当「日録」は今では私がオピニオンを述べる場ではなく、私とその周辺の情報を告知する場になっている。昔はオピニオンを述べていたのだが、それをすると活字メディアに注ぐ力が減殺されてしまう。それでいったん「日録」を中断したある時期を境にして、それ以後、今のこの方針に切り換えた。
しかし勿論原則にこだわってはいない。折をみて、ゆとりのあるときにはオピニオンを展開するかもしれない。
今回は新刊のご案内である。『真贋の洞察――保守・思想・情報・経済・政治――』、文藝春秋刊、366ページ、¥2000(税込)、10月7日発売。とりあえず目次をご紹介する。
第一章 保守の真贋について
生き方としての保守
安倍晋三は真正保守の政治家に非ず第二章 思想の真贋について
「偽君子」坂東真理子の「品格」を斬る
「廃墟」の思想家・上野千鶴子
「贋者」の行列
――竹内好、丸山真男、鶴見俊輔、大塚久雄、小熊英二――
「素心」の思想家・福田恆存の哲学第三章 情報の真贋について
GHQによる「焚書」公立図書館による「焚書」
朝日新聞の「社説21」が唱える空理空論を嗤う第四章 経済の真贋について
日米軍事同盟と米中経済同盟の衝突
――なすところなき小泉、安倍、福田――
日米は中国に「アヘン戦争」を仕掛けている
――本来中国は「鎖国」文明である――
金融カオスの起源
――ニクソンショックとベルリンの壁崩壊――第五章 政治の真贋について
日本は米中共同の敵になる
――「集団忘却」の日本人へ――
金融は軍事以上の軍事なり
――米中は日本の「自由」を奪えるか――
改めて直言する「労働鎖国のすすめ」あとがき
どんな印象だろうか。
本書には担当編集者の知恵で一つの新しい工夫が施された。各論文の冒頭にゴシック体で内容を簡潔にまとめた2、3行のリードの文を添えた。例えば、
第二章第一論文には
「偽君子」坂東真理子の「品格」を斬る
表向きは温和な保守的常識人のように見えるが、よく読むと小さな狂気が宿り、やがて国民を廃墟に追い込む死の思想への偽善的挑発者の顔が見えてこよう
第三章第二論文には
朝日新聞の「社説21」が唱える空理空論を嗤う
日本はサンタクロースかナイチンゲールになって「ヘルプキー国家」として生きていけという朝日のありがたいご託宣、小学生の学級民主主義みたいな可愛らしい思想にしばし付き合ってあげていただきたい