宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(一)

 4月26日の「路の会」では宮崎正弘氏を囲んで、中国情勢を話し合った。

 まず、氏が「中国反日暴動の裏側」と題して豊富な体験と情報に基くスピーチをして下さった。そのあと会員が活発に意見を交しあった。

 出席者は小田村四郎、石井公一郎、大島陽一、尾崎護、呉善花、三好範英、東中野修道、大塚海夫、山口洋一、片岡鉄也、木下博生、大澤正道、田中英道、萩野貞樹、真部栄一(扶桑社)、力石幸一(徳間)、西尾幹二。

 なお、宮崎と西尾以外の発言は声で識別できないのでABCで表す。また、聞き取れなかった言葉は○じるしで示す。

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 中国反日暴動の裏側    宮崎正弘

● 米国亡命知識人のコメント

  アメリカに亡命した中国の知識人がどう言っているかというところから入りたいと思います。「北京之春」を書いた胡平という日本以外では非常に有名な人です。彼が言いますには、「中国共産党は抗日戦争の主体でもなければ、8カ国連合軍の一員でもなかった」。はっきりと言っているんです。

 「強烈な劣等意識が、過度の反日歴史改竄となっている。政治の暗黒、官僚の腐敗、困窮する農民、失業にあえぐ労働者、庶民は開発ブームにも乗れず、満足な家にも住めず、子供を学校にやることさえ出来ない。『反日』なんぞ、一体彼等となんの関係があるのか?」と。これ日本の新聞にはぜんぜん出てきません。

  次に呉国光、趙紫陽のブレインだった人です。やっぱりアメリカに亡命しました。

 「中国共産党が愛国を吹聴する資格などあろうか?マルクスは労働者に国境はない、と国際的共産主義を説いたように、共産党は外国製であり、しかも共産主義が中国においてすら破産した事実は明白である。これを庶民や青年の間に、特に強い民族的情緒や愛国主義なるものに訴えて誤魔化し、庶民を利用しようとしているが、合理的でもない。彼らは共産党利益のために、愛国とか民族の利益とかを利用できるものを手段化し、利用しているにすぎない。彼らの言う愛国は偽物である。選挙もなければ、表現の自由ももたない中国の民衆はいずれ、党の鼓吹する「愛国」にはなんらの価値がないことを知るべきである。」と、こういうことを言っているんです。

● 反日デモの背景(1)

  反日デモの背景を振り返ります。これは「大紀元」というメディアに依りますが、中国共産党が一番恐いのは、天安門事件、16年前の6月4日の再評価をされることだろうと。そのガス抜きの装置が常に必要なので、反日を今度仕掛けてみたというのが実態だろう。

  数年来、気功集団の法輪功は弾圧をされ続けておりまして、既に拷問で亡くなった方が1200人と言われています。それから、精神病院に入れられて、精神病院で死んだ人が400数十人、ということを言っております。この数字は信憑性があるかどうか分りませんが、アメリカの議会ではそういう表現が次々と出ておりますので、それに近いことではないかと思います。

  よく言われることですが、江沢民が愛国教育を仕掛けたと、93年から始まったということですが、江沢民の父は江世俊と言って、昔、江蘇省で日本の特務機関に協力をしていた。ですから、江沢民本人は上海交通大学出身と言っていますが、その直前は南京の中央大学で日本語を専攻していたのです。ですから抗日分子とされた伯父さんの江上青の養子になって、うまうまと出自を誤魔化しているところがある。江沢民は酔っ払うと「海ゆかば」も「炭坑節」も日本語でちゃんとやれるそうです(笑)。

  台湾の辜振甫さんが(今年の1月に亡くなりましたけれど)、APECでも何回か、江沢民に会って、日本の新聞ではギター弾いて、ロカビリーを江沢民が歌ったと、そういう話がありましたけれど、そのあと江沢民の方から寄ってきて、「いや、俺だって日本語できるよ」と、日本語で言ってきたと言っていました。

  江沢民がやった愛国教育ですが、先般の町村外務大臣の答弁によりますと、中国全土に203箇所、反日教育拠点を作った。そのうち、本当に反日に特科されているのは10ぐらいでありまして、あとは愛国教育基地です。御三家が北京、瀋陽、南京です。どういう展示をしているかというと、最初から「田中上奏文」で始まる。

  要するに最初から贋物なんです。展示してある写真は、先般、東中野先生がお作りになった本の贋物の写真ばかりが並んでいますから、それを教育しているということは、非常に恐ろしいんですけれど、大体誰も見に来ても、みんな強制動員ですからね。公務員です。警察、軍隊、みんな一日だけ、参観日を作って、それから高校生、小学生遠足で、来ています。

  連中の参観風景を見ておりますと、みんなぺちゃくちゃお喋りばかり。まじめに展示を見ている人は殆どいないです。「このつまらない見学が終わったら、今日どこへ行って遊ぼうか」という話をしておりますので、どの程度に効果があるのかと非常に疑問です。展示内容そのものは、シオンの議定書もどき謀略構造になっている。

「宮崎正弘氏を囲む――中国反日暴動の裏側(一)」への2件のフィードバック

  1. >江沢民の父は江世俊と言って、昔、江蘇省で日本の特務機関に協力をしていた。

     前から彼が声高に「反日」を言い立てるのには何か裏がある、かなり胡散臭いとは思っていましたが、やはりそういうことだったのですね。そもそも、当時本当に抗日をやっていた人間なら、かえってあそこまで神経症的な言動は取らぬはず。こうなると父親のみならず、江自身が当時何をしていたかを追究する必要があるかも知れません。彼の公認伝記『他改変了中国』でその辺りをどう誤魔化しているかも…。
     以前、華北のT市にある孔子廟の一角で、その市の歴史文物を時代順に展示していたのを看たことがあります。ずっと見ていって近代のところまでたどり着くと、薄汚れたガラスケースの中に例の「百人切り」のいかがわしい写真が(笑)。その展示説明内容がはなはだしく事実にもとることは言うまでもないのですが、そもそもその市の歴史に、何百キロも隔たった南京がどういう関わりを持つのでしょうか。他の展示物とのつり合いもまったく考慮されていないようです。それに、かつて日本租界もあったその市のこと、普通ならば「反日」の材料にはこと欠かないと思われるのに、わざわざ遠い町の写真を持ってきて穴埋めするというのは、思考の貧困を表すものか、それとも餘程侮日の種がなかったのか…。
     側に人がいなかったのを幸い、「豈有此理!(無茶苦茶だ)」とつぶやいてその場を立ち去りましたが、あの国の「反日教育」なんてその程度のものです。

  2.  反日活動家が、目を血走らせてなぜ我々は破壊活動を正当化できるのか、と主張している映像や文章を見ると、笑いをこらえられなくなる。あの文脈やロジックを使う彼らと、魯迅の書いた阿Q正伝の阿Qがだぶってしまうのだ。まったく中国人は変わっていないようだ。
     なぜ彼らが、あの精神構造に陥ってしまうのかはよくわからない。だが、あの論理を相手にすることは、無駄だろう。つねにおなじ中国人に搾取され続けられた彼らの立場では、そうやってしかこの4000年間生き抜いてこれなかったのだ。
     それよりも、靖国を攻撃材料にできないようにするロジックが必要ではないだろうか。例えば、チベット問題は宗教弾圧である、とほのめかしてみる。すると、宗教問題は内政問題だ、と彼らは言うだろう。そのうえで、信教の自由は人権問題だ、との立場でみずからが正しいかのように日本政府は主張する。そうやって相手が言いにくい状況をつくったうえで、手打ちとして靖国やチベットのことをお互い言わないようにするなどの戦略があるのではないか。

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