora氏

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