番匠幸一郎氏を囲んで (六)

○○:さきほどの世論調査ですね。84%が自衛隊駐留賛成、残り16%が反対、16%というのは、どうなんでしょうね。それから、自衛隊はですね、人道復興支援という任務で行かれたんですけど、他の国の軍隊は一体どういう使命を持って・・・・やはり、人道復興支援というようなことをやっているんでしょうか。そうだとすると、イラクの復興に一番役に立つのは、日本で、その次はアメリカで、その次はイギリスでしたかね。

番匠:フランス、イギリスの順です。

○○:フランス、イギリスでしたか、イギリスは低いですね。イギリスが低いというのは、元々イラクとイギリスは密接な関係が昔からあったんですけれど、ちょっと意外な感じがします。あとは相当な部隊を送っているのが、ポーランドとか、ウクライナだとかですね、韓国も3000人送っていますが、そういう国に対する評価ってどうなんでしょう。その辺がよくわからないのですが・・・。

西尾:イギリスが低いのはわかるんじゃないですか。

○○:わかりますか?

西尾:もともと不信感があって、ひどいことをされたっていう記憶。

○○:そういうことなんですかね。

西尾:でも、韓国なんか上位に出てこないのは不思議ですね。

番匠:まず、16%といいますか、賛成しないこれらの人たちは何かというと、問いかけの仕方もあるかもしれませんが、やはり彼らは決して満足はしないですね。話をしていても、今やってくれていることは有り難う。でも、まだやってほしい・・・と。そういうことがありますし、やはり我々の能力には限りがあるんですね。我々が行った時に、実は唖然としたことがありまして、日本政府が拠出を約束した10億ドルが全部サマワに来ていると思っている人たちがいるんです。あれ結構有名な話になりまして、10億ドルもサマワに入るぞ、そうすると、東京ができる―と。

(大笑い)

 ハイウェイや大きな工場ができて、トヨタが来るのかと。発電所が出来て(笑い)それで、自衛隊が先遣隊で来たんだろうと。いやぁこれは素晴らしい。サマワは儲けたと言うわけですよ。我々がミッションを戴いているのは、水作りですね、医療支援をして、ま、ささやかに道路や学校の補修をする。そこに大きなギャップがありまして、私たちがやったのは、部族のところをいろいろ廻って、貴方達は誤解している、我々はこういう能力なんだからということを言って、彼らの誤解に基づく高い期待をいかに適正値に戻すか、降ろしていくかということです。

 もちろん我々行った当初は人間も揃っておりませんし、装備も届かないので、十分な活動ができません。水の支援も、給水セットというのを合計7個持っていったんですが、は最初は三機から始めました。一日何十トンというオーダーで始めますので、なかなか量も、数も少ない。それをどうやったら早くあげていくかということ。こう下げて、こうあげてこの、バランスをどう取るかということに随分エネルギーを使った。そういう意味ではこの高い期待を持っている人たちから見れば、今の自衛隊がやってくれていることは、期待はずれだとか、なかなか思ったとおりいかないという声があるのは、まちがいないと思います。

○○:でも、早く帰れという、一部にある滞在延長に反対というのはどういう意味なんでしょうかね。

番匠:そこは、例えばサドル派なんかはみんな言っておりますけれども、やはり外国の軍隊、外国が来ているということに対する気持ちがあるのかもしれません。

西尾:でも16%は低いほうですよね。

番匠:8割ぐらい、あるいはそれ以上がということは、ほとんどの人たちが日本を歓迎してくれているということだろうと思います。それと、他の部隊は何をしているかということですが、我々が居るときには、38カ国、我々をいれて38カ国でした。今は若干の後退があって32.3だと思いまけれども、国によってそれぞれです。大きなところでは、もちろん一番大きいのはアメリカで、これは15万人入っています。それからイギリスが約1万、あとポーランドだとか、ポーランドも8000人、一万弱くらい、ウクライナ○○○、韓国がアルビルというところに3000人くらい入れています。これが大口で、日本も結構多いほうなんですね。もう600人というと、クェートの航空自衛隊の200人を加えると800人の規模ですから、結構イラク全体では、ベスト10に入っております。

 それぞれの国が、それぞれのやり方をしていまして、一番多いのは治安任務です。ただ我々のように人道復興支援だけというのもあります。たとえば、タイとかは医療支援をやっておりましたし、当初我々が行った頃には韓国っていうのは医療支援と施設支援というのをやっておりました。今はアルビルという北の方面で治安のほうも受け持っていると思いますが。必ずしも、みんながみんな治安任務をやっているわけではありません。それからもう一つは後方支援というのをやっております。多国籍部隊に対するですね、ウクライナとか、小さな国エストニアだったでしょうか、バルト三国の小さな国も来ているので、あれは何をしているかといいますと、米軍基地の中で、後方支援の仕事をしているところもあります。

西尾:けれど、韓国などが評価されないのはなぜですか?

番匠:あれはですね、あの世論調査自体が去年の秋から今年の正月にかけてやっておりまして、北の方のクルドの辺りまでちゃんと行っているかどうかですね。アルビンとかにということもあるでしょう。多分、あの調査はバグダットでやっているのだろうと思います。ですから、38カ国を全部皆さんが承知しているかどうかというと、そうでもないと思います。(あぁと納得の声)日本というのは非常に有名ですから、そういう数字が出ているのかもしれません。

西尾:いやな情報が入ってこないから、ますます期待されるという。

番匠:我々は飴だけで、鞭がありませんから。
(笑い)
 やはり、アメリカとかイギリスとかを見ていて、非常に気の毒だなという感じがしました。

西尾:そうですよねぇ

番匠:犯罪者に対しての対応ってのは、厳しいものがありますし、我々は今回人道復興支援という飴の役目ですので、あの数字を見て、手放しでよろこぶっていうわけには行かない。
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講演 「これでよいのか日本の弱腰外交
――正しい現代史の考え方――」

平成17年3月13日(日)
午後3時30分より90分

会 場:横浜市中区「関内ホール」
   JR関内駅北口下車 徒歩5分
     TEL 045(662)1221
参加費:¥1000
主 催 :教科書を良くする神奈川県民の会
連絡先:大西裕氏 TEL045(575)2603

新刊西尾幹二責任編集『新・地球日本史』1 
産経新聞社刊、発売扶桑社。
  ¥1800――2月28日店頭発売

 
新・地球日本史―明治中期から第二次大戦まで (1)

新刊 「人生の深淵について」
洋泉社刊 ¥1500
3月7日店頭販売
内容目次は次の通りです。

怒りについて
虚栄について
孤独について
退屈について
羞恥について
嘘について
死について
宿命について
教養について
苦悩について
権力欲について

著者覚書
解説 小浜逸郎 

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