年末のお知らせ――講演の始末、その他

 12月8日の私の講演「大東亜戦争の文明論的意義を考える――父祖の視座から」について、ご所見をお寄せ下さる人が多数にのぼり深謝にたえません。その後あの講演を文字化し、プリントして、自ら再検証した処、話はあちこちに飛び、論旨に不明なところもあり、赤面の至りでした。聴き手の皆さまにご迷惑をお掛けしたと痛感しています。あんな不完全なスピーチからよく本意を汲み取ろうとして下さったと、申し訳なく思っております。

 そこでご報告します。あの講演は400字詰で120枚ありました。三分割し30枚論文を三篇作成し、『正論』2月号(12月25日発売)から「『天皇』と『人類』の対決――大東亜戦争の文明論的動因」(上)(中)(下)と題して掲載します。余計な処を削除し、新しい表現も加え、筋を明確に辿れるものに新装いたしますので、あらためて読んで下さい。

 加えて、日本文化チャンネル桜の私の「GHQ焚書図書開封」の時間帯に、同講演をやはり三回に分けて放映いたします。放映日は1月8日、22日、2月5日で、いずれも翌日にはYou Tubeにあがります。

 これらに伴い、私の『正論』連載「戦争史観の転換」と日本文化チャンネル桜の「GHQ焚書図書開封」通常番組は、その間休止させていただきます。いずれもしっかり連載の準備の勉強をしたいという思いからであり、急がず慌てず、前へ着実に進めるための一助になろうかと考えています。

 「GHQ焚書図書」⑧『日米百年戦争』はご好評をいただいていますが、今後の計画は、来年中に⑨『対日石油禁輸と経済封鎖の真相』、ならびに⑩『水戸学物語』です。

 『WiLL』1月号の六人座談会の「柳条湖事件の日本軍犯行説を疑う」後篇が当然2月号に期待されたはずですが、出ていません。私にもまだ不掲載の編集部からの理由説明は届いていません。残念ながら「遺憾」としか申し上げられないのが現段階です。

「年末のお知らせ――講演の始末、その他」への4件のフィードバック

  1. 講演大変楽しみにしておりましたが、残念ながら仕事の都合で参加できませんでした。正論掲載を楽しみにしております。ところで、関西圏で放映された「たかじんの委員会」を本日ネットで拝見しました。「戦後も戦前も日本に“保守”というのは存在しなかった」という西尾先生のご発言は討論者の共感を得られていましたが、「戦前にもどるべき」という部分は(「アイロニー」とも補足されていましたが)、出演者は狐につままれたような顔をしていましたね。私はなんとなく、戦後イデオロギーにより易々と封印されてしまった戦前までの日本人の胸中と思想を最高度のレベルで取り戻すことと解釈しましたが、この辺の思想に肉付けすることが西尾先生が最近注力されている仕事のひとつではないかと勝手に想像しました。
    討論最後のほうで、なぜアジアを侵略した英国や米国が謝罪をしないのに日本だけ謝罪をしなければならないのかという問題提起に対して、勝谷誠彦氏が「それは日本が戦争に負けたため。英国や米国は戦争に勝ったから謝罪しないだけ」と言ったときにスタジオが一瞬沈黙してしまったのが大変残念でした。勝谷誠彦氏の該博な知識は素晴らしいと思いますが、この見解は明らかに間違っているというか問題であると思いました。というのはドイツも敗北しましたが侵略等を対外的に謝罪してはいません。ナチスの大罪によって覆い隠されたと解釈もできますが、ロシアもソ連の時代に「冷戦」で大敗北をしましたが、謝罪していません。常識的に考えたら、その後国連でえらそうな顔はできないはずです。国連は戦勝国クラブと言われますが、戦勝国クラブでないドイツやイタリアは安易に謝罪なんかしません(日本-韓国はフランス-アルジェリアみたいな関係とは違うだろうというのは屁理屈です。日韓併合時に日本と朝鮮は相当な格差があったのですから)。
    ロシアが冷戦で負けても国連の戦勝国クラブに残っているのはロシア人の確固とした世論を背景にロシア人が毅然とした外交をやっているからです。逆に日本は謝罪を中核とするような日本人の国民性が培養されてしまいました。これはロシアが核をもっているのに日本は核をもっていないから等の理由ではありません。理由は単純で、日本の体制を徹底破壊しようとした大量の共産主義左翼とその後継者が日本で長年洗脳活動を一貫してやり続けて、それがそのうち中国や韓国の反日勢力と結びついて世界中で強力な化学反応を起こしてしまったからです。これは大袈裟ですが、歴史を見てきた証言者として断言できます。最近とみに韓国の異常な反日が話題になりますが、この異常な反日は韓国が先進国の仲間入りして傲慢になったせいとか、いろいろ解釈できると思いますが、私は断言します。最大の原因は日本の反日左翼が韓国の反日を徹底的に煽ったからです。反日左翼が韓国人を煽る前までは、常識的な教養ある韓国人は「日韓併合されたのは当時の韓国が国家として弱かったため」と認識していました。もちろん日韓併合を良しとしないまでも、その原因の半分は当時の朝鮮にあると認識していました。日本に100%責任なすりつける魂胆はなかったです。というのは、これも当時の日本の反日左翼は北朝鮮を長年思想的パートナーとしていたため、韓国人を煽りつける体勢が整っていなかったからです。その後、韓国人に対しても容易に強硬的反日をたきつけることが出来ることを反日左翼が発見した後に様々なロジックで韓国の反日を促進して、はたせるかなその通りになりました。韓国は反日左翼のあやつり人形のように反日を実演し、反日左翼は背後から日本を攻撃して日本政府は挟みうちにしました。当時メディアを牛耳っていた反日左翼の壮絶な攻撃を知りたければ当時の新聞や雑誌で知ることができます。
    私はこの十年以上ネットでも何百回となくこれを指摘してきましたが、同様の認識をもっている日本人はかなり多いと思います。むかし中曽根首相は、韓国のために日本は良いこともやったのだと喋った藤尾文部大臣をすぐに罷免してしまいました。現在の安倍首相はそんなことはしません。歴史認識は各自政治家の思想の自由であり、あまりに非常識なものでない限り、罷免まではしないと思われます。この違いは中曽根氏と安倍氏の思想や資質の違いというより、この20年の反日左翼と常識的日本人の間での激烈な思想闘争が行われて、反日左翼の牙城を少しづつ切り落としていったためと考えます。転機のひとつは従軍慰安婦騒動で日本の反日勢力の異様性が知られ、その後それを契機に結成された「つくる会」などが日本の一般人を啓蒙する、竹島問題なども日本人の認識が深まっていく、北朝鮮の異常性が暴露される、そこへネットが爆発的に普及することにより、世間全般に対して発言権を持たなかった大勢の一般日本人の常識的思考が社会の言論空間にながれこみました。これを反日左翼はポピュリズムと呼ぶでしょうが、悪質で低脳なマスコミを洗脳して反国家的で自殺的なポピュリズムを長年かけて実現させたのは反日左翼でした。

  2. 意固地になったようで大人げなくて恐縮ですが、追記を。「日本の反日左翼が韓国の反日を煽った」と主張すると、よく反論されるのが「そもそも、それ以前に韓国で反日教育が実施されていたではないか。反日が国是の韓国が反日になるのは日本の左翼とは無関係な必然ではないか」という指摘です。これはもっともですが、たとえば日本でも戦後ながらく大学では荒唐無稽なマルクス経済学が教えられてきましたが、その後学生は実社会の経済を見て真の経済学を学んでいきました。教育の威力はすさまじいものですが、それが実社会とつき合わせて荒唐無稽なものであればすぐ修正されます。反日左翼が韓国の反日執念を徹底的に死に物狂いで煽りさえしなければ、韓国の荒唐無稽な反日もまちがいなく衰退したはずです。韓国の有名な独立記念館の開館が1987年ころ(ただし土台や着想は随分前)、西大門刑務所記念館の開館が1995年ころ。この2大反日記念館が堂々とオープンして観光目玉になった時期をよく考えてください。あくまでこの時期です。このころから反日左翼の韓国への働きかけが活発化しました。それはおそろしいことに中国も同様です。

  3. いま憂国のリアリズムのニーチェのところを読んでいますが、難解で学の浅さを感じています。

  4. 正論 2月号を拝読致しました。
    膨大かつ歴史的に長期間にわたる事実関係を正確に掘り起して記述されている内容を読む毎に、その当時の関係者の心情を彷彿とさせられます。
    「国際連盟には、アメリカもソ連も加盟していなかった。」と言われると、知識では知っていることでも、「ああ、そういうことだったんだ。」と認識を改めてしまいます。
    西尾先生が、いわば定量的な仕事をされているのに対して、以下に定性的な推論を記述します。お嗤い下さい。
    1. 大東亜戦争
    当時の日本人には、我慢がならなかったのです。
    自分が侮辱されている、自分が苦役を強いられているのなら、我慢もしよう。
    しかし、これが他人のことであれば、黙ってはいられない。
    ただ、先に銃を発明しただけの民族が、堂々と世界中で理不尽を行っている。
    インドで、ビルマで、マレーで、フィリピンで、インドネシアで、、、。
    「個別に解決することは難しいが、もし、日本に刃がむけられたならば、全部まとめて引き受けてみせる。」
    そして、日本に刃が向けられました。
    「拙者を日本と知っての狼藉か。ただでは済まぬぞ。パラダイムシフトが起こるぞ。」
    各国が独立し、支配国は100分の一に、60分の一に。

    2. 日本への非難
    先日、シアターネットTVを見ていましたら、元自衛官の志方俊之氏が次のような発言をされていました。
    「自衛隊が海外で活動をしていると、となりのフランス軍の周囲には慰安婦の集団が 集まっている。もちろん、自衛隊の周りには、そのようなものはいっさいない。」
    日本人が、欧米人と同じ職場で、普通に仕事をしているだけで、
    「日本人は働き過ぎだ。」と嫌われます。
    おそらく、海外派遣された自衛官は全力を尽くして勤務されていると思います。
    しかも、品行方正、現地からは感謝される。
    こんなことでは、他国軍から疎まれるのは当たり前です。必ず、仕返しがあります。
    しかも、別の国を利用して。あの国とあの国です。
    PKOが始まったのが、1991年。河野談話が出たのが1993年です。

    3. 戦前の金銭価値
    過去の金銭価値を現在にあてはめるのは困難ですが、これが分からなければ意味が通じません。
    少尉任官給(20歳) 月給75円 を2500倍すると、187,500円。
    この比率で計算すると、
    総理大臣年俸 9,600円 月給換算800円 は、200万円。
    ○○○募集 最低保証月給 300円 は、75万円。
    以上、目安にしてはどうでしょうか。

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