阿由葉秀峰の選んだ西尾幹二のアフォリズム(第三回)

11)自己をもってしか自己を測らぬというその自己中心的な態度の徹底こそ、われわれが学ばなければならぬヨーロッパの精神の型なのである。

12)外国人がわれわれの文化を好意をもって評価することがあるとすれば、それは彼らのためであって、別にわれわれのためではない。外国人の日本蔑視にはおよそ関心を抱かず、外国人の日本評価のうちには彼らのエゴイズムを読み取り、どちらにせよ、平然としてすごしていられる冷酷なこころの訓練こそが今われわれにはもっと必要なことであろう。

13)日本はアメリカと戦ったのではない。アメリカの背後にある西欧の影と戦って、敗れたのである。その結果、日本は自信を喪い、アメリカ人はヨーロッパ神話をついにうち破ったと信じた。

14)自己の弱点と劣勢を正視し、それを厳格に批判することは我が身を切る痛みを覚悟しなければ出来ないことであり、本当に自信がなければ出来ないことである。自己の弱点を別の面の希望や長所にすりかえるのは、女々しい怠惰な精神のなす作業である。

15)自己の弱点を正視することが本当に自信のあるもののなす態度であろう。

出展 全集第一巻 ヨーロッパ像の転換
11) P134下段より
12) P135上段下段より
13) P143下段より
14) P155上段より
15) P162下段より

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