「全集新パンフレット 」への4件のフィードバック

  1.  今回の新規推薦文の中で、草柳大蔵さんの文章はその本(『労働鎖国のすすめ』)が刊行されたときに読んで、非常に印象的で、今でも暗唱しているほどの名文でした。全集そのものとは別ですが、ここにあげられている推薦文はみんなたいへんな名文ですね。特に三島由紀夫さんの文章は群を抜いてすばらしい。「日本人によってはじめて書かれた「ペルシャ人の手紙」」なんていう「色気」にあふれた文章は三島さんならではのものですね。

     ステレオタイプな言い方かもしれないですが、名文というのは「色気」だと思います。そういう基準だと三島さんと西尾先生の「色気」は同じくらい密で、むんむんしています。知的興奮を誘導する色気ですね。中島義道さん全集月報のこの部分とは別の箇所で、西尾先生の翻訳文体の「色気」について触れられていたと思いますが、翻訳だけでなく、西尾先生の文章にある「色気」に私は(これまでも)これからも惹きつけられていくと思います。

     「色気」といえば、GHQ焚書図書開封の最新刊の「あとがき」を薦められて読みましたが、ここに新しいこれからの知的計画の展望がありますね。だいたい、先生があげられている山本七平だけでなく司馬遼太郎も「朱子学=水戸学=悪しき尊皇主義」とぶつ切りにして水戸学を批判する傾向にあります。山本や司馬のようなビジネス保守からすれば、左右のイデオロギーをビジネス現実の敵対物としなければならないわけですが、この図式性は、いかにも「色気」がないですね。何かまとまりすぎている違和感を昔から感じていました。本当は図式的説明こそビジネス現実の敵対物でなければならないのではないでしょうか。西尾先生の新たな「色気」の刃で、山本、司馬らの「色気のなさ」を切り刻んでいくことを期待しています。

  2. 西尾先生の安倍談話論は明日のチャンネル桜で締めくくられると推測しています。西尾先生が唯一の安倍談話批判として言及された「新潮45」10月号、佐伯啓思「反幸福論『安倍談話の本当の意味」が産経新聞「正論」欄寄稿文をパラフレーズしている。

    その核心は、「『戦後レジーム』からの脱却を唱えていた安倍首相の談話によって、本当に『戦後レジーム』が完成してしまったのです」の一文にある。

    そして「それこそが『戦後日本』だったのです。日本人の思考様式が『アメリカの歴史観』のなかに溺れつくす、ということです」という絶望的現状認識に至るのである。

  3. 上「2」を一部訂正します。

    西尾先生が唯一の安倍談話批判として言及された産経新聞「正論」欄佐伯啓思氏の寄稿文を、同氏が「新潮45」10月号、「反幸福論『安倍談話の本当の意味」でパラフレーズしている。

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