JAPANISM 02より
古田: 要するに、おっしゃりたいことは日本がアジアという地域の地域保全を求めたので、アメリカとぶつかったということなんでしょう。
西尾: 満州ですね、基本的にはね。
古田: 地域覇権で成功したのはアメリカ一国なんですよ、歴史上。全部失敗してますから。日本はアジアの地域覇権を確立しようとしてアメリカとぶつかったと思うんですけど。
西尾: でも、アメリカは地域覇権を放棄しますね。つまり、地域覇権というのは植民地ですけど。
古田: 僕はそういう意味で言ってるのではなく、その地域の、要するに経済力・武力等の支配力を地域覇権と言っているんです。
西尾: アメリカ大陸のですか。
古田: そうです。
西尾: 南北大陸の覇権。
古田: はい。地域覇権を日本も確立しようとしたのに、それでぶつかってしまった。
西尾: なるほど。これはアメリカが南北アメリカ、ヨーロッパはアフリカ、ユーラシア、日本はインド・中国を含むアジアの覇権と。
古田: はっきり言えばそうです。
西尾: これは日本のある外務次官が主張しましたが、一種のモンロー主義だから、文句言うなということですね。日本が中国やアジアの諸国をコントロールすることを欧米は文句言うなと。それが失敗したわけです。
古田: はい。僕は地域覇権がぶつかったという意味で戦争を捉えています。それで、アメリカ兵を結局三万殺して、日本は民間人合わせて三百万人殺されます。要するに、百倍のしっぺ返しを食うわけですけども、随分、一所懸命、立派に戦ったと思うんです。アメリカ人を三万人も殺せないですよ。大したもんだなと、私は思ってるんです。ただ、地域覇権は失敗したということです。
富岡: だから、結局、今、西尾先生がおっしゃった大東亜戦争っていうものを、我々を含めた戦後世代が、保守も左派も、大東亜戦争とは何であったかっていうことを、文明史とか近代論とか、さまざまな問題から徹底的に検証できていないからだと思います。今年はパールハーバーから・・・
西村: 日米開戦七十周年なんです。
富岡: そうですよね。本来、それを、今、やらなければいけないし、それが全ての戦後の問題点の解決に繋がります。あの戦争を「総括」っていう言葉はよくないな。何かちょっと考えますが・・・
古田: 北朝鮮では「総和」と言います(笑)。
富岡: あの戦争を思想論的に日本人が当時の世界史の状況も含めて、今、おっしゃったような問題、地域覇権の問題を含めて、ほとんど思考をしてなかったということが問題だと思います。平成十八年(二〇〇六)に、朝日新聞だったと思うんですが、極東軍事裁判の内容を知ってるかというアンケートをしたときに、約六割以上、七割近い人が東京裁判の内実を知らないと答えた。二十代に至っては九〇%が東京裁判がどういうものかを全く知らない。戦争の結果、東京裁判があって、日本がどうなったかということすらも、知識としても知らない。だから、そういう状態の中で今の論点を一般の人が理解するのはかなり不可能ではないかという気がします。
西尾: 僕は東京裁判にこだわる保守派にも疑問なんです。東京裁判は間違いですと、それで問題にしなければいいわけです。だって、もう一回、裁判をひっくり返すことはあり得ないんだから。だとしたら、これは絶対に間違いだということを言えばそれでいいんです。国内的にそれを処理すればいいので、「東京裁判史観からの解放」とか言い過ぎることは、それに囚われているということで、結局、みんな反省なんです。自己反省に返っていく。
古田: おっしゃる通りだと思います。若い世代としてはね・・・。私、若い世代なんです(笑)。けれども、やはり戦後の左派のやったことの方がもっと大きいと思います。というのも、東京裁判史観に多くを引きずっていって、そして、日本の文化とかをみんなダメダメとはんこを押していったわけです。ダメ!日本人ばか、とずっとやっていって、それは丸山真男を読んだって、加藤周一を読んだってみんなそうです。加藤周一なんか、日本に碌な文化はないって言ってる(笑)。
西尾: 今や渡部昇一までそういうことを言うんだから。
古田: 丸山真男などは日本人には権利意識が芽生えない。なぜなら自然権という思想がないからだ、だから、いっそのこと各戸に一丁ずつ鉄砲を持たしちゃえと小冊子に書いてる。こういう、「日本の文化ダメ、日本人バカ」というのはずっと続いてきて・・
西尾: 今、半藤一利などはみんなその流れです。それから、保阪正康、加藤陽子、秦郁彦・・・。みんなそうです。福田和也もそう。
古田: 日本はダメということを、まるでインテリの証しのように言うと、若い世代が乗ってくるんですね。
つづく
日本李登輝友の会からお知らせです
黄文雄さん『哲人政治家 李登輝の原点』出版記念会を開催!
李登輝元総統からのビデオ・メッセージも予定
謹啓 盛夏のみぎり、皆様におかれましては、ますますご清栄のことと大慶に存じ上げます東日本大震災以後、沈滞気味だった日本も、政局の波乱が増せば増すほどに国民の精気に回復の兆しが見られます。さて私どもの友人でもあり、台湾独立のために勇躍戦ってきた言論人でもある、歴史家の黄文雄さんが、初めての出版記念会をもよおす運びとなりました。新刊の題名も『哲人政治家 李登輝の原点』(ワック)です。つきましては左記の要領にて黄さんを励ましつつ、あるいは、李登輝先生からのビデオ・メッセージを拝見しながら楽しい一夕を過ごしたいと思います。万障おくりあわせの上、ご臨席いただければ幸甚です。 敬白
記
と き: 2011年9月5日(月)午後6時30分(6時開場)
ところ: ホテルグランドヒル市ヶ谷 3階「瑠璃の間」
会 費: おひとり 一万円 (新刊書籍代を含みます) *当日、受付でお願いします。
ビュッフェ式立食パーティです
発起人: 阿川弘之、安倍晋三、井尻千男、伊藤哲夫、稲田朋美、遠藤浩一、岡崎久彦
岡田英弘、小田村四郎、加瀬英明、許世楷、金美齢、日下公人、小池百合子
黄昭堂、小堀桂一郎、古森義久、蔡焜燦、櫻井よしこ、佐瀬昌盛、佐藤正久
鈴木隆一、高山正之、田久保忠衛、立林昭彦、中嶋嶺雄、中津川博郷
中西輝政、長島昭久、西尾幹二、花田紀凱、平沼赳夫、宮崎正弘、宗像隆幸
柚原正敬、羅福全、渡部昇一、渡辺利夫
(50音順、敬称略)
お申込:FAXかメールにて、日本李登輝友の会事務局まで。
FAX:03-3868-2101
E-mail:info@ritouki.jp
(なお「日本李登輝友の会」の関東地方の会員には既案内しております。)
締 切: 8月26日(金)
事務局: 黄文雄さん『哲人政治家 李登輝の原点』出版記念会事務局
ワック株式会社 出版局(担当 渡邉寛子)電話:03-5226-7622
私のコメントは先回にも少し言及した事に尽きます。米国の”為政者”がヴェルサイユ体制以降、帝国主義者流から理想主義者流に豹変したこともある様に、日本の”為政者”が満州事変以降、国際協調外交という理想主義者流から露骨な軍事侵略という帝国主義者流に豹変したと認識しています。そして私は、基本的人権の尊重を基調とした理想主義を過去現在未来に於いて尊奉する者であります。(為政者に””印を付けたのは前回のnagasaku氏コメントへの回答でもあります。)
「東京裁判判決に違反する村山談話は、講和条約違反の違憲失効談話」をささやかに主張しております福原と申します。
東京裁判について西尾先生が言及されていないかブログ内検索させて頂いた処、本エントリー「ひっくり返すことはあり得ない」とご記述されていました。
詳細はリンク先にまとめていますが、簡潔に以下に述べます。
村山談話はアジア侵略と植民地支配を謝罪反省していますが、東京裁判が有罪認定した侵略対象は欧米植民地と中ソであり、アジア各地の戦犯裁判では、中国を除きアジア侵略の有罪認定は無く、逆に植民地支配妨害と独立支援が有罪になり日本人が処刑されています。
東京裁判・戦犯裁判判決を条約で受諾している日本が謝罪反省すべきは、欧米植民地侵略と植民地独立支援です。(現地における戦犯行為は当然)
また、満州侵略は、清・満民族から日本が盗取した領土名目で、満民族国家を漢民族に「返還」名目で略奪させる為の侵略認定。
中国侵略は、侵略容疑で緒戦の上海戦から南京攻略を指揮した松井大将を東京裁判で起訴しましたが、中国側の侵略行為に対する応戦であったため侵略は無罪認定されています。
当時アメリカは、日本の中国侵略を非難し、対日制裁・中国軍事支援を行い、日本を戦争に追い込みましたが、東京裁判が日本の侵略無罪を判決しているのですから、アメリカは侵略支援国家だった事になります。
ルーズヴェルトは侵略国に従来方式の降伏は認めず、国家無条件降伏を要求し、枢軸国は国家無条件降伏したドイツを含め、ドイツに宣戦布告した枢軸国まで国家無条件降伏扱いし、講和会議・条約無しで戦争終結しました。
しかし、日本だけはポツダム条件提示され、従来方式の軍無条件降伏のみで停戦し、講和会議・条約により戦争終結しました。
これは、枢軸国の中で唯一、日本だけがアメリカによる侵略国認定を免れた事になります。
敗戦直後、アメリカの報復感情により「日本は国家無条件降伏した。」と宣伝され、国家無条件降伏ドイツ向けの裁判所条例がそのまま日本にも適用され、降伏受諾条件違反の東京裁判が行われてしまいましたが、ソ連中国の悪行を知るに従い、従来方式の講和が行われる事になったのです。
東京裁判史観というのは、判決を無視した特定日本人による歪曲捏造史観であり、日本が東京裁判判決を正しく認識すれば都合が悪くなるのは欧米であるというのが「村山談話違憲失効論」になります。
是非先生にご検討頂けますよう願っています。
北海道函館市在住
>福原忍さま
コメントのお礼が遅くなりました。
面白い視点からのコメントありがとうございました。
わざわざコメ有り難うございました。