WiLL8月号感想

小川揚司
坦々塾会員 37年間防衛省勤務・定年退職

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 西尾幹二先生

 前二篇の御高論も勿論のことながら、「WiLL」8月号の今回の御論は、格調高く、かつ平易・簡潔に説かれた「国体論」として一入に感慨深く拝読しました。視界大いに開け、どれほど多くの心ある読者、尋常な国民が共鳴をともにしているであろうかと、感銘いたしているところです。

 西洋において現実の差別の歴史への否定から出てきたイデオロギーとしての「民主主義」や「平等」の観念(建前)や、東洋において中国の歴史に如実に繰り返されている差別支配の桎梏と較べ、吾が国の「天皇と国民、国家社会」の歴史は何と麗しいものであるのか、「公正の守り神」として無私に徹し給う天皇と、それに対する国民の宗教的信仰心が相俟って、現実のものとして築き上げ営んできた吾が国の歴史のこの真実を、東洋・西洋の諸民族、諸国民がもし正確に理解したとすれば、どれほど羨望の的となることであろうか、にもかかわらず、明治以来、吾が国の指導層を占めてきた洋魂洋才の日本人自身によって、この誇るべき国柄と歴史が如何に歪められ抹殺されてきたのか、先生のこのたびの辞立に啓発され、今あらためて深く噛みしめております。

 就中、先生の「五箇条の御誓文」に関する辞立と憲法改正の中核に関する御提言は、平成における国体論の至言であると考え敬意を表し上げる次第です。
 
 明治記念絵画館に列挙される明治天皇御生涯の絵画の中の「五箇条の御誓文」には、明治天皇が皇祖皇宗を祭り給う後ろ姿と、その背後に威儀を正し頭を垂れる百官の様子が格調高く描かれており、天皇が無私の精神によりなお慎み深く次元の高い存在に連なり、その聖徳を背後に連なる国民に及ぼし給ひ、そして百官が国民を代表してその天皇を畏敬しかつ恭慕する姿を白描したものとして印象深く心に留めておりますが、先生のこのたびの玉稿を拝読し、絵画館のあの絵画をありありとまなかいに浮かべながら、拙い感想を書かせていただいたところでございます。

   小川揚司 拝

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