同じ月刊誌にいく月もつづけて出るということは例外的で、そうあることではない。5月号の『WiLL』では渡部昇一さんと対談をした。それがじつはなかなか面白く盛り上った。渡部さんは南京陥落のときの歌までうたって聞かせてくれた。
渡部さんとの私の対談は何度もあるが、最後の雑誌対談は3、4年ほど前の『諸君!』における歴史教科諸問題だった。最初の対談は30年くらい前のNHK教育テレビでの、マンガ・ブームの是非をめぐるテーマだった。
テレビでの対談はほかに何度もあるが、渡部さんは相手に話をさせるのがうまい。自分のほうから話題を押しつけてこない。『WiLL』5月号の今度の対話もそういうたぐいで、あっという間にどんどん話が弾んで、20ページに及ぶ大型対談になった。題して「緊急対談 『諸君!』休刊 敗北史観に陥った言論界」である。
中華料理屋でやったのだが、渡部さんは話も終盤になるまでアルコールに手をつけようとしない。「酒を飲むと穏やかになり、平和的な人間になるから飲まない」と言って座にいるみんなを笑わせた。そこで私はビールから紹興酒へとどんどん手を出して、「私は酒を飲むと攻撃的になるから飲みますよ。」と応じてまた笑わせた。
話の内容は1969年の『諸君!』創刊号の頃のさまざまな出来事、70年安保に向けて知識人の離合集散から保守系の集合へのいきさつ、朝日新聞VS文藝春秋の構図をつくった一時代の大元が『諸君!』にあったこと、『諸君!』が休刊になったのは敵を見失ったからだが、日本の自立をめざすという最終目標がまだあって、敵はいぜんとして存在すること、等々から始まり、私と渡部さんの5歳の差が戦争時代の歴史を見る姿勢に微妙な差になっているというテーマなどは大変面白い展開を示した。
子供時代の二人の思い出はあるところで重なりあるところで食い違い、相違を示したが、ここは読者の思い出をも刺戟して、大方の興味を引く箇所ではないかと思われる。後半では日米問題から防衛問題にいたる現代におけるいろいろなテーマが語られた。アメリカの歴史には封建時代がないので騎士道がなく、それが人類を脅かす「裁きの思想」を生んでいるという点で二人の意見は一致した。
アメリカや中国を目先の政治現象で捉えるのではなく、歴史を知ることで深所からとらえ直すということがこれからはますます必要だと思われる。面白かったのでまたときどき対談をやりましょう、ということばを交し合い別れた。
この対談掲載の『WiLL』5月号は26日以後に店頭に出ている。
26日には読売テレビの、高視聴率だそうだが東京では見ることのできない番組「たかじんのそこまで言って委員会」に出演するために大阪に出向く。テーマは 皇 位 継 承 。放送日は4月5日(日)午後1:30~15:00である。
第31回GHQ焚書図書開封(日本文化チャンネル桜)は、「忘れられている日本軍内部の『人情』」という題で、3月28日インターネット放送SO-TV配信である。