第1巻 ヨーロッパの個人主義
◆『ヨーロッパ像の転換』
◆『ヨーロッパの個人主義』
◎追補 竹山道雄・西尾幹二対談
西尾幹二の思想形成の出発点は三つある。その第一が『ヨーロッパ像の転換』『ヨーロッパの個人主義』という西欧文明体験記で、留学記録ではなく、西欧の深さに感動し、同時に日本を確認し、日本の立場を主張する自知の書。
第2巻 悲劇人の姿勢
◆アフォリズムの美学
◆文学の宿命
―現代日本文学にみる終末意識
◆不自由への情熱―三島文学の孤独
◆行為する思索―小林秀雄再論
◎追補 福田恆存・西尾幹二対談
西尾の思想形成の出発点の二番目は文学評論である。処女作「小林秀雄」、「『素心』の思想家・福田恆存の哲学」、「三島由紀夫の死と私」等、悲劇人と見立てた三者の評文を第2巻に集中した。三者の価値の尺度は「真贋」である。
第3巻 懐疑の精神
◆ヒットラー後遺症/政治の原理 文化の原理/自由という悪魔
◆老成した時代
◆観客の名において―私の演劇時評
◎追補 今道友信・西尾幹二対談
思想形成の第三の出発点は懸賞論文「私の戦後観」から始まった時代批判である。60年代末の大学紛争と青年の反乱への徹底批判、70年代の無気力、成熟と老成という逃避への懐疑、情報化社会への懐疑、比較文化論への懐疑。知性を欠く知能への懐疑。
第4巻 ニーチェ
◆第一部・第二部全一巻
◎追補 渡辺二郎・西尾幹二対談
著者の不朽の名作『ニーチェ』の完全本。観念的哲学論ではなく、ニヒリズムを具体的に生きた一人の人間像をニヒリズムの語を使わずに描出した「評伝文学の魅力に溢れた傑作」(斎藤忍随氏)である。資料広汎で学問的にも完備。
第5巻 光と断崖―最晩年のニーチェ
◆光と断崖
◆ドイツにおける同時代のニーチェ像
◆ニーチェ『この人を見よ』西尾訳
第4巻『ニーチェ』の続編。最晩年に仏教に心を傾けたニーチェの謎、キリスト教の信仰が隠していた闇は露呈し、光と闇の対立のない遠い異世界のアジアに彼は何を見ていたか。『権力への意志』は幻であった。他にも未刊行の重要作品収録。
第6巻 ショーペンハウアーとドイツ思想
◆ショーペンハウアーの思想と人間像
◆ショーペンハウアーの現代性
◆ショーペンハウアーと明治の知性
◆ニヒリズムとしてのドイツ思想の展開
―カントからニーチェまで
◆北方的ロマン性
―ドイツ的根源性の原型
◆ドイツの言語文化
◆私の翻訳論
◎追補 斎藤忍随・西尾幹二対談
「ヨーロッパにおける歴史主義と反歴史主義」という別系列の論文と、愛読者の多い『ニーチェとの対話』がここに収録された。ショーペンハウアーの主著『意志と表象としての世界』の全訳は著者の業績。ここには抄録のみ。
第7巻 ソ連知識人との対話/ドイツ再発見の旅
◆『ソ連知識人との対話』
◆ソルジェニーツィン氏への手紙
―貴方は自由をどう考えているか
◆ドイツの大学教授銓衡法を顧みて/ドイツの家/技術観の比較―日本とドイツ
◎ 追補 内村剛介/岩村忍・西尾幹二対談
「真の自由には悪をなす自由も怠惰である自由も含まれている」は、ソ連に具現化した全体主義社会への著者の批判の要諦である。本巻は1977年のロシア、80年代のドイツを歩いた小説風紀行文で、読み易く面白い。
ふむふむ。
15/09/20 13:17
ふむふむ。
15/09/20 13:18
子路
>ショーペンハウアーの主著『意志と表象としての世界』の全訳は著者の業績。
そうでしたか!
白水社発行の『意志と表象としての世界』の訳は4名か。
この本凄いと思う、確かトルストイも称賛していたようだ。