第8巻 教育文明論
◆『日本の教育 ドイツの教育』
◆講演 日本の教育の平等と効率
◆『教育と自由』
著者の教育哲学のすべてがここにある。日独学校比較、中曽根臨教審批判、中央教育審議会委員としての中間報告から大学改革論までを総括し、少年期からの体験を踏まえ、教育の光と影を学究的に明らかにした渾身の一冊である。
第9巻 文学評論
◆老成と潔癖―現代小説を読む
◆オウム真理教と現代文明―ハイデッガー
「退屈論」とドストエフスキー『悪霊』などを鏡に
◆作家論・高井有一/柏原兵三/小川国夫/上田三四二/綱淵謙錠/手塚富雄/江藤淳/石原慎太郎
◎ 追補 桶谷秀昭/江藤淳・西尾幹二対談
『平家物語』の世界、『徒然草』断章形式の意味するもの、人生批評としての戯作、本居宣長の問い、明治初期の日本語と現代における「言文不一致」、漱石『明暗』の結末、芥川龍之介小論、ほか現代作家論、文芸時評等、第2巻以外の文学論を一括した。
第10巻 ヨーロッパとの対決
◆異文化を体験するとは何か/漱石の文明論と現代/横光利一『旅愁』再考
◆戦略的「鎖国」論
◆講演 知恵の凋落
◎追補 入江隆則/西部邁・西尾幹二対談
世界に中心軸はなく西欧は閉鎖社会であるのに、西欧の尺度が国際社会を圧倒している不健全に対し、著者はドイツの講演会で近代日本の真価を訴え、パリ国際円卓会議で論争し、シュミット元独首相の政治的偏見にも挑戦した。
第11巻 自由の悲劇
◆フランス革命観の訂正
◆ロシア革命、この大いなる無駄の罪と罰
◆ソ連消滅―動き出す世界再編成と日本
◆ギュンター・グラスと大江健三郎の錯覚
◆『自由の悲劇』
◆『「労働鎖国」のすすめ』
共産主義の終焉は自由の勝利のはずだが、そこに自由の「悲劇」を見た著者は、現代世界の民族宗教対立を洞察し、わが国への移民導入の危険をいち早く予言した。ロシア革命の無意味化はフランス革命観を変え、近代の意味を変えた。
第12巻 全体主義の呪い
◆『全体主義の呪い』
◆ヴァイツゼッカー独大統領謝罪演説の欺瞞
◆『異なる悲劇 日本とドイツ』がもたらした政治効果とマスコミへの影響
ベルリンの壁崩壊後のチェコ、ポーランド、東独で哲学者や言論知識人と「自由」をめぐる徹底討論を交わした。それを踏まえてヴァイツゼッカー独大統領の謝罪演説の欺瞞を突いた「異なる悲劇 日本とドイツ」は大きな反響を呼んだ。
第13巻 日本の孤独
◆“あの戦争”を他人事のように語るな
◆近代戦争史における「日本の孤独」
◆ニュルンベルク裁判の被告席に立たされたアメリカ
日米構造協議や湾岸戦争処理における米国の圧力、敗戦に呪縛され続ける日本人。著者は米国を他者として突き離すことを訴え、欧州戦線とは異なる日米戦争の背景を探り、近代戦争史における日本の孤独を覚悟せよと説く。
第14巻 人生論集
◆『人生の深淵について』
◆『人生の価値について』
◆『人生の自由と宿命について』
◆『男子、一生の問題』
評論家の小浜逸郎氏曰く「西尾はモンテーニュやパスカル、ラ・ロシュフコー、キルケゴール、小林秀雄、福田恆存等のモラリストの系譜に連なる人間観察力、心理洞察力を持つ倫理思想家」。人生の価値、自由・宿命について他。
第15巻 私の昭和史
◆『わたしの昭和史』二分冊
西尾幹二の少年記二分冊。学齢前の日米開戦、学童疎開、艦砲射撃から逃れて山奥への再疎開、美しい田園生活、詩や小説を書く自我の目覚め、終戦、マッカーサーの日本への懐疑、抑留帰国者がソ連万歳を叫ぶのを見ての14歳の懐疑。初恋。