番匠幸一郎氏を囲んで (十一)

西尾:それはまだ・・・・、東中野先生、どうぞ。

東中野:余計なことを言ってすみません。現実の諸問題は現役の自衛官の方が考えていらっしゃると番匠大佐のことをうかがっているものですから、・・・・・・・・・質問させていただきたいのですが、愚問だということはわかっているのですが、最初に私が思いましたのは、大変失礼なことを申しますけれども、准将クラスの方を送るべきだったんじゃないかと思います。日本からですね、階級社会ですから。

西尾:准将って、昔の?

東中野:少将クラス、できれば中将ぐらいの方をドンと日本が送り込んで、本腰を入れてやるんだと、郡長という、600人のトップに中将というのはちょっとおかしいというのは、分っているわけですけど、そしてまた番匠さまが、大変な功績を残していらっしゃった方というのは分った上で申し上げているのですが、ですから愚問なんですけど、軍隊というのは、階級社会ですから、日本から第一陣として、それくらいの意気込みで陸幕は取り組むべきだったんじゃないかというふうに思ったんですが、その点はいかがでしょうか。

西尾:答えにくい質問じゃない?

(笑い)

番匠:できるだけ、高い階級の者がいれば、それだけ影響力というか力がありますけれど、同時に高い階級の者というか、高位の者というかは、それだけ役割とか責任を多く負うことになるわけですね。今バグダットには中将が二人おりますけれども、他はおりません。それから、南東部地域のイギリスというか、イギリスを中心とした多国籍団の師団長は少将なんですね。

東中野:1万人のイギリス軍が少将なんですか、あぁ。

西尾:そうか、そんなんじゃだめですよね。

番匠:そうです、少将です。そうしますと、自衛隊が600人で少将だと、イギリスと同じ役割を果たすということの、意志表示になります。

西尾:あぁ、考えているわけですね。

番匠:逆にですね、それは将軍を出すということは、たかが数百人でいいのかと。何千人の長でなければいけないのではないかと。そうすると、何の為に来ているのかということになるんです。

東中野:やはり600人で群長だから、どうしても大佐だと。

番匠:大佐か、中佐でいいわけですね。部隊のスケールで言えば。オランダは1000人で中佐を連れて来ていました。

東中野:1000人で中佐ですか。

番匠:我々はちょっとインフレ気味だったんです。

(大笑い)

西尾:話が逆だったですね。

番匠:アメリカは15万人で中将ですね。中将二人おりますけれど。

○○:私が聞いた範囲では、日本もね、本来だったら中佐クラスのつもりだったらしいんですけれども、この任務が非常に大変な任務だということで、番匠一佐を直々に出したという話を聞きましたけれどね。

吉野:よろしいですか?

西尾:どうぞどうぞ、吉野さん、元警視総監の方です。

吉野:質問ではなくて、感想だけちょっと。今日私も国民の一人として自衛隊のイラク派兵に大変強い関心持っておりました。まぁなんと言っても、今までは報道だけでして、今日は生のお話が大変参考になりましたし、また感銘を受けました。大変ご苦労さまでございました。国民の一人として感謝申し上げます。私も警察におりましたので、やや似たような組織でありますので、大変参考になりましたが、お話を伺っていて、よき警官と、よき装備と、よき訓練ですね、徹底して射撃の訓練をやられたという話はこれは、あまり報道なんかに出ないのですが、大事だとおもうのですよ。それから、たとえ話でライオンとロバとの話をされましたが、あれは非常に大きな示唆だと思うんですよ。思い返せば、一昔前に、機関銃を持っていっていいか銃をいくら持っていくかと、子供じみた議論がありまして、あの頃から比べれば隔世の感がありまして、西尾先生の日本の未来へのいろいろなご心配もあるでしょうが、私はこの国はこの国で、一歩ずつ、遅いけれども少しずつ前へ進んでいるんじゃないかと、いい方向へ進んでいるんじゃないかと・・・・

西尾:いやぁ、僕は絶望しているんですよ。

(大笑い)

吉野:そんなことはないです。いろいろ不満がおありじゃないかとお話もありまして、質問もありまして、私は本音で与えられた範囲内できちっとやっておられて、特に不満もない。そのまま受け止めたいと思います。仮に不満がありましても、軍人さんに言わせることじゃないと思うんですよ。

西尾:それはそうですよ。

吉野:我々、或いは世論、これがね、代わって言っていくべきで・・・

西尾:そうです、その通りです。

吉野:ということではないかと、生意気ですが思うのです。そういう感じがいたします。どうもありがとうございました。

西尾:おっしゃるとおりですねぇ。

○○:先ほど西尾さんがおっしゃった、自衛権の中で認めるかどうかですが、私は自衛権というものを認めればですね、当然・・・・

西尾:警護活動?

○○:警備、警護。

西尾:そこまで伸びていいと?

○○:伸びていいと。当然ですよ、自衛権としては。

西尾:それを、うずうずして、はっきり認めないで、また現地へ出て行くという。

○○:任務遂行のための武力行使を認めないというのが間違っている。

西尾:憲法違反じゃないんですよ。別に。

○○:ええ、そうですよ。それからちょっと質問ですが、自衛隊のですね、訳語が外国に対して、JSDFなんですか?それともジャパニーズ・アーミーですか。どっちを使っておられるんですか?

番匠:今回オフィシャルには、やはりJSDFですね。ただ、しゃべるときにはもう、ジャパンアーミーになりますね、はい。文書としては、アーミーということは我々は使いません。

○○:口頭ではアーミーをどんどん使うんですか?

番匠:ええ、アーミーじゃないと通じないもんですから。

○○:そうでしょうね。

「番匠幸一郎氏を囲んで (十一)」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    イエローリボンの掲示、ありがとうございます。
    キャンペーンでは、現地サマワの隊員の声を直接聞く「サマワからこんにちは」という番組を放送中です。隊員のご家族ほか色々な方に、ネットを通して、その声を聞いていただければと考えております。

    トラックバックを送らせていただきました。今後とも宜しくお願いいたします。

  2. >adazakuraさん
    トラックバック、ならびにコメント有り難うございました。多くの制約の中、自衛隊の皆様が遠くイラクの地で頑張っておられること、ここに集まる皆、感謝していると思います。そのような自衛隊の皆さんを支援なさっている由、ご苦労様でございます。

    今回番匠一佐のお話を読みながら、なんて抑制が効いて、しかも堂々としている立派な人なんだろう。日本の自衛隊って、素晴らしいなと思ったものです。

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