ひところ大騒ぎした「言った言わない」の泥仕合が一昨日あたりからピタッと止まって妙だ。朝日とNHKは裏で手を握ろうとしているのかもしれない。
私は産経のコラム「正論」に以下の一文を認めた。できるだけ掲載日を急ぐように担当者にお願いして、精一杯の努力でやっと28日掲載となった。ともあれ月刊誌よりは早い。
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問題の核心は偏向番組の放映にあり
――朝日VsNHK対立で目奪われるな――
《《《糾弾集会を「法廷」と呼称》》》
そのむかし、大阪の西中島南方に「ラーメン大学」という中華料理店があった。テレビには「ミニスカポリス」という番組があったが、むろん警察とは何の関係もない。
NHKVs朝日トラブルで最近話題の「女性国際戦犯法廷」は法的に意味のある「法廷」でもなんでもない。右が「大学」でも「警察」でもないのと同様である。ブッシュ大統領や小泉首相を裁いたと称するアフガニスタンやイラクの「国際戦犯民衆法廷」もただの政治的糾弾集会で、「法廷」ではない。
なのに四年前に番組化した「女性国際戦犯法廷」をさも正式な拘束力のある「法廷」のように錯覚させ、喧伝(けんでん)してきたNHKと朝日の双方のやり方は詐偽にも類する行為だ、とあるインターネット掲示板に書き込みがあった。世間はよく見ている。私は全面的に同意する。
政治家の介入をめぐってNHKと朝日の間で言ったの言わないの泥仕合が続く(それはそれで、とことんやってほしい)が、その前に考えるべきは、問題の2001年1月30日、NHK教育テレビが放映した番組「戦争をどう裁くか/問われる戦時性暴力」での従軍慰安婦の取り上げ方である。放映対象となった「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」とやらの、いかにも「法廷」めかした、その実ただの“裁判ごっこ”にすぎない、あっと驚くばかばかしい実態である。
《《《弁護人なしの一方的議論》》》
その日、会場の九段会館には朝鮮の民族衣裳の老女たちが「昭和天皇に極刑を」のプラカードを押し立てて続々と集合。最初にビデオが流される。「日本の責任者を処罰しろ」と老女たちが日本大使館に向かって抗議するシーン。最後は木に縛りつけられた昭和天皇とおぼしき男性に朝鮮の民族衣裳の女性がピストルを向ける画像で終る。それからシンポジウムが開かれる。日本の従軍慰安婦問題が徹底的に批判されていれば、ユーゴの殺戮(さつりく)と強姦も起こらなかったろう、とまさに一方的な議論。そして裁判が始まる。
被告人は今や地上にいない昭和天皇、旧日本軍人。弁護人なし、弁護側証人なし。検察官は二人いたが、いずれも北朝鮮の工作員だと指摘され、その後入国ピザが発給されていない人物もいる。かくて裁判官が「天皇裕仁は性犯罪と性奴隷強制の責任により有罪の判決を下す」というと、場内は拍手のウェーブと興奮の坩堝(るつぼ)の中で歓喜に包まれたそうだ。
《《《政治圧力という形式批判》》》
NHKは最初こういう番組をそのまま無修正で全面放映しようとしたのだ。まず第一に、NHKのこの恐るべき体質が問題だ。政治家にいわれるまでもなく、試写で番組を見たNHK幹部は「おまえらにはめられた」「このままではアウトだ」と言ったそうだが、当然である。カットして放映した措置を番組主催者は裁判に訴えた。裁判所は一審で、NHKの「編集の自由の範囲内」と述べたが、これまた当然である。
NHKにはともあれ、幹部にこれはまずいと判断するチェック機能があった。ところが朝日新聞には、会社全体にそれがない。本気で立派な内容だと今も思っているらしい。さらに私が驚いているのは、こうした偏向著しい糾弾番組を相手にして、政治家の圧力で改変されたという形式批判が成り立つと思っている朝日側の世間知らず、情勢判断の甘さである。
さすがに毎日新聞はついていけないとみて、山田孝男氏の署名で、NHKのあの番組がおかしいこと、従軍慰安婦の強制連行説を否定する実証的な反論が出ていること、90年代の政府の謝罪は日本に性奴隷制があったかのごとき国際誤解をまき散らしたことは反省すべきだとする記事を掲載した(1月24日付朝刊)。正論である。
安倍、中川両氏の口出しがあったかどうかは、もはや問題の核心ではない。NHKが偏向番組を作り、朝日がそれを中立公正な番組であると信じたことが問題のすべてだ。
朝日に尋ねたいが、かくも幼稚かつ露骨な政治的アジテーション・プログラムを報道に値する中立公正の番組内容だと今でも本気で信じているのか。NHKにも借問したい。社内のヒステリー過激派の跳ね返りを押さえられないできたために、この件は起こった。彼らをどう処分し、路線をどう正常化するのか、方針を明らかにされたい。
「政治家はいかなる意見を言ってもいけない、NHKはどんな偏向番組を作ってもいい。」そんなばかな話がまかり通っていいはずがないだろう。 (にしお かんじ)
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じつはこの一文の冒頭を私は次のように書き出している。
昔京都の三条に「花嫁学校」という風俗業飲み屋のチェーン店があり、大阪の西中島南方には「ラーメン大学」という中華料理店があった。テレビにはお馴染の「ミニスカポリス」があるが、警察とは何の関係もないだろう。
インターネットの松尾光太郎氏と署名入りのホームページからの引用である。「花嫁学校」が新聞で削られたのは公序良俗に反するからであろう。私は納得した。ただし引例したとことわっているホームページのライターの方に報告の義務もあるので、正確にはこのように書いたことをお断りしておきたい。なお新聞は文章が短いので書きにくく、新聞面での引用の始まりがどこからか必ずしも明確にできず、真に遺憾である。
(17/1/28 加筆修正)
本日の正論の文章、皆様はどうお読みになったでしょうか?私はその短い中にいろんなパーツを上手に組み込み、しかも印象として「女性戦犯国際法廷」なるものが如何に低俗な政治プロパガンダであったかということを、読むものにしっかりと与えたとても優れた文章だと思いました。(先生、文章の組たて・・・本当にうまい!)
松尾光太郎さんのサイトからの引用など、ネットの良い点をきちんと利用されているし、ネットでの言論を「世間」と表現されていることも、嬉しく思いました。
眞悟さんが、今日、ついに言いたい事言って、西尾先生が正論欄投稿、ミッキーの番組で詳細なる音声による評論家の解説。
皆、本質は「圧力バトル」ではないということ。知ってる人は知っている。知らない人は、目を覚ませ。
知らない人の方が多い。地上波電波で言うのは、ニッポン放送だけか?無料放送でないと、主婦は見ない。ニュースも見ない。ワイドショーが良い。
ディレクターから解説者から、本質も、録画ビデオも知らないで、知ったかぶりで解説するんだろうが、具体的には、畠奈津子ちゃんに漫画書いて貰うのが良いのかなー などと・・・。広報活動が問題なのです。國民新聞・西村修平氏等(当時は、彼は国民新聞ではなく、一般企業の会社員。)が、4年前に座り込みして、NHKに「市民の圧力」をかけて、幹部は「これはえらいこっちゃ」となった。NHK幹部も知らなかった という事を西尾先生が明らかにされた。想像していただけだったが、言論の泰斗が明確に断言されたので、るみこちゃんとか、えりこちゃんとか、かわいこちゃんの名前なんで、あるいは、亡きやよりちゃんが、さぞお若い可愛い女の子という風に誤解される危険を取り去られたと思う。写真があれば、覿面です。
4年前に戦った人は、たった二人だと言う。これが、保守派の弱点なのだと。彼等のその後の活動は、7/7の「やより集会」妨害のかどでの一括逮捕事件で頓挫する。逮捕されたのが、11/14で、4ヶ月後だ。
プールの監視員としは、黙っていられなくて・・・・。品の無い巫山戯調の内容では取り上げられないだろうなと思いつつ。シニカルにもなろうというもんです。一向に本質は云はないんだから。電波は悪人かなあー?
本当にインターネットの住人は反日極左集団に対し怒り心頭で、先の
鄭香均の侮辱発言でも東京都に苦情が多数寄せられたとの事で、
石原慎太郎東京都知事は当然、職員の鄭香均を猛批判しました。
しかし、マスコミ、特に地方紙はこの女を擁護する様な論調で、我々
日本人の怒りは恐らくこの左巻きマスコミにも向けられる事でありましょう。
尤も、こういう国民の需要を無視したマスコミは民主主義的に淘汰される
べきですが、最悪政府が国民世論を理由に仕掛ける事もあり得ると思います。
マスコミ業界も油断したらえらい目に遭いますね。
昨日の産経新聞・正論欄で拝読し、あいかわらず的確な西尾先生のご指摘にうなずくことしきりでした。
問題の本質は、法廷とは名ばかりの糾弾集会が公共放送で取り上げられてしまうというところにあるわけで、その点に関する追及こそがまずなされてしかるべきでしょう。
なお、新聞では正しく表記されていましたが、このサイトでの「泥試合」は、「泥仕合」だと思います(2箇所あり)。修正をお願いします。
>abusanさん
やはりインターネットの出現で、マスコミに突込みが入れられるようになりましたから、マスコミに関係している方々はネット世論が、実は気になって仕方がないのではないでしょうか?
あの記者会見(鄭香均さんの)はあちら側のおおちょんぼですよ。あれを見て、「そうそう、日本が気に入らない人、日本に来ないでね」って怒ったはずです。
今回の朝日新聞の大誤算と同じパターンですね。
>nemoさん
ご指摘ありがとうございました。
(内緒ですが、先生の原稿がそうなっていたのです・・・・・内緒になってないか)
>閑人さん
今回の投稿は、意味がよく分りました!