番匠幸一郎氏を囲んで (七)

○○:治安というのは、今度はオランダが引き上げると後はイギリスが担当するかもしれないという記事がありましたけれど、イラク全土を各国で分担して、治安任務を行っているのですか。

番匠:はい、大きく言うとですね、イラク全体を四つに分けています。図を見ていただければいいと思いますが、北の方と真ん中付近、バグダットを含めて真ん中付近をアメリカが持っております。バグダットの南から我々のいる所の北をポーランドが持っています。ここを中心とする多国籍師団。我々がいるムサンナ県から南部4県をイギリスが中心となった多国籍師団が持っております。イギリスが中心となっている多国籍師団は12カ国ぐらいで構成されております。その一部にオランダがいるんですが、治安任務だけではありません。いろんなことをやっております。

 たとえば我々が行った南部地域を申し上げますと、4つの県、バスラ県、ディカール県、メイサーン県、ムサンナ県、4つの県をイギリスが中心となった多国籍軍が持ってまして、今までは二つの県をイギリスの旅団が、一つをイタリア旅団、もう一つをオランダのこれもグループですけれどもバトルグループという大隊クラスの、連隊規模のが持っていて、この四つの隊でやっていたんです。そこを今度オランダが帰るものですから、この後にイギリスが入る。ですから、今度は四つのうちの三つをイギリスの部隊が担当して、一つをイタリアが持つという形になります。その一つの県の中に、オランダと一緒に我々自衛隊がいるという形でした。イタリアの所にはどこがいる、デンマークがいるとか、そんな感じで、混在して仕事をしているわけです。

○○:私現役時代中近東で仕事して、・・・・今度お酒と、豚肉を厳禁された、これは素晴らしいことですね、我々が考える以上に。・・・・お酒も私ども、・・・・・我々民間は・・・・・そういう点、完全に禁じられた。もちろん、それに対する隊員達の不平もあったでしょう。率直な感想だったのですが、国内に駐屯されている時は、ある程度アルコールも飲んでおられるでしょうが。

番匠:アルコールについてはですね、もう日本にいる時から、イラクに行ったら飲めないから、飲みだめて行こうと。

(大笑い)

 正直申し上げて、やはり、飲ませないでよかったと思います。人間、弱い動物ですから、多分、缶ビール一本と言っても、二本、三本、四本となるかもしれません。それから、基本的に24時間、緊張を緩められない生活ですので、寝ていてもいつ起こされるかわからない。ですから、その時にアルコールを飲んでいると、瞬間の判断力とか、そういうものがきっと緩んだんじゃないかと思うんですね。それから、隊員達もですね、アルコール飲まなくて良かったと、言ってました。もう、禁断症状で苦しむ、そんなものおりませんし、清涼飲料水とかそういうものはもちろんありますし、やはりそうですね、アルコールを飲んで、疲労を逆に増してしまうってことになったんではないかと。ということで、現地では別に酒を飲めないことによる、不平不満なかったと思います。

 それと、国内ではですね、職場で酒をがんがん飲むということはやっておりません。私がおりました、名寄駐屯地では、アルコールを飲む場所というのは、一箇所だけに決めておりまして、昔でいう、酒保ですかね。今では隊員クラブといいます。そこだけはアルコールを許可します。それ以外の場所では、禁酒にさせております。どうしても、何かのお祝いで今日はみんなでパーティーをしたいという場合には、体育館で大勢でやるときですが、私のところに許可を取りにくるんです。何時から何時までの間、ここでの飲酒を許可するという書類にはんこをついているんですね。それで飲ませるということにしています。

○○:休日はどういう生活をされるのですか?外出は出来るんでしょうが、外出しても余り行くところはないでしょうが、どういう過ごしかたを?

番匠:はい、基本的に休日はありません。三ヶ月間一日も休みは、この日は休みという日は作っておりませんでした。

○○:あぁ、休日ないんですか。そうですか。

番匠:それから、外出も職務以外の外出も一切させておりません。もう少し、環境が許せば、隊員たちを町のマーケットあたりに出してもいいかなと思ったりもしたんですが、我々がおりました去年の3月から5月いっぱいというのは、例の人質事件があったり、そんなこともあったもんですから、やはり隊員達を自由に外出させて、町をぶらぶらさせるにはちょっと厳しいかなと。

西尾:別の隊との連絡のために出かけるというのは?

番匠:ですから、宿営地を出ることはしょっちゅうです。

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