今日沖縄は中国の海になった!(その二)

 24日付の拙文「今日沖縄は中国の海になった!」は第一報を聞いただけで書いたもので、私は那覇地検の記者会見もまだ知らなかった。

 あれから土曜と日曜にかけて新聞・テレビ・ネット情報に接して、前後の状況はだいぶ分った。そしてそこでもう一度短い拙文を読み直したが、修正の必要は感じなかった。

 地方の一地検が口出しして外交を動かしたのは多くの人が言う通り越権行為である。仙石官房長官が指揮権発動をちらつかせて司法に圧力をかけた結果だということを情報通がテレビで語っていた。もしそれが事実なら国家犯罪規模のスキャンダルである。

 首相と外相の留守中のあわただしい決定であることに、政府の政治責任逃れの見え透いた芝居ともいえる一面がある。そんなことをしても政府の責任は末代まで免れないのだから、ばかげた子供っぽい措置といっていい。

 アメリカ政府からの暗示があったという説をなす人もいるが、本当の処は分らない。多くの人が今回の結末に怒っているし、余りに愚劣な政府なので、私の怒りも収まらない。

 差し当り三つのことを実行する。

(1) 産経新聞コラム「正論」欄に書く。
(2) 隔月刊誌『歴史通』10月9日発売号に書く。
    『WiLL』は出たばかりなので間に合わない。次の号では遅すぎる。
(3) 緊急出版『尖閣戦争――米中はさみ撃ちにあった日本』祥伝社新書(青木直人氏との対談本)11月2日刊行発売。対談は昨25日にホテルに6時間缶詰になってすでに完了。11月2日刊は精一杯のスピード出版である。

 以上はほゞ確定した予定だが、これから先のことなので、なんらかの変更ないし取り止めがあることもお含みいたゞきたい。

 以上(1)(2)(3)の仕事は全部、当日録の拙文「今日沖縄は中国の海になった!」の論旨に添うた内容であり、あの短い最初のモチーフを少しづつ拡大し、詳細にした内容となるであろう。

 新聞・テレビ・ネット情報に時間の許す範囲で当ってみたが、今後起こり得る軍事侵攻と安保条約の関係についてきちんと言及した発言はまだひとつもない。中国がこのところ肥大化した異常構造を呈していることを論じた発言は一、二存在したが、尖閣問題で日本が今度アメリカにしてやられていることを論及した発言は――軽く触れたものがほんの一、二あったが――全体としてまだまったく存在しない。

 (3) の対談本の副題が、青木さんと相談の結果、「米中はさみ撃ちにあった日本」であることに注目していたゞきたい。わが国はアメリカに攻撃力を抑えられたまゝ、中国に攻撃されているのである。後手に手足を縛られたまゝ、腹部を足蹴りされたのである。そして今、痛い!といってうずくまっている姿なのだ。

 今度も経済界がうろうろ動いて政府に圧力をかけたようだ。安倍元首相の靖国参拝阻止にも複数の経済人が手を変え品を変え働きかけていたいきさつは、拙論「トヨタバッシングの教訓」(拙著『日本をここまで毀したのは誰か』草思社所収)において初めて証拠をあげて追及している。

 経済人は外交に口出しするな。今、ファシズム化した中国という相手は甘っちょろい日本の企業家の手に負えるしろものではない。私は敢えていうが、中国は怒涛のごとくわが国にあの手この手で襲いかかってくるだろうが、その方がむしろ良いと思っている。

 日本政府も経済界もきりきり舞いするがいい。アメリカはリップサービスはするが、助けてはくれない。日本はうんと苦しむがいい。苦しみが余りにも足りなかった。初めて正念場に立たされる、そういう秋が来なくてはいけなかったのだ。

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